Another WWⅡ!   作:永遠のZero

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大空の若鷲達!

日が登り辺りの視界が良好となった時刻に一式陸攻第二次攻撃隊および芳佳指揮の護衛戦闘機隊がハバロフスク上空に差し掛かろうとしていた。

良く晴れ視界が良好になると言うのは爆撃機にとって目標を捉えやすいと言う利点があるが、それとは逆に足の遅い爆撃機は敵戦闘機の攻撃を受けやすいと言う欠点もあった。

そして今回の攻撃は2回目、しかもある程度の時間が経過しているため敵戦闘機がハバロフスク上空で待ち伏せをしていた。

 

静夏「前方敵機!、機種はI-16!、3個中隊!、およそ35機から40機です!」

 

芳佳「I-16のみ・・・、MiGはいない?」

 

静夏「今のところは見受けられません!」

 

芳佳は敵にソ連の新型戦闘機で速力600㎞/h以上、実用上昇高度12000mにもなるMiGを恐れていたが敵は全て旧式のI-16のみであった。

 

芳佳「ソ連はドイツやフィンランドに気を取られて東部にはまだ十分な配備が行われていないと言う事か・・・」

 

敵の編成を見た芳佳の推理は当たっていた。

陸軍こそまともな戦車部隊や重砲部隊がいるものの、海軍と空軍の軍備はお世辞にも最新式とは言えない物が多かった。

 

西沢「どうしますか中隊長!、このまま突っ込みますか?」

 

芳佳「笹井大尉の部隊は2個中隊相手にほぼ無傷・・・、戦闘機の性能差なのか敵のパイロットが素人なのか・・・」

 

太田「敵との距離、およそ1000mてとこですかね、どうしますか中隊長?」

 

宮藤中隊に所属する西沢少尉と太田少尉は考えている芳佳をせかす。

この2人はただ単に戦闘がしたいだけであった。

 

芳佳「・・・、全機戦闘態勢!、1機たりとも近づかせないでください!」

 

太田「了解!、太田小隊行くぞ!」

 

西沢「西沢小隊続け!」

 

敵は3個の中隊を正面と右方、左方の3方向に分け爆撃機隊に接近、それに対し太田、西沢の小隊は右方、静夏の小隊は左方、そして芳佳の直属小隊は正面にそれぞれ攻撃を開始した。

日本軍の零戦が12機、対するソ連軍のI-16は36機いるため、端から見れば圧倒的に不利であった。

 

芳佳「3対12か・・・、中々きつそうだね!」

 

芳佳はまず初めにやや遠めから射撃を開始、先頭の1機を早々と撃墜、その後、機体を徐々に左へ水平に動かしながら第2射を放ち2機目を撃墜した。

 

ソ連パイロット「なんだあの先頭の奴は!、照準が合わない!」

 

そしてすれ違いざまにもう1機、芳佳はこの見敵からすれ違いまでに計3機の敵を撃墜した。

また同僚の2機も敵を計2機撃墜、敵は一瞬の出来事に半ば放心状態となり、次第に編隊行動が取れなくなって行った。

 

芳佳「敵が混乱してる!、それじゃあもう組織的な反攻はできないね!」

 

当然、芳佳は好機と見なし目に留まった1機に狙いを定め引き金を引くと翼が吹き飛ばされ黒煙を噴き上げながら落下して行った。

 

芳佳「次!」

 

その後もまるで自身の体の様に自由自在に期待を操り敵を撃墜、戦闘開始から数十分で敵1個飛行中隊が全滅、更に爆撃機隊が目標上空に到達し爆撃を開始、ハバロフスクの主要な基地から黒煙が立ち上って行った。

 

2番機パイロット「中隊長!、爆撃機隊任務完了!、帰投していきます!」

 

芳佳「了解!、戦闘止め!、直ちに現空域を離脱!、天城へ帰投します!」

 

戦闘機隊パイロット「了解!」

 

作戦成功を確認した芳佳は自部隊に帰投命令を出し、速やかに現空域から離脱して行った。

 

芳佳「さっきの戦闘で敵機26機を撃墜し4機撃破、対して味方の損害は皆無、こちらの完全勝利だね。」

 

戦果を確認した芳佳は初陣でその結果を受け大いに満足した。

なお、この時の芳佳個人の撃墜数は8機であり初陣でエースとなり、芳佳の他にも坂井や岩本、笹井などが個人で5機を撃墜している。

また、これらの優秀なパイロット達がいる事で撃墜0機の残念な結果となってしまった者もいた。

 

戦闘機パイロット「カンパーイ!」

 

岩本「いひひひ!、5機は落としてやったぞ!」

 

坂井「俺だって5機は落としたぜ!」

 

太田「だー畜生!、こっちは2個小隊でやったから3機しか落とせなかったぜ!」

 

西田「お前も3機か!、勝ったと思ったんだがな!」

 

太田「なにおー!」

 

ともあれ天城に帰投した戦闘機隊のパイロット達は酒こそ無いがいつも以上に大騒ぎした。

 

美緒「初陣でいきなり8機撃墜とはやるな宮藤!」

 

芳佳「いえ、まだまだこれからです!」

 

静夏「それでも、初陣でエース!、おめでとうございます!」

 

