イナズマイレブン!北のサッカープレイヤー 作:リンク切り
何があったんだろう。
・・・・好きにプレイしろって・・・・まさか、そういうことなのか・・・・!?
「まさか、な・・・・」
俺は、自分の考えを否定する。
まさか、そんなわけないだろ・・・・
「もらった!」
「やべっ!?」
考え事をしていると、ボールを奪われてしまった。
そりゃそうだよな、試合中にぼーっとするなんて、俺らしくもない。
「ザック!」
「おう!」
『清川からボールを奪ったデザートライオン、イナズマジャパンへと切り込みます!』
そこからは、デザートライオンの猛反撃だった。
イナズマジャパンのスタミナが残ってないことをいい事に、簡単にペナルティエリアに攻め込まれてしまった。
『後半から入った、デザートライオン唯一の女子プレイヤー、レオンがシュート体勢に入りました!!』
「レオ・ストライク!!」
フィールドに、大きなホワイトライオンが現れる。
ウルフレジェンドのように遠吠えをあげたライオンは、レオンのシュートと共に円堂へと駆ける。
「正義の鉄拳!」
繰り出される正義の鉄拳は、しかしレオストライクには歯が立たない。
大きな拳はライオンに噛み砕かれ、円堂共々ゴールへと突き刺さった。
『ゴール!!デザートライオン、後半数分で早くも得点です!』
「な、なんだ、あのシュート・・・・」
ウルフレジェンドに似ている。
しかも、威力はこちらの方が上だ。
オーストラリアのメガロドンにも、ヒロトの流星ブレードにも負けていない。
こんなプレイヤーが、カタールにいたとは・・・・
「くっそー!次は止める!!」
円堂は気合を入れるように叫ぶ。
まだまだ追いつかれてはいないのだが、今のイナズマジャパンには、カタールの「レオストライク」を止める手段が無い。
そして後半も始まったばかりで、まだまだ時間は残っている。
すぐに逆転されてしまうだろう。
・・・・どうすれば・・・・
俺は、今度は久遠監督へと目線を向けた。
監督は表情を変えず、ずっとこちらを見ている。
・・・・監督が何を考えているのかは知らないが、答えらしきものは掴めてはいる。
だが、そんなプレーをするなんて、納得がいかない。
しかし、このままでは負けだ。
「はあ・・・・でも、仕方ない、か。」
俺は、フィールドからベンチにいる久遠監督に頭を下げた。
これは、監督への今からするプレーについての謝罪だ。
そして次に、観客に向かって頭を下げる。
「何してるんだ?
「・・・・いや、何でもない。」
俺の行為を不審がってか、円堂が話しかけてきた。
「そうか。じゃあ、ポジションに戻ろうぜ、試合が始まるぞ!」
「・・・・ああ。」
『イナズマジャパン、疲れが出てきている緑川と八神の交代です!代わりに立向居と木暮が入ります!』
監督は、ここでメンバーを入れ替えてきた。
しかも、虎丸を残して。
監督はここから俺が監督の意図に気づいたことに気づいたらしい。
ピーッ!
『試合再開です!イナズマジャパン、このピンチを防げるか!?』
そうだな。
今はピンチだ。
今はこの一点差を守るのが重要だろう。
だが、監督はここから攻めろと言っているのだ。
さあ、サッカーやろうぜ。
俺は、足元にあるボールを足の甲の上に乗せて軽く蹴り上げた。
『おおっと、清川、突然ボールを足の上でキープをし始めたぞ!』
ポンポンと足の腕で数回リフティングをする。
その間に、先程置き去りにしてきたデザートライオンのフォワード2人がボールを奪いにくる。
「もらう!」
「ふざけてるのか!」
俺は、その2人が間合いに入る前にボールをタッチラインの外へと蹴り出した。
審判のホイッスルが鳴り、デザートライオンのスローインの判定が出た。
『ボールがラインの外へと出ました!清川、後半開始数分で早くもミスキックか!?』
んなわけねえだろ。
「ハン。そんなボールコントロールでよくも代表になれたもんだな。」
「ほら、ネコ科って動くものを見ると追いかけたくなるって言うだろ?お前らライオンもそうなのかと思ったんだよ。」
「何!?」
「あらら、熱くなっちゃってさ。気楽にやろうぜ。」
「テメェ!!」
俺はデザートライオンを煽るだけ煽って無視した後にスローインを待った。
「ヒロト、バンダナのマークにつけ。豪炎寺、お前はそっちのチビを。玲奈はパスコースを塞げ。」
近くにいた全員に指示を出し、俺はビヨンのマークについた。
背中を向けて腰を落とすだけで、それ以上のことは何もしないボロボロなマークだ。
これならビヨンも抜け出すことは容易いだろう。
『さて、デザートライオンからのスローインで試合開始です!』
「ビヨン!」
ラインの外から、デザートライオンキャプテン、ビヨンにボールが渡される。
ビヨンは、俺がメンバーに指示を出して不自然に間を開けていた空間へと走り込んだ。
それを、わざとマークを甘くしたビヨンの隣にいた俺がボールを奪う。
「くっ!?」
ビヨンからボールを奪った俺は、そのまま敵陣地内へと走りこむ。
「通さない!」
デザートライオンのミッドフィルダーが、俺を止めようと走ってくる。
俺はそれを止まって待ち構えた。
「どう言うつもりか知らないが、そのボールは渡してもらう!」
「欲しいなら取ってみろよ。」
俺はボールを足で踏みつけ、グルグルと回してまた遊び始めた。
それを見て焦れたデザートライオンが、スライディングタックルを仕掛けて来た。
それを、俺は簡単に避けてそのままゴールへと進む。
「くそ!」
ゴール前へとやってきたのだが、そこには勿論ディフェンダーがいる。
ビヨンは後ろにいるので、ゴールを守っているディフェンダーは3人だ。
「こっちだ!
