成瀬海斗は勇者である   作:ひろすけ

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そんなわけで第2話です!
相変わらず文章下手くそですが読んでいただけると嬉しいです!!


第2話:決意

海斗を見送ったあと、隆成はしばらく門の前で立っていた。

「本当によろしかったのですか?」

後ろから仮面の男が話しかける。

「何の話だ?」

「彼に端末を渡したことです。彼はまだ勇者になると決めたわけではありません。なのに渡してよろしかったのですか?」

確かに海斗に勇者になるよう依頼はした。だがその返事は今は保留となっている。

だが隆成には考えがあった。

「彼にはなんとしても勇者になってもらう必要がある。だがなにかきっかけがなければ踏み出すことは難しいだろう。だからこそあの端末を渡したのだ。恐らく期限の1週間の間に1度はバーテックスの襲撃があるだろう。彼のことだ。その状況を見れば嫌でも勇者になると言うだろうさ。」

「ですが、何も知らずに巻き込まれればそれこそ危険に....」

そう言った瞬間、隆成は仮面の男を睨んで言った。

 

「君は、私の方針に文句があるというのかね?」

 

さすがは大赦の幹部所属、といったところだろうか。

その目、雰囲気、言葉、全てにおいて異常なまでの威圧感を放っている。

こうなっては仮面の男もそれ以上反論もできず、「滅相もございません。」という他なかった。

 

「さて、成瀬海斗くん。君がどんな道を選ぶか....楽しみにしているよ。」

 

 

[第2話:決意]

何が起こったのか全く理解できず、海斗はただただ途方にくれていた。

突然隆成から預かった端末から警報音が鳴った。突然自分以外の周りの動きが止まった。突然地震のような揺れとともに防壁から光が迫ってきて目を開いてみたらそこはさっきまでいた交差点じゃなく、別の世界だった。

何もかもが突然だった。それゆえ呆然とする他なかった。

 

「ほんと....何が起こってるんだこれ....」

 

海斗はそうつぶやき、辺りを見渡した。

どこもかしこも色とりどりの木の根のようなものが張り巡らされている。

時折風が吹くと花びらのようなものが舞っていた。

 

(警報音が鳴ったとき樹海化警報って書いてあったよな。ってことはこれは樹海化?ってやつなのか?なぜ起こってんだかさっぱりだが...て)

 

「そうだ端末!!」

端末から警報音が鳴り響いてこの状態になったのだ。ならば何か手がかりがあるかもしれない。

そう思い、海斗は端末を見た。

「画面.....変わってる...」

今朝見た時と明らかに変わっていた。バックグラウンド、そしてアプリ。全てが違っていた。

アプリを開いてみたがそこにはその世界の地図のようなものに自分の位置が書かれているだけだった。

もう何がなんだかわからなかった。と、その時。

 

「君!もしかして隆成さんの言っていた男性の勇者くん?」

 

どこからとなく突然話しかけられた。

どこから話しかけられたのか、海斗は辺りを見渡した。しかも、その声は聞き覚えのある声だった。

「こっちこっち!上、上!」

そう呼びかけられ、上を向くとやはり、見覚えのある顔がそこにあった。

 

「...って、ええ?!?!海斗くん?!?!」

 

あちらも海斗を見てびっくりしたようだ。

それもその筈だ、なぜなら彼女は....

「あ、彩花(あやか)さん?!?!」

成瀬彩花(なるせあやか)。海斗の父方の従姉弟(いとこ)に当たる女性だったからだ。

 

彩花は飛び降りて海斗の目の前に来た。

「なんで君がここに...って勇者に選ばれたからか。でもそっかぁ、隆成さんが言ってたのって海斗くんのことだったんだねぇ。」

そう言って彩花は嬉しそうに微笑んだ。

 

彩花に会うのは実に2年ぶりだった。

海斗は両親の死後、彩花の家に引き取られて2年間過ごした。小学5年の時に実家で一人暮らしを始めたため、最後に会ったのは彩花の家を出て行く時だった。

中学が同じなのは知っていたのでどこかで会うだろうとは思っていたが、こんな形での再開になるとはお互い思ってもみなかった。

「俺もびっくりですよ、こんな状況になって、更に彩花さんに会うなんて。」

本当に海斗にとって驚きの連続だった。

 

