黄泉の世界へ   作:叶夢望

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恐らくこれからは一人称の小説を書かないと思います。なんだか私の作風には合わないですね。


退屈なイザナミ 後編

ついに番長らしき人物に出会うことが出来たオレたちはその人に先ほど起こったことを聞いてみると、複数の男たちに絡まれたので逃げたということなので、間違いなく番長候補の人物だろう。

 

「え、えっと、そ、それでなにか?」

 

その女の子は身長が低く、小学生かと聞きたくなるほどの低身長で140センチほどだろうか?オレたちの頭一つか二つ分ほどだが、胸が逞しく育っているのを目に留めた。委員長も少しはあるのだが、この子に負けている。

 

「・・・あんまり女の子の胸を凝視するものじゃないよ?」

 

委員長の冷たいトーンでオレは怯えながらも、素早く目線を女の子の目へ向かわせた。

 

「さて、単刀直入に言うが、キミは番長なのかい?」

 

委員長はいきなり確信をつく質問をした。だが、女の子はもじもじと身体を左右に揺らしながら、『えっとえっと』と困り果てている。

 

「あ、あのね、私はそんな大層なものじゃないよ?本当だよ?」

 

甘ったるくて心が癒されるような声でかつ、涙目の上目遣いでオレたちに答える女の子。

 

「っっ!!くっ!!」

 

オレはその仕草に悶えた。胸が締め付けられるような苦しさが伝わった。

刹那、オレは意識を失いかけ、倒れようとしていた。

 

「お、おい!気をしっかりと持て!記憶をなくすぞ!」

「はっ!!!」

 

委員長は倒れかけるオレを支え込み、意識を取り戻させた。

 

「す、すまん委員長」

「い、いや、いいんだよ。ワタシも気を失うところだったんだ。お互い様だ」

 

オレはふらつく身体をなんとか立て直し、気を引き締めて女の子と直面することを決意した。

 

「なるほど。これで確信が持てたよ。それに、疑問も晴れたしね」

「あぁ、身をもって思い知らされたよ」

「???」

 

オレたちは今、目の前にいる女の子を番長だと確信してお互いに確認しているのだが、女の子・・いや、番長は、なんのことだがサッパリ分からない様子で首を傾げていた。

 

「くすくす。なぁ、キミ。部活動は何か入っているのかい?」

「ぶかつどう?」

 

委員長の質問に言葉足らずの口調で質問で答える番長。それに胸を苦しませるオレ。本当にコイツは高校生なのか?という疑問は胸にしまっておこう。

 

「ま、まだ特に決まっていないよ。何かに入ろうとしているけど・・・」

「なるほど、まだ悩み中だと・・・よし!決まりだっ!」

「へ?」

 

委員長の自分勝手で番長の入る部活動を決めるらしい。オレも同意するが、一蓮托生で悪党だ。

 

「ワタシと彼と彼の友人で、とある部活動を作ろうとしているんだ。そこで、キミに入部してもらいたい!」

「な、なんの部活動なの?」

「まぁ、ワタシもよく分からないが、とにかく面白い部活動だと確信できるよ」

「で、でも、私なんて、運動も勉強もダメダメだし・・・」

「それでも!今のキミが必要なんだ!頼む!力になってくれ!」

 

委員長は番長に頭を深々と下げ頼み込んでいた。オレもそれに見習い、一礼した。

 

「オレからも頼む。絶対に損はさせない」  

「・・・」

 

番長は考えこんで俯いていた。そして重い口を開いた。

 

「・・・うん!私もウジウジしないで何か頑張ることにするよ!頑張るからね!」

 

番長は両手をグッと握りしめ、やる気満々な様子を見せたのだが、その小さな身体と幼さでキュンとしてしまうオレなのであった。

 

「本当にかい!?ありがとう!ようこそ!なんでも研究部へ!」

 

委員長は興奮して番長の両手を握りしめて上下にブンブンと握手する。

 

「わわっ。あ、ありがとう?」

 

よく分からないまま感謝の意を表す番長。わざとなのか上目遣いの涙目でときめいてしまい、気を失いそうだ。

 

「えへへ。よろしくね」

 

番長は満面の笑みでオレにトドメを指すように、ときめかせた。オレは悶え、気を失った。

 

「ちょっ!キミっ!た、大変だっ!」

 

そんなこんなで番長が、なんでも研究部に入部することとなったのである。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

