幻想郷の住人 → ONE PIECE の世界へ 作:にゃもし。
白玉楼 → ???
「ねぇ、妖夢。海が見える場所で強い人と戦ってみない?」
いつものように白玉楼の庭木の剪定をしていると
やはし、いつものように幽々子様が声をかけてました。
「海、ですか…?」
幻想郷に海はないのは周知の事実。
霧の湖と呼ばれる場所がありますが、到底〝 海 〟と呼べるほど大きくはありません。
しかし、一つだけ心当たりがあります。
私は以前、幽々子様とご一緒に〝 月 〟に行ったことがあります。
遥か上空にある
そこには広大な海があり、その向こうには幽々子様のご友人である「八雲 紫」様を打ち負かした存在がいると云われております。
もしや幽々子様が言わんとしていることは……これは何としても断りを入れるべきでしょう。
しかし、私が口を開く前に幽々子様は──
「ちなみに貴女に拒否権はないわ♥」
可愛らしく小首を傾けつつ、両手のひらを合わせ重ね、ニコニコ笑顔でそう仰いました。
「安心して妖夢、貴女一人だけに行かせるつもりはないから…」
正直、幽々子様のその発言には不安要素しか生み出しません。
「私もついていくから♥」
言い終えると同時に私の足下にあった地面が消失し…
──ああ、これは紫様の…
暢気に私の足下に穴を作った人物を思い浮かべた瞬間、
僅かな浮遊感を身体に感じた直後、重力に従って真下へと落下を開始──
「ひぃぃぃやぁぁぁぁぁ~~~~~っっっ!?」
風圧で容赦なくバタバタと捲れるスカートを両手で必死に押さえつつ、
「幽々子様ぁ~! 紫様の! これには!
こんな落ちるような感覚は!
ありませんでしたよね~~~~~!?」
両目に涙を浮かべて情けない悲鳴を上げることしか、私にはできませんでした。
少女落下中 NowLoading...
空は雲が覆っていて薄暗く、
周囲には石造りの家が建ち並ぶ街並みだったのでしょうけど…
まるで激しい戦闘があったかのように、その全てが破壊され、朽ち果て、
今は人の住めぬ廃墟と化していました。
さらに廃墟の中を縫うようにして霧が立ちこめていて視界が非常に悪いです。
幽霊とかオバケとかが出てもおかしくはない雰囲気です。
幽々子様の姿は何処にもなく、私は一人寂しくその廃墟の中に立っていました。
幽々子様の親友である紫様は空間と空間を繋いで移動する能力を持っています。
私を冥界にある白玉楼から此の地に送ったのは彼女の仕業とみていいでしょう。
そして幽々子様たちの性格を考えて、何処かでこちらの動きを覗き見している可能性が高いです。
おそらく今も、この状況を何処かで…
私があたふた慌てる様を思い浮かべて、ほくそ笑んでいるに違いありません。
暫く廃墟の中を探索していると周囲に蠢く気配を感じ取れました。
いきり立った巨大な猿……いえ、ヒヒの群れでしょうか…?
おそらく突然出現した私に対して警戒しているのでしょう。
ただの動物の群れでも人の手に余る脅威なのに…
ここにいるのは通常のヒヒよりも巨大で、なおかつ
何処で調達したのか、どうやって手に入れたのか、分かりませんが…
人が扱う武器を手にし、防具を身に着けている様子から、知能が高いことが伺えられます。
私は二対ある刀の一本を鞘から引き抜き、正眼に構え…
「私は冥界にある白玉楼、そこに住む剣術指南役兼庭師──魂魄 妖夢。
寄らば斬り、寄らなくとも斬る!」
言葉が通じているとは思いませんが、彼らに対してそう宣告をし、
彼らもまた私の纏う剣呑な雰囲気と構えを見て、
四方八方から武器を片手に襲い掛かってきました。
とりあえず斬ってから確かめてみましょう。
少女戦闘中 NowLoading...
死屍累々、私の周囲には息も絶え絶えのヒヒたちが倒れ伏せています。
当初は刀だけで捌いていましたが、ヒヒたちの数の多さに刀だけでは対処できなくなり…
弾の形に生成した力の塊を散弾銃のようにバラ蒔いてヒヒたちを撃ち倒したのです。
普段から幽々子様にコキ使われている──いえ、酷使されているこの身でも、この数の多さには疲労を感じざるには得ませんでした。
数が多い上に、一体一体が並の剣士、もしくはそれ以上の使い手だったのです。
正直、お祖父様から剣の手ほどきを受けていなければ、負けていたのは此方かもしれません。
「幽々子様~! 紫様~! いい加減、姿を現せてくださ────い!」
無駄だと知りつつも近くで暢気に見物しているであろう、お二方様に声をかけてみました。
あの人たち(?)の性格からして、その可能性が高いと思ったからです。
──かといって、そう簡単に出てくるような方たちでもありませんが…
ザッ…
土を踏みしめる音と、段々と近づく気配に私は思わず安堵の息を漏らしました。
これでやっと冥界に帰れると、後ろを振り向いた瞬間──
「ヒューマンドリル、ここのヒヒたちを斬り伏せたのは、小娘、お前の仕業か?」
そこには幽々子様でも、ましてやご友人の紫様でもない……背の高い男の方が一人いました。
西洋の貴族が被るような羽飾りが付いた帽子を頭の上に乗せて、
その下にある鷹のように鋭い目付きと、整った口ひげが目につきます。
そして、その人の背には彼の背丈に匹敵する十字架のような長刀を帯びていました。
否応無しに一目で〝 強者 〟と理解してしまいます。
幽々子様が仰っていた「強い人」というのは、この方なんでしょう。
どことなくお祖父様と似たような雰囲気を放つこの人に対して、私は無言でコクコクと頷くことしかできませんでした。
「約束は約束だ。お前に剣術の稽古をつけてやろう。ついて来い」
表情をほとんど変えずに一方的にそう話すと、
後ろを振り向き、スタスタと前を歩き始めました。
「ちょっと待ってください!
〝 約束 〟とか〝 剣術の稽古 〟とか、どういうこと何ですか!?
それに私、貴方のこと何一つ知らないんですけど!?」
慌てて跡を追いながら、一気に捲し立てるように一気に言い放ちました。
何か私の知らないところで話が進んでいるようで、漠然とした不安しか感じません。
「──ジュラキュール・ミホーク。王下七武海の一人にして、世界最強の剣士よ?」
「ふひゃぁぃっ!?」
耳元に息がかかるほどの距離から聞こえた声に私は思わず変な声を出してしまいました。
「──その世界最強の剣士が何でこんなところに……
いえ、そもそも何で私をここに送ったんですか!? 紫様!?」
私の問いに答えたのは幽々子様のご友人である八雲 紫様です。
彼女は自分の能力で創ったと思われる横に細長い空間の裂け目に腰掛けて、地を滑るように空間の裂け目ごと宙に浮いたまま移動していました。
「シャンクス──彼のライバル関係にある人物が左腕を無くしてから戦う気をなくしちゃったみたいだからね……彼に提案してみたのよ?
弟子を取って、育てみる気はない? 〝 暇潰し 〟ぐらいにはなるんじゃない?……ってね?」
「そこで何で私が出てくるんですか!?」
「幽々子に話してみたら「あら、面白そうね♥ それなら妖夢を連れていくといいわ♥」って貴女を推してくれたのよ」
「幽々子様ぁぁぁ~~~~~っ!?」
私の叫び声が廃墟に虚しく響きました。
冥界にある白玉楼には暫く帰れそうにありません。
(´・ω・)にゃもし。
こんな感じの短編にしようと思うんだ。