武装魔術戦記   作:GST

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バトルシーンktkr

そして新キャラ登場

物語はいよいよ動き出す・・・か?


トランスフォーゼ

「はあああああっっ!」

 

俺はその武器を剣モードにし、侵略者に向かって振り下ろす。

 

が、挙動が大げさすぎたせいか、その一撃は空を切るだけに終わった。

 

そして、目の前には侵略者。

 

「危ないっ!」

 

危機を感じたその瞬間に、十姫の一撃が侵略者の腹に当たる。

 

「っ!?」

 

侵略者はのけぞり、距離が開ける。

 

「っっ!」

 

俺はその隙に立ち上がり、再び剣を構える。

 

「これで……!」

 

構えた剣を今度は横薙ぎに振り回したが、それも避けられる。

 

更に後ろからのもう一匹の侵略者の攻撃が始まる。

 

手に持った武器を乱射していた。

 

「くっ……」

 

その武器に翻弄されている俺の後ろで十姫が魔法壁を張った。

 

攻撃はそれに阻まれるが、すぐに壁は破壊されてしまった。

 

「きゃあっ!」

 

尻餅をつく十姫に、隙ありといわんばかりに侵略者がその武器を振るう。

 

俺は十姫がしたのと同じように魔法壁を作った。

 

どうせそんなにもたないんだろっ!

 

武器を片手に、十姫をもう片手に背負う。

 

「ちょっ!ちょっと!」

 

背負ったまま、非常用扉の前に居座っている侵略者に向かって突っ込む。

 

「銃モードで…!」

 

俺はそいつにマシンガンを乱れ撃った。

 

これにはさすがの侵略者もその場を離れざるをえなかったのか、非常用扉への道が開く。

 

「後ろっ!」

 

十姫が叫ぶと同時に、今度は俺も反応できた。

 

十姫を背負ったまま右に飛んだ。

 

今度は、どこにもかすっていなかった。

 

二匹の侵略者から距離を取れたところで十姫を下ろす。

 

「あの非常用扉は一直線よ。後ろから撃たれてお終いになるわ」

 

十姫は狙撃銃に弾を装填する。

 

「1発ごとにリロードがいるのか?」

 

「だからひるんだんでしょ、さっきの奴」

 

そんなに高火力の奴撃ち込んでよろけるだけかよ。

 

俺が額に手をやると、十姫は自身の周辺に魔方陣をいくつも展開し始めた。

 

「ちょっと時間が必要ね。あいつらと距離をとるわ」

 

俺は首を立てに振り、大型マシンガンから発射される弾丸を二箇所にばら撒く。

 

侵略者へのせめてもの牽制だ。

 

「…………よし、ターゲットを二つ『ロックオン』」

 

十姫が照準をつけたことを確認すると、俺は武装を引っ込め、弾を補充する。

 

十姫は空いている手のひらを動かし、術を宣言する。

 

 

「我流陰陽術壱式、『葬連砲火《そうれんほうか》』ッ!」

 

 

宣言と同時に、周囲に浮遊している魔方陣から一斉に魔法弾が飛び出す。

 

魔法弾の種類は様々で、速度が速いが一直線に飛んで行くもの、動きは鈍いがロックオンしたものを自動追尾するものなど、色々なものが周囲を飛び交う。

 

それらは幾重にも混ざって幻想のようにも見える。

 

「っ!」

 

侵略者は魔法弾に被弾しつつも、攻撃の手を緩め回避に専念する。

 

が、被弾している分ぎこちが悪くなる。

 

俺は再びマシンガンモードで侵略者に弾丸を放った。

 

十姫も狙撃銃の照準を合わせ、痛烈な一撃をその武器から侵略者に向けて発射する。

 

「!」

 

これほどの攻撃なら、いくら何でも倒せるだろ……。

 

この油断が、俺と十姫に危機の訪れを告げた。

 

俺が弾丸を撃ち尽くしリロードしているその隙を狙われた。

 