背後から鬼道の声が聞こえる。
鬼道はパスの通りやすい位置に移動しているのだろうと思うが、俺はそれを無視する。
「行かせん!」
まずは体の大きなムサから仕掛けてきた。
巨体を使ってのチャージを、俺は思い切り肩をぶつけ合って競り合いに勝つ。
「何だと!?」
そして次は二人のディフェンダーだ。
「はああああああ!!!!」
「くっ、何だコイツ!?」
「ぐはっ!?」
今度はこちらがラフプレーする事で突破する。
ファール判定は出ない。
⚽️
前半を戦って気づいた。
最初、監督は俺の考えた戦術がデザートライオンに通じるからあんな指示を出したと思っていた。
吹雪と俺の、強引なコンビプレーがデザートライオンとの試合で、役に立つのだと。
だが、実際はそうじゃなかったらしい。
「お前の好きなようにプレーしろ。」
これは、「お前の好きなプレーをして良い」なんて意味じゃない。
「好きなようにプレーしろ」と言った。だから、「お前がどんなプレーをしても文句は言わない」という意味だったんだ。
多分、だけどな。
まあ、あんな回りくどい監督のことだから合っているだろう。
⚽️
「デザートストーム!」
「くっ!?」
必殺技で俺がボールを奪われ、ビヨンにボールが渡り攻守が逆転する。
ビヨンを起点として、デザートライオンはイナズマジャパンへと攻め込んだ。
「止めろ!」
「おうよ!旋風陣!」
臨時でミッドフィルダーに入っていた木暮が、ボールを奪った。
前半も出ていたプレイヤーはまともに動けないが、疲れていないプレイヤーはいつも通りみたいだ。
むしろ他のプレイヤーの動きが悪いため、調子がいいようにも見える。
『先ほど交代した木暮がボールを奪いました!』
「木暮!こっちだ!」
「わかった!」
相手ペナルティエリアまで上がっていた俺は、ハーフレインまで戻ってきていた。
こんなに動いたのはチームメンバーの動きがぎこちなかった白恋中以来だ。
白恋では、他のメンバーをカバーするようにグラウンドを駆け回っていた。
懐かしいな、あの頃のサッカー。
「行かせるな!」
俺が攻め入る間に、デザートライオンもディフェンスを固めていた。
ご苦労なこって。
「止められるもんなら止めてみろよ!」
2人抜き、3人抜き、4人抜き。
テクニックやラフプレー、瞬発力を生かしてゴールへと強引に攻め込む。
そして、シュートを止めさせる。
これが、俺のやるべき事だ。
そんなプレーを続けていると、いつの間にか俺へと2人マークが付いていた。
「どうして体力がつきないのかは知らないが、お前がいなければこのチームは終わりだ。」
「フン、お前はそこで負けるのを見ているといい。」
『ボールはデザートライオンフォワード、レオンへと回ってしまいました!』
やはり、俺が動けなくなると痛いか。
木暮や立向居も、全員のミスのカバーをするのは流石に無理なようだな。
「お前たちは勘違いをしているな。」
「なんだと?」
「フィールドにいる仲間が動けないなら、俺が10人分の働きをすればいいだけだ!」
俺は守備の隙を突き、マークを外す。
そしてそのままボールを持っているレオンへと向かう。
「何!?」
『なんと清川、マークを外して戻ってきていた!イナズマジャパン、危機を免れました!』
白恋でのサッカーで、動き回るのは慣れてんだよ。
「っしゃおらあ!!俺を止めてみろよ、雑魚共がよ!!」
そして、俺の強引なプレーは後半20分まで続いた。
『ゴール!レオンのシュートが円堂の正義の鉄拳を破りました!』
「はあ、はあ・・・・そろそろ、潮時か・・・・」
後半20分。
残り10分とロスタイムを残したところでのゴール。
これでデザートライオンが2点、イナズマジャパンが3点だ。
俺も、流石にここまで走り回っていれば持久力が尽きてくる。
『試合再開前に、イナズマジャパンの久遠監督は選手交代をするようです。』
出ていた背番号は4番。
勿論俺のことだ。
変わるのは11番の虎丸だ。
俺は肩で息をしながら、グラウンドを出る。