「そうだ、彩花さんこれって今どうなってるんです?ここって一体...」

 

とにかく今は何がどうなっているのかを知りたかった。

すると彩花は真剣な面持ちになって話した。

「ここは樹海。神樹様が展開する防御結界よ。」

「樹海...防御結界...ってことはまさか...」

その二つの単語を聞いて海斗は悟った。

 

「そう、バーテックスが攻めてきたの。その辺は説明を受けているようね。」

 

やはりだった。つまりバーテックスがせめて来たとき世界は樹海化し、そこでバーテックスを倒さねばならないのだ。

「ってことは、彩花さんも勇者なんですね。」

海斗は彩花の方を見て言った。

恐らくこれが勇者の戦闘服なのだろう。彩花は紫色をベースとしたファンタジー物のヒロインが来ているような服装をしている。髪はサイドテールにしてあり、菫(すみれ)をモチーフにした髪飾りをつけていた。

「ん、まあ一応ね。海斗くんもここにいるってことは、勇者になること承諾したんだよね?」

 

確かに、適性がある、勇者になって欲しいとは言われた。だが、

「いや、まだ返事は保留中なんです。なのになぜかこの状況に巻き込まれて....もしかしてこの端末持ってたせいなのかな?」

海斗は手に持っていた端末を彩花に見せた。

「まだ勇者になることを承諾していない....?なのになんで端末を....」

彩花はそこで黙って手を顎に当てて考え込んだ。

 

「あ、彩花さん..?」

急に黙りこくった彩花に海斗は呼びかけた。と、その時。

「おっ待たせいたしましたーーーー!!呼ばれて飛び出て即参上ーーー!勇者、相沢香織(あいざわかおり)只今参上でっす!!」

と言いながら突如ひとりの少女がものすごい勢いで落ちてきた。

ドーン、と着地するとすぐに体勢を立て直して彩花向かってビシッと敬礼をした。

「彩花さん!お待たせしました!」

と、その瞬間。彩花の怒号がその少女にふりかけられた。

「香織!!!いつもそういう危ないことしないって言ってるでしょ!!!勇者の姿で身体能力が上がっているとは言え怪我しないわけじゃないんだから!!」

 

相沢香織と名乗ったセミロングの髪の少女の登場の仕方、彩花の怒号に気圧されて海斗は唖然としていた。

その少女が勇者なのは本当のようだ。現に橙色をベースとした戦闘服を纏っていた。そしてその胸にはガーベラをモチーフにした飾りが付いていた。

どうやら勇者の戦闘服はそれぞれ花をイメージしたものになっているらしい。

「まあまあいいじゃないですか~、結果的に怪我しなかったんですから~」

そう言って、その少女は彩花をあやす。「あ、ちょっと待ちなさい!」という彩花の言葉を無視してこちらを見る。

「お!君が噂の初の男性勇者くん?!ってあれ?!成瀬海斗くんではないかい!」

突然フルネームを呼ばれた。

「え?なんで俺の名前知ってんだ?」

 

先ほどの彩花の言葉を聞くと男性初の勇者が配属するかもしれないとだけ聞かされていただけで、名前まで聞いていたようではなかった。

だからこの少女が報告を受けた時も名前までは聞いていないはずなのだが。

「なんでってそりゃぁ、私クラス君と同じだもの。ほら、相沢香織。聞き覚えない?」

海斗は記憶をたどった。クラスでそのような名前を聞いたことがあっただろうか....

「ああ、そういえばそんな名前の女子がいたようないなかったような。」

「ってひどいなぁ.....まあいいや。改めまして!相沢香織です!よろしく!」

漫才なようなやり取りをして香織は改めて自己紹介し、手を差し出してきた。

「ああ、改めて。俺は成瀬海斗だ。よろしく。」

そう言って海斗も手を取って握手をした。

 

「か~お~りぃ~.....」

二人が自己紹介を済ませた瞬間、香織の背後からどす黒いオーラを感じた。

....忘れていた。香織は彩花の注意を軽くいなした挙句そのあとの言葉を無視したのだ。

「あああ、彩花さん?待ってください謝りますから許してぇ!!」

香織が慌てて謝るが効果はなく、彩花の説教が始まりかける。

「あ~ん~た~は~!!」

と、その時だった。

 