侵略者が魔法弾の隙間を掻い潜って突っ込んできたのだ。

 

「やばっ………」

 

侵略者の爪らしき鋭利なものが伸びる。

 

殺される。

 

そう覚悟して目を閉じた。

 

しかし、先に反応したのは痛覚ではなく聴覚だった。

 

「あうっ………!」

 

聞き覚えのある声。

 

それと引き換えに、俺に痛みは訪れなかった。

 

嫌な予感がして目を開けると、そこには俺の予想した、最悪の状況が視界一杯に広がった。

 

「だ……だいじょう…ぶ………?」

 

そう精一杯に言う口元から溢れ出す赤い液体。

 

それは、俺がついほんのさっきまで方から流していたものと同じものだ。

 

忌み嫌われるそれは、目の前の少女の腹部からも流れている。それもかなり多めに。

 

「え……は…………?」

 

俺はその光景を否定した。

 

認めたくなかった。

 

それを見るくらいなら、俺がその目に遭ってもよかったのに。

 

「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

俺は叫びながら、大剣モードでその忌まわしきものと侵略者を繋いでいるものを斬り落とす。

 

「――――――――――――――――っ!」

 

その接続部から気味の悪い液体が飛び出し顔にかかるが、そんなことは気にしていられなかった。

 

「てめぇぇええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 

俺は侵略者の腹に剣を突き刺す。

 

「ッッッ!?」

 

しかし、それだけでは侵略者の動きは止まらない。

 

侵略者が俺を掴もうとするが、その手が届く前に剣を持ったまま横に回転する。

 

剣が抜けると同時に、腹を切り抜ける。

 

これにはさすがに効いたのか、侵略者の手が空振りする。

 

その隙に、俺は銃口を侵略者の顔らしい部分に当てる。

 

「これでぇぇぇ、くたばれえええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

俺は引き金を引き、至近距離で銃弾を叩き込む。

 

痙攣しているように動いていた侵略者だったが、そうもしないうちに動きが完全に停止する。

 

俺はすぐさま十姫を担いで、すぐ近くの瓦礫に隠れる。

 

この間にもう一匹の侵略者に攻撃されなかったのはまさに奇跡だ。

 

「おい、十姫!しっかりしろ!」

 

言いながらできそこないの治癒魔法を使う。

 

十姫は荒い息遣いで、貫かれている穴からは液体が流れ続けている。

 

応急処置だけでいつまで持つか分からない。

 

「あ………あんた、さ」

 

「黙ってろ!集中できない!」

 

傷は一向に回復しない。

 

むしろ状況は悪くなる一方に思えた。

 

十姫は苦しそうに口を動かし、言葉を発する。

 

「や……やれば、できる……じゃない」

 

「もういい!黙って俺に治癒させてくれ!」

 

額から汗を流しながら、習った治癒魔法を一生懸命に奮う。

 

しかし、成果はまるで出ていなかった。

 

「お……お願いが…あるんだけど………」

 

俺は十姫の言葉を無視した。

 

痛々しくて、苦しくて、泣きそうになるから、聞けなかった。

 

「も……もし、私が、た……助かって…さ」

 

がふっ。

 

十姫は口からも液体を吐き出した。

 

俺の顔とか服とかにそれは散らばるが、それらは既に違う液体でびしょ濡れだった。

 

「ここを……切り抜けたら……その時は………」

 

「分かったよ!」

 

俺はその言葉を遮った。

 

「その時は、お前の言うこと何でも聞いてやる!だから生きろ!絶対に生きろ!!」

 

その言葉が通じたのか、はたまた何か違う力が作用したのかは分からない。

 

けれど、十姫の身体から流れ出す大切な液体の流出は止まった。

 

「それじゃ………頑張って、ね」

 

そう言うと、十姫は静かに目を閉じた。

 

「ッ!?」

 

俺は急いで息の確認をする。

 

「……すぅ……すぅ」

 

定期的に行われる呼吸。

 

とりあえずは大丈夫らしい。

 