・・・・おっと、その前に。
俺は、キャプテンマークを円堂に返したあと、グラウンドから出た。
「俺、足を引っ張らないように頑張ります!」
タッチラインから出る瞬間、準備していた虎丸が俺に声をかけてきた。
「ああ。」
この試合の要になるのは、虎丸だ。
俺は、ポジションに入ろうとする虎丸を呼び止めた。
「ちょっと待て。」
「なんですか?」
「この試合、ここまでは俺が流れを掴んできた。俺がこの試合を作ってきたんだ。」
そう。
戦術やフォーメーションを組んだのも。
シュートを入れさせたのも。
ボール支配率を上げているのも。
シュートを止められない円堂のカバーをしたのも。
全て俺がやった。
「この試合、手を抜いて負けたら許さんからな。」
「えっ・・・・」
まったく、世話の焼ける奴だ。
今回の試合は虎丸のための試合だ。
そのために、久遠監督はここまでお膳立てをしてきた。
虎丸に、シュートを打たせるために。
「監督。俺は、うまくプレイ出来ていましたか?」
「・・・・」
「お疲れ、
ベンチに戻ると、すぐさま吹雪が話しかけてくる。
後半ベンチで休んで、呼吸も落ち着いたらしい。
「よう吹雪。ベンチからの景色はどうだった?」
「はは、やっぱり辛いね。ボクも、試合終了まで戦いたかった。」
「俺もだ。」
俺は吹雪の隣の椅子へと腰掛ける。
俺の仕事はここで終わりか・・・・
「清川クン、踏み台ご苦労さんよ。」
「不動も、また出場すらできなかったようだが?」
突っかかってきた不動に、俺は反撃する。
俺たちの口はニヤニヤとつり上がっていた。
「踏み台って、どういうこと?」
マネージャーや吹雪、玲奈達も、監督の采配や俺のプレーに興味津々といった感じだ。
「お前らも、そこ聞くのか?それはな・・・・」
ピーッ!
「お。試合が始まったみたいだぜ。」
俺が抜けた事で、イナズマジャパンのフォーメーションは普段のものに戻っていた。
ポジションはこうだ。
FW 豪炎寺、虎丸、ヒロト
MF 風丸、鬼道、立向居
DF クララ、壁山、飛鷹、木暮
GK 円堂
ベンチ
俺、吹雪、緑川、玲奈、不動
『投入されたばかりの宇都宮、デザートライオンのフォワードをかわしてどんどん攻めていきます!』
虎丸はそのままゴール前まで上がっていく。
虎丸と反対に、前半からプレーしているメンバーの足取りは重い。
「あいつ、あんな力を・・・・」
そしてあっという間にデザートライオンのゴール前まで行き着いた。
しかしその後、いつもと同じようにバックパスを出す。
勿論、豪炎寺やヒロトは虎丸に追いついていない。
「貰った!」
そのバックパスは、デザートライオンに奪われてしまう。
無理もない。
あんな場所からのパスなんて通った方がおかしい。
『おおっと、ここでデザートライオンにボールが回ってしまいました!』
「またです。どうして虎丸君は、シュートを打たないんでしょう・・・・」
デザートライオンは、そのままイナズマジャパンへと攻め入る。
そして、フォワードのレオンへとボールを回す。
「ああっ!もうゴール前ですよ!」
「ここで点が入れば、致命的だぞ。」
「そうですね。今のイナズマジャパンは、全員が疲れきっています。延長戦なんかに持ち込まれたら、それこそ勝ち目はありません。」
「そんな・・・・」
このタイミングで、守りきるか攻め出すか。
指示を間違えれば、すぐに形勢が変わってしまう。
『ゴール!!デザートライオンの追加点です!!イナズマジャパン、同点へと追い込まれてしまいました!』
そして、ついに同点。
イナズマジャパンにとっては重い1点だ。
「ああっ!」
「ついに、追いつかれたね・・・・」
「そうだな・・・・」
そして、イナズマジャパンから試合再開。
またしても虎丸が飛び出る。
「この試合、勝敗は虎丸にかかっている。虎丸が、シュートを決められるかどうかにね。」
「虎丸君?」
「そう。これまで本調子でプレー出来ていなかった虎丸だ。」
虎丸は、これまでずっとシュートだけを避けてきた。
何か、きっと理由があるはずだ。
