横浜鎮守府の【提督】宝珠の戦士と【副提督】 作:シャイニングピッグEX
うん、鬱回だね!
『…あ?あ、挨拶か。急にカメラ向けないでよ…え〜、本編参りましょう。本日は正直終わりが見えてこないと思ってるバキシムがお送りしました』
戦いから戻った天龍と木曾。
二人の前には壮絶過ぎる光景が広がっていた。
「て、提督…」
零の口からは鮮血が溢れ、生命維持装置からも隙間から溢れ出ていた。
「どうしたの!?……!」
ガイの叫びを聞きつけ部屋の奥から香取が出てきた。
そして、零の状態を見て、悔しそうに顔を歪めた。
「俺は…また…守れなかったのか…」
ガイは悔しそうに目を瞑った。
「百年前もそうだ…俺は大切な人を…!」
涙を流し、零の手を強く握る。
その手からは熱がどんどん引いていっていた。
「…………俺があの時………あんな事をしなければこんな事には………!」
ジャグラーも悔しさで涙ぐんでいた。
操られていた記憶が蘇る。
「俺が……あんな野郎に操られさえしなければ…!」
ジャグラーは強く拳で自分の膝を叩いた。
何度も何度も、まるで駄々をこねる子供のように。
「ジャグラー…」
「早めに取り除くべきだった…私が慢心さえしなければ…」
「香取さん…」
二人はもう一度零に目を移した。
零の目からは光が消え去り、死人のように開ききっていた。
いや、もう死んでいるのかもしれないが。
「………」
ガイは懐からオーブカリバーを取り出した。
「………!こんなもの!」
ガイがオーブカリバーを叩きつけようとしたその時だった。
ジャグラーがその腕を掴んだ
「止めろ。例えそれを壊したところで事態はどうにもならない」
「…………!」
ガイは荒々しくジャグラーの腕を払い除けるとジャグラーにオーブカリバーで斬りかかった。
しかし、それをジャグラーは蛇心剣で受け止めた。
「悔しいのは俺も同じだ、ガイ。そこにいる天龍も、木曾も、香取も」
そう言われてガイははっと気付き、オーブカリバーを降ろした。
ガイの目からは大量の涙が溢れ、それをジャグラーが抱き締めた。
「…どうしていいかは俺にも分からない。誰にもその答えは分からんさ」
ジャグラーはガイが落ち着くまでガイの背中をさすってやった。
零は夢の中で大勢の自分と戦っていた。
何をやっても当たることは無く、体力だけが消費されていく。
「そろそろか…」
一人の零がそう言った。
「…ブツブツ言ってんじゃ…!?」
零が零に殴りかかろうとしたその時だった。
急に零の体に激痛が走り、腹を抑えてうずくまった。
胃の中から猛烈に何かが逆流し、零はそれを吐き出した。
「げぼぉぉっ………!?」
零が吐き出したそれは、真っ赤な鮮血であった。
「な、なんだよ…こ…れっ…!」
「あーあー、汚いなぁもう」
小さな零が血溜まりに指を突っ込んだ。
「ねぇ、これ何で出たか分かる?」
「なん…で…ぐうっ!」
零はもう一度吐き出した。
「じつは君の中には生き物が住み着いてるんだよ。まさに寄生虫。いや、寄生獣と言った方が正しいかな?」
「どう言う事だよ…ゲホッゲホッゲホッ!」
零は真っ赤な地を飛ばして咳をしながら零達の方を向いた。
「文字通りの意味だ。お前の中にケモノが住み着いている。この地球で最も厄介な獣がな」
「……まさか!」
「お察しがよくて助かるよ。そう、魔王獣の一体をキミの身体に入れたんだ。ゼルガノスに操られたジャグラーがね」
「…た、たかが魔王獣の一体が入った位で…」
「そのたかが魔王獣だけど、されど魔王獣。言ったろ?一番厄介なやつだって」
「……マガタノオロチ!」
「そ。正確にはマガタノオロチの兄弟ってとこかな?マガタノオロチの細胞から動き出した訳だし」
「そしてマガタノオロチのことは知ってるだろう?」
「アイツはエネルギーを食事を通して摂取する。その食事はなんだって良いのさ。ウルトラマンの光線でも、生き物の肉でも何でもいいのさ。そう、例え神の肉だってね」
零が話し終えた途端、零の体にまたも激痛が走った。