番長がなんでも研究部に入部することが決まったその翌日、顧問を探すことにしたが、委員長がすぐに見つけた。

 

「紹介するよ、科学や物理などの理数系の授業を教える先生だよ」

 

オレと友人、番長に紹介された先生は生徒たちに特に男子生徒に大人気で、妖艶で華麗な爆乳の美女だ。

 

「うふふ。よろしくねぇ~」

 

その妖艶さたるや、男子生徒はおろか、男性教員をも虜にするほどの美貌を持ち合わせているのだ。

 

「あと部室もなんとか確保出来たから、部活動として認められるのも時間の問題だろう」

 

委員長の計らいで何でも用意周到していたようで、オレたちは驚きを隠せないが、ひとまずお礼を言うことにした。

 

「いいよお礼なんて。それよりも、楽しい部活動にしなくては、番長氏をがっかりさせるよ。ワタシたちが誘った立場なのだからね」

 

委員長は番長をチラリと見て、その視線を感じた番長は顔を赤めて恥ずかしがっていた。番長は、人見知りなのだろうか?

 

「だ、だって、初めて部活動に入ることにしたから、緊張しちゃって・・・」

 

番長はこれまで部活動に入っていないとほのめかす。これによって更にオレたちは楽しませなければ、誘った立場が危うくなってしまう。

 

「くすくす。問題ないよ、ワタシたちがなんとかフォローするから、気兼ねなく自由にしたまえ

「あ、ありがとうっ」

 

番長は、パァァと弾けるような笑顔で委員長、オレ、友人を見てお礼を言った。その顔たるや、どこか小動物のような愛くるしさで和んでしまった。

 

「・・・っ!」

 

友人は悶え、気絶してしまった。そっとしておこう。

 

「よし、それじゃ、部活動が認められるまで解散だ!」

 

オレの号令のもと、委員長や番長、先生は解散し、オレは気絶している友人をそってしておき帰ることにしたのであった。

 

ーーーーーーーー

数日後、『なんでも研究部』は見事に部活動と認められたことを先生に聞いて、早速部員全員召集をかけ、部室へと向かうことにした。

 

「ここね。あなたたちの部室よ」

 

先生の案内のもとたどり着いたのは教室だ。

 

「・・・教室じゃんっ!」

 

友人の遅いツッコミは空振りしてその場はシーンとして、時間が止まるように凍り付いてしまった。

 

「おいおい。部室を与えてもらった立場なんだぞ?少しは身をわきまえろよ」

「あ、相棒!」

「くすくす。その通りだ。部室が教室でも構いはしないじゃないか。広くていいし、独占した気分だよ」

「い、委員長!」

「えへへ。私も賛成かな?見知らない部室より、教室のほうが落ち着くし」

「ば、番長っ!・・・くっ!分かったよ!俺も賛成だよ!チクショウ!」

 

委員長、番長、どこか煮え切らない友人は教室を部室にすることに賛成したところで、初めて部活動を始めることにしたのだ。

 

「よーし!それじゃ、なんでも研究部、始めるとすっか!」

「「「おー!」」」

 

三人は大きく腕を挙げてやる気満々なポーズをとり、先生は『若いっていいわね』とどこか悲しそうな目をしてオレたちを見ていた。

 

「ということで、まずは自己紹介するとしよう!あ、オレ部長だから、部長な」

「あ、次は俺の番だな!相棒っ!俺は「オレの友人だからユージンでいいな」ひどいっ!」

 

友人の名前を勝ってに決めたオレにツッコミを入れるがほっといて、続けて自己紹介させることにした。

 

「くすくす。次はワタシか・・・そうだな、言われ慣れているから委員長でいいよ」

「わ、わたしは、最近何故か周りに番長って言われているから番長でいいよ?可愛いしっ!」

 

番長のセンスに脱帽するしかないオレたちは、番長のセンスに任せることにした。

 

「あたしはこのなんでも研究部の顧問の先生よ。よろしくねぇ」

 

先生はパチンとウィンクして、胸を大きく強調して男たちを翻弄した。もちろん、オレと友人にだ。

 

「ちょ、ちょっとタイム!おい!相棒っ!」

 

友人・・もとい、ユージンは女三人組を部室の奥側に追い出し、どうやらオレと秘密の話があるらしい。

 