「この試合、勝とうと思えば勝てる試合だった。」
「え?」
「ただ、勝つだけじゃダメだったんだよ、この試合。」
後半のレオンは予想外だったが、カタールは体力が取り柄のチームだ。
相手チームの体力を削り、長期戦に持ち込む事で自分たちの得意なフィールドへ引きずり込む。
それがカタールの、デザートライオンの戦い方だ。
「監督は、今回俺を『捨駒』にしたんだよ。これからの試合に、布石を打ったんだ。」
体力の残っていた俺が、1人でゴールへと突っ込む。
俺はその強引なプレーで、デザートライオンの体力を削っていた。
勿論、そんな事ではデザートライオンを完全に疲れさせる事は出来ない。
ただ、相手が絶好調なプレーよりは幾分かマシだろう。
「それは、虎丸にシュートを打たせるためだ。フォワードの1人があんな調子じゃ、足を引っ張るだけだ。」
ミッドフィールダーとしてなら、虎丸はかなり強力な選手だろう。
必殺技を使わなくても、何人も選手を抜き去ることが出来る。
ま、それは俺や玲奈、ヒロトとかにも言えるんだが。
「虎丸がシュートを打ちたがらない何かしらの理由を取り除くのが、この試合でするべき事だった。」
サッカーやってる奴なら、皆シュートを決めたいはずだ。
フォワードなら尚更そうだろう。
それを、頑なにシュートしようとしないなんて、なにかきっと事情があっての事のはずだ。
「どんな理由か知らないが、シュートが決められないような選手は、チームにいらないからな。」
早く役に立ってほしいものだ。
ああ、でも、フォワードとして役に立ったらライバルだな。
やっぱり、このままでもいいぜ。
その場合は俺がレギュラーをずっと守ってるから。
「監督は、俺達が負けるなんて考えていない。監督が見ているのは、もっと先の試合だ。」
俺達が勝ち進んでいるのは、監督の采配のおかげでもある。
本当に、優れた監督だ。
「久しぶりだね。」
「何がだ?」
「
「・・・・そうかもな。」
まあ、当然っちゃ当然だ。
俺の周りには、サッカーが上手い奴があまりいなかったからな。
ピーッ!
『ゴール前の豪炎寺のボールは、大きくゴールを外れて虎丸の方へ!ミスキックでしょうか!?』
ボールがタッチラインを超えた。
豪炎寺は、虎丸にゴール前で出されたパスをそのまま虎丸へと蹴り返した。
「ミスキック?豪炎寺さんらしく無いですね。」
「豪炎寺がキレたか。」
豪炎寺は、虎丸になにか叫んでいた。
うーん、ここからじゃ流石に遠すぎて聞こえないな。
まあでも、髪染めの豪炎寺に怒られたら怖いだろう。
軽いヤンキーみたいな感じだし。
これで、虎丸も考えを改めるだろう。
『ゴール!虎丸の必殺技、タイガードライブがデザートライオン、ナセルのストームライダーを打ち破ったぁああ!!!』
やっと吹っ切れたか。
どんなトラウマがあったんだろうな、虎丸には。
・・・・改めて考えると、すごい名前だな。
鬱と病みとトラウマが名前に入ってるぞ。
・・・・トラウマは無理があるか。
「監督サン。あんた、虎丸の実力を見抜いていたんだな。そして、このタイミングで投入した。」
「な、なるほど!確かに、カタールの体力はすごいです。でも、彼らだって
「そうか!だから監督は、
「そう。捨駒ってのはそういう意味だ。」
捨駒。
勝ちを取るために、わざと相手に取らせる駒のことだ。
監督は、全員で攻めるよりも俺を特攻させた方が勝てると考えていたんだろう。
その読み通り、勝てた訳だが。
「・・・・選手には、活躍すべき場面がある。チームには、勝つべき状態がある。」
これまでずっと黙っていた監督が喋り始めた。
「選手達の能力を結集し、全てをぶつけなければ勝てない。力を出し惜しんで、勝てる世界などない。」
「・・・・フン。」
そうだな。
全力とかなんとか言いつつ、結局不動はグラウンドに入れなかったからな。
ピッピッピー!
『試合終了です!イナズマジャパン、決勝進出を決めました!!』
「やった!勝ちました!勝ちましたよーっ!」
「ええ、次