真剣で楽しく生きよう!   作:魔王の後継者

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28 依頼

 

――― 深夜 川神院 ―――

 

「御閃綾也、お主に儂の孫、モモを倒してほしいんじゃ」

 

川神院総代、先代武神川神鉄心はそう言った。

 

 

 

 

 

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

 

 

 

 

 

遡ること三十分程前。

 

「むむむ?川神院からのお呼びだしとはいかなることかねぇ?」

 

今日の午後11時に川神院に来てくれとのことです。

さてと。何かやらかした記憶はないし、呼び出しとは何だろうか。

……いやー、一つ心当たりがあるなー。

釈迦堂さんとの戦いでアレが漏れ出たからなー。

気づかれてるかなー。周りには広がらない様にしたはずだから大丈夫だとは思うがなー。いちおーなー。

本当、モモ先輩とかにばれてたらめんどいだろーからなー。

ばれてないといーなー。

 

お、着いた。

前も来たがでかいなここは。

流石は関東三山ご立派でございますね。(←御閃も山奥にあるだけで異様にでかいのだが自分のとこを棚に上げている)

まあそんなことはどうでもいいや。

とりあえず中に入って話を聞かねば。

 

扉を開けて入る。

 

「待っていたヨ。御閃綾也」

 

ルー先生だ。川神院の師範代だと言うことだがここにすんでるのかな?

それもまあどうでもいいことだなそれも。今関係ないな。

 

「こんばんはルー先生」

 

「うん、総代が待ってイるヨ」

 

ルー先生に案内されて川神院の奥へ進む。

一子やらモモ先輩の気を感じるなー。

落ち着いてるし寝たのだろうか。これなら気を隠さなくても良いか?

……起きると面倒だから隠したままにしとこう。うん。そうしよう。

 

「ここだヨ」

 

何か一番奥まで連れてこられたけど何ともいえない厳格な雰囲気がするなー。

こういう雰囲気はなかなかに苦手なんだよな。マジで。

 

「総代連れて来ましタ」

 

「うむ」

 

中にはいると学長が居た。何このすげー重い雰囲気。

こうね、ずっしりとした空気。きっとだれもが経験しているだろうな。

この梅雨の湿気の様なずっしりとした重み。

俺のもっとも苦手なあの季節の感じです。

…………話が逸れました。

 

「こんばんは、川神鉄心さん」

 

「うむ、こんな遅くにすまんの御閃」

 

「いえ、それは構いませんが……今日はどのようなご用件で?」

 

「それなのじゃがな……お主に頼みたいことがあるのじゃ」

 

川神鉄心が俺に頼みごと?

何だろう?色々こちらに来るとき便宜を計ってもらった分できるだけ聞かないわけにはいかないんだよなー。

面倒事で無ければよいが……

 

「御閃綾也、 お主に儂の孫、モモを倒してほしいんじゃ」

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

というわけで今に至ります。

釈迦堂さんとの一件で無かったのが唯一の救いだな。

しかし川神院がモモ先輩の討伐とな?

いったいどういう……まあある程度予想はつくが。

 

「モモはのう、心が弱い。おまけに瞬間回復何てものを身につけたおかげで技も荒く、そして何よりも身に付いてしまった過剰な自信。精神の修行でならばある程度精神力を鍛えることができる。しかし、当然無理矢理やらせたのでは効果は当然薄い。」

 

「確かに、そうですね」

 

「そして武人である以上一度は必ず敗北を知っておくべきじゃ。瞬間回復が絶対ではないこと、そして心を落ちつけることの重要さも、の」

 

「…………なら、同性の方が良いのでは?敗北は心に刻みつけなければ知る意味がない」

 

確かに武人は必ずと言って良いほど敗北を知らないものよりも知る者の方が強い。

敗北を知らない者に真の強さはありえない。しかし敗北は心に刻みつけなければ知る意味がない筈だ。

 

「お主はそれ以前に年下じゃ。確かに同性から受ける敗北も大きいじゃろうが年下との戦いの敗北のショックの方が大きいじゃろう」

 

「そうですね。わかりましたお請けしましょう。但し、やる以上は全力でやります。………………どうなるかは分かりませんよ?最悪の場合を覚悟しておいてください」

 

「……………………うむ。儂らがお主に頼んだのじゃその場合も覚悟はしておく」

 

最悪の場合、つまりモモ先輩が武人として潰れてしまう場合だ。

俺が本気で、全力を出して戦う以上心を折ってしまう可能性は十分ある。

拳を振るう事に対するトラウマを植え付けてしまう可能性も十分ある。

しかし真剣勝負で本気を出さないわけにはいかない。

だからその場合を覚悟しておいてもらう必要があるのだ。

 

「それで日時はいつ頃に?」

 

「近々、川神武道会を九鬼と協力して大きくしたものを開催する予定じゃ。その時の優勝者にはモモとのエキシビションマッチが与えられる。そこで優勝してもらいたい」

 

「……了解しました」

 

公式戦で、と言うことか。相手の本気度が伺えるな。

 

立ち上がり退出する。

廊下を歩きそして門を出る。

 

夜道を歩きながら考える。

 

モモ先輩と戦う、か。

武神にして風間ファミリーの一員、公式戦無敗、膨大な気を有し強力な回復技″瞬間回復"を会得したことにより自爆技をためらうことなく使い自身のみ回復するコンボで北の武神、橘天衣すらも仕留めた荒いながらも強大な力を持つ者。

 

瞬間回復に対する対抗策はいくつかある。

一つ、回復が使えなくなるまで何度でも何度でも倒すこと。瞬間回復は膨大な気を消費するためいかにモモ先輩と言えど使える数には限りがある。

二つ、一撃で確実にしとめること。気絶などで瞬間回復が発動できなければ強力な技も意味がない。

三つ、内気を乱す、または内気を吹き飛ばすなどをして瞬間回復を使用できなくすること。使えなければ意味はない。

四つ、回復系を電撃などで麻痺させ自己治癒力を弱らせること。瞬間回復は自己治癒力を高めることで傷を癒やす技。自己治癒力が弱っていれば回復することはできない。

 

少なくとも俺にできる方法はこれらだ。

 

正直なところモモ先輩と戦うのはあまり気が進まない。

ファミリーの仲間だからーとかそんな理由じゃない。

あの人と戦えばアレが出てくる可能性が高いからな。

あの黒い気は確実に侵食してきてるんだろう。

 

なら、せめて()()()()()()()()これを成し遂げないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……必ずな。

 

 

 

 

……………………to be continued……⇒

 




28話でした。

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