「相棒・・・オレ、この部に入って良かったぜ。可愛い女子が三人もいるんだぜ?」

 

ユージンはその目に涙を浮かべていて、その身を震わせるほど感激しているようだ。

 

「そ、それは良かったなユージン」

「ありがてぇぜ!相棒っ!」

 

こうしてユージンとの絆が少し深まったのだった。

ーーーーーーーー

 

「はい、ということで、オレが気になってやまないことがあります」

 

今から初めての部活動を行うことにしたオレは部員を適当な場所に座らせ、教卓の前に立ち、チョークを手に持って、議題を書いていく。

 

「お前らもこうして前に立って気になったことを議題にしてもらうから考えといてくれ」

 

部活動の方針を決めつつ、部活動としての方向性を見据えていく。

 

「さて、オレが気になっているのは・・・これだ!」

 

黒板に、とある議題を書き、黒板をバーンと叩いた。

 

「『男女間の友情は成立するのか?』」

 

部員は全員静かにオレの字を見つめてポカンとしていた。

だが、そんな静かな空間を見事に打ち砕いたのは、やはりこのお方、委員長である。

 

「ワタシは成立しないと意を唱えるよ。何故なら、少なからずどちらかが下心を持ってしまっては、それは友情とは言えないモノだろう」

 

委員長の説明に全員は感嘆の声をあげてしまう。だが、ユージンは目を血走らせて立ち上がった。

 

「異議あり!それはお互いに恋愛が苦手ではない人たちの話であって、恋愛を苦手である人だって少なからずいるはずだぜ!」

 

ユージンの発言で皆は感嘆の声をあげた。

そんな中、番長は、おずおずとした様子で手をあげて意見を言いたいという意を表していたので、言わせることにした。

 

「え、えっと、私はどちらでもないけど、 もともと男性の友情のありか たと女性の友情のありかたは 違うらしくて大昔、獲物などを取るために団結したのが男性の友情のはじまりで女性の場合、狩りで男性が不在の間家族や家を守るために 団結したのが始まりらしいってテレビで言ってたよ」

 

番長の友情秘話を聞いたオレたちは、またも感嘆の声をあげてしまった。

 

「ふむ、これらの意見を統合すると1対1の男女間の友情は成立しないということになるね。では、集団ならばどうなると思うかい?」

 

委員長の問いかけに全員静まり返ってしまった。

それを見かねた委員長は続けて意見を述べている。

 

「くすくす。少し難しいことを聞いてしまったかな?では、ワタシが代わりに回答しよう。集団の男女間の友情は成立すると思うな。何故ならば、集団になるほどの規模が大きいのであれば、彼らの趣味や趣向、考え方、好みなどが一致しているからこそできるモノであり、それを告白などしてしまったら崩壊してしまう恐れがあるので、互いは深い関係にもつれこまないだろう」

 

委員長の長々とした説明は理にかなっていると思う・・・やはり、委員長は天才か。

 

「・・・あとは部長の統括だよ。先ほどの意見を参考にしてもいいし、番長氏やユージン氏の意見も参考にしてもいいし、新たに部長の考えもいい」

 

部員たちの大きなプレッシャーと共に期待と眼差しで見つめる部員たちに怖じ気づきながらオレは、自分の考えを貫き通すスタイルで意見をいうことにした。

 

「確かに1対1の男女間の友情は成立しない考えは間違っていないだろう。でも、正しいとも思えない。だから、どちらとも正解でもあって不正確でもあると思うんだ。お互いの好みや趣向が合っていてそこから恋愛対象になることもあるかもしれないが、逆に本当に好みや趣向あっているからこそそこから友情が芽生えるかもしれない。だから・・・」

 

 

結論

 

 男女間の友情は状況や互いの認識によって成立する。だが、どちらかが一方が恋愛対象と見た場合、それは愛情といえるだろう

 

これが、なんでも研究部の答えだと胸をはって言えることだろう。

 

ーーーーーーーーーーー

 

部活動を作り始めて数日後、夏の時期に向かってジリジリと太陽が地球に近づいていくこの頃の春、めでたく『なんでも研究部』は、ようやく一歩前進することができ、部員たちは自分が気になったことを次々と議題にして討論していった。

 

例えば、テスト勉強を捗らせる方法は?とか(ユージン案)、人生にモテ期があると聞いたがそれはいつ?とか(ユージン案)女の子にモテモテになる為には?(ユージン案)などなど実に有意義に部活動を行っていたのだ。

