皆さんどうも宣材写真撮影というアイドル活動としての第一歩を終えた私明日です。
頼り甲斐...はあまりないかもしれませんがフレンドリーな先輩方とも出会えたので悪くないスタートだと思います。
もしあの場面で輿水さんが怒ってしまえば、私達は表舞台に出ぬまま沈んでいたでしょう。
そんなこと一切ありえませんでしたが。
実はあの日以来、私は輿水さんと...肇は小早川さんと、仲良くなっています。
輿水さんの場合は、向こうから声を掛けてくださったので凄い嬉しかったです。
「明日さん!このカワイイボクと連絡先を交換しませんか!貴重ですよ、なんたってこのボクの連絡先なんですからね!」
と自信満々に言ってきたので、そのノリに乗っかりつつ連絡先を交換しました。
そんな裏で小早川さんと肇は和の心で通じ合ったのかとても楽しそうに話をしていました。
その会話のうちで彼女らも連絡先を交換したらしく、順調に交友関係を広めております。
え?友紀さんですか?友紀さんはその日、野球の試合があるからって先に帰りましたよ。
連絡先の交換はしたかったのですが、全力ダッシュで行ってしまい声は掛けられませんでした。
そんな友紀さんは、どうやら熱狂的なキャッツファンらしく、ライブが始まるギリギリまでも試合を見てるそうです。
流石にそこまでするのはどうかと思いますが、一つのことに熱中できることは素晴らしきことだと私は思います。
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初仕事が終わってから一週間が経った頃、プロデューサーさんから声が掛かりました。
「明日さん、少しよろしいでしょうか。」
言った事に了承の意を示すと、プロデューサーは私を企画ルームに連れて行きました。
私自身ここ一週間、普通に東京の学校へ通って、午後から基礎体力を付けるためのレッスンと...していただけなので何の話をされるのか見当もつきませんが一体何でしょうか...?
「実は、明日さんにドラマの仕事が入ってきました。」
「はい?」
...?ドラマ...
え、もしかしてあの演者たちが架空のストーリーを進めていくあの!?
いやまぁそれしかないんですけど...え?私まだ写真撮影して学校通ってレッスンしていただけですよね?
表舞台に顔を出したりもしてないのに、何で勝手に仕事が入ってきてるんですか?オーディションとか受けてないんですけど...
「何故、何もしていない私が...?」
「私も驚いたのですが、そのドラマの監督の方が明日さんの宣材用写真を見た瞬間ビビッと来たらしく...それで...」
「すいません、余計混乱してきました。」
そんな簡単に決めちゃっていいんですか監督さん。
勿論よくありませんよね。その役に入る予定だった人に悪いです。
…ま、まぁ、そんな簡単に決めちゃった役ですし...
まさか...そこまで大きい役ではないですよね...?
「因みにそのドラマで言う私の役位置は...?」
「...恋愛もののドラマらしいですが...恐らくヒロインかと...」
「何でですか!!...あっ、すいません、取り乱しました。」
「いや、無理もありません。私の方もこの通達を聞いたときは驚きましたし...」
「それにしても...ドラマですか...」
「あの...私から言うのもなんですが、明日さんは外見と内面を合わせてみても、とても16歳には見えませんし...台本を読んだ感じだとこの役にはぴったりだと思います。それに、これから活動するに向けて、このような経験は早かれ遅かれ、すると思います。なので今回このドラマを受けてみませんか?」
急に褒めてきましたねこの人。
前々から思ってましたが、このプロデューサーって女たらしですよね。内面鈍感な。
これ絶対いつか後ろから刺されますよ。
「...そうですか。まぁ何事も挑戦ですし、やってみます。」
「…有難う御座います。それでは、これが台本ですので一度は必ず目を通しておいてください。初回撮影日は5日後を予定にしているそうです。後それまでの午後からのレッスンは、演技指導に変わりますのでよろしくお願いします。」
「急ですね。」
「すいません。通達自体が来たのも今朝なもので...」
それはドラマの方に問題があると思うんですが...まぁいいでしょう。
取りあえずこれで私も本格的にアイドルとして活動する状況ができたわけです。
気合入れて頑張りましょう!
あれ、アイドルって演技する系でしたっけ...?