「ぐううう…!これいつまで続くんだよ……!」
「キミが永遠に死なない限りソレは続く」
「お前は驚異の再生能力がある。それ故に死にたくても死ねない体になっている」
「しかも食糧は無尽蔵。マガタノオロチを育てるのには最適だ」
「ふ、ふざけんな……ゲボォッ!ひ、人の…体を…何だと…ガボォォ!」
「悲しいよね、ホンット。折角生き返って凄い力まで貰ったってのにそれがアダになって死ぬよりも苦しい地獄を永遠に味合わなきゃいけないんだからさ」
「や、やめろ……やめろ……!」
「永遠に生と死の狭間を彷徨うはめになるんだね」
「これだったら素直に死んで生まれ変わってれば良かったのになぁ」
「新しい命で楽な生活の方が絶対良いよね」
「やめろおおおおお!」
零はもがくように身体を掻き毟った。
しかし、中のマガタノオロチにそれは届くことは無く、マガタノオロチは成長を続けていた。
「マガタノオロチにせいぜい喰われないようにね。って言ってももう遅いかな」
「零……私もうどうしたら良いか分からないよ……」
百合は扉に鍵を掛け、布団をくるまって真っ暗な部屋の中で座り込んでいた。
昔も似たような状況になった事を思い出す。
『お父さん…お母さん…どこ?…』
炎の海の中で父親と母親の姿を必死に探す。
しかし、どこを歩いても黒焦げた人の様な物や瓦礫しか目に飛び込んでこない。
遠くではサイレンが鳴り響き、辺りでは駆けつけていた救助隊の人々が必死に行方不明者を探していた。
『君、パパやママは?』
一人の救助隊員が声を掛ける。
百合は分からないと言うつもりで首を振った。
『そうか…おーい!誰かこの子を保護してくれ!』
他の救助隊員に保護を頼んだ。
『僕と同じ格好のお兄さんやお姉さんがくるまでここでジッとしてるんだよ』
百合は頷く。
その直後に大爆発が起き、その隊員は目の前で亡くなった。
ISを開発していた研究所の事故により、沢山の人々が亡くなった。
その中には百合の両親も入っており、見学に来ていた時に事故が発生したのである。
運良く、いや、運悪く百合は生き残り、百合は一人廃墟の中をさ迷っていたのである。
身寄りもなく、百合は孤児院に預けられた。
何か秀でた能力もなく、少し頑丈な体がある位でそれ以外は他の皆と一緒だった。
孤児院の皆は優しかったけど、本当の親は両親だけ。
時々両親が亡くなった時が夢に出てきては目を覚まし、その度に寂しさに押し潰されそうになる。
大切な人がいなくなったり、亡くなったりすると百合はいつしかこうなるようになった。
寂しさを紛らわせたかったのかもしれないし、それともその寂しさに耐えたかったのかもしれない。
しかし、心にぽっかりと開いた穴は満たされる事は無かった。
(また……誰かを失うの……?)
百合の部屋の中からはすすり泣きが聞こえていた。
「なあ、香取、零の身体を治すのはもう無理なのか?」
天龍が香取に聞いた。
「もう無理よ。完全に生命体は活動を活発化させているし、成長スピードも尋常じゃない。それに、例え今治せたとしても柊提督が完全復活するとは思えないわ」
「そんな…香取さん!クレナイ提督!ジャグラー!なんとかならねえのかよ!」
「なんとかなるんなら俺達だってやれる事をやってるさ!けど…だけど……!」
「……悪い、二人共。席を外してくれないか」
「あ、ああ」
「おう…」
ガイに言われ、二人は医務室を出た。
「……ぜるがのす様、ぎがばーさーくしすてむ、起動完了シタゾ」
ヲ級がゼルガノスに報告をした。
「わざわざありがとう、ヲ級。そしていまこそ取り戻す時だ…!真の地球を!新たな楽園の誕生をおおおおお!フフッ…フハハハハハハハハハハ!」
ゼルガノスの高笑いが響き渡り、地球の真ん中で一つの機械のランプに赤い光が灯った。
今回はここまでです。
さぁ〜そろそろ最終回が近付いて来ましたよ〜
いやもう本当はフュージョンアップ一つずつやりたいけど流石にマガタノオロチさんは待ってくれません。
ではまた次回!