もしあの英霊がカルデアに召喚されたら   作:ジョキングマン

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投稿期間が長く空いてしまって申し訳ないです。
ていうか今回こそ5000字で終わらせようと思ってたのになあ


無所属のキャスター

 

 天井を魚影が通過する。

 

 一見して意味不明な現象。だが、それも此処では日常茶飯事。いちいち気にしていてはきりがない一つの現象に過ぎない。

 壁、床、天井。それら全て、コバルトブルーに淡く輝く蒼光を放っていた。

 空間全てに広がる海、海、海。先の先まで続く大海は、最果てを感じさせないほどの広大さを、雄大さを刻み付ける。

 大自然そのものである幻想的な光景は、しかし実際はカルデアの一室という枠組みでしかなかった。

 カルデア内にいくつか設けてあるシミュレータルーム。この大海は、記録されていた「海」という情報を展開させたホログラフに過ぎない。

 事象電脳魔・ラプラスと提携しており、記録された情報を元に仮想空間を展開できる。情報さえ残されていれば各特異点の簡易的な復元さえ可能としていた。

 本物さながらの迫力を生み出すシミュレータの精密性も去ることながら、真に驚くべきはこれを同時に複数作動させることのできるカルデアの電力だろう。

 

「うーむ。試作段階中の霊フォン。あれ、もう少しコスパを抑えられそうだ。今までは無間の歯車という希少素材の粗悪品を失敬していたが、最近増えたあの世系サーヴァント達から助力を得られれば……」

 

 人間一人が通れるほどしか設けられていない通路に反響する声。

 あまりに大きい一声。しかし通路に映る影は一つ。馬鹿でかいだけの単なる独り言だった。

 大柄な体躯。はち切れんばかりの浮き上がった筋肉。アメコミヒーローのような原色的な青いスーツ。

 そして何よりも目を引くのが、雄々しく鬣を靡かせる猛々しい獅子の頭だった。

 異彩極まる風貌をした獅子頭の獣人。こんなナリながら、クラスは魔術師(キャスター)

 驚くなかれ、彼こそ偉大な発明家----トーマス・アルバ・エジソンその人である。

 

「ふむ。バビロニアに顕現していたという冥府の女神に協力を取り付けることができればなあ……。いや待てよ、それでは霊フォンの繋がり先がバビロニアの冥府だけになってしまうのか?」

 

 大声での独り言を止めず、ガツガツと足早に進む。

 向かう先はこの特異な空間を生んだ張本人の住まう部屋。

 カルデアに召喚されていながら、今まで直接的な一切の関与を絶っている風変わりなサーヴァント。

 彼が召喚されて最初に取った行動が、シミュレーターシステムを起動させてその中に引きこもることだった。

 実際に彼の姿を見たことがある者は、数多のサーヴァントの中でも数えるほどしかいない。

 

 

「失礼するぞ! 学士殿はおられるか!」

 

 

 扉をあけ放ち、よく通る声が部屋中に反響する。

 廊下に広がっていた海とは打って変わって、そこは深海のような漆蒼の世界だった。

 ともすれば泥とも見える暗黒の空間。僅かに差し込む光でほんのり青みを帯びて、やっとそこが同じ海の中だと認識することができるほどの黒。

 その中央に一人、背を向けて座り込む者がいた。

 後姿を見つけたエジソンは喜んでずかずか入室していく。

 

「おお、やはりおられたか! ここまでたどり着くのに苦労したのなんの。シミュレーター内で何重と展開される仮想空間の中から君のいそうな場所をしらみつぶしに回って----」

 

「----それ以上近づくな」

 

 拒絶を意味する嫌悪的な一声。思わずエジソンも足を止める。

 旋毛を向けて座っていた男が、けだるそうにエジソンの足下を指さしていた。

 

「私は忙しい。実に忙しいうえに緻密な作業をしている。だからあまり私を怒らせないでください。怒ることは嫌悪すべき一つの無駄だからです」

 

 男の向ける指先にエジソンは足下に目を落とす。

 するとどうだろう。真っ暗で最初は気づかなかったが、そこにはうっすらと白い線で何かの数式が書き込まれているように見えた。

 いや、そこだけではない。

 紙に、机に、床に、壁に、天井に。見渡す限り、夥しい数の方程式がびっしりと書き綴られていたのだ。

 狂気。そうとしか言いようのない表現にエジソンはごくりとつばを飲み込む。

 

「ただ、ここを見つけたことは褒めてあげましょう。この場所はマスター含め、数人ほどしか知らない場所ですからね。それを自力で発見した報酬として、用件ぐらいなら聞いても構いませんが」

 