芳佳「ありがとう!、静夏ちゃんも初陣で3機撃墜、慣れない指揮を取りながら良くやってくれたと思うよ!」

 

静夏「そんな!、私なんてまだお二方の足元にも及びません!」

 

美緒「まあそう謙遜するな!」

 

芳佳「これからも頼むね!」

 

静夏「はい!」

 

芳佳「次は恐らくウラジオストクですね・・・」

 

美緒「ああ、次が本番だ!、次はMiGを揃えて来るだろうな!」

 

 

1940年8月、セミがこれでもかと声を上げるこの蒸し暑い日に開戦後から2回目の御前会議が開かれた。

 

南雲「以上がハバロフスク奇襲作戦の最終的な結果です。」

 

今回の会議はまず初めに空軍大将となった南雲忠一による戦果報告であった。

 

昭和天皇「爆撃機隊は主要基地に壊滅的打撃を与え戦闘機隊は敵戦闘機隊50機余りを撃墜または撃破、初陣で中々の戦果だな。」

 

南雲「御褒めに預かり光栄です。」

 

戦果報告のあとすぐに本題となるこの戦争における今後の方針を定める議論が始まった。

 

東条「さて、本題に入るとするかのう、山本長官、例のウラジオストク攻略の件は如何か。」

 

山本「はい、では申し上げます。」

 

まず東条は連合艦隊司令長官となった海軍大将、山本五十六に問う。

 

山本「我ら海軍の方針は変わりません、我が連合艦隊の水上打撃艦隊による艦砲射撃、空軍の空母打撃艦隊による航空攻撃を加え敵の航空戦力および基地防衛施設を破壊した後、海兵隊6000名を持って強襲上陸、これを奪取します。」

 

東条「予想される現在のウラジオストク防衛隊の兵力はどれほどか。」

 

山本「軍港施設だけであれば精々1個師団、2万と言ったところでしょう。」

 

東条「艦砲射撃と航空攻撃でかなり数が減るとは思うが、内陸部の敵兵が打って出てきた場合はどうか。」

 

山本「現在我が国に海兵隊は総勢18000人程存在しますので先鋒の6000人が上陸し橋頭保を築いた後、速やかに上陸させ防衛陣地にて待機させればそう簡単には手を出せないでしょう。」

 

真雪「そこで陸軍に一つ協力を要請致します。」

 

山本が一通り話し終えたところで真雪が東条ら陸軍に協力を願い出た。

 

しほ「何でしょう、予備兵力を回してウラジオストクを攻め落とせとでも仰いますか?」

 

真雪「いいえ、落として頂きたいのはハバロフスクの方です。」

 

しほ「ハバロフスクですか・・・」

 

真雪「ハバロフスクはシベリアとウラジオストクの中継基地としての役割を果たします。

そこで陸軍にこのハバロフスクを落としてもらえればウラジオストクへの補給路を遮断でき兵糧攻めにできます。」

 

千代「ウラジオストクもハバロフスクもいずれは攻略しなくてはなりませんから、この機にやってしまった方が良いかも知れませんね。」

 

しほ「まあ確かに、このままハバロフスクを放っておいてハルビンを攻略する際に横腹を突かれるよりはマシですね。」

 

今回ばかりは陸軍にも利があると判断したしほ、千代は意外にあっさりと真雪の申し出を承諾した。

 

しほ「となると新たにハバロフスク攻略のための部隊を編制する必要がありますね。」

 

東条「実行はいつにしますか?」

 

真雪「海軍は来年の冬に作戦を実行します。」

 

千代「それに合わせるとしたら我ら陸軍は来年の秋までには部隊を用意しましょう。」

 

東条「スパイの情報によればアリューシャン列島伝いに上陸して来る米軍対策のため半数をカムチャツカ半島に移し、また爆撃の被害によって現兵力は4万程だそうだ。」

 

千代「歩兵2個師団に中戦車1個旅団、それから砲兵2個連隊、重砲2個大隊は欲しいですね。」

 

しほ「歩兵と砲兵は問題ありませんが戦車の方はきついですね、少なくとも4式改は回せません。」

 

東条「それ以外で手の空いている者はおるかのう、それから司令官もいるか?」

 

千代「司令官としては牟田口、戦車部隊は西、河嶋の各戦車大隊くらいです。」

 

全員「・・・」

 

以前の愚行を思い出した一同は黙り込んだ。

 

明治天皇「他にはおらんのか?」

 

しほ「はい・・・」

 

東条「なら作戦の日まで山下にでも再教育してもらうか?」

 

しほ「それしかありませんね・・・」

 

ハルビン攻略のための布石としてウラジオストク、ハバロフスク攻略の案が出揃ったところで、いくつかの不安を残したまま御前会議は終了した。

 

 

御前会議が行われている頃、奉天ではハルビン侵攻の準備に追われていた。

 

みほ「今回我が連隊は山下中将指揮の下、最前線で戦います!、いつも以上に気を引き締めてください!」

 

現在、ハルビンの南、奉天侵攻の為に集結したソ連、中国共産党軍の兵力は80万、対する奉天の北、ハルビン攻略の為に集結した日本軍の兵力は50万でしかない。

敵味方総動員130万と言う日本軍にとって日露戦争時の奉天会戦をも凌ぐ未曽有の大会戦が今まさに始まろうとしていた。

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