真剣で楽しく生きよう!   作:魔王の後継者

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37 魔王覚醒~敗北する武神

魔王覚醒

世界各地に点在し、数える程しか存在しない血統に流れる魔王の因子を覚醒させる

人間の負の感情を力に変換することで無限に等しい力を得ることができる絶対の力。

ソレは人間が存在する限り確実に費えることのない力。それを見た者は知る。

その漆黒の闇は世界を滅ぼし得る力であると。

 

 

 

 

綾也が纏っている闇が舞台に浸食する。

ミシミシと舞台が悲鳴をあげ、闇自体に秘められた破壊力が否応無く理解させられる。

向かい合っている百代はおろか、四方で結界を張っているマスタークラス、そして観客に至るまでの会場にいる全ての人間をプレッシャーで圧倒している。

会場にいる全ての人間が綾也の次の行動を固唾を呑んで見つめる。

しかし、

 

 

「川神流、星殺しいいいぃぃぃいぃぃ!!!」

 

 

しかし、次の瞬間仕掛けたのは百代だった。

今までのどの気弾よりも巨大な一撃。

綾也はその一撃にピクリとも反応しない。

 

「喰らえ」

 

闇がなぎ、気弾を食いちぎる。

そしてそのまま闇は百代に襲いかかる。

 

「くっ!」

 

百代は飛んで回避しようとするも回避しきれない。

闇が百代を追いすがり、攻め立てる。

そして闇が百代に触れたその瞬間。

 

「ぐあっ!!」

 

百代を切り裂き血が飛び散る。

百代が体制を持ち直そうとするものの違和感に気付く。

自分の足下が既に浸食されているという事に。

そして百代は更なる違和感に気付く。

 

「なっ!?気を吸い取ってくる!?」

 

そう。気を使おうとすらしていないのに気が減っていく。浸食した闇が気を喰らっているのだ。

 

「そこはもう俺の領地です。俺の領地にいる限り、常に()を取り立てられますよ」

 

先ほどとは一転、無表情で淡々と語る綾也。

その顔からは一切の表情が読み取れない。

まるで心が無いかのように。

 

「……なんだか、……急に、……冷静……に、なった……な」

 

気を使えば更に吸収されるため瞬間回復を使うことができないため、ダメージが残り息も絶え絶えになりながらも口を開く百代。

何時もの威風堂々としたいつもの風格はまるで無く、目に見えて劣勢であることは誰の目にも明らか。

しかし百代の目はギラギラとした光が宿っている。まるで獣のような眼光が。

 

「………………強い力には当然のようにリスクがあるんですよ。この闇は使用者の心を浸食し、世界を滅ぼす魔王に変貌させようとします。そうならないために心を殺しているだけです。分かりますか?こんな醜悪なものが貴女の欲しがったものだ」

 

心は綾也の言ったとおり無い。

しかしはっきりとした意志の含まれたその言葉に百代はたじろぐ。

そして綾也はそこに続ける。

 

「……とりあえずまあ今回は、敗北の味を知ってください」

 

綾也の気迫に圧倒されていた百代もその言葉を聞き我に返り動き出す。

一瞬の踏み込みで飛び出し、勢いよく綾也の間合いに踏み込む。

綾也はその動きに目を動かし視認しているにも関わらずまたも動かない。

今度は闇すらも動かさない。

 

「川神流禁手、富士砕きィィィイイイ!!!」

 

先程の星殺しを越えるほどの威力を持つその正拳突きを前にしても動かない。

ガードする素振りすらも、見せない。

そしてそのままその正拳突きが勢い良く直撃する。

しかし、

 

「技が荒い。力が分散していたらいくら貴女のパワーでも俺にダメージは一切与えられない」

 

効かない。

百代の、今まで世界最強であると思われていた少女のパワーが通用しない。

そして刻み込まれる。百代の心に。

自らと相手との圧倒的な実力の差が。今まで味わったことのない感情。敗北感、そして戦いの相手への恐怖心が。

 

「う、あ、あ、……」

 

初めて感じる自分の中のその感情に動揺する百代。

そして崩れ始める。

 

「取りあえずこれで終いにしましょう。御閃流、原初の太刀『開闢の閃』」

 

大上段からただ振り下ろす。

そのもっとも単純にして絶対なる一撃が、百代の意識を切り離した。

 

 

 

 

 

 

 

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

 

 

 

 

 

 

夜。

小冬は先にホテルへと返し町を歩く。

戦いのあとはインタビューを当たり障りの無いように答えられる質問のみを受け答えしてインタビューを流し、その後川神鉄心とルー師範代と話をした後、九鬼で英雄やクローン組に祝ってもらったりしてもうすっかり時間は夜である。

義経達も治療を受けながらエキシビションマッチを見ていたそうで引かれたかと思ったが意外にもみんな殆ど気にしていなかった。

……与一の反応が変わっていたのが気になったが今は忘れよう。

 

それにしても今更思う。

やりすぎた。絶対やりすぎた。

昔から戦い出すと思考に上手くストッパーが掛からないのが俺の最大の短所だ。

……最後のモモ先輩の表情。敗北に絶望した奴の表情に近かった。

心が折れてなければ良いが…………

 

暗闇の道を一歩一歩進んでいく。

月明かりに照らされた薄暗い道。

その道の途中にある一つの街灯の下に見覚えのある人影が二つ。

そして近づくにつれ二人の顔が見える。

 

「……翔一、大和」

 

風間ファミリーのリーダー風間翔一とファミリーの軍師直江大和その人だった。

 

そして次に口を開いたのは大和。

 

「待ってたぞ綾也。話がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………to be continued……⇒

 

 

 

 

 

 




第37話でした。
次で若獅子タッグマッチトーナメント編終了(予定)ですね。
誤字脱字、意見、感想ありましたらお願いします。

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