イナズマイレブン!北のサッカープレイヤー   作:リンク切り

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Prologue

 

 

 

 

俺の名前は、清川(きよかわ) 耀姫(ようき)

どこにでもいるゲーム好きの、ただの高校生だ。

 

 

 

 

ーイナズマイレブンー

 

 

 

 

それは、俺が一番好きなゲームだ。

アニメにもなっている、サッカーRPGで、何作かシリーズにもなっている。

だが、ウイイレのような普通のサッカーゲームだと思っているなら大間違いである。

 

超次元サッカーと呼ばれる、炎を纏ったりオーラを出したり、物理法則や重力を完全に無視したりと現実では考えられない必殺技という名の超能力を駆使して競い合うサッカー。いや、サツカー(さっかーではないなにか)

それが、このイナズマイレブンだ。

 

そんなイナズマイレブンだが、長い間ストーリーも続きゲームも6シリーズ発売された。

そこで一旦完結したものの、イナズマイレブンの次回作があると発表された。

それが一年前。

本日が、その最新作の発売日だった。

 

「発売日に買えるとは思ってなかったな。まあでも、それはそれでラッキーか。」

 

学校帰り、俺は発売していたそのゲームを買いにゲームショップへと寄り道した。

本当は休日にでも買うつもりだったが、結局待ちきれずに衝動買いしてしまった。

 

「よし!じゃあ、今日は徹夜で進められるところまで進めちまおうかな!」

 

先ほど買った、ゲームの入っているレジ袋を振り回しつつ、家路につく。

だが、俺はこの時、浮かれていて周りが見えていなかたらしい。

 

カランカラン、と、大きな音が突然響いた。

どうしたんだ?と音のした方、つまり、上空を見上げた。

すると上空に、落下してきていた鉄骨が視界いっぱいに広がっていた。

その数瞬後。頭、体、腕。すべての部位に死ぬ程の激痛が走った。

俺が覚えていたのは、そこまでだった。

 

 

 

 

「俺は、死んだのか?・・・でも、生きてるし・・・・」

 

ポンポンと手を叩いてみても、ちゃんと音もなっているし手も痛い。

少なくとも、夢じゃない、と思うんだけど・・・・・

 

 

「おお、鋭いの。ここは夢ではない。死後の世界だの。」

 

「誰だッ!?」

 

背後から聞こえる声に、ビクッと肩を跳ねさせ、叫ぶ。

 

「ふふふ。そう警戒すしないでほしいの。」

 

そこにいたは、白髪の長い髪と髭をした老人だった。

ってか、いつの間に俺の後ろに現れたんだ。

俺が驚いている間に、その老人は話し出した。

 

「そう、お前は先程地球での一生を終えたばかりだの。」

 

「なっ!?・・・・じゃあやっぱり、俺は死んだのか。」

 

「そうだの。」

 

うむうむと頷く老人。

くそ・・・・。何でこんなタイミングで・・・・

せめて、ゲームをやった後でなら悔いはなかったかもしれない。

だが、これからプレイしようと言うところで死んだとなるととても遣る瀬無い。

 

「やはり、この一生には納得はいっていないのかの?」

 

「当然だ!!」

 

振り返ってみれば碌な人生じゃなかった。

早死も過ぎるしさ。

 

「・・・・・ならばその悔い、次の生で晴らしてみるのはどうかの?」

 

ニヤニヤと、こちらを見ながら老人が呟いた。

なんだって?

 

「どういう事だよ・・・・?」

 

「わしが転生させてやろう、と言っておるの。」

 

「転生!?」

 

それはつまり、生まれ変わらせてくれるということか?

この老人、まさか、神様のような存在だとでも言うのか・・・・・?

 

「何も無理にとは言わんの。だが、前世では出来なかったような楽しい体験が出来るはずだの。」

 

「楽しい体験?どういう事、ですか・・・・?」

 

「円堂守達と、サッカー。してみたくはないかの・・・・?」

 

まさか、そんなことが!?

イナズマイレブンのキャラとサッカーをしてみたい。

余りにも馬鹿らしくて誰にも言えなかった、俺の夢だった。

 

「!?そんなことが出来るのか!?」

 

「おんしが望めば、の。」

 

「や、やらせてくれ!」

 

俺は、咄嗟に老人にすがりついた。

それを、老人は鬱陶しそうに振り払った。

 

「ええい、やめんか邪魔くさいの。儂はそんな事しなくとも出来ると言うておるの。」

 

「じゃあ・・・・!!」

 

「うむ、おんしをイナズマイレブンの世界に転生させてやろうかの。」

 

「やったーーーー!!!!」

 

思わず、心の声が漏れてしまった。

だが、本当に心の底から嬉しいんだ。

だって、アレだぜ。

好きなキャラクターに会えるんだぜ!!