「まあまあ、彩花。香織も悪気はなかったみたいなんだから落ち着いて。」

 

彩花の背後の茂みからそう言いながらひとりの少し大人っぽい女性が現れた。

彼女も恐らく勇者なのだろう。青色をベースとした勇者の戦闘服を着ている。髪はポニーテールにしてあり、竜胆(りんどう)をモチーフにした髪飾りをつけていた。

「あ!梨花(りんか)さん!」

助かったー、という顔で香織がその女性の名を呼ぶ。

 

「梨花ぁ、でもこの子....」

彩花が少しバツが悪そうな顔で梨花なる女性に言う。

「でもじゃありません。リーダーがそんな熱くなってどうするの。そんなんじゃすぐに判断ミスするわよ。それと香織。悪気がなくてもあまり調子に乗らないの。これは遊びじゃないんだから。」

梨花なる女性は彩花と香織の頭を撫でながら言う。二人は頬を少し赤く染めながら「うう..」と押し黙った。

 

(あんな彩花さん初めて見るなぁ)

と思いながら海斗はそんな様子の三人を見ていた。

すると梨花なる女性がそれに気づいて海斗の方を向く。

「あら、あなたが男性初の勇者の子ね?話には聞いてるわ。私は鷺沢梨花(さぎさわりんか)。この勇者チームの副リーダーを勤めてるの。よろしくね。」

微笑みながらそう言って手を差し出してきた。

海斗も「成瀬海斗です。」と返し、手を取って握手した。

 

「あー、えっと梨花。そのことなんだけど。どうも彼、まだ勇者になること承諾していないみたいなの。なのになぜか端末渡されたみたいで。」

彩花は海斗が意図してこの樹海にいるわけではないということを梨花に伝えた。

「あらあら、それは....」

そう言うと梨花は少しの間黙って、考える仕草をする。

そうだ。海斗はまだ承諾していない上に勇者としての戦い方を知らない。おそらく彩花はそのあたりのことをどうするか梨花に相談したのだろう。

 

「まあ、今回は仕方ないでしょう。どうせだから見学してもらいましょ。彼が勇者になるかどうか考える材料になるでしょうし。」

梨花はそう言って海斗と彩花を交互に見て微笑んだ。

それも確かにそうかもしれない。実際に勇者たちが戦っているのを見れば決心の鍵になりうるだろう。

「....そうね、そうしましょう。それじゃあ海斗くんは今日は見学ね。くれぐれも危険な真似はしないように。」

そう言って彩花は海斗に釘を刺した。

 

「ていうかこんな悠長にしてていいんですか?バーテックスが来てるんじゃ...」

 

海斗は心配になって言う。戦闘前にしてはかなりゆるい感じがする。

「ああ、バーテックス自体はまだ来てないみたいだから大丈夫。それとあともうひとりメンバーがいるんだけど...」

そう言って彩花は辺りをキョロキョロとする。と、その時。

「私ならここです。」

「うおっ?!」

海斗の真後ろに突然ひとりの少女が現れた。

 

その少女も勇者の戦闘服を着ていた。色は赤をベースとしており、紅椿(べにつばき)をモチーフにしたヘアピンをつけていた。

(どっから現れたんだよ.....)

おそらく海斗の後ろにあった茂みから現れたのだろう。でもまさかあそこまで気配を消して真後ろに現れるとは...

 

「ああ、灯里(あかり)も来たわね。これでようやくみんな揃ったわ。」

 

そう言って彩花は少しホッとした顔をした

「彼女は時田灯里(ときたあかり)。さっき言ってたもうひとりのメンバーよ。」

そう紹介する。だが灯里はそんな言葉を聞かず、海斗の方を睨んでいた。

「なぜ、ここに男がいるんですか?」

灯里が質問する。もしかしたら彼女には連絡が伝わってなかったのだろうかと海斗はちょっと不安になった。

「この間言ったでしょ。特例で選ばれた男性の勇者候補の子よ。」

彩花がそう説明する。

 