 のそりと身を起こし、無造作に跳ね散らかった髪をかき上げて男はエジソンの方へ振り返った。

 暗がりでも分かる厭世的な表情。無関心さをおくびにも隠さない瞳。

 排他的な態度をここまで露骨にぶつけられた。にもかかわらず、エジソンはどこ吹く風と受け流して大いに喜んでいた。 

 

「なるほど。まさに伝承の通りというわけか! お会いできて光栄ですな、ミスター・アルキメデス!」

 

 偉大なるシラクサの数学者。魔術の域にまで達した完全なる理論。

 それがアルキメデス。ピタゴラスと並び、今の時代なら子供の頃から教わる稀代の数学者。

 そう呼ばれた男ことアルキメデスは、無駄話はいいとばかりに話を急かさせた。

 

「そういうのはいらないですから。ミスターも不要。それで、私の数式証明の邪魔をしてまで尋ねたのです。さっさと話してください」

 

「おっと、それは失礼した。しかし安心してほしい。私はローマ兵ではないし武器も持っていない。ただの天才発明家である!」

 

 アルキメデスの眉間にどんどん皺が寄っていく。

 これはいけないとエジソンは早急に本題を持ちかけた。

 

「重ねて失礼。では単刀直入に。貴方の叡智を貸していただきたい」

 

「おかしなことを。貴方は自称するほどの天才なのでしょう? ならば、己が頭脳に頼ることが自明の理では?」

 

 痛いところをつかれ、エジソンの口元が下がる。

 しかし引き下がらない。あくまでも胸を張り続け、エジソンは話を続けた。

 

「誠にその通り。だが私一人では成し遂げられないものもあるのだ。悔しいことにな」

 

「そうですか。ですがお断り申し上げます。先に言ったように私は忙しいので」

 

 脈略無しの突然の却下。本当に聞く耳を持っていたのかと疑うほど、すっぱりと断られてエジソンも目を丸くした。

 アルキメデスが煩わしそうに手を広げる。周囲に記された数式を見ろ、とのことだろう。

 

 彼はここに召喚されて以降、不明瞭のまま解析されずに残された世界の謎を解き明かしていた。

 ミレニアム懸賞問題と称される七大未証明問題は既に証明済み。その他にも無限を求められるか否か、ゴールドバッハの予想、指数時間仮説と、現代の数学者では匙を投げる定礎を解析し、証明していた。

 無論、その功績を公に公表するつもりもないし自分の手柄にするつもりはない。

 困難と言われる解があるならそれを求める。登山家が言うところの、あくまでそこにあったから追及しているだけなのだ。

 

 それはそれで非常に興味深い、とエジソンは唸るが、どうにか交渉を続けようと頭を悩ませる。

 その時ふと、今まで抱いていた疑念を何気なしにアルキメデスに質問した。

 

「しかしてアルキメデスくん。これは純粋な興味からだが、この空間世界はなぜ海なのだね?」

 

「決まっています。海とは未知。そして未知とは、知識だ」

 

 ここで初めて、今まで受動的な対応だったアルキメデスが能動的に口を開いた。

 

「私は不合理的が嫌いだ。合理的に、理論的に物事が運ぶ世界こそを私は望んでいる」

 

 その思想には同意だとエジソンも首を縦に振る。それでも、この部屋は些か突出しすぎではないかと眉をひそめてしまう。

 

 それも当然。アルキメデスは数学を愛したために、非数学的な現象を理解することを放棄した。

 端的に言って、数学以外に興味はないのだ。

 例えば、理論上は確実にそうなるといえる作戦。だがそこに人の心情は考慮されない。

 怒りという一時のくだらない感情で殺されたアルキメデスだからこそ、生前にも増してそういった不明確で不明瞭な概念に嫌悪感を示していた。

 言ってしまえば究極の理系。それが、英霊として昇華された彼の正体。

 

「そして見たのだ。蜃気楼のように儚く残っている記憶に焼きついた『全知』を」

 

 だからこそ、得たものがあったのか。

 蘇ったキリストを目撃したペテロのように。釈迦の掌で回った孫悟空のように。

 心の底から崇拝する絶対の存在を謁見したような陶酔した瞳で、アルキメデスは強く語った。

 

「あれこそ私が仕えるに値する絶対の存在! 遠い過去の記憶のように、それは既に磨耗してしまった。だが記憶の蓋の裏にこびり付いていたそれをイメージし、私はこの空間を作り上げた。閑静、洗練、無疵。これが、この空間こそが私の理想。私の主なのだ。人の下につくなど、不確定要素にあふれすぎて反吐が出る」

 

 だが、と大量の苦虫を嚙み潰したような表情で強く歯ぎしりする。

 

「しかし失敗だ。実に失敗だった。まさかトリスメギストスを擬似的な知能体と定義づけることでこの私を誤認させるとは……。レオナルドめ、やってくれましたよ。まったく」

 

「その言い分だと、貴方は人の存在を否定しているように聞こえるが……」

 