 

また今日も部活動の活動として部員は部室に集まり、討論しようとしていたのだ。

 

「今日はわたしが気になったことを発表します!」

 

番長はその小さな身体でピョンピョンと跳ね跳び、元気一杯な様子がうかがえる。

 

「う~っん!!う~っん!」

 

番長は小さな身体を背伸びさせ、黒板に字を書こうとしているのだが、黒板は高くて背の小さな番長では届かない様子で、そんな番長の姿に和んでしまう部員たちだった。

 

「ぐすん・・・た、タイムマシーンができるのかなぁ、って・・ぐすん。書きたかったの。ううっ」

 

番長はその目に涙を浮かばせ、震えた声で報告したことにより・・・

 

「萌えぇー!!ぐはぁ!」

 

ユージンは吐血し、気絶した。

 

「くっ!これが番長の力か!侮れない!」

 

オレは吐血しかけたが、なんとか耐えた。

 

「こほん!そんなことよりも、番長氏の説明を求めてみようではないかね?!」

 

委員長は頬を赤らめながらも激怒していた。クール系女子の怒りは恐怖そのものである。

 

「あ、あのね、最近科学がものすごく発達してるよね?だからタイムマシーンも出来るんじゃないかなぁって。えへへへ」

 

番長は頬に朱を浮かばせ照れくさそうに無邪気な笑みを浮かばせた。

それを見たオレ、委員長は互いの顔を近づかせて番長に聞こえないように相談する。

 

「部長氏、番長氏の純粋な心を出来る限り壊したくないのだが・・・」

「ああ、オレもだ。子供の夢は壊したくない。あの様子じゃ、サンタクロースの存在も信じている派だな」

「・・・同感だよ」

 

気絶しているユージンを放っておきながらもオレと委員長の絆がほんの少し深まった気がした。

 

「こほんっ!ぶちょー!いいんちょー!聞いてますかぁー!」

 

番長は手足をバタ尽かせ自分に注意を促すが、どう見ても子供らしい仕草なので和む。

 

「あ、ああ。聞いているって。ユージンは聞こえてないけど」

「ふーん。ならいいけど」

 

番長はユージンのことを気にかけていないのか、あっさりとした顔でユージンを無視していた。

 

「・・・参ったね。いくらワタシでも、番長氏の純粋な心をときめかせる意見は言えないね」

「くっ!オレもだ!天才の委員長でも言えないんだ!オレが言えるはずないだろ!チクショウ!」

 

オレと委員長の心は一つになったのはいいが、番長を納得させる術を持ち合わせなかったのだ。

 

「はぁい。なら、先生が提案出したいと思いまぁす」

 

先生は間の抜けた声でオレたちの討論に入ってきた。いつの間にか来たのかを聞いてみるが・・・

 

「んふふ。ひ、み、つ。ミステリアスな女って、なかなか魅力あるものでしょ~?」

 

年下を惑わすかのようにウインクして大きな胸を強調して誘惑していた。

 

「先生!生徒をたぶらかさないでくれないか!はしたない!」

「あらん。大きな声をあげないで頂戴。委員長こそ、はしたないのではなくて?」

「くっ!それよりも先生!さっきからキャラがブレブレです!統一してください!」

 

委員長と先生の女の闘いにポカンとするしかないオレと番長は静かにその様子を見守ることにした。

 

「さぁて、そんなことよりも、タイムマシーンね。性能は半分だけできるわよ」

「??どういうこと??」

 

先生と説明に、こてんと首を傾げる番長。いちいち可愛いなチクショウ。

 

「じゃあちょっと言い方変えるね。あなた達は未来人をどこかで見たり聞いたりしたことがあるのかしら?」

 

先生の問いかけにオレたちは左右に振った。

 

「タイムマシーンを完成させたとしても絶対に過去には行かせない法律が出来ないと思うの。何故なら誰も未来人に会ったことがないからなの」

「ふぇ?どうして?」

 

先生の説明に再び首を傾げる番長。いちいち子供らしい仕草しないといけないのだろうか?だが、可愛いので許す。

 

「いい?本当は未来人に会う人はいないのに、タイムマシーンを作って過去に行くのよ?タイムパラドックスが発生するわ」

「た、たいむぱらどっくす?」

 

