桃太郎は鬼との戦いが終わった後もお爺さんとお婆さんの元で暮らしていた。戦いから身を引き平穏に暮らしていた桃太郎。しかし最近妙に不安になることがよく起こる。
「おや何かねアリャ。」
出かけていたお爺さんは偶然掲示板に人が群がっているのを目にする。
「何かあったんかの。」
「まーた津波が起こったんだとよ、今度は二つ隣の村で。」
「ぁあ、そういう。」
お爺さんは納得した。最近ここら一帯で大きいものから小さいものまで含めて津波が多発しているのだ。津波の規模はその時その時で違うのでどうせ小さいさと傲って村に残り結果濁流に飲み込まれて逝ったのもいる。
「たまったもんじゃないよ。」
「神様がお怒りなんじゃないかぁ。」
民衆は口々に愚痴る。
「爺さんと桃にもちゃんと言っとかんとなぁ。」
桃太郎と老夫婦が住まう地域はまだ津波の魔手に襲われてはいなかった。
「ただいまんもーす。」
お爺さんが帰宅した。
「お帰リンゴジュース100%。」
「返しがうまくならんなぁ婆さんよ。」
「お前に言われとうないんじゃアホ。」
老夫婦の軽妙なやり取りを眺めていた桃太郎は悟った。
「親父よ、俺らになんか言おうとしたんじゃないか?早く言えよ。」
「ぁあ悪いな桃。婆さんも聞け。」
「んーぁい」
「知ってるだろうが最近近隣で津波がよく起こってなぁ。俺らのトコはまだ大丈夫だがいつ来るかわかったもんじゃないからよ。二人とも用心しとけよ。」
「バカヤロー今更だよそんなの。いざとなれば俺がお袋と親父抱えて駆けてやる。」
「勇ましいのぉ。」
「頼むべ桃よ。」
老夫婦は口々に言った。
「んぁーでもな、津波が何で怒ってるのかを突き止めんと話にならんだろう。俺が明日海に出てみてくるよ。」
「イヤー流石よ息子。」
「あの鬼族を壊滅させたお前なら心配ないの。できる範囲で頼むワ。」
「あいあい。」
ー同時刻日本海海底ー
(来いよぉ桃ォ来いよぉ桃よぉこの十年で煮えに煮えた恨み絶対晴らしてやるぅぁ。)
確実に人間のものではない不気味な声が響いていた
ー翌日ー
「じゃ行くべ。」
鬼討伐時より比較的ラフな格好に身を包み支度をした桃太郎。
「桃これ持ってけ。吉備団子じゃ飽きるだろうよ。いろんな味にしといたぞ。ワサビに辛子にリンゴにバームクーヘンにオレンジにリンゴに…」
「あんた病んでんじゃねぇか?」
すっとんきょうなモノを持たせようとするおばあさんを一蹴し海に出て行った桃太郎。
「気ぃつけえよー。」
「死ぬなら死ぬって手紙出せー。」
「うっせーバーロー。」
海に足を進める桃太郎。
「あー…そういえば船ほしいなぁ。完全に忘却してたよクッソ。」
その時ふと目にあるものが飛び込んだ。
「おーーいウサ公。」
「おうどうした桃さんよ。」
このウサギは極悪な人食いタヌキを言葉巧みに言いくるめて討伐したことで英雄みたいな扱いをされてる奴だった。
「船作ってくんないかなぁ?」
桃太郎が頼み込む。
「なんだ珍しいなオイ。」
「いや最近津波が多いじゃんさ。ちょっと海まで行ってみてこようと思ってよ。」
「相変わらずの行動力だなァ桃よ。うっしわかった!作りおきしてたやつ一個やる。」
「サァンクゥス!持つべきものは友だよなぁ」
桃太郎は船をゲットし海岸についた。
「こう見るといつもと変わらん静かな海なんだけどねぇ…っし行くか。」
桃太郎は船に乗り込み沖にでた。
「…オイオイなんだこりゃ…」
そこには無残に食い荒らされた魚の骸が浮かんでいた。
「鮫…絶対違うよなぁこれ。」
いろいろ考えながら進むと
「ぐぅあ“っ!!」
桃太郎は強烈な頭痛に襲われた。
「こ、この感覚…十年前のあの時と同じ…」
それはあの「鬼」と邂逅した時と同じだった。そして桃太郎は更に戦慄した。
「間違いねぇっ…!」
桃太郎は海底からあまりにもリアルな”邪気”と”生気”を感じた。
いる。
何者かがいる。
「なんなんだ一体ッッッッッッッ!!!!」
桃太郎は海底の「何か」が迫ってくるのを感じていた。
-to be continued-