「当然です。人間など滅んでも構わない。不明確、不理解、不可解。そんな奴等が蔓延った歴史など守る価値がありますか。私自身を含め、数学的に正しい終わりを迎えることで初めて、私は人類という存在を好くことができるでしょうかね」

 

 正しい終わり。

 それはすなわち人間の、人類の終わり。

 その過程が人理焼却か、それ以外の何かか。どちらにせよ、アルキメデスは最初から人理修復を望んでいなかったのだ。

 この世に残るのは知性と明確さを兼ね備えた生命が残れば良い。そのためには一度世界が滅んだところで何も問題はないとまで思ってしまっていた。

 ダ・ヴィンチちゃんが霊子演算装置「トリスメギストス」に疑似人工知能プロテクトでカバーして偽装でもしない限り、彼はカルデアに召喚されることはなかっただろう。

 そして召喚されて尚、彼はカルデアに手を貸すことをほとんどしなかった。この空間に一人こもっていることが何よりの証。

 

 おおよそ人心から離れた思想。合理主義とは名前だけの、合理という概念だけを優先した歪な思想。

 それを聴き受けたエジソンは、沈黙したまま固まってしまう。 

 

 

 ----これで諦めて帰るだろう。

 そう確信したアルキメデスは、追及していた最終定理の計測に戻ろうと背中を見せて----

 

「----人類をそう否定的に見るものでもないぞ!」

 

「なっ!」

 

 直後、浮遊感がアルキメデスを襲った。

 いつの間にかアルキメデスの背後に移動していたエジソンが、彼を肩に担ぎあげていたのだ。

 ご丁寧に床に書きなぐられていた数式の空白地帯を歩いて、だ。

 

「さあ行こうアルキメデスくん!」

 

「何をする! いい加減に諦めろライオンめが! この、離せ!」

 

「ハッハッハ! 断るより前に、まずはその目で確認していただかないとね! なに、悪い話ではないはずだ!」

 

「ふざけるな! 第一、外界に出ること自体既に嫌な予感が----!」

 

 反抗するアルキメデスの力も何のその。筋力ランクはほぼ同等だが質と体格ではエジソンが勝っている。

 じたばたと暴れるアルキメデスを悠々と担ぎ、アメコミ風の高笑いをあげながらエジソンは大足でその場を後にした。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「これは……」

 

 かつて人理焼却の折に生まれた一つの特異点。

 独立戦争間際のアメリカ大陸で繰り広げられたのは、東西での争いではなく古代ケルト神話より顕現した神代の戦士たちだった。

 本来の歴史よりあまりに外れた大陸と化した特異点。故についた作戦名(コードネーム)は「北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム」。

 

 シミュレータールームで形成されていたこの空間は、まさにその異質な時間軸そのものだった。そしてアルキメデスが連行されたのは、第五特異点にてエジソンが根城にしていたデンバーの屋敷、その地下空間だった。

 

 そこで視界に飛び込んてきた光景に、驚愕に目を見開いてしまっていた。

 灰色の壁と天井に覆われた大部屋に聳え立つ、見上げんばかりの巨大な塔。

 いや、それは塔と見紛うほどの巨大なロボットだった。

 

「フフフ、だから言ったのだ。百聞は一見に如かず! ただいま特許志願中だ」

 

 円柱状の頭部。右腕には工業用重機に使われるような巨大なアームクロー。左腕は建設中のためかフレームだけの状態である。

 全体的に星条旗をモチーフとしたカラーリングを施されており、節々からは待機状態を示すかのように蒸気を噴出していた。

 

「……目的や出来の良し悪しはひとまず置いておくとして、その純粋な努力は評価しよう。しかしこれほどの規模の建設。当然、貴方だけで行われたわけではなさそうだが」

 

「勿論である! 心強い頼れる仲間たちがいたからこそ、我ら『直流鋼国機構』はこれほどの偉業に着手できているのだ」

 

 腰に手を添えて高らかに笑う。自分一人の才覚に溺れず、優れた協力者がいることを誇りと捉える活気のいい笑いだった。

 

「ではイカしたメンバーを紹介しよう!」

 

 そういって彼が広げた手の先。つられてアルキメデスの視線が動く。

 見れば、巨大ロボットの周りには他のサーヴァントの姿が見えた。エジソンとアルキメデスが見ていることに気が付いたのか、彼らは揃ってこちらに歩いてくる。

 皆、初めてアルキメデスの姿を見たのだろう。複数の物珍しそうな視線に耐え切れず、アルキメデスはばつの悪そうな表情で目をそらす。 

 

「まずは快き直流の理解者----エミヤくん!」

 

「よろしくたの----なっ、貴様は! ……いや、今はつっこまないでおこう」

 

「直流たる我が友----ミスターバベッジ!」

 