だが、灯里は納得していないようだった。

「私はそのことを受け入れた覚えはありません。現にその話があったとき、私は反対しました。」

どうやら彼女には海斗は歓迎されていないようだ。そう言って睨まれる。

「そうは言っても上の決定なんだから仕方ないでしょ。まあ、彼もまだ勇者になることを承諾したわけじゃないみたいだけど。」

そう彩花が言うがやはり彼女は納得していないようだ。すると海斗の方に向き直っていう。

 

「あんたが勇者になろうがなるまいが関係ない。私はあんたを認めない。」

 

突然そう言われ、海斗はムッとした。なぜ突然そんなことを言われねばならないのか。

そう思い、海斗も言い返す。

「別に、あんたに認めてもらおうなんて思ってねぇよ。」

そう言ってそっぽを向く。

 

「なっ!あんたねぇ...!」

「あー、はいはいそこのお二人さん喧嘩しない。これからチームメイトになるかもしれないんだから仲良くね。」

灯里が少し喧嘩腰になるが彩花がそれを止めた。灯里はそこで踏み止まるが、海斗を睨んだままだ。

 

「さて、全員揃ったことだし、海斗くんに細かい説明をしましょうか。」

 

そう言って彩花が手をパンパンと叩く。

海斗は勇者となってバーテックスと戦う、という大まかな説明しか受けていなかった。故に細かい説明が必要だった。

「まずは私たちの守らなきゃいけないものね。あれが神樹様。バーテックスはあれを破壊しようと襲撃してくるの。」

そう言って彩花は輝く大木を指さした。

「あそこにたどり着かれたら神樹様が破壊される。つまり、世界が滅びる。そうならないために戦う。ここまではOK?」

なんともわかりやすい説明だった。海斗は理解したと頷く。

「次に勇者の姿への変身の方法ね。その端末のアプリを開いてくれる?」

言われたとおり、海斗は端末を取り出してアプリを開く。

画面には先程と同じように地図の上に海斗たちの現在位置を示していた。

 

「変身するために必要なものは戦う意志を示すこと。そうするとアプリのここの機能がアンロックされて変身することができるわ。」

彩花が言ったモードのボタンを押すと画面には真ん中に種から芽が出たマークが付いたボタンが現れた。

「戦う意志って....かなり曖昧じゃないですか?」

戦う意思といっても人それぞれ考えることは違うはずだ。本当にその全てに反応をするのだろうか?

海斗はそんな疑問を抱いたが、彩花が言う。

「んー、確かにそうなんだけど....どういうわけか『戦う』っていう気持ちならなんでもいいみたいなの。」

 

本当に曖昧だった。まあ「戦う」なんていう意思はそう簡単に示せるものではないとは思うが。

彩花はさらに説明を続けた。

「それと勇者の戦闘をサポートしてくれる精霊っていうのがいて、これは勇者一人につき1体は必ずいるの。」

そう言うと彩花のそばに精霊が現れた。

その姿は3本の足が生えた烏(からす)。恐らく八咫烏(やたがらす)なのだろう。

「この子達はこの世界をずっと守り続けてきた子達なの。今は勇者の戦闘において様々なサポートをしてくれるわ。」

彩花だけじゃなく、香織、梨花のそばにも出てきた(灯里は出さなかった)。

 

「これって見た目からして妖怪というかなんというか...」

「そう、妖怪がモチーフになってるの。私のは八咫烏で、梨花のが管狐(くだぎつね)、香織のが大蛇(おろち)、あと灯里は出してないけど旧鼠(きゅうそ)ね。」

軽く百鬼夜行だな、と海斗は思った。

 

その時だった。アプリが何かに反応した。

何事かと思って海斗が画面を見るとそこには先ほどの地図にそこにいる5人の現在位置。

そして海の方向から大きな点が近づいてきていた。その点は「アンドロメダ座」と表示されている。

 

「あ、あのこれって.....」

 

そう言って海斗が彩花の方を見る。

だが彩花は海斗の方は見ておらず、海の方を向き、睨んでいた。ほかの3人も同じ様子だった。

「来たわね.....」

4人が見ている先を海斗も見た。それを見てぞくりとし、冷や汗をかいた。

 

そこには女性が鎖で縛り付けられたような形をした青色の巨体が浮いていて、ゆっくりとこちらに向かってきていた。

海斗はその異形のバケモノを見てすぐに悟った。

「あれが....バーテックス....」

冷や汗と悪寒が止まらなかった。あんなバケモノ相手に本当に戦えるのだろうか?

