成瀬海斗は勇者である   作:ひろすけ

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はじめまして!ひろすけと申します!
元々pixivの方で投稿活動をしていたのをこちらでも投稿に挑戦してみようかと思いさせていただきました!
小説を書くのは初めてのため、見苦しい文章もあるかと思われますが読んでいただけると嬉しいです!


第1話:始まりの時

その日は雨が降っていた。

その中、一人の少年がたたずんでいる。

その少年の視線の先には血で真っ赤に染まった男性と女性の体がある。

その周りには神主のような服装をし、仮面をかぶった人間が何人もいる。

その中の一人が少年に話しかける。だが、少年には聞こえていなかった。

雨は降り続ける。

そんな中その少年、成瀬海斗(なるせかいと)はただただ呆然と見ていることしかできなかった。

その両親の遺体を.....

 

[第1話:始まりの時]

『キーンコーンカーンコーン』

 

終業のベルが鳴り響いた。それと同時に先生が言う。

 

「では今日はここまで。明日期限の宿題を忘れないように。」

 

そしてその日の日直が号令をかける。

 

「起立。礼。神樹様に。拝。」

 

それと同時に1年C組の教室がざわめきで埋め尽くされた。

「部活だ部活ー!」、「あー宿題全く手ぇつけてねー」、「ねえねえ、昨日のあれ見たー?」....等々。

 

『帰るか。』

 

海斗は荷物を持って帰ろうとしていた。すると

 

「なー海斗ー!今日うちに遊びにこねぇ?新しいゲーム買ったんだけど。」

 

とクラスで親しくしている男子の一人、佐久間優(さくまゆう)が話しかけてくる。

 

「悪い。今日ちょっと外せない用事があるんだ。だから今日はいけない。」

 

海斗はそう笑顔で返した。

 

「外せない用事か、まあじゃあ仕方ないな。」

 

「すまん。また誘ってくれ。」

 

そう言って手を振り、教室を出た。

 

神世紀302年4月15日、海斗は校門を出て目の前の道を左へまっすぐ歩く。

この道は少し歩くと海が見えてくる。そしてその海の向こう側、水平線の辺りには木の根のようなものでできた高い壁がある。

これは神樹様(しんじゅさま)によって築き上げられている防御壁だ。壁の向こう側の世界はウイルスの海で死滅しているという。それも300年も前にだ。

だが、四国の周りにはこの神樹様の防御壁によって守られているため、今でも人々が平和に暮らしている。

 

歩いてきた道から右に入り、少し山に入る。少し歩くと墓地郡が見えてきた。

その墓地郡の中のとある墓の前で海斗は立ち止まった。

『成瀬家代々ノ墓』

その墓の花を変え、水をかけ、線香をあげて拝する。

 

「もう4年か.....」

 

4年前、海斗がまだ小学3年生の時のことだ。

神樹様を奉る組織、大赦(たいしゃ)で成瀬家はそれなりの格式があるため、両親はお役目を受けていた。

そのお役目の最中、両親はとある事故で命を落としたのだ。そして海斗はその瞬間を目の前で見ている。

まだ幼かった海斗にとってそれは大きなトラウマとなり、当時毎晩夢に見るほどだった。

だが今ではそのトラウマも克服し、普通に暮らせていた。

 

海の方を見ると夕日が見えた。

 

(いつまでもここにいるわけにもいかないな。晩飯のこともあるし。)

 

そして海斗は水桶を持って立ち上がった。

 

「それじゃ、また来るよ。父さん、母さん。」

 

そう言って墓を後にした。

 

元来た道を戻り、再び学校の前に来る。

海斗の家はそう遠くなかった。通っている中学、神樹館中等部から徒歩10分ほどだ。

学校の前の道を墓とは逆の方向へ行き途中のコンビニがある十字路を右に曲がったところの住宅街にある。

いつもの道順でいつもどおり家に着く.....手前で海斗は立ち止まった。ひとついつもと違うことがあった。

家の前に誰かが立っているのだ。その姿は神主のような服装に、木のようなマークが付いた仮面をかぶっている。

その姿に、海斗は見覚えがあった。大赦の人間だ。

 

「あの、うちに何か用ですか?」

 

そう海斗が話しかけると、その人物が振り返った。

「ああ、これはこれは。失礼いたしました。」

そう言って海斗の方へ近づいていった。

「成瀬海斗様、ですね?」

仮面の男はそう話しかけてきた。海斗は「そうですが」と返す。

 

「あなたに会いたいと言っている方がいらっしゃいます。ご同行願えますか。」

 

その瞬間海斗は眉をひそめて疑った。

恐らく会いたいと言っているのは大赦のお偉い方だろう。だが何故?この4年間、接触してきもしなかったのになぜ今更?

