幻想郷の住人 → ONE PIECE の世界へ   作:にゃもし。

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小傘の大冒険
守矢神社 → 孤島


 

 

妖怪の山にある守矢神社。

そこには「奇跡を起こす程度の能力」を持った巫女がいる……らしい。

異変で何度か会ったことがある緑髪の巫女。

 

 

霊夢にはひどい目に遭ったけど、妖怪の山の方にある神社ならひどい目に遭うことはないハズ。

──と意気込んで…

 

 

「そこのお三方様 今こそ私の力が必要ではありませんか~~~!?

 

 

今度こそ私の持つ鍛治技術で収入を得るべく、そう言ってみたら…

 

 

「準備はいいですか~?

 それじゃ、いきますよ────

 

 

守矢神社の巫女──早苗がニコニコ笑顔で声をかけてくる。

石畳にペタンと座っている私を取り囲むように一人の巫女と二人の神様が立っています。

普段のふざけた雰囲気は何処へやら、厳かな佇まいに思わず喉を鳴らしてしまいました。

床に描かれた円形の魔方陣から光が漏れ出して、視界を白に染めました。

 

 

 

 

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「おおおお~~~~~っ!!!?

 

 

気がつけば一面見渡す限り水面が広がる光景。

早苗が儀式を起こす前に説明していたことを思い出す。

 

 

『幻想郷の外にある〝 海 〟を見に行きません!?

 

 

鼻息を荒くしながら目を輝かせて語る早苗の姿が脳裏をよぎる。

なるほどこれが〝 海 〟というものか、幻想郷にある「霧の湖」と比べるのもおこがましくなる。

 

 

──それで私はどうやって帰ればいいの?」

 

 

海とは反対方向にある陸地に向けて言ってみる。

そこには鬱蒼と覆い繁る緑の森だけがあり、誰もいない。

空には聞いたことのない鳥の鳴き声が木霊して、茂みの奥からは猛獣の唸り声がここまで響く。

 

 

幻想郷の唐傘お化けである私──多々良 小傘は見知らぬ土地に飛ばされた挙げ句に、今現在進行形で迷子に……さらに命の危険に晒されています。

 

 

 

 

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人の背丈ほどの怪鳥が飛び立ち、猛獣たちが背を向けて走り去っていきます。

獰猛そうな見た目に最初は驚きましたが……幻想郷にいる妖獣ほどの力を持っていなかったので、私の力だけでも追っ払うことができました。やったね。

 

 

しかし、未だに迎えが来ません。

 

 

その時でした。

 

 

視界の端に青空を背景に大きな放物線を描いて何かが島に落ちました。

なんだろ…? 気になった私はその場所へ向かうことにしました。

 

 

 

 

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おそらく頭から砂浜に突っ込んだのでしょう。

砂浜から足が生えてました。

あの高さから落ちて、よく生きてられたものです。

今もジタバタと足を動かして、もがいています。

 

 

「はいは─い。今、助けますよ~」

 

 

傘を腋に挟んで、両足を掴むと、力に任せて引き抜いてあげました。

 

 

「いやぁ~、どこの誰かは知らねぇが……おかげで助かったぜ」

 

 

「ぎゃははは」…と豪快な笑いをする赤い鼻が特徴の人物。

その人物は小さな胴体に短い手足がくっついている変な生き物でした。

 

 

「っきゃぁぁぁ────っっっ!!!?

 

 

あまりにも珍妙な姿に地面に叩きつけるように投げてしまいました。

件の生き物は地面にぶつかる際「ぶべらっ!?」と変な声を出しつつ顔面を地面にめり込ませ、その体勢のまま痙攣し始めました。

 

 

「てめぇ、いきなし何しやがる!?

 

「ひやっ!? ごめんなさい

 

 

さしてダメージを負っていないのか、すぐに復活してこちらを怒鳴り付ける変な生き物。

 

 

「ふん、まぁいい。普段の俺なら驚きはしねぇだろうが、このザマじゃ無理もねぇか……」

 

 

アゴに手を当てて、何か結論を出してました。

この人はバギー海賊団の船長をやっていて名前は「バギー」

元々こういう姿形をしているわけではなく、自由自在に体を分離できる「悪魔の実」を食べたバラバラ人間であり、海賊同士の決闘中に体のパーツを盗まれ、直後に強烈な打撃でこの島まで吹っ飛ばされた──とのこと。

 

 

「それで、そういうお前はどこの誰で何でここにいるんだ?」

 

「えーっとですね…」

 

 

変な生き物、もといバギーに事の顛末を聞かせていると…

 

 

「ぬぅわにぃぃぃっ!? お前、妖怪だったのか!?