「とはいえ、ゆっくりもしてられないよな」

 

俺は残った戦力を確認する。

 

マガジン残りなし。

 

可変武器内の残弾数ゼロ。

 

「……初実戦、か」

 

俺はとある覚悟をして、十姫の頬に優しく触れる。

 

「じゃ、また後でな」

 

俺は瓦礫の山から飛び出る。

 

瞬間に、侵略者からの攻撃が始まる。

 

狙われてたってことか。

 

俺は転がりながらその攻撃を避け、武器を持つ右手に魔力を集中させる。

 

「頼むぜ、俺の創造力!」

 

 

「『トランスフォーゼ』ッ!」

 

 

十姫の得意魔法が『我流陰陽術』なら、俺は『変化魔術』が得意だ。

 

右手に触れているものを、形状が類似したものに変化させる魔法。

 

俺はその手にある武器の一部を、記憶の中にある似た形状の武器へと変化させた。

 

「覚悟はできてる……行くぜぇぇっ!」

 

武器を銃モードにし、引き金を引きながら侵略者に向かって突っ込んだ。

 

銃口から放たれるのはビーム。

 

俺は大型マシンガンからビームマシンガンへと、武器を変化させた。

 

実弾とビームの違いは歴然としている。

 

まず、ビーム兵器を使うにはそれに伴う魔力が必要になる。

 

己の魔力をビームに変換して、それを放つのだから。

 

より多くの魔力をビームに変換すれば、相応の威力、弾数が望めるがその分、負担が大きい。

 

ただし、これは兵器型の才能を持つ者だけでなく魔法型の才能を持つ者にも扱えるということで魔法を扱う者でも使ってる奴は居る。

 

実弾ならば己の負担がなく、常に安定した弾幕を形成できる分、マガジンを常備する必要があり、なおかつ威力もビームほどのものは望めない。

 

どちらを選ぶかは人それぞれだが、SSクラスの俺たちはその二つを選択できる。

 

ビームマシンガンを受けながらも、侵略者はその武器を撃ってくる。

 

むやみやたらに撃つ俺とは違って正確な狙いをつけている分、あいつの命中率は高い。

 

頬、横腹、腕、足。

 

さまざまな個所に攻撃がかすり、そこから大切な赤い液体が漏れだす。

 

と同時に、激しい痛みが全身を襲う。

 

「っけど!」

 

俺は涙を溜めながらも侵略者に向かう足を止めなかった。

 

ただ、右へ左へと軌道を変えながらマシンガンを連射し、侵略者に飛び込む。

 

「ッ!」

 

その瞬間を、侵略者に捉えられた。

 

俺の腹に向けて、敵の攻撃が撃ちこまれた。

 

「ぐっ……!」

 

瞬時に魔法壁を形成するが、中途半端な出来のせいで一撃でそれは壊される。

 

侵略者は、すぐに次弾を撃ちこもうとしていた。

 

「させるかああああああああああああああああああああ!!」

 

幸いにして、俺は剣の届く範囲まで奴に接近できていた。

 

武器を剣モードにし、その刃を侵略者の持つ武器を斬りつけ、スクラップにする。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!」

 

そのまま剣を奴の腹に突き刺そうとしたその時。

 

侵略者の腕から、爪のようなものが急に伸びた。

 

「何ッ!?」

 

その伸びた爪は俺の右太ももを貫く。

 

加えて体中を包んでいる、溶解性の体液が貫いた太ももの周りを溶かす。

 

「ううああああああああああぅぅぅ………」

 

勢いは殺され、その場に留まってしまう。

 

痛い。怖い。逃げたい。

 

戦意を失いつつあった。

 

やっぱ、俺には無理なのか……?