・・・・あ、でも、一番大事なこと忘れてた。

 

「俺、そういえばサッカーできないわ・・・・」

 

出来たとしても、パスがせいぜい。

ディフェンスやオフェンスなんかやったことないし、ボール蹴ったのも壁に当てるだけの練習でだけだ。

まず、コントロールができるのかすらも危ういくらいだ。

っていうか、あんな奴らの中に混ざってサッカーなんてしたら、ワンチャン死ぬぜ・・・・?

ファイアトルネードでも、キャッチした瞬間に焼死するぜ??

 

「何だ、そんな事かの。それならば任せておくといいの。おんしが稀代のサッカーの大天才という事にして、イナズマイレブンの世界において、サッカーに関する全ての才能をさずけてやるからの。」

 

「至れり尽くせり!」

 

なんかよくわからん才能を貰えるということなので、細かいことは気にすることはないようだ。

テンションが上がりすぎて、発狂しそうだ。

 

「だが、ストーリーの記憶は消させてもらうからの。未来がわかれば、色々都合が悪いしの。」

 

「えっ!?ま、まあ、それはしょうがないか・・・・」

 

「安心していいの。消すのはストーリーの記憶だけで、キャラクターの名前や情報も、ストーリーがわからない程度には覚えているからの。ストーリーが進めば、記憶も少しずつ元に戻るから安心すればいいの。」

 

「そうなのか・・・・」

 

まあ、名前とかわかるならいいか。

でも確かに、未来のことを知ってるのはまずいか・・・・

 

「では、そろそろいいかの?いざ、イナズマイレブンの世界へ、だの。」

 

 

その声が聞こえた途端、俺の視界は、段々と真っ白へ塗りつぶされた。

何も見えなくなったと思ったら、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「耀姫。耀姫、起きてください。耀姫・・・・」

 

「ん、ん・・・・あと、5分・・・・」

 

声が、聞こえる。

これは誰だ?

いや、今はそんなことは関係ない。

なんだかとっても眠いんだ・・・・

もぞもぞ、と、布団に顔を埋める。

 

耀姫(ようき)。もう朝ですよ。」

 

その声は、しつこく俺に声をかける。

終いには、俺の体を揺さぶってきた。

 

「はあ。仕方ないですね。」

 

体の揺れが収まる。

やっと諦めてくれたか、これでやっと眠れる・・・・

そう思った、直後だった。

耳のすぐ側で、静かな声が聞こえた。

 

「焼きますよ。」

 

「────ッッッ!?!?!???」

 

鋭い殺気を感じ、ベッドから飛び起きる。

すると、こちらをにっこりと美しい笑顔で見つめる青い長髪の女性がいた。

頭の上には、左右に角のように大きなヘアピンが1つずつついている。

 

「母さん・・・・」

 

うちの母、清川(きよかわ) (ひめ)だ。

俺を産んだはずなのに、何年経っても全く老けを知らない美魔女だ。

そんな母の笑顔を見ると、いつも見ているはずなのに見とれてしまう。

それも母親なのに、だ。

まるで魔法で魅了にかけられたかのようだ。

 

耀姫(ようき)。ちゃんと起きられて、偉いわ。さ、もうそろそろ準備し始めないと飛行機に乗れなくなってしまうかも知れませんよ。」

 

「え、ああ、そうだったっけ・・・・」

 

殺気を放ってきながらなんと白々しい、と思いながらも思い出す。

そうだ、忘れてた。

今日、響さんから直々に雷門中へ呼ばれてたんだった。

 

「朝ご飯、もう出来上がっていますよ。お母さんは、先に降りてますからね。」

 

そう言うと、音もたてずに俺の部屋から出ていく母さん。

音を立てない移動方法、そしてこの身のこなしといい、もしかすると母さんは暗殺者とかなんじゃないのかと疑っている。

・・・・なんて。

くだらない事を考えてないで、準備しようか。

 

 

俺が前世の記憶を取り戻したのしたのは割と最近の2日前だった。

急に高熱が出て、雷門中へは行けないかとも思っていたがそんなこともなく1日で熱は引いた。

その副作用か何なのか、やっと前世の記憶を思い出すことが出来た。

 

それまでに俺は、北海道での最強のチームである白恋中で吹雪とツートップを組んでいた。

影山により、フットボールフロンティアには出場出来なかったものの、俺たちはそこそこ強いチームだったんじゃないかと思う。

まあ、俺と吹雪以外の他のメンバーがボロクソなわけだが。

 

 

パジャマからお気に入りの赤ジャージに着替え俺は、母さんに言われた通り二回の自室からリビングへと降りた。

ふぁあ、と欠伸を噛み殺しながら1階へ降りると、テーブルにはお味噌汁やら白米やらが並べてある。

そして、椅子には母と父が座っていた。

 

「はい、冷めないうちに早く食べちゃってくださいね。旦那様も。」

 

笑顔で言う母さんを眺めながら、食事をとる。

 

「──────エイリア学園の事件から、3ヶ月。すべての学校が復興するには、まだ時間がかかりそうです───────」

 

付いていたテレビから流れてきた声が耳に入る。

やっぱり、まだ直ってないところもあるんだな。

うちの白恋中はそもそも壊されていないわけだが。

 