「バベジンである。先輩にあたる貴殿の姿を拝見できて光栄である。友好の証に我式ぶら下がり健康機を送ろう」

 

「直流の化身----マックスウェルくん!」

 

「勝手に私の根幹捻じ曲げないでください。貴方が有名なアルキメデスなんですね。イメージ通りというかなんというか」

 

「直流カバラの創設者----アヴィケブロンくん!」

 

「…………」

 

「以上が、我が『直流鋼国機構』の由緒あるメンバーである! いかがかね、ミスター・アルキメデス」

 

 センターにエジソンを据え、戦隊モノのヒーローよろしく綺麗に整列する自称『直流鋼国機構』の面々たち。

 背後に爆発すら見えそうなほどのポージングに、アルキメデスは思わず一言こぼしてしまった。

 

「おお……控えめにいってバカの集まりかここは」

 

 というかキャスタークラス偏りすぎだ、と柄にもない冷静なツッコミまで加える。

 そこで待ったの声がアヴィケブロンから掛けられた。

 

「勘違いしないでもらいたいが、僕はそのなんとか機構のメンバーではない。事前に巨大ゴーレムの試作をできるという条件から技術を提供しているだけだ」

 

「我も同様である。友たる者の頼みを無下にする訳にもいかないのだが、我の悲願成就のために得られるもの有りとみて参列している。電気悔しい」

 

「私はあれです。面白そうな雰囲気につられて、つい」

 

「……私は、その、なんだ。ここに来て厨房に立つ機会が増えたのはいいが、肝心の本職に中々携われなくてね。その、うむ。ちょっと疼くのだ。こういう大量生産の機会に関わるのが」

 

 

「だ、そうだが」

 

「ガーン!」

 

 まさかの冷たい反応に大口を開けてあんぐりと固まるエジソン。それを冷めた横目で眺めるアルキメデス。

 嘆息し、割と本気でショックを受けていそうなエジソンに質問を投げた。

 

「それで、貴方はこれで何を目論んでいるのです? 無理やり拉致してきたのだ、目的ぐらいは尋ねても問題はないはずですが」

 

「よくぞ尋ねてくれた!」

 

 先程までの意気消沈ぶりを吹き飛ばすかのように、エジソンがにこやかに微笑む。

 

「いくらサーヴァントが一騎当千、剛鬼無双の英霊達といえど、彼らにも限界というものは必ず訪れる。壮大な人理修復の旅の中、そのような危機的状況は幾度も遭遇した」

 

 例えば、原初の大神が無尽蔵に生み出す新人類。

 例えば、魔術の祖王より連なる七十二柱の魔神。

 これら全て、僅か一体でも大抵のサーヴァントを超えるスペックを有していた。何より恐ろしいことは、一体でも強力なそれらは必ず大軍を成していたということだった。

 

 実際、カルデアのサーヴァント達の力だけであれを覆せるだろうか。

 覆せるのかもしれない。困難を悉く跳ね返してきたからこその英霊である。

 けれど消耗するのはこちらばかりで、向こうは無限に湧き出るイタチごっこにしかならない。

 これでは状況を覆すどころか、魔力切れでカルデアのマスターが先に限界を迎えてしまうことは想像に難くない。

 

「それで、エジソンさんからこの企画を持ちかけられたんですよ。さっき言ったように、私は面白半分で協力してるだけなんですけどね」

 

「だが提案自体は道理である。我ら英霊の身に昇華されど、所詮は個という単体。太古の特異点の様な状況では、如何な我が空想の鎧とて塗り潰される他なかった」

 

 時代を遡るにつれて、苛烈さを増していった特異点での戦い。

 カルデアのマスターに仕えている以上、この先で待ち構える未来は苦難と苦闘の道であることは違いない。

 であれば、圧倒的な数の差を埋めるにはどうするか。

 実に簡単な話だ。それ以上の性能を有する数を量産すればいいだけのこと。

 

「アルキメデス。貴様が私の知るアルキメデスと同一の英霊なのかはわからない。だが、合理主義だという点では変わらないはずだ。その点で見れば、数を数で巻き返すという発想は安直ながら間違ってはいないと思うのだが」

 

「ふむ」

 

 肩眉を吊り上げ、アルキメデスは顎をさすりながら熟考に入る。

 天才と称される頭脳をフル回転で働かせ、天才馬鹿達によるバカみたいな話の整合性、論理性の是非を脳内で仕分けていた。

 正当性、是。理論性、やや是。遂行性、是。熱意、除外。安全性、保留。脅威性、否。敵対性、否。殲滅性、是。

 

 暫しの沈黙。エジソンは固唾を飲んで見守り、他四人は割と気楽な態度でそれを眺めている。

 やがて思考の海からアルキメデスが脱却した。

 ぼさぼさの茶髪をかきあげて、そわそわと落ち着かない様子のエジソンに一つの疑問を投げかけた。

 