 

そんな思いが脳裏によぎる。

 

目の前に迫る、侵略者。

 

その頭から滴るのは体液ではなかった。

 

ついさっき俺が見た、気味の悪い液体。

 

数秒遅れで、侵略者がもがきはじめる。

 

「――――――――――――――――――――――――!」

 

言葉にならない悲鳴を上げながら、その頭を抱える。

 

俺は急いで後ろを振り返る。

 

そこには、腹を抱えながら狙撃銃を構えている少女がいた。

 

ついさっき目を閉じたはずの少女が。

 

「十姫ッ!?」

 

少女の名を呼ぶが、その少女はうんともすんとも言わない。

 

それだけの気力も無いのだと思った。

 

「無茶しやがって……!」

 

俺は無理やり奴の爪を引き抜き、肩から斜めに剣を振り下ろした。

 

奴には切り傷が残ったが、まだ倒れていなかった。

 

「まだまだあああああ!!!」

 

左から右へ一閃。

 

切り上げるようにして横腹から肩へ。

 

振り上げた剣を頭から股まで振り下ろし。

 

これだけ斬りつけ、ようやく侵略者の動きが鈍る。

 

「とどめだッ!」

 

右から左へ横薙ぎに振ったその剣は、侵略者の爪によって阻まれた。

 

直感で察した。

 

これで押し負けたら、死ぬ。

 

両足に力を込め、踏ん張りを入れる。

 

が、ここでさっきの太ももが更に痛み出す。

 

「ぐっ……うううっっ!!」

 

このままでは押し負ける。

 

そう思った俺はとある手段に出た。

 

「『トランスフォーゼ』ッッ!」

 

俺は再び銃の部分を変化させた。

 

ビームマシンガンから、ビームミサイルに。

 

「いっけええええッ!!」

 

つばぜり合いをしながら、銃モードに切り替えミサイルを放った。

 

一度は奴を通り抜けていったミサイルだが、その軌道を変えて奴の背中に直撃する。

 

「ッッ!?」

 

まさかの不意討ちに力が抜ける侵略者に対し、俺は剣を切り抜けるようにして腹から背中までを両断する。

 

侵略者が真っ二つになり、俺はその場に立ち尽くす。

 

今の俺を立たせているのは気力以外の何物でもない。

 

こいつらを倒す以外にもう一つ、やらなきゃならないことがある。

 

武器を松葉杖のように使い、倒れこんでいる少女の元へ寄った。

 

「十姫……大丈夫か?」

 

目を瞑っている少女に向けて、そんな言葉を投げかける。

 

もうしかしたら、もう声に反応することもできないのかもしれない。

 

そう思って、ガクガクの体にその華奢なからだを乗せる。

 

「っ………重いよ、お前」

 

果たして、十姫が重いのか俺の力が足りないのか。

 

それはそれすらも思考できないくらいに意識が混濁していた。

 

目的地は一つ。

 

俺はそこに向かって吸い寄せられるようにひらすた歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………ここは天国?

 

うっすらとした意識の中、私はふとそう感じた。

 

まだ腹に残る激しい痛み。

 

それが私の体の自由を奪う。

 

いや、体温もか。

 

それでも、ここを地獄だとは感じなかった。

 

死にかけの状態でも、伝わる誰かの温度。

 

それはとてもとても幸せな温度で。

 

ほのかに薫る優しさは私を溶かしてしまいそうで。

 

目の前に霞んで見えるその横顔には、必死そうな中に少し、彼の面影があって。

 

たとえ体が動かなくても。

 

眠るようにして、私が私でなくなったとしても。

 

このひと時は、絶対に忘れない。

 

私は、誰かを不幸にしてしまうかもしれない。

 

私のせいで、誰かを誰かでいられなくなってしまうかもしれない。

 

でもね、大丈夫だから。

 

私はね、絶対に、この温度を忘れない。

 

だから私の温度も、忘れないように覚えててね。

 

けど、自分は自分でいて。

 

………やっぱりわがままだね、私って。

 

勝手に押し付けるだけ押し付けるなんて、さ。

 

ホントは私からも何かしてあげたいんだけど……ごめん、ちょっと時間がないみたい。

 

私にも予定があるから……さ。

 

その前に、ちょっとだけ眠っておきたいんだ。

 

それくらい、いいでしょ?