「それにしても。耀姫(ようき)が居なくなると、寂しくなってしまいますね。」

 

「そうだな・・・・」

 

両親が呟く。

俺の父も母も、少し過保護なきらいがある。

なんというか、子離れ出来ていない、というのか。

母さんが席を立ち、俺の頬に手を当ててさすり出す。

 

「耀姫。怪我、しないように、気をつけてくださいね・・・・?」

 

「わかってるよ。母さん。食べにくいから、手どけて。」

 

白く、細長い指を頬から引き剥がす。

触るとすべすべした感触が肌に伝わる。

いつまでも触っていたいような感覚に陥るが、さっと手を離す。

すると、母さんは金色の目を悲しそうに歪める。

そんな顔しても、ダメです。

 

 

 

 

「じゃあ、そろそろ。行ってくるね、母さん。父さん。」

 

ご飯の後、準備を整えた俺は玄関まで出ていた。

俺がもし世界に行けるなら、また会えるのは1ヶ月後くらいかもしれない。

ここで、きっちりと挨拶は済ませておこう。

・・・・なんて言って、予選落ちしてすぐに帰ってくることになったら恥ずかしいな。

 

「ええ。・・・・耀姫(ようき)がいませんと、私、禁断症状が出て旦那様を襲ってしまうかもしれません・・・・。」

 

「ははは・・・・」

 

ふるふると腕を震わせて力なく父さんによりかかる母さん。

もう勝手に二人でよろしくやってろや。

 

「また、帰って来るから。待っててくれ。」

 

「ああ。行ってこい、耀姫!」

 

ぐっと親指だけを立てる父さんに、俺は笑顔で応えた。

 

 

 

 

 

「おーい!ヨーキくーん!」

 

空港につくと、遠くでブンブンと大きく腕を振る人影が見えた。

 

「よ!士郎!待ったか?」

 

「ううん。ボクも今来たところだよ。」

 

「ん、そっか。じゃあ行くか。」

 

彼女かよ!なんてツッコミを一々していたら吹雪とは付き合っていられない。

吹雪も、響さんに雷門中へと呼ばれているらしい。

なら学校も同じだし友達だし、一緒に行こうということにしたわけだ。

 

「「吹雪くん!耀姫(ようき)くん!!」」

 

「ん?」

 

俺たちが声のした方向を見ると、そこには見知った奴らがいた。

 

「皆、どうしたの?」

 

吹雪が驚いて声を上げる。

そこにいたのは、白恋中のサッカー部員達だった。

 

「吹雪たちが雷門中に呼ばれたって聞いたから、お見送りに来たんだべさ!」

 

「んだんだ〜。なんだか、凄いことになりそうな気がするべ!」

 

ぴょんぴょこと跳ねて喜ぶ部員達。

元気な奴らだな。

 

「お見送り、ありがとう。じゃあ、そろそろ俺達行くな。」

 

「うん。ありがとう。皆。」

 

「あ、待って!」

 

2人の女の子が集団の中から抜けてくる。

 

「珠香に紺子。どうしたんだ?」

 

「はい、これ。耀姫(ようき)くん達に差し入れだよ。」

 

そう言われながら渡されたのは、何か布で四角くくるまれた風呂敷だった。

中になにか入ってるのか?

 

「これは?」

 

「お弁当!私達で作ったべや!」

 

「あ、ありがとう!本当に嬉しいよ。」

 

「ああ、そうだな。ありがとう、二人共。」

 

よしよしと珠香の頭を撫でると、嬉しそうにエヘヘとはにかむ。

いやいや、俺が別に調子に乗ってるわけじゃないぞ。

白恋中(ここ)の女子は、普通に抱きついてきたりスキンシップするのもされるのも激しいんだって。

少しの間撫でた後、手を離して距離をとる。

本当に、もうそろそろ行かないと遅れかねない。

 

「ありがとう。皆、またな!」

 

「「またね〜!」」

 

部員達と別れた俺と吹雪は、急いで手続きを済ませて飛行機へと乗り込む。

なんとか間に合った俺達は、席に座ってほっと一息ついた。

 

「ねえ、耀姫(ようき)くん。響監督に、今日何で集合かけられたか聞いてる?」

 

「いや、全然。」

 

元々覚えていたはずなのだが、何なのかは忘れてしまっている。

あの老人が言っていた、ストーリーに関する記憶が消えるというのはこういう事らしい。

 

「ボクも、なんにも聞かされてないんだ。でも、ただ事じゃないことはわかるよ。」

 

「そうだな。なにせ、()()が呼ばれたんだからな。」

 

1人は、宇宙人を(まあ、正確には人間だったわけだが。)倒した英雄のひとり。

1人は、世界を越えてやってきた、「自称」世界一のサッカープレイヤーだ。

大抵の事じゃ呼び出したりしないだろう。

でも、なんとなく予想付いてんだよな。

 

 

 

 

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