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ドラマデビューが決まった私は今肇の部屋に来ています。
まぁ、報告に来たんですけどね。
「肇、実は…私ドラマデビューが決まりました...!」
「...え?」
私が初めに告げた一言で部屋の中に沈黙が訪れます。
そりゃそうですよ。東京に来てまだ1週間ちょっとしか経っていないのにもう仕事が入ってきているんですから。誰だって驚きます。
「信じられませんよね。大丈夫です。私もです。」
「いや…驚きはしたんですけど...別の方面でも何となく驚いたというか…」
「...?どういうことですか?」
「実は私も今日仕事が入ったって連絡があったんですよ。」
「え?」
「明日とは違い、私の場合はドラマではなく雑誌のモデルだったんですけど...」
「…てことは、私達にほぼ同時に仕事が入ったって事ですか...?」
「はい...」
あの
恐らく、肇の雑誌モデルの仕事はプロデューサーの営業の成果でしょう。最近忙しかったらしいですし...
ということはです。事実、私達がほぼ同時に世間の目に触れるってことです。
いやしかし、それにしてもですよ...
「プロデューサーも凄いですね...」
「はい...」
実際彼は私達もスケジュールを落ち度無く把握し、毎朝連絡または口頭で私達に伝えに来ます。そんな忙しい中仕事までとってきてくれるとはなんとオーバーワークなのでしょうか。今度、きちんと休暇をとっているのかだけは聞いておきましょう。
「この仕事が入ったのをきっかけに私今後レッスンが演技関係になるんですよ。」
「そうなんですか!いいですね!私は服が映えるようなポージングを先輩たちに教えてもらいます。」
今回の同時デビューで肇の心に火が付いたのかは知りませんが、どうやらやる気のようですね。
私も負けていられません。肇にトップになるように言ったくらいですから自分もそれくらいの高みを目指すのは、何ら不思議ではないでしょう。
「...ここからが私達の本当のデビューです。」
「はい。明日...一緒に!」
「トップを目指しましょう!」
それからも少しの時間でしたが、二人で仕事が入った喜びを分かち合い、今後の意気込みを語り合いました。
今はまだ、分から無いことだらけかもしれないけど確実に進んでいける...そんな気さえした。
これからのことを考えることが最近多くなってきた自分はどうやら前と変わりつつあるようだ。
暗く、静かな私はもういない。これからはアイドルとしての私が輝く番なのだ。
そう明日は心で誓った...
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「ここが
朝起きて私が部屋を出ようとしたときに聞こえた声がこれでした。
え。何で蘭子が来ちゃってるんですか。
前やらかした記憶がよみがえってきてるんですけど...!
「すまぬ!津奈の精霊は在世か!(すいません!明日さんいますか?)」
うわ、呼ばれてる!てか津奈の精霊ってなんですか。
綱ですよ!津奈じゃないですよ!精霊も十二分におかしいですけどそっちから突っ込ませていただいてます。
ガチャ
「蘭子?どうしたんですか?」
「煩わいし太陽ね!我がここへ君臨したのは他でもない津奈の精霊と終焉の歌を詠いたいからである!(おはようございます!私がここに来たのはお話しがしたいからですよ!)」
「お話しですか?それってガールズトーク的なやつですかね?それとも...蘭子が好んでる方面ですか?」
「うむ、どうやら汝は我の聖語を智見している様子。ならばそれ以外の選択肢などプレヅェンスしない!(はい、明日さんは私の言ってることが分かってるようなのでそっちのほうが良いです!)」
ですよねー…なつかれてしまいましたね...
理解はできますがこちらからは話すことは出来ません。
なのでトークといっても一方通行になるのでは...
「…確かに言っていることはわかるんですが...もう卒業した身なのであまり語る物はないと言いますか...」
「構わん。(大丈夫です!)」
「...そうですか、なら少しだけお話ししましょう。」
そういい私は蘭子を部屋の中へ上げた。
部屋に入った蘭子は、あっちを見たりこっちを見たりとしている。
特に何もないし、前回一言交わした程度なのになぜこんなに興味を持たれているのか...
私には分かりませんね...
蘭子は家にあがるとテンションが上がったのか、急に私にいろいろと話しかけてきました。
何故、言葉を知っているのか。どうして引かないのか等...こう言う事言うのは蘭子さんに失礼極まりないですが、見かけによらず小心者な感じがします。
なんだか厨二キャラを理由に自分を守っているが実のところはあまり人に見られるのが苦手というか...その所為であまり交友関係を広げきれず...今に至ったという感じがします...
あれ、私に何だか似てないですかね...
方向性は違くとも大きく捉えれば同じです。
そうですか、これも定めなのかもしれませんね...
なら彼女にも運命を大きく変える出会いがあると信じましょう。
私も肇という運命ともいえる救世主に出会いましたから...
ここはある種先輩である私から一押ししておきましょう。
「蘭子、詞という鎧に頼りすぎてはいけませんよ。いつかはきっと自らの手で仲間を見つけてくださいね。私も協力しますし...」
「...津...明日さん...」
「さん付けはいいです。ほら、ここまで秘密を語り合った仲ですよね?もう私達は友人ですよ。」
「!」
蘭子の顔に日がさすかのように笑顔が浮かび上がってきました。
先程まで一生懸命だった姿から一変して可愛い姿に変わった蘭子。
これはギャップ萌えですね。
てか今さらながらですが、蘭子もここにいるってことはアイドル...全国へこの黒魔道を広めていく気なんでしょうか...!