「つまるところ、これは数学というより算数のお話だ。一と二では二の方が有利、百万と二百万でも言わずもがな。その点において、貴方の話は……まあ、外れた解ではないということは認めよう」

 

「そ、そうだろうそうだろう! 流石は稀代の数学者、話が分か----」

 

「ただし」

 

 安堵のため息をこぼしたエジソンの口を閉じさせるかのように、鋭い一撃がアルキメデスから放たれる。

 

「それは一に浪費するコストも考慮しての計算である。一を上回るために二を生産した。しかし二を生産するために必要な資源が五必要だ。これを続けていくとどうなるか?」

 

 指を立ててそれを表していくアルキメデス。左手に一、右手に二を示し、そこから右手の指を都合七つまで数えた。

 

「そう、単純に割に合わないのだ。これでは敵に倒されるか自ら破産するかという過程が違うだけだ。大量生産というスキルを持ち合わせている貴方ならそれぐらい分かっているはずだが、ここまで巨大な個体を作る必要はない。そこのところ、説明いただきたいのだが」

 

 淡々と、冷徹なまでに事実を疑問と突き付けてくる。アルキメデスに悪意があっての物言いではない。

 彼が、どこまで行っても数学に生きた人間というだけなのだ。

 

「そもそもあれを製造するのための必要な物資をどこから調達している? 私には関係ないことだが、このカルデアはあんなものを製造できるほど物資に余裕がないと記憶していたが」

 

「ボルトやナットなどの簡単な部品であれば、私が投影で補っていた」

 

「素体は僕が作ったゴーレムだ。普段よりも上物を混ぜているから、ある程度の無茶にも耐えられるよう設計してある」

 

「動力源は私とバベッジさんでどうとでもなりますしねえ。あとはエジソンさんの電力でも賄えますし」

 

「然り。電気悔しい」

 

「そうではなく根幹などを形成する部品などだ。色黒の貴方だけではごまかしきれないもパーツも出てくるだろう」

 

「それは、いつもエジソンさんが持ってきているのだが……」

 

 沈黙。

 五人全員の視線がエジソンに向けられる。

 そこには、そっぽを向いて空気の漏れるような口笛を吹いている獅子頭の姿があった。

 

「……エジソンさん」

 

「な、何かなエミヤくん?」

 

「失礼ですが、いつも持ってくるあれらはどこから入手してますか? そこまで頻繁にマスターとレイシフトしてなかったはずですけど」

 

「あ、ああ。あれか。あれはだな、その、なんというかだな……」

 

「…………」

 

 

「……その、カルナくんやジークフリート殿はよくマスターにお伴するだろう? だから、ちょっと欲しいなあリストを渡して取ってきてもらったりして……」

 

「御使いですか!」

 

「名だたる大英雄に何させてるんだこの人……いや、ライオン?」

 

「……阿呆である」

 

 普通ならカルデアの予備物資としてストックされていたであろう資材を、エジソンは二人に頼んで少しずつ提供させていたのだ。

 これにはエジソンに協力していた面々からも次々に呆れた声があがる。

 

「だって仕方ないじゃないか! あのにっくきミスターすっとんきょうと差をつけるにはこういった偉大な発明を成し遂げる必要があったんだもん!」

 

「……それが本当の目的だったか」

 

「あいや、マスターのためにと粉骨したのは本当だぞ!? 実際、数の暴力ほどわかりやすく苦戦する状況はない。それを打破するには、やはりこちらも数を揃えなくては同じ土俵には上がれない、という意気込みで始めたはずだったんだが……」

 

「開発を進めていく中であの電気アーチャーへの対抗心が燃え始めた、という話か。どちらも同じ電気じゃないか」

 

「いいや違うぞ! いいかアヴィケブロンくん。交流は人体に有害をもたらす危険な電流なのだ! それをあのテスラめが……」

 

「電気悔しい」

 

 

「----くだらない。実にくだらない」

 

 一気に瓦解した『直流鋼国機構』にアルキメデスは興味なさげの嘆息をこぼす。

 

「企画段階のまま推し進めていけば、良し悪しはどうあれ大量生産にはこぎつけただろうに。それを一時の感情に身を任せてプランの変更など。これだから人間は劣悪なのだ」

 

 数学に挑み、数学を崇拝し、数学に全てを捧げた男。

 完璧なる導きから弾き出される解。それを計算し終えた時が唯一にして最大の悦楽の瞬間。

 そんな彼からしたら、感情に支配されて決まった解に向かわない人間など苦痛の対象以外の何物でもない。

 どれだけ緻密に、完璧な計画を立てようとも、それを実行する人間の感情次第で自慢の作戦が崩れることが何より気に食わない。

 

