Another WWⅡ!   作:永遠のZero

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いよいよ敵軍の拠点へ攻め込みます!
しかし部隊には突撃大好きのあの人がおります!
はたして部隊に運命は!

今回もよろしくお願いします!



ハバロフスク攻略戦です!

ソ連領にはまだ積雪が残る1941年3月半ば、陸軍がハバロフスク攻略に動き出し、奉天の満洲方面軍総司令部には総司令官の西住しほ元帥を始め山下奉文大将や栗林忠道中将など師団長クラス以上の指揮官が集められた。

 

しほ「現在ハバロフスクに配置されている敵守備軍は陸軍15000、空軍陸戦隊5000程度との事、奉天やウラジオストク、北樺太に戦力を回した事と、以前行った空軍の奇襲で大分戦力を分散させる事が出来たわ。」

 

杏「なお、敵はこのハバロフスクの直ぐ隣、アムール川によって囲まれたキロフスキーと呼ばれる場所に兵力を集中させ、キロフスキー全域、総延長10㎞にもなる塹壕と鉄条網を張り巡らせ、内陸部には複数のトーチカを構成して機関銃や野戦砲、野戦重砲を多数配置しているとの事です。」

 

攻略目標の解説は満洲方面軍作戦参謀の角谷杏大佐が行う。

 

山下「旧帝政ロシアの戦法とよく似ていますな。」

 

栗林「四方を川に囲まれているため、川を渡らねばなりませんが、その間に撃たれます。」

 

山下「仮にたどり着いたとしても長大な防衛陣地に阻まれるでしょう。」

 

杏「既に空軍の陸上航空団に支援を要請してありますので、上陸は航空攻撃の後がよろしいかと。」

 

山下「うむ、西住閣下、今作戦、どの部隊をぶつけるますか。」

 

栗林「既に多くの者が奉天の南からハルビンへ移動を開始しているためほとんど有力な戦力がありません。」

 

辻「つい先日、南樺太の第88師団が北樺太の敵と交戦状態に入ったそうです。」

 

杏「チッ、あわよくば北海道の第5方面軍から1個師団引き抜こうと思っておりましたが、そうもいかなくなりましたね。」

 

実はこの会議が行われる5日程前、北樺太のソ連軍が本格的な南樺太攻略に乗り出した。

それに対し日本軍は陸軍第88師団を最前線に送り国境付近で交戦状態となった。

 

杏「幸い樺太には第88師団以外に空軍海洋航空団の1個航空戦隊および海軍の1個水雷戦隊、更に米海兵隊1個師団15000人と米太平洋艦隊が既に到着しており敵を何とか抑え込んでいるとの事です。」

 

辻「カムチャツカ半島のマッカーサー軍に多少の余裕が生まれ始めたとの報告を受けました。」

 

杏「それでも第5方面軍に師団規模の援軍を出せる余裕はないでしょう。」

 

米軍の増援がやって来た事で樺太は持ち堪えているが、それでも元々いたソ連陸軍50000に加え大陸からの増援として陸軍40000、1個機甲師団、空軍が樺太に上陸、これに対し日本陸軍20000、米海兵隊15000と日米軍の航空戦力および水上打撃艦隊で対抗しなければならないため、他の部隊に援軍を出せる余裕などなかった。

 

しほ「となると、司令官は牟田口中将ぐらいしかいないわね・・・」

 

山下「やれるか?」

 

牟田口「はっ、ご命令とあらばお引き受け致します。」

 

牟田口はハバロフスク攻略の司令官を引き受けた。

 

司令官一同「「「・・・」」」

 

しかし、他の司令官からの痛い視線が彼に降り注ぐ。

そんな中、以前は牟田口を直属の部下としていた山下が口を開く。

 

山下「確かにこやつは以前失態を侵したが、儂の知る限り名将とは呼べんが凡将ほどの力はある、問題は参謀および各隊指揮官ですな。」

 

山下は牟田口が決して愚将では無いと言い、むしろ問題は参謀や現場指揮官であると言う。

 

杏「今ハバロフスク攻略に割ける部隊はあまり前線での経験が無い部隊ばかりです。」

 

栗林「ただでさえ人手不足なのだ、仕方あるまい。」

 

牟田口「兵力はどのくらいで?」

 

杏「歩兵3個師団、野戦砲1個連隊、野戦重砲2個大隊、97式戦車2個大隊、3式戦車1個大隊、陸軍総兵力は60000と言ったところで、更にそれを空軍の陸上戦闘機1個戦隊および爆撃機1個飛行大隊が支援します。」

 

牟田口「4式や4式改は流石に無理か、これでもなけなしの戦力なのだな。」

 

杏「はい、ですが試作品ではありますが28センチ榴弾砲改を2個小隊ほど付けました。」

 

牟田口「それはありがたい!」

 

要塞攻略において大口径の榴弾砲は必要不可欠であるため牟田口は大いに喜んだ。

そしてこの2日後、牟田口を指揮官としたハバロフスク攻略軍を編制、軍団は途中途中合流しながらハバロフスクを目指し、ハバロフスクのキロフスキー要塞に辿り着いたのは翌週の早朝。

この時の牟田口軍の兵力は60000、ソ連側は20000であった。

そしてキロフスキー要塞の北に司令部を置き作戦行動を開始した。

 

 

牟田口「キロフスキーはこちらから見て正三角型であるな・・・」

 

辻「はい・・・」

 

なお、牟田口の参謀として辻政信大佐と角谷杏大佐が付けられた。

杏は司令本部との連絡要員も兼ねているため、この牟田口軍の実質の参謀長は辻であった。

 