それはそれで楽しみかもしれません。蘭子の友人になった以上、応援は欠かせませんね!
その後、台本を読まなければいけない時間を雑談に潰してしまい、鬼気迫って台本を読んだのはまた何時かお話ししましょう。
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台本を何度も読み、レッスンを重ねる…という日々を繰り返しているとあっという間に撮影日になっていました。
今回のシーン(初の撮影)は学校内のシーンで有り、私自身はまだ少ししか喋りません。
喋る場面も、女友人と一緒に仲良く談笑している様子なので、まだエキストラと何ら変わりませんね。
そして今回話相手となる女友達の役をするのが、なんと同じ美城のアイドルなんです。
凄いですよね。
それを知った私が楽屋に入ると、もうその方は楽屋に入っていました。
「おはようございます。」
「あ!おはようございます!」
「今日はよろしくお願いします。綱嶌明日と申します。」
「丁寧にどうも!私は安部菜々って言います!17歳です☆キャハッ」
安部菜々さんです。
この方は私でも知っています。何時ぞや言ったであろうバイトとアイドルを両立してる方ですね。
可愛らしい見た目をしていますが、一切の個人情報を彼女は隠しております。
ですが、その意図とは別に自らボロボロ個人情報を漏らすところが彼女の人気の理由の一つだと思います。
あくまで自称17歳ですが、この前なんかは普通にトーク番組で仲の良い片桐早苗さんと共にお酒の話をしていました。
「ビール!」
「あぁ~~~!いいですねぇ!!」
あれは放送事故といわれてもおかしくないレベルでした。実際未成年だと名乗ってますからね。バレてなければ犯罪ですよ。
まぁ、いつもの誤爆と見られて美味しい位置をキープ出来てるんですけどね。流石です。
今回は雑談をしている役なので何を話せばいいのかと監督の方に聞いてみたところ、内容は任せるとの事でした。
新人である私はまだ右も左も分から無いので、先輩である安部さんに頼りましょう。
「安部さん...今日のドラマのことで打ち合わせが...」
「あ、はい。何でしょうか?後私のことは簡単に菜々とかでいいですよ!なんたって今を生きるナウいJKですからね!」
「突っ込むのは無粋かもしれませんが...今の女子高生は...ナウいとはつかわないかと...」
「え”っ”!?」
そう指摘すると濁点のついたような言葉を発します。
菜々さんの誤爆の良い所でありますが、あまりに自信満々に使っていたので指摘してしまいました...
まぁ、兎に角雑談のテーマをパパッと決めておきましょう。話はそれからです。
「まぁ、それは置いといてですね...今日の撮影での雑談での場面なんですけど」
「ちょ、私にとってはどうでもよくないですよ!」
「雑談はですね、どうやら内容が自由らしいんですよ。それで菜々さんは何か話しやすいなぁ...と思うような話題はありますか?」
「無視ですか...まぁ、そうですね。私が話しやすいって言ったらデスネ...憧れる芸能人みたいな...?」
「あー、そうですね。例えば誰とかですか?」
「例えばですか、私は小倉夕子さんとか松田静子さんとかですかね。」
これは突っ込むべきなのでしょうか、前者の方は...まだ17歳でも知っている可能性がありますが後者の方になるとあまり今の若者は理解してないのでは...?
あっ、それにしてもやはりウサミン星は某コリン星をリスペクトしていたんですね。
「...突っ込みませんよ」
「え!?菜々また何かまずいこといっちゃいました!?」
「...17歳ですよね」
「ななはりあるじぇいけいなのです」
こんな楽屋でのトークでも事故起こすってどういうことなんでしょうか。
ていうか監督の人はこういう事故を期待して、トークテーマをフリーにしたのでしょうか...
それはそれで確かに美味しいですけど、下手すれば主人公側よりこちら側が目立ってしまうことになります。
脇役だと思ったらとんでもなかった、っていうのだけは勘弁してほしいので出来るだけ穏便に行きましょう。
「では、本番のトークは17歳らしい!好きな芸能人を語る感じで行きましょう!」
「はい。頑張りましょうね!明日ちゃん!」
「菜々さんも頑張りましょう!」
そう、意気込みわたしたちは共に撮影へと向かったのでした。
本番での雑談の場面で菜々さんが、ヒロシ&キーボーの名前を出した時は流石の私も笑わざるを得ませんでした。