 無駄な時間を過ごした。

 

 踵を返し、さっさと自らの閉鎖空間へと戻ろうと扉に手をかけ----

 

 

 

「そこまでです!」

 

 

 次の瞬間、轟音と熱風と衝撃が叩きつけられていた。

 

 

「なっ、何ぶほあぁ!?」

 

 一瞬にして視界がぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、奇妙な浮遊感が全身を包む。

 自らが車に跳ねられていたと理解したのは、地面を転がった際に垣間見た四輪のタイヤと四肢に響く鈍痛に意識を失う間際だった。

 

 

「何事!?」

 

 

 不問な言い争いをしていた面々も、突如鳴り響いた爆音と悲鳴に全員が臨戦態勢に移行する。

 そして目にした光景に思わず反応が固まってしまった。

 いつぞやの特異点でダ・ヴィンチちゃんが急ごしらえで制作したオーニソプター・スピンクスに近い見た目のバギー車両が、背後に特撮染みた爆発を引き連れてアルキメデスを跳ね飛ばしながら乱入してきたのだ。なんとも珍妙すぎる惨状に呆然と立ち尽くすしかない。

 というか十中八九、ダ・ヴィンチちゃん作の新型バギーだろう。フロントカバーにデザインされた似顔絵が雄弁にそれを物語っている。安易に国宝文化財を増やさないでもらいたい。

 

 

「この地にて不審な行動ありとの通報を受け推参しました。主に資材横領や危険品の製造容疑が貴方たちにかけられています」

 

 

 凛とした涼やかな一声が広場に轟いた。

 バギーの運転席から一人の女性が身を起こし、フロントカバーの上に降り立って手にした旗を振りかざす。

 

 

「我らルーラー警察。オルレアン刑事ジャンヌです! 今日は啓示もビシバシ振りかざしますよ、刑事だけに!」

 

「島原刑事、天草四郎時貞。しかしまあ随分でかいの作ってましたね」

 

「エルサレム刑事マルタです。ぶん殴----罪を悔いて、一緒に改めていきましょう」

 

 

 驚くべきなのか、笑うべきなのか。

 シリアスなのか、ギャグなのか。いやシリアスはない。

 とにかくいろんな感情や反応がごちゃ混ぜになり、どう切り返せばいいのかわからずに狼狽する面々。

 結局、全員共通しての観念をまとめあげたとするならば----

 

 

「----濃い!」

 

 

 この一言に言いたいこと全てが濃縮されていた。

 

「さて、主犯トーマス・アルバ・エジソン容疑者。そしてそれに連なる『直流鋼国機構』の皆さま。今しがた述べた通り貴方方には、資材横領および危険品の製造容疑がかけられています」

 

 ルーラー側もノリノリなようである。

 特に先頭に構えるオルレアン刑事ジャンヌは、逮捕状をマルタにしたためてもらってまで読み上げる雰囲気作りっぷり。

 と、やりたいことやってどや顔かましているジャンヌに対してエジソンが反論を述べた。

 

「ジャンヌ・ダルク嬢! その取り締まり断固異議を申し立てる! 資材横領については認めよう。しかし、あれは危険な代物ではない! そもそもまだ開発段階で何かをできるというわけではないぞ!」

 

「えっ、そうなのですか? 匿名さんから伺った情報では、人体に影響を与える放電の危険性ありと聞いていたのですが……」

 

 エジソンの予想外の猛抗議にジャンヌは首をかしげて巨大ロボットを注視する。

 外見やカラーリングはさておくとして、エジソンの証言通り未だ開発段階であることは間違いないようである。

 資材横領の件はそれで裁くとして、もう一つの容疑は確証薄いと判断してかまわないだろうか。

 そこまで思考を張り巡らせていたところで、横から天草の声が割り込んでくる。

 

「おや、いけませんよ聖女さま。容疑者の反論が必ずしも正しいとは限りません。マルタ刑事、あらかじめリハしておいた空中回し蹴りを見せて威圧をかけるときです」

 

「そんな練習してませんけど!?」

 

「ですが、エジソンさんの言う通りあれの危険性は実際に確認できていません。罪なき罪を裁くことは決して許されることではありません」

 

「ええ。でしたらば、まずは罪ある者を裁きましょう。もう一つの方は本人も認めているようですし」

 

「あっ! つい言っちゃった」

 

 思わず、といった感じで口元を抑える。同時に天草の口元が意地悪そうにつりあがった。

 

「しかし、ここは何重にも重ねて秘匿してきた空間。なぜこの場所が……」

 