海斗はただただ恐怖していた。

 

「海斗くんはここを動かないこと!みんな!戦闘準備!」

 

彩花が指示を出すと海斗から少し離れたところで全員武器を構える。彩花は槍、香織は斧、梨花は弓矢、灯里は大鎌を握っていた。

「私と香織が前衛で切り込むから灯里は中距離から牽制、梨花は後方支援お願い!」

はい!、了解!、わかった!とそれぞれ返事をし、4人はバーテックスのもとへ向かう。

海斗はそれを何も言わず、ただただ見送ることだけしかできなかった。

 

「「はああああああああああああ!!」」

彩花と香織がバーテックスに一撃ずつ与える。バーテックスの巨体に傷が入り、動きが止まる。

が、一定時間経つとその傷も再生してしまった。

傷が再生すると同時にバーテックスからの攻撃が始まった。その巨体についていた二本の鎖のようなものを振り回し始めた。

 

彩花と香織は一歩下がり、灯里が2人の前に出て鎖の攻撃を大鎌で受け止めた。

梨花の後方支援もありなんとか2本の鎖を受け止められていたが、一撃一撃が重いのだろう。うまく受け止めきれていなかった。

彩花と香織も前に出ようと試みるが、鎖の攻撃に阻まれてなかなかうまくいかない。

さらにバーテックスの攻撃は勢いを増し、防戦一方を強いられていた。

 

「彩花さん、このままじゃ....!」

香織が彩花に言う。あまり長引くと消耗戦になり、こちらが圧倒的に不利になるのだ。

(どうする、なんとか形に持ち込まないと...)

彩花がそう思っている時だった。バーテックスの背中からもう2本の鎖が現れた。

「なっ?!」

それはこれまで使っていたものとは違い、先に刃物のようなものがついていて明らかに殺傷能力が高いものだった。

 

4本の鎖による集中攻撃を灯里が一身に受ける。

「くっ!!」

あまりにも激しい攻撃に、灯里は押されっぱなしになった。梨花の後方支援もうまく働かず、前衛担当の二人も前に出ようにも出ることができない。

と、その時だった。灯里の大鎌が弾かれ、手から離れる。

「しまっ....`!」

その一瞬の隙を突かれ、灯里は鎖で弾き飛ばされる。

 

「灯里ちゃん!!」

香織の叫びも虚しく、少し離れたところに叩きつけられた。

精霊による守りがあるとはいえ、衝撃は体に伝わるため灯里動けずにいた。

「このっ....よくも灯里ちゃんをおおおお!!!」

怒りに任せて香織がバーテックスへ突っ込む。

 

「ダメ、香織!単騎で突っ込んだら...!」

 

それも遅く、香織は何撃かは受け止めたが、灯里同様吹き飛ばされた。

そしてバーテックスは彩花の方を向く。彩花は咄嗟に槍を構え、戦闘態勢に入る。

「彩花!!バックアップするから切り込んで!!」

「わかった!!」

 

梨花のバックアップのもとに彩花は攻撃しかける。

だが、そのバックアップも意味がないというように弾き、鎖による激しい攻撃が彩花を襲う。

なんとかそれを受け止めるが、攻撃を仕掛けることができずやはり防戦一方になってしまった。

と、その瞬間。鎖が一本彩花の横を通り抜けていく。その鎖の狙いは....梨花だった。

 

「きゃあああああああ!!」

 

攻撃をまともに喰らったのだろう。梨花の悲鳴が上がる。

「梨花!!」

そう叫んだ瞬間だった。

一瞬の隙を突かれ、彩花の槍が弾き飛ばされる。

「あ......」

4本の鎖の攻撃をまともに受け、彩花も吹き飛ばされた。

 

「彩花さん!!みんな!!!」

4人全員がバーテックスに吹き飛ばされる様を見て、海斗が叫ぶ。

彩花は海斗のすぐ近くまで吹き飛ばされてきた。

海斗は彩花のそばへ寄ろうとする....とその瞬間、凍りついた。

バーテックスがこちらを見ているのだ。

 