番長は舌足らずな口調で知らない言葉を話すのを聞いた気絶しているユージンは吐血して気絶していた。

オレも番長の力にひれ伏すところだったが、委員長の冷たい視線を感じてなんとか耐えた。

 

「こほん、ならばワタシが説明してあげよう。タイムパラドックスとは、過去に行けることを前提に、改変された過去の事象が既に確定している(観測されている)未 来の事象と矛盾をきたすことがある事象だ。簡単に言うと・・・過去には行くなっていうことだね」

 

「なるほどっ!分かりやすい!」

 

子供・・いや番長に非常に分かりやすいように要約してくれた委員長に感謝の気持ちを胸に秘め、またタイムマシーンの話題を始めることにした。

 

「でもさ、過去に行くならさ、記憶や身体も時が戻るんじゃね?漫画やら映画みたいに都合よく元の姿や記憶を保持したままで行けるものかね?」

「確かにそうだね。ひょっとしたら未来人に会ったことがない事実にも納得できるね。未来人は過去に遡ることによって記憶もあたらしくなってタイムスリップした記憶もなくなるということになるね」

「それはご都合主義なんじゃないのかしら?何らかの方法で記憶保持ができるじゃないの?」

 

このままじゃこの話を完結させる方法が見つからない。要するに、やはり未来人は存在感しないということになるのではないのか?

 

「じゃ、先生がタイムマシーン作ってあげる。もちろん、未来限定のね」

「できるのか!!?」

「ええ、ちょちょいのちょいで作れるわ」

 

そんなこんなでタイムマシーンを作ることにした先生なのであった。マジなのかは不明なのだが・・・

タイムマシーンを作ると豪語する先生。その数日後、見事に作ることができたらしい。

 

「ふっふっふ。未来限定だけどスゴイ発明だわ。褒め称えるがいいわ」

先生は天狗の鼻のように鼻を高々と高めてとんでもなく自信に溢れた様子だ。

 

「それと時が流れて成長しちゃうからそれを一時的に防止する薬も開発したわ」

 

ぬかりのない開発に脱帽するしかないオレたちなのであった。

 

「さ、出発しましょう。みんな薬を飲んだわね?じゃっ行くわよ!ポチっとな」

 

スイッチらしきボタンを押し、タイムマシーンらしい機械がないのだが、オレたち『なんでも研究部』の部室がぐにゃぐにゃと空間が歪んでいた。

 

「うふふ。この部室がタイムマシーンそのものよ。ちょっと実用的じゃないけど我慢してね」

 

我慢も何も勝手に部室を大改造してもよいだろうか?それに、部室もろとも時を遡るのだから、学校の一部がポカンと開くのではないのか?

 

「大丈夫よ。いい?未来限定とはいえ、時を遡ることができるのよ?つまりは元の時代に戻る時間を自由に設定することもできるの。あなたたちや部室がタイムスリップした瞬間にタイムマシーンで帰ればいいの。言いたいこと分かるかな?部長さん」

 

「なるほど。タイムスリップした瞬間をAとするとそのコンマ数秒後・・・いやそれよりも、もっと早い時間でもいい。それをA,とする。その間未来で過ごした時間をBと過程した場合に、いくらBで過ごした時間が長くてもA,の時間に設定したタイムマシーンで帰ればなんてこともないってことか」

「余計に分かりにくいけど、あなたが分かればそれでいいわ。ということでもうすぐ着くはずよ」

 

ぐにゃぐにゃになっていた空間がいつも通りの教室になっており、自分たちの姿も元の姿のままだ。果たして成功したのか?

 

「うふふ。みんな信じていないわね。いいわ、その目に真実を見せてあげるわ!!」

 

するとまだまだ空間がグニャグニャとねじ曲がり時空を超えようとしていたーー筈だった。

 

「あ、あれ?そ、そんな訳がーー!」

 

彼らの千三百七十三万三千五十回目のループした世界が終了し、千三百七十三万三千五十一回目の世界が始まろうとしていたーー

そんな彼らの世界を溜息交じりで見つめていたイザナミは映像を切り、背伸びをして身体をほぐし、立ち上がって少しだけ涙を流してつぶやいた。

 

「人が時空移動とか瞬間移動とか出来る訳がないのに。漫画とかアニメとか映画とか・・・夢の見過ぎだよ」

 

ただ悲しさだけが募っていただけだった。

 

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