 そしてエジソンは疑問を抱いていた。

 数あるシミュレータの中からいかにしてここをかぎつけ、しかも何が執り行われているのかを把握してまで乗り込むことができたのか。

 イロモノ含めてこの場にはキャスタークラスが複数人いるのだ。

 おまけにそのうちの一人は、ゴーレム専門とはいえれっきとした魔術師アヴィケブロン。何らかの魔術探知をかけられれば、自分と彼の張った結界に引っかかるはずなのだが。

 

 

 

「----フハハハハハハハハハハ!!」

 

 

 

 唐突に、不穏な空気に似つかわしくない高笑いが反響する。

 それを耳にしたエジソンの表情が、みるみるうちに驚愕から憤怒のものへと切り替わっていった。

 

 

「こ! この、練習してきたかのように腹から通り出る耳障りな高笑いはぁ……!」

 

「ハハハハ! 貴様のような凡骨の浅はかな隠蔽工作など、真の天才の前には幼児の積み立てた積み木が如し! 何か別の結界も混ざっていたが、それも良し! ともかくこの瞬間、交流>直流の方程式が証明された!」

 

「またも貴様か! コラ・テスラァーーーーッ!!」

 

「ニコラ・テスラである! コラなどではなく本物だ凡骨!」

 

 

 後部座席から飛び上がり、空中でミニ交流階段を形成して華麗に降下する電流紳士。

 叡智の学士。電気()を引きずり下ろした碩学の天才。ニコラ・テスラその人であった。

 

「おのれ! さては私の発明に脅威を抱いてもみ消しに来たな! 器の小さい男め!」

 

「貴様に言われる筋合いはない! 私にかかればこのような大掛かりな施設を用意せずとも簡単に量産して見せよう。無論、交流ましましフルパワーでな!」

 

 

「ほざくかテスラァーーー―ッ!」

 

 

「ハハハ! くるがいい御機嫌ようのライオン丸! その毛皮を電気焼きにしてカーペットにしてくれよう!」

 

 

 周囲の目もくれず、一瞬にして電気を浴びせ回る天才児二人。

 最初こそ電気を投げ合っていたが、それすらもしなくなりお互い肉弾戦に移行した。発明家なのに。

 電気を放出して右ストレートを打ち込み、電気をため込んで右ストレートを打ち返される。最早電気すら使っていない。発明家なのに。

 登場して数秒でバトった天才紳士の有様にマルタはやれやれとため息を吐いた。

 

 

「あーあ。やっぱり暴れたわね」

 

「こうなることは分かっていたので放っておきましょう。それより、今から貴方方に刑罰を下しますので」

 

「ま、待ってほしい。我々は物資が秘密裏に提供されていたものだと知らなかったのだが……」

 

「----エミヤさん」

 

 免罪を取り計らおうとするエミヤに対し、天草は心よりの笑顔をもって応えた。

 

 

「無知であることは、罪の赦しにならないのですよ」

 

「わかっていた……ッ! 逃れられないことはわかっていたとも……! それに貴様、この状況を楽しんでいるな!?」

 

「さて、何のことやら。あんぱん食べますか?」

 

「いらん!」

 

「と、いうわけで観念してください。さあ準備は終わりましたよ、張り切っていっちゃってください!」

 

 世紀末電気大戦を勝手に進めている天才児二人を無視し、未だに閉まっていた後部座席にジャンヌが呼び掛ける。

 まだ誰かいたのか、と眉をひそめるエミヤ達。

 

 だが、扉を開けて現れたサーヴァントの姿を見て一瞬で戦慄した。

 今から執行されるという刑罰の内容を理解してしまったからだ。否、せざるをえなかった。

 

 

「ふーん。ここが新しいライブ会場? なんだかけむ臭くて陰気なところ」

 

「ねえ見てよアタシ! あれ演出とかで使えないかしら! ステージ下からせりあがってくる土台みたいに!」

 

「それよりもライブのサプライズイベントに使いましょうよ! 突如ステージに出現する巨大ロボット。あわや大ピンチとなった瞬間、華麗な剣捌きで迎撃するアタシ……いい! これいけるわ!」

 

「ならぬ! その役割は余こそが相応しい! ポッとでのセイバーであるおぬしには任せられんな。何より主役はこの余であるぞ!」

 

「うむ、うむ。余の言う通りだ。そうだ、薔薇吹雪が舞う装置も取り付けよう。それをバックに余がマスターへの愛を歌う……完璧だな!」

 

 

 ぞろぞろと、いったいどこに収まっていたのかオーニソプター改から出てくる五人ものサーヴァント。

 その衣装はてんでバラバラで意見の食い違いばかりだが、一つだけはっきりと分かることがあった。

 今より、この場はライブ会場(じごく)と化す。

 

 

「ええ。ここをどう演出に扱うかは貴女方に一任します。どうぞ心行くまでご堪能ください。では、裏方は舞台袖に引っ込んでいますので」

 