奴の狙いは明らかに海斗と彩花だった。

ゆっくりこちらへ向かいなから鎖を構えていた。

恐怖のあまり、海斗は足がすくんでいた。

 

「かい...と...くんっ...!」

彩花が息絶え絶えに海斗の名を呼ぶ。

「あ、彩花...さん?」

「にげ...てっ...!早く....!もっと...安全な...場所へ...!」

 

その言葉を聞いた瞬間だった。

海斗の頭に4年前の光景がフラッシュバックした。

雨の中たたずむ自分、血まみれになって倒れている両親。

あの時、何もできなかった自分を海斗は責めた。

 

『また....なのか....。俺は.....何もできずにまた....大切な人達を....失うのか...?』

 

そんな考えが浮かび、海斗は俯いた。そしてそのままゆっくり歩き....彩花の前に出た。

「...っ!!何をやってるの!!早く逃げなさい!!」

彩花が叫ぶ。だが海斗はそこから動こうとしない。

「海斗くん!!!」

「嫌です。」

はっきりと彩花に言った。自分はそこから逃げるのは嫌だ、と。

 

「何を言ってるの!お願いだから早く逃げて!!!このままじゃ海斗くんが...!」

「嫌です!!!!もう嫌なんですよ!!!!」

 

彩花の言葉を遮り、海斗は力の限り叫んだ。そしてそのままさらに前へ出る。

その時だった。1本の鎖の攻撃が飛んでくる。狙いは海斗だった。

そのまま鎖は海斗のいる場所へ叩きつけられる。

「...っ!!!海斗くん!!!!!!!!」

 

彩花が叫ぶが返事はない。

鎖が叩きつけられた場所には土煙が舞っていた。

あの鎖の攻撃を真正面から受けたのだ。無事では済まないだろう......しかし。

土煙が晴れたその場所に立っていたのは...海斗だった。鎖は海斗の右側へそれていた。

そこに立っている海斗の右腕は真っ直ぐに伸びていた。

 

そしてその右手には、一本の刀が握られたいた。

 

「え.....?」

彩花は何が起こっているのか理解できず、そんな声を漏らした。

おそらく海斗は鎖が来た瞬間、その右手の刀で弾いたのだろう。だが、その刀はどこから出てきたのか?

 

「もう、嫌なんだ。」

 

右腕を下ろしながら海斗は言う。その時、もう一本鎖の攻撃が来る。

その瞬間、海斗は左腕を振りかぶり、そしてその鎖を弾いた。その左手にはもう一本の刀があった。

「目の前で大切な人を失うのも、何もできない自分も!!」

その両手に握られた刀が勇者システムが起動して出現したものだと彩花はようやく理解した。その証拠に、海斗のすぐそばに精霊が出現していた。

 

「そんなことをまた繰り返すくらいなら、俺はっ...!!」

 

そう言って海斗は一歩踏み出し、そして跳躍する。高く、高く。

そして空中で黒色をベースとした勇者の姿に変身し、バーテックスの元へ向かう。

「はあああああああああああああああああ!!!」

二本の刀が金色の光を纏う。海斗はそのまま突っ込んだ。

 

「せやああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

その一撃はバーテックスの右側面に入った。彩花、梨花、香織、灯里が与えてきたどの攻撃よりも大きい一撃だった。

その場でバーテックスの動きが止まった。あの激しい攻撃も止まった。

「すごい.....」

彩花も、梨花も、香織も、灯里もその光景に目を奪われていた。

 

海斗はバーテックスのほぼま下に着地した。

「もう迷わない.....」

2本の刀を強く握り、バーテックスの方へ振り向く。

「何もできずに大切な人を失うくらいなら...俺は...勇者になってやる!!」

右手に握った刀を突き出してそう叫んだ。

 

[第3話:戦うための意思へ続く]




怒涛の展開になっていると思いたい(願望)
というかほんとひどい文章だなと思ってしまいました(笑)どーやったら文章うまく書けるんかなぁ...
次の第3話で一区切りとなります!まずはそこまで読んでいただけると4話以降も読みやすいかと!

それでは感想等コメント欄に書いていただけると嬉しいです。
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