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「決闘してほしい!」
今綾也の目の前に居る源義経はそう言った。
「……何で?」
その言葉を聞き、御閃綾也は困惑していた。
確かに東西交流戦の際に機会があればと決闘を承諾した。
あの時の義経の目がその発言の本気の度合いを物語っていたからだ。
しかし、このタイミングは早い。あまりにも早い。
義経達は各地のあらゆる達人たちとの決闘を受け付けていると聞いた、そうでなくとも転校時のごたごたが片づいてからだと思っていたのだ。
一瞬冗談かとも思ったが違う。今朝の真面目な感じからも今の有無を言わせぬ張り詰めた真剣な雰囲気からもこの発言が本気の、真剣の発言だと言うことを物語っている。
そしてこの空気の中次に口を開いたのは義経だった。
「義経は昨日の綾也君の剣技を見て、感動、とは少し違うかもしれない何か本能の様なもので感じたんだ。キミと闘ってみたいと」
義経は綾也の目をきちんと見据えて話した。その澄んだ、透き通った目がその発言に嘘混じりけのないものであると綾也に伝えていた。
だから綾也はその発言に対しこう返した。
「了承した」
瞬間、Sクラスがざわついた。
それも当然と言えるかもしれない。
何故ならば綾也は以前決闘で2-Sに所属する生徒を一瞬のうちにしとめている。
それだけならばまだしも綾也はその決闘の後いくつかあった決闘の申し出を全てを断じ、その後一切の決闘を行っていない。
Sクラスの殆どは逃げている臆病者だと思っていた。
英雄、あずみ、冬馬、準、ユキら綾也を知るものは面倒臭がって居るのだと思っていた。
しかしその評価はこの発言により否定される。
何故なら今決闘を承諾した相手は英雄。
強くて当然、闘いが普通の人相手より面倒で当然。
臆病者ならば強者との闘いは回避して当然。
面倒臭がりならばより相手が大変な相手の方が闘いたくないだろうと思っていたのだ。
マルギッテの決闘申し込みも断っていたし。
だがしかし当事者達にその空気は関係無いといった感じで、
「本当か!?綾也君は義経と決闘してくれるのだな!」
はしゃいでいる。
「本当だ。日時だが……」
すると、一人の執事がすっと現れる。
速いな、壁は越えてはいないみたいだが。
「お待ち下さい、御閃綾也様ですね?私、九鬼家従者のクラウディオと申します」
それは知っている。朝あれだけ派手な登場をしたのだ、全校生徒の殆どが覚えただろう。
「それは存じ上げている。それで?どうされましたクラウディオさん」
「いえ、義経から決闘を申し込むことは聞いておりましたので日時については私が、と」
そう言うことか。
「それで日時なのですが次の土曜日などはいかがでしょうか」
ふむ……
「別に構いませんよ、それで。義経は良い?」
「♪~」
聞いてないし……
というか決闘の承諾だけでこんなに機嫌良くなるかね?
弁慶はそんな義経を見て和んでるしいいのかオイ
「義経のスケジュールは九鬼で管理しておりますのでご心配なく」
そうなのか。
義経が強いのは見て分かる。
ただ同時に義経の
義経は義経に縋りすぎだよな。
クローンは同じDNAの持ち主と言うだけで同じ人間ではない。
人間を人間たらしめているのはその人格だ。人格はその成長環境によって形成される。
オリジナルの義経と今此処にいる義経とでは時代も、育った環境も違う。
……オリジナルと今の義経とでは違って当然なのにな。
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2-Fに戻るといきなりクラスの皆に囲まれた。
どうやら先程の義経とのやりとりがもう伝わっているらしい。
その中ですごい勢いで近寄って来る奴がいる。翔一だ。
「おうい!リョーヤ!何でひとりで面白そうなことになってんだよ!せっかくお前も誘って義経たちのとこに行こうと思ってたのによう!」
肩を掴んでガクガク揺らしてくる。
そうだったのか。先走ってしまったわけだ。
「おう、すまん翔一。そこまで頭が回ってなかった、わるい」
素直に謝っておく。
「で何でそんなことになってるんだ?」
「私も気になるわ!義経は私も闘う相手だもの」
大和、一子が口々に言う。
一子も闘うのか。
今の実力じゃ厳しいと思うが。
「それはかくかくしかじかで…………」
説明には結構時間がかかった。
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帰宅。
うちに帰るともう二人とも家にいた。
「ただいまー」
「「おかえりー」」
声をかけると奥から二人の声が返ってくる。
瞬と葵は部活には入っていないので基本的に帰りは早い。
なので夕食だけは当番制となっている。
まあ部活は無くとも修業があるのだが。
「飯はもうすぐできる」
今日は瞬か。
飯の味付けが雑なんだよな。
「綾也、どうかした?」
葵がきいてくる。
「何か考え事してる顔だな」
前も言われたがそんなに顔に出てるかね?
俺としてはそんなつもりはないが。
「嫌別に?義経と決闘する事になっただけで」
二人は一瞬ふーんといったような顔をしてぶっと吹き出す
「「はぁ!?」」
二人とも驚いたような表情をする。
そんなに驚くことか?
「どうしてそんな事になったか教えてくれる?」
葵が詰め寄ってくる。
「面白そうだから俺にも聞かせてくれよ」
瞬も面白がって聞いてくる。
綾也は嘆息しながら二人に向かって話し始めた。
……………………to be continued……⇒
第16話でした。
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