 そういってそそくさと車内に戻る天草。フロントカバーに立ったままのジャンヌは、両耳に耳栓をしっかりと詰めて旗を振りかざしていた。

 その横で腕を組み仁王立ちしているマルタも、前方にタラスクの甲羅だけ解放してあからさまな盾にしていた。

 

「あっ、あの聖女ズ宝具使ってません!? ずるい!」

 

「外敵防衛システム起動。防音システム起動。空間音波遮断。聞こえない。何も聞こえない」

 

「そこの電気系二人! 今は言い争っている場合か! アヴィケブロン、どうにかして----いない!? またこの展開か!」

 

「エミヤくん! これは私にとって特許取得よりも優先的にケリをつけなければならない案件! 手出しは……おや?」

 

「どうしたライオン・オブ・サバンナ! 野生に染まりすぎて脳みそまで本能に回帰し----うお?」

 

 

 

 

「----う、ぐお。一体何が……」

 

 その時、偶然にも一人の男が意識を取り戻す。

 そう、ルーラー警察が殴り込みをかけてきた際に不運にも巻き込まれたアルキメデスだった。 

 肌にひやりと伝わる地面の感触に瞼を開けた。

 脳が激しく揺れた影響でぐらつく視界も気にせず上体を無理やり起こす。

 そこで初めて燃えるような激痛が全身を走っていることを自覚し、顔を歪めて動きを鈍らせた。

 

「----そうだ。私は何か奇妙な鉄の箱に激突されて……」

 

 身体はボロボロに擦り切れていても頭脳はしっかりと働くらしい。

 意識を手放す寸前まで記憶していた光景がフラッシュバックし、自分が重傷を負う原因を顔だけ動かして散策する。

 すると思いの外、簡単にそれは見つかった。あまり離れていない距離で静止していたそれは、フロントカバーの上に見覚えのある女性が佇んで旗のようなものを掲げている姿が飛び込んできた。

 

「あれは、ジャンヌ・ダルクか? 彼女がなぜここに----」

 

 瞬間、ジャンヌのはるか後方にちらりと紅髪が見えたような気がした。

 それだけで炎の中に投げ込まれたように熱い全身が、南極の大海に裸で投げ込まれたかと錯覚するほどにさっと血の気が引いていくのを彼は感じた。

 

 やばい。何かやばい。なぜだかわからんが自分の天敵がいるような気がする。

 

 感情を嫌悪し、抽象的な表現を避けるアルキメデスらしからぬ危険信号。

 彼が最も嫌うであろう動物的本能が鳴らした警鐘は、視界の輪郭が鮮明になっていくにつれて次第に大きさを増していく。

 

 そして見えた。はっきりと見えてしまった。

 肩まで伸ばした紅の長髪。ゴスロリチックなドレス。決して見間違うことのない、竜の尾と悪魔の角を生やした少女。

 霊基の奥底にまで深く刻みつけられた憎らしい「天敵」の姿がそこにあ----三人いた。

 

 三人、いた。

 

 

「----は?」

 

 

 彼がこぼしたこの一言は、直後に開催されたジョイント・リサイタルの爆音と歓声(ひめい)、破壊音と反響音その他もろもろの破壊的な何かの中に掻き消えてしまうのだった。

 

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クラス:キャスター

 

真名 :アルキメデス

 

キャラクター紹介

 紀元前、ギリシアのシラクサに実在した偉大な数学者。

 アルキメデスの原理など、彼の名前がそのまま定義として使われているものもある。

 てこの原理、黄金の王冠の逸話と、現代数学の基礎中の基礎を築き上げた碩学天才の一人。

 また、数学以外にも天文学、工学にも長けていた。

 

パラメーター

筋力:E

耐久:D

敏捷:C

魔力:C

幸運:A

宝具:B

 

小見出しマテリアル

 英霊でありながらその思想は非人間、否人類的。そのためカルデアにいることは知っていても実際に関わったことのあるサーヴァントは少ない。

 エリザベートのような感情に生きたタイプなどは普段の冷徹な姿勢が崩れるほどヒステリックに叫ぶほど嫌い。だけど身体だけ見れば数学的に理想の体型らしい。

 逆説的に、玉藻の前やメイヴのような媚びるためだけの駄肉は嫌っている。あまりにも規格外の胸の持ち主に出くわした日には、それはもうとんでもない顔をしながら後ずさりしていくだろう。

 最近増えつつある学者系サーヴァントの中では最も古い時代の大先輩。しかしアルキメデス自身が危険思想すぎて共感してもらえることは少ない。

 もっとも、文科系キャスターに癖のない英霊など一人としていないのだが。

 




「「「アタシの歌声聴きたいのね!」」」
アルキメデス「ヤメロォ!」
カーミラ(頭を抱えてお手上げのポーズ)

二月期間中は諸事様によって投稿期間が空きがちになるかもです。すまない……。

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