そう言おうとした瞬間

「何故?と思われているでしょう。」

と言われた。

 

(.....なんだ?大赦の人間は人の心を読む力でも持ってんのか?)

海斗はますます疑いの目をその仮面の男にかけた。

「そう思われるのも普通だと思います。ですが理由は会っていただければ分かること。ですからどうか。」

そう言って頭を下げてきた。

確かにその通りだ。会えば理由と何を話したいのかがわかる。最悪話を聞くだけはこっちにもできる。

「分かりました。準備してくるので待っててもらえますか?」

そう言って承諾を得て海斗は家に入った。

 

自分の部屋に荷物を置き、制服から私服に着替えて鍵を持って再び外に出た。

そして仮面の男が乗ってきた黒塗の車に同乗して会いたがっている人物の元へ向かった。

 

車は1時間ほど走った。その道筋に海斗は覚えがあった。大赦の本部への道だ。

目的地につく頃には日は完全に沈み、あたりは暗くなっていた。

車は大きな屋敷の前で止まった。表札には「神木」と書かれている。

神木、それは大赦において乃木、鷲尾、三ノ輪に続く格式の高い家だ。

どうやら会いたいと言っているのは思った以上にお偉い方のようだ。

 

(そんなお偉いさんが俺に用って....ますますわからんぞ)

そう思いながら海斗は車を降りた。

「それではご案内します。」

そう言って仮面の男は屋敷に入って行く。海斗もそのあとに続いた。

 

神木の屋敷は思った以上に大きく、奥行きもかなりあった。

どうやら海斗に会いたいと言っている人物は一番奥の部屋にいるようで屋敷内をかなり歩いた。

歩いている最中、仮面をつけた人間と何人もすれ違った。

「こちらです。」

少し大きな扉の前で立ち止まった。この中にその人物がいるようだ。

 

仮面の男はノックをし、「失礼します」と言って扉を開けた。

その部屋は執務室のようだった。手前には来客用のソファとテーブルがあり、側面には資料や本が大量に入った本棚がある。

そして部屋の一番奥にはデスクとイスがあり、そこに40代前半くらいの男が座っていた。

「隆成(たかなり)様、成瀬海斗様をお連れしました。」

そう言うと仮面の男はその男に向かって一礼した。

「ああ、来たか。ご苦労だった。下がってくれ。」

イスから立ち上がりながら隆成、と呼ばれた男は立ち上がった。

 

仮面の男は「失礼します」と言って下がり、扉を閉めた。部屋には海斗と隆成二人だけになった。

「さて、突然の呼び出しすまないね。そちらにかけてくれたまえ。」

そう言ってソファに座るよう催促した。海斗は無言で座った。

隆成は急須にポットからお湯を注いでいる。海斗は横目で疑いの目を向けていた。

大赦は隠し事が多いため、胡散臭さが漂う組織だ。その組織のお偉い方からの話なのだ。疑わずにはいられない。

それに両親は大赦からのお役目の最中に死んでいる。それゆえ海斗の中には「大赦のせいで両親は死んだのではないか」という気持ちが4年前から拭いきれておらず、少し大赦を嫌っているのだ。

 

隆成が急須と湯呑を持ってソファの方へ来る。それをテーブルに置き、こちらに向き直った。

「改めて、私の名は神木隆成。神木家の現当主であり、大赦では一応幹部に属している。」

やはり相当のお偉い方だったようだ。大赦の幹部となると最高意思決定機関であるわけだ。

自己紹介されたので海斗も「成瀬海斗です。」と返した。

「突然の呼び出し本当にすまないね。だがどうしても今日中に君に会って話をしたかったんだ。」

そう言いながら隆成は湯呑にお茶を注いだ。

 

何の話だろうか、と同時に海斗は思っていることがひとつあった。

「神木隆成」という名にどこか聞き覚えがあったのだ。どこで聞いたのか、どこかに同名の知り合いがいたかどうかを考えていた。

「ちなみに、私は君の両親の上司だった者だ。」

「っ!!!」

どうりで聞き覚えのある名前のはずだ。両親のかつての上司、ということは恐らく両親が話しているのが耳に入り、記憶に残っていたのだろう。

 