 

あ……そういえば、何かお願い、聞いてくれるんだったよね。

 

食べきれないほどのイチゴショートケーキとかもいいんだけど……。

 

やっぱり、目が覚めたら……お目覚めのキス、が欲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい……目を覚ませよ…なあ!!」

 

校内の保健室。

 

俺はそこで本格的な手当てをしていた。

 

本格的と言っても、資材が限られている以上、大病院のような手術はできないが。

 

少なくとも、傷の手当と輸血は大方終わった。

 

ちゃんと定期的な呼吸もしている。

 

体温も正常だ。

 

それでも、十姫は目を覚まさなかった。

 

疲れて寝ているだけなんだろうが、それでも目を開けないのは不安だった。

 

「俺を不安にさせるなよ……知ってのとおり、俺ってなかり小心者なんだぜ?」

 

死んだと思うじゃないか。怖がらせないでくれよ。

 

自分の手当なぞ、している暇はない。

 

ただ延々と、その目が開くのを待っていた。

 

周囲の通路には侵入者用のセンサーを設置したから、誰が来てもすぐに分かる。

 

今は心置きなくして、十姫のことを診ていられる。

 

「何でも言うこと聞いてやるって言っただろ?ほら、何が欲しいんだ?」

 

俺は瞳に水分をためながら、十姫に尋ねた。

 

情けなく、震えるような声で。

 

「パフェか?ケーキか?……あんまり高いものは買ってやれないけど、安いのなら買ってやるよ……だからッ」

 

溜まっていた水分が、十姫の頬にたれ始める。

 

限界だった。

 

「目を覚ませよ!俺を一人にするなよ!!勝手に死ぬなよ!!!俺と………俺とッ…………」

 

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

鳴り響く甲高い音に、その先の言葉は、先送りされることになった。

 

設置したセンサーが反応したらしい。

 

「ッ………!」

 

俺は自分に痛み止めの薬を打ち込む。

 

弱い麻酔のようなもので、痛覚を一定時間鈍らせることができる。

 

太ももを貫かれたものの、その機能はまだ死んでいない。

 

痛みさえなければ、まだ戦える体だった。

 

ただし、その疲労は確実に蓄積している。

 

さっきまでの動きはできないだろう。

 

「それでも………」

 

立てかけてある武器を手に取り、保健室の扉を開く。

 

「やらなきゃならないだろうが………」

 

反応したセンサーは保健室から見て北側の通路。

 

俺は銃を構えてゆっくり近づいていく。

 

いつでも撃てるように、引き金にかける指にも力を込める。

 

そのせいもあってか、すぐさま次の行動に移すことができた。

 

一瞬、曲がり角の先に影が見えた。

 

「そこかッッ!」

 

俺はビームマシンガンをその陰に向かって撃った。

 

が、そこから発せられた声は化け物ののものではなかった。

 

「なんや!?そこに誰かいるんか!?」

 

人間の声に驚いて、俺は引き金から指を離す。

 

関西弁?

 

曲がり角から姿を現したのは、化け物ではなく少女だった。

 

麻衣子と同じくらいの短い髪に、前髪をヘアピンで止めた、おしゃれに少し気を遣ってるように思わせる風貌。

 

年は………同じくらいか?

 

そして両手には武器。

 

多分、ビームランチャーとサブマシンガンだと思う。

 

「そこの君ー!」

 

警戒心も何もなく、少女は俺に駆け寄る。

 

「君以外に生存者いる?ウチは歩倉未亜(ほくらみあ)、君らを保護しに来たんよ!」

 

未亜と名乗った少女はこの場にふさわしくない輝かんばかりの笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんや無茶するなぁ君ら」

 

「………すいません」

 

未亜はこれまでの十姫と俺の経緯を聞いて呆れていた。

 

「でも、あいつらとまともに戦ってよー生きてられたなぁ。感心するわ」

 