杏「さて、問題は・・・」

 

それとは別に杏が牟田口軍に付いた理由があった。

 

西「この度はよろしくお願い致します!」

 

河嶋「以前の失態を挽回したいと思います!」

 

それは以前の戦いで敵陣に無茶な突撃を行い大きな損害を出してしまった西絹代中佐と河嶋桃中佐であった。

 

杏「(この2人がまたやらかさない様に見張りが居ないとね・・・)」

 

杏「おう、よろしく。」

 

西、河嶋は97式中戦車1個大隊長であったが、この戦いにおいては元の戦車大隊に加え歩兵1個中隊およそ200人が加わっている。

 

牟田口「さて、各隊指揮官が集まったところで、軍事を始める、辻、進行を頼む。」

 

辻「はっ!」

 

そして司令部に人員が揃ったのを確認した牟田口はハバロフスク・キロフスキー要塞攻略における最初の軍議を開いた。

 

辻「作戦は以前と変わらず夜明け前に空軍による空爆と我が隊による砲撃を加え、人員を小型艇で迅速に上陸させ一気に落とします!」

 

杏「辻参謀長、上陸後は正面攻撃を仕掛けるつもりですか?」

 

辻「無論だ、そもそもこの要塞は正面攻撃でなければ落とせん!、全力を持って突撃する!」

 

杏「!!、それでは多大な犠牲が!」

 

西「やりましょう!、敵陣に突撃し死ぬのであればそれは日本軍人としての誉れであります!」

 

指揮官「おう!、やろう!」「俺も賛成だ!」「突撃で行きましょう!」

 

この時、杏はここでこれから起こる悲劇を確信した。

 

 

翌日の午前4時、嵐の前の静けさが辺りを包み込んでいた。

 

作戦参謀「各隊の配置はこの様に。」

 

牟田口「うむ・・・」

 

辻「三角形の陣形に対し正面、西、東に各歩兵1個師団を配置、戦車部隊や砲兵は正面に全体の半数を置き、残り半数を東西の部隊で二分し配置しております。」

 

杏「・・・、軍団長、時間です。」

 

牟田口「各隊へ伝えよ、砲撃および兵員上陸用意!」

 

牟田口の命令と同時に上空を空軍の一式陸攻30機が通り過ぎた。

 

杏「(始まる・・・、どうも嫌な予感がする・・・)」

 

 

日本爆撃機隊長「爆撃開始!」

 

真っ暗で静かな大地に突如として轟音が響き渡り爆炎が暗闇を照らした。

 

ソ連兵「ぐう!!、何だ!」「爆撃だ!」「敵が来るぞ!」

 

日本野戦砲隊長「砲撃用意!、撃てーーー!!」

 

日本野戦重砲隊長「撃てーーー!!、吹き飛ばせ!」

 

続く7.5㎝野戦砲と10.5㎝カノン砲、28㎝榴弾砲改による攻撃で敵陣地の塹壕にいたソ連兵や前線のトーチカ、鉄条網などが吹き飛ばされていった。

しかしこの爆撃と砲撃の効果は薄く、敵は直ぐさま猛反撃に出た。

 

正面歩兵師団長「突撃!、掛かれーーー!!」

 

日本兵「「「うおおおーーー!!」」」

 

それを合図に日本軍歩兵が次々と20人乗りの小型艇に乗り込み川を渡り始めた。

 

ソ連砲兵隊長「撃て、撃てーーー!!、奴らを近づけるな!」

 

敵も果敢に反撃を開始、敵の砲は前線の物は小型艇を、後方の物は日本軍砲陣地をそれぞれ狙った。

 

日本兵「怯むな!」「ぐああーーー!!」「1隻やられた!」「生き残った者は泳いででも渡れ!」

 

砲撃を掻い潜りキロフスキー要塞に上陸した日本兵はそのまま前進するが敵は塹壕から激しい銃撃を浴びせ、第1陣の歩兵1個連隊は多大な損害を受けた。

 

日本歩兵連隊長「次の部隊が来る!、立ち止まるな!、進め!」

 

しかし、すぐさま連隊規模の第2陣が上陸してくるため、先に上陸した兵は前に進むしか無い上に進めば鉄条網に阻まれ、鉄条網を突破できても塹壕や機関銃陣地が、塹壕や機関銃陣地を突破しても高い壁とトーチカがあり、味方は見るも無残に倒れて行った。

 

 

牟田口軍司令部

 

通信士1「申し上げます!、上陸した第1陣!、被害甚大!、死傷者は1000人を超えるとの事であります!」

 

通信士2「申し上げます!、第2陣上陸するも敵の攻撃に阻まれ、上陸後僅か30分でおよそ500人戦死!」

 

杏「くっ・・・」

 

報告を聞いた杏は奥歯を噛みしめた。

 

牟田口「ハバロフスクはハルビン侵攻の際に我が軍の横っ腹を突いて来る脅威がある!、またウラジオストク攻略の邪魔にも成り兼ねん!、何としても落とすのだ!」

 

西「戦車運搬用の輸送艇はまだですか!」

 

作戦参謀「先週要請したばかりです!、まだまだかかります!」

 

通信士1「空軍の第2波は中央から南側を狙って爆撃を行うそうであります!」

 

航空支援や援護砲撃があるだけましではあるかもしれなが、前線の歩兵はまさに地獄のど真ん中に立たされた様な状態であった。

杏は作戦開始前に予感した通り、後にハバロフスク・キロフスキー要塞の悲劇と呼ばれる惨劇が始まってしまったのである。

 


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