 

 

私が妖怪の一種と知ると大層驚き…

 

 

「それじゃ「八雲 紫」っていう女を知らねぇか? お前と同じ妖怪という種族なんだが…」

 

 

意外な人物の名が出てきて、今度は私が驚かされました。

なんでも今の海賊団を立ち上げる前に一緒にいた船員で、神出鬼没でふらりとやって来てはいつの間にかにいなくなる──そんなことを繰り返していたそうです。

私自身は「八雲 紫」の名は知っていても直接会ったことはありません。

もしかして、このバギーという人間は意外とスゴいのかもしれない。

 

 

「ふむ、そういうことなら俺と一緒に来ねぇか、小傘?

 俺と一緒にいれば、もしかしたら紫が昔のよしみでひょっこり来るかもしれねぇしな?」

 

 

今の私には幻想郷に戻る手段も手掛かりもありません。

何よりもこんな辺鄙な場所に一人でいたいとは思わない。

二つ返事で了承して、私は海賊の仲間入りをはたしました。

…といっても「海賊」というものがどんなモノなのか、いまいち分かりませんが…

 

 

「よし、小傘。お前は俺の部下と船が見つかるまでの間「バギー海賊団」の副船長に任命する。

 いわゆるナンバー2ってやつを、だ。海賊団で二番目に偉い地位をお前に与えてやろう」

 

「おおおお~~~~~!? …って、今二人しかいないんですけど?」

 

「そのうち元に戻って増えるんだよ

 

 

「ぎゃははは」…と高笑い。

そして私たちはこの孤島から脱出するべく行動を起こしました。

バギー、改め船長は空を飛んでる最中にこの島の端に小屋を発見をしたそうで、そこに行けば何かしら役に立つ道具、或いは自分たちと同じく遭難した人間がいる可能性を示唆しているのです。

 

 

 

 

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永いこと雨風に晒されて倒壊寸前のボロ小屋。

とてもじゃないが人が住んでいるとは思えない。

案の定、そこには誰もおらず、あるのは朽ちた日誌が一つ。

中身を確認するためにパラパラと捲り、最後のページに書かれていたのは…

 

 

“ ○月○日 ミンナ、喰ワレテ、死ンダ… ”

 

 

──という、たどたどしい文字と多数の手の跡でページが埋められていて、それを見た私たち二人は抱き合い恐怖に震えてました。

 

 

「なんかよく分からんが、ここからとっとと脱出した方がよさそうだな!?

 

「だ、脱出するたって、どうやってですか!?

 

「イカダだ イカダを作って出りゃいいんだよ 

 幸いここには道具が残されている。俺とお前で作ればそんなに時間はかからねぇハズだ。

 ところで小傘、お前は何か得意なことはないのか?」

 

「え~っと、鍛冶が得意ですよー。

 人間の鍛冶屋よりも数段上の腕前って言われているんですからー」

 

「マジか!?

 

 

なんか物凄く驚かせたようです。

目玉が飛び出さんばかりにこちらを凝視していました。

その迫力に思わずコクコクと頷くと…

 

 

「よっしゃぁぁぁっ 

 鍛冶職人がいりゃあ百人力、いや千人力だ

 〝 善は急げ 〟と言うからな、とっとと作業を始めるぞ、小傘ァ

 

 

イカダ作りに鍛冶は関係ないと思うけど、黙っておこう。

 

 

 

 

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簡素な作りながらも人間が二人ぐらいなら問題なく乗れるイカダが完成。

早速イカダを海面に浮かべて、大海原へと出航しました。

 

 

「うっしゃぁぁぁ── 行くぜ野郎共

 

「私は()なんですけど…」

 

「細かいことは気にするな

 先ずはオルガン諸島にあるオレンジの町に向かうぞ

 そこで俺の部下どもと船に関する情報を手に入れるんだ

 

 

ビシッと水平線の彼方を指差す船長。

たぶん、その先に目的地があるんだろう。

 

 

幻想郷以外の人が住む場所、見たことのない知らない場所へ…

 

 

──私はそこへ向かうんだ。

 

 

そう感傷に浸っていると、私たちの背後で海面を割って何かが飛び出しました。

それは人間ほどの魚をくわえたこれまた巨大な海蛇。

そいつは捕まえた魚を頭から丸呑みすると、こちらを見つめてきました。

私たち二人はあの日誌に書かれた一文「ミンナ、喰ワレテ、死ンダ…」を思い出す。

 

 

「あの……船長…?」

 

「みなまで言うな」

 

 

そう言いつつオールをゆっくりと動かし…

 

 

「逃げるんだよ~~~っ!!!!」

 

 

高速でオールを漕いで、その場から離脱する。

しかし、逃げる私たちに海蛇が追いかけ始めた。

 

 

「船長 追っかけて来てますぅ~~~

 

「喋ってる暇があったら手を動かせ 小傘ァ

 

 

必死になってオールで水をかく私たち。

私が船長を抱えて空を飛べば回避できたことに気づいたのは、別の島に上陸した後でした。

 

 

こうして幻想郷の外の冒険は前途多難の幕開けで始まったのでした。

 

 




(´・ω・)にゃもし。

地道に増やしてます。

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