「君の両親は実に優秀な人たちだった。いや、本当に.......実に惜しい人たちを亡くした。」

 

その言葉を聞き、海斗は膝の上に置いた拳を握り締めて俯いた。

この男に...そんな事を言う資格があるのか。この男が頼んだ仕事のせいで両親はなくなったのに....。

そんな思いが頭を駆け巡った。同時に、怒りも湧いてどこかやるせない気持ちになっていた。

が、その気持ちは次の言葉で打ち砕かれた。

 

「君は....私を恨んでいるのではないか?」

 

一瞬、何を言っているのかわからなかった。それほど海斗は驚いたのだ。

この4年間自分に接触すらしてこなかった大赦に対して両親の死が軽く見られていると思っていた。

だがこの男、両親の元上司と名乗った男は自らを責めるような顔でそれを自分に言ってきたのだ。

もしかして自分はずっと勘違いしていたのではないだろうか、この人はこの4年間もしかしたらずっと自分を責め続けていたのではないか.....そう思うと怒りはどこかへ行ってしまった。そして答えた。

 

「恨んでいない...と言ったら嘘になるかもしれません。でも、俺にあなたを恨む筋合いもない、と思います。あなたもあなたで、きっとこの4年間苦しんで来んでしょうから。」

 

そう言うと隆成は少し驚いた顔をしていた。

そして、微笑みながら少し俯いて言った。

「その場の雰囲気で言った、という感じではないな。よく考えた上で言っているようだ。さすがはあの両親の息子、といったところか。彼らもきっと神樹様の元で君の成長ぶりに喜んでいることだろう。」

なんとも大赦の人間らしい言葉だと思った。大赦では命を落としたものの魂は神樹様のもとへ行くと言われている。

 

そして隆成は真剣な顔で海斗の方へ向き直った。海斗もその様子を見て真剣な顔になった。

「本題に入ろう。そんな君に、折り入ってお願いがある。今日はそのためにここに君を招いたんだ。」

海斗はその瞬間悟った。恐らくこれはお役目の話だと。ついに大赦の人間としてお役目を果たさねばいけない日が来たのだと。

 

「まず君は、この世界...神世紀の成り立ちをどこまで知っている?」

 

突然の質問だった。戸惑いながらも海斗は答えた。

「えっと...まず神樹様がこの四国の周りに300年前に防御壁を作って今まで守っていて、外の世界はウィルスの海で死滅している....ってことだけです。」

そう、これは一般常識だ。四国に住んでいる人間だったら誰でも知っている。学校の歴史の授業でもやるほどだ。

もちろん海斗も学校の授業でもやり、両親からも何度も聞かされた話だ。だがそれ以上のことは知らなかった。

「ふむ...やはり一般常識だけか。それも当然だろう。.....だが。」

隆成は一層険しい顔になった。

 

「もし、我々大赦が世間に公表していない事実があったとしたら、君はそれを聞きたいか?」

 

なんとなく予想はしていた。大赦は最高機密が多い組織だ。そんな秘密がひとつやふたつあってもおかしくない。

「もしそれを聞いたら....俺はどうなるんですか?」

純粋な疑問だった。恐らく聞こうとしている事実は大赦の最高機密の中でも一級品のものだろう。

それを聞いてしまったらどうなるか、大体予想は出来ていたが聞かずにはいられなかった。

「これを聞けば後戻りができなくなってしまうかもしれない。聞いた場合どんな道を選んでも恐らく過酷な運命が待っているだろう。」

予想したとおりだった。恐らくその話はこれから請けるかもしれないお役目に関連することなのだろう。お役目を請けなければ過酷な運命が待っている。逆に請けても過酷な運命かも知れない。

 

知らない方が安全なことはわかっている。このまま聞かずに家に帰りこの先も平和に過ごし、高校を卒業したら大赦で別の過酷でも危険でもないお役目を引き受けて平和に暮らしていける。