最後に包帯を巻いて、自分の処置は終わった。

 

ふと横目で、ベッドに横たわっている十姫を見る。

 

………まだ目覚めないか。

 

その視線に気が付いたのか、未亜は俺を安心させるように話しかける。

 

「大丈夫やって。息はあるし傷も手当されとるやんか。欲を言えば、治癒魔法とかあれば完璧なんやけどなぁ」

 

治癒魔法は緊急時の応急手当のほか、こういう場合の傷の治りをよくする効果もある。

 

残念ながら、未亜も俺も治癒魔法は上手く扱えない。

 

俺が使えるのは変化魔法と攻撃・防御魔法くらいだからな……。

 

こういうのが得意なのは奈々だけど………。

 

「どうします?しばらくここで救援を待ちますか?」

 

俺はとりあえず、今後のことを聞いた。

 

「私以外にもここに来てる人たちいるし、それもええんやけど……」

 

未亜はそう言いながら保健室の扉を開けた。

 

「ウチが君らを守りながら外に出るっていうのもあるよ?」

 

ニコっと笑う未亜。

 

だが、俺は首を振った。

 

「ダメですよ!あいつらと戦ったことあるんですか!?」

 

戦ったからこそ分かる恐怖。

 

それを知らない人に、それを感じさせるのは自分が許せなかった。

 

「何ゆーてるん?」

 

しかし、未亜は退かなかった。

 

「困った人を助けられへんで、この力を何に使うんやって話や」

 

未亜も俺たちと同じく、兵器と魔法の才に恵まれた人間だった。

 

多分俺たちと同じ目にあったんだろう。だから、今度はその力を役立てたいと思っているのかもしれない。

 

「でも………」

 

それでも戦わせたくなかった俺はもう一度説得を試みる。

 

が、その先の言葉は口に出なかった。

 

「君は優しいなぁ」

 

未亜が、途切れさせてしまったからだ。

 

「でもな、何でもかんでも一人で抱えてたらそれこそまいるよ」

 

未亜は十姫を見ながら話を続ける。

 

「それでも無茶を続けてたら、あの子も次は助からないかもしれんし」

 

未亜は次に、俺を見据えた。

 

あいつみたいに怖い顔じゃなく、優しく。

 

「あんたと、あの子とウチと。三人で生きて帰ろう?大丈夫やって、怪物はウチが何とかしたる」

 

その言葉に、嘘偽りはないように感じた。

 

むしろ、安堵さえ覚えた。

 

俺は寝ている十姫を担ぎ、立ち上がる。

 

「それじゃ、お願いします。未亜さん」

 

「まかせとき!ほな、行くよ!」

 

こうして、学校の脱出劇の幕が上がった。




お待たせしました第二話!

バトルシーンの描写はいかがだったでしょうか?

分からないとこは妄想で補完してください(笑)

あと新キャラの方言ですが・・・

私自身がそっちの出身じゃないのでよくわからないままにやっちゃいました。

「こんなの言わねえよ!」

とお怒りの方は是非連絡ください。直します。

さてさて、今回初めて出てきたビーム武器。

主人公の能力を生かすにはこんな感じでいいかな~と思って作りました。

魔法サイドも使える武器という名目ですが、兵器サイドも使えるという聞いた限りでは汎用性の高い武器。

まあ、デメリットはありますが・・・ビームってロマンだよね。

あとロマンと言えば・・・?(ここ伏線予定)

つもる話もありますが、今回はこのあたりで。

謝辞。(前回長すぎたので今回から簡略化・・・早いって?)

今回も私の小説を手に取っていただき、まことにありがとうございます。

初見の方はいかがだったでしょうか?好みであれば、是非今後ともよろしくお願いします。

何よりも読んでいただけることだけが私の励みになっております。ほかには・・・ゲームとかうすいほn(ry

次回もどれほどの時がたってから投稿するか分かりませんが、気長に待ってくださるとうれしいです。

それでは次回、またお会いしましょう。

さよなら~!
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