しかし...しかしだ。本当にこのまま平々凡々に過ごしていくのでいいのかと海斗は思った。

両親が目の前で命を落とした時、自分は何もできなかった。

ただただ無力で弱かったのだ。周りは「仕方ない」「不測の事故だ」と当時慰められた。

だが海斗の中ではあの時両親を助けるためになにか出来たのではないか、という気持ちを今でも捨てられずにいる。

この話を聞いて何か出来ることがあるのではないか。そして決意した。

 

「聞かせてください。その話を。」

 

過酷な道かもしれない。もしかしたら両親と同じように命を落とすことになるかもしれない。

でももう後悔をしたくなかった。自分に出来ることから目を背けたくなかった。

そのお役目を請けようと請けまいと自分に出来ること。それをしたいと思ったから。

 

「.....わかった。ならば話そう。」

隆成も覚悟した顔で海斗の方を見て言った。

「まず一つ。この世界、厳密に言えば神樹様は常に危険に晒されている。」

驚きの事実だった。神樹様の危機、つまりそれは世界の、四国の危機と同等だ。

神樹様がなくなれば、四国にはその加護がなくなる。そうすれば外からウィルスが流れ込み、人類は滅亡するだろう。

 

「危険って....どういうことですか?」

隆成は顔を険しくして話す。

「防壁の外、つまりウィルスの海から、神樹様を破壊しようとする輩が幾度となく攻めてきているんだ。」

理解ができなかった。防壁の外は既に滅亡しているはずだ。しかも300年も前に。

「輩、と言ってももちろん人間じゃない。外の人類は既に滅んでいるからね。だが、そのウィルスの海で誕生する者がいる....我々はその化物をバーテックスと呼んでいる。」

 

余りにも衝撃的な話だったため、海斗は冷や汗をかかずにいられなかった。

防壁の外でそんなものが生まれ、神樹様を破壊せんと攻めて来ていたなんて。

「なぜ......」

なぜバーテックスは神樹様を破壊しようとしているのか。理解ができなかった。

「奴らはただただ人類を滅ぼすことだけを考えて攻めて来ていると思われる。実際神樹様を破壊することだけではなく、目の前にいる人間のみをただただ攻撃してくる。そして奴らには通常兵器は通用しない。普通の攻撃では倒すことができないんだ。」

そんなとんでもないバケモノが人類を滅ぼさんとしている。恐ろしい話だった。それはつまりバーテックスにかかれば人類を滅ぼすのは容易いということだ。

 

だが、一つ疑問が上がった。隆成は幾度となく攻めてきていると言ったが、今でも四国は安泰だ。

通常兵器も通じない相手にどうやってここまで対抗してきたのか。聞こうとした瞬間、隆成が言った。

「だが、ただ一つ。そのバーテックスに対抗できる力がある。」

さらに衝撃を受け、海斗は目を見開いて隆成の方を見た。

「その対抗できる力って....」

「それこそが、神樹様に選ばれし戦士、『勇者』だ。」

 

『勇者』。いかにもな名前だった。だがそれでいてしっくりくる呼び名だった。

「勇者は神樹様の力を借りて絶大なダメージをバーテックスに与えることが出来る。それによって撃退、うまくいけば撃破もできる。」

恐らくその勇者はバーテックスが攻めて来るようになった当時から存在するのだろう。

その歴代の勇者たちの奮闘があるからこそ、300年間四国の安泰は続いたのだろう。

 

「そしてもう一つ。この勇者は通常無垢な少女しか選ばれることはない.....」

 

この言葉を聞いて今までで一番大きな疑問が生じた。

海斗は男だ。ならば何故そんな話をこの人はしたのか?それは次の言葉が解消してくれた。

「...のだが、なぜか君はその勇者の適正値が高いと判定された。それも通常の勇者たちより高い数値だ。」

疑問の解消と同時に驚きだった。まさか男である自分にそんな適正値があったとは.....

「その適正値ってどうやって判定してるんですか?」

「適正値の判定は毎年学校での健康診断の時に内密に行われている。そこから適正値が高い者に勇者として戦って欲しいと依頼している。だが君の場合極めてイレギュラーな事態だ。未だかつて男性でこれほどまで適正値が高い者は現れず、一人として勇者として選ばれたことがなかったからだ。」

それもそうだろう。こういう神事に関することは昔から無垢な少女が選ばれるというのが定石だ。

 

「この不測の事態は大赦幹部の会議に持ち込まれた。君に勇者として戦うよう依頼するか否か、ということを決めるためにね。」

 

自分のことで影でそんな大事になっていたとは知る由もなかった。

ずっと平凡に、ずっと変わらずにただ過ごしていただけだったのに....

「そしてその会議ではその決定は勇者関連の全責任者である私に委ねられた。そして考えた結果....」

隆成はまっすぐ海斗の目を見て言った。

 

「私は、君に勇者として戦って欲しいと思った。」

 

その言葉を聞き、海斗は冷や汗を更にかいた。

と同時に迷いが生まれた。自分は本当に勇者になるべきなのか?勇者になったところで本当に貢献出来るのだろうか?

「これは私からの依頼だ。どうか勇者になってくれないか....とは言え、直ぐに決められることでもないだろう。」

隆成は微笑みながら言った。

 

「1週間。1週間だけじっくり考えてくれ。勇者になるか否か。考えて22日、君の答えを教えてくれ。いい返事を待っている。」

 

 

家に着く頃にはもう9時を回っていた。

家の前で立ち止まり、海斗は神木の屋敷を出るときに隆成に渡されたものをポケットから取り出して見る。

『これを持って行きたまえ。これは我々が独自に開発している勇者専用の端末だ。勇者になるためのアプリがインストールしてある。これを持っていれば少しは考える手助けになるかもしれない。』

そう言われて渡された。

(とにかく期限は1週間だ。しっかりと考えないとな...)

そう思いながら家に入った。

 

三日後。

未だに海斗は悩んでいた。本当に自分は勇者になるべきなのだろうか。

どんな過酷な運命でも受け入れる、と決意したとは言え、やはり自分の中に色々と恐怖があった。

もし勇者になれば、恐らく死の危険が有るだろう。かと言ってあの話を聞きいた上であの依頼を断れば、何があるかわからない。

自分はどっちを選ぶべきなのか。それがわからなかった。

 

「なんかさー、お前ここのところぼーっとしたりため息ついてること多くねえ?」

 

昼休み、佐久間優が話しかけてきた。

「えっ、俺そんなにぼーっとしたりため息ついてたりしてた...?」

「無自覚かい。こりゃ重症だなー...ってあれ?」

優が机の上に置いてある端末に目を向ける。

「お前の携帯こんなやつだったっけ?」

そう言って手に取ろうとする。とっさに海斗はそれを止めた。

「あああいやこれはいやそのなんだ、ちょっと知り合いから預かってるだけなんだ。だから俺のじゃないから触らんほうがいい。」

「何そんな慌ててんだよ....」

あー次の授業の準備すっかーと言いながら優は自分の席に戻った。海斗はほっと息をついた。

 

帰り道、海斗は少しぼーっとしながら家への道を歩いていた。

本当に勇者になるべきなのか、期限はあと3日、こんな優柔不断だったのか....等々。頭の中がぐちゃぐちゃだった。

コンビニがある交差点で信号待ちをする。とその瞬間。

カバンの中でなにか警報音のようなものが鳴り始めた。

びっくりしてカバンを開けその音源を探す。

その音源は......隆成から預かった端末だった。

 

「なんだこれ.....樹海化警報...?」

 

端末の画面にはそう書かれ、赤い規制線のようなものが流れていた。

何がなんだかわからないまま警報音が止まる。と、その瞬間海斗は違和感に気づく。

自分の周りが異常に静かになったのだ。何事かと辺りを見渡す。

「自分以外.....動きが止まってる...?」

次の瞬間。今度は海の向こう側の防壁から光が地震のような揺れとともに近づいてきた。

眩しくて海斗は両腕で目を覆い、光に飲み込まれた。

 

揺れもおさまり、眩しくなくなったので海斗はゆっくりと目を開けた。

そしてその視線の先は.....さっきまでいた交差点ではなかった。

そこは色鮮やかな世界。太い木の根のようなものが張り巡らされ、その根を辿って見るとその先には輝く大木が見えた。

 

「一体何がどうなってるんだ...これ....」

 

そう。海斗はこの時知る由もなかった。

これがすべての始まりだということを.....

 

[第2話:決意へ続く。]




いかがだったでしょうか?
自分でも後から読み返してみると改めてひでえ文章だなと感じています(笑)
それも含め、今後成長していけるといいなぁ...と思いつつ日々執筆しています。
ひとまず第3話までが一区切りとなるのでそこまでは読んでいただけると嬉しいです!

それでは感想等はコメント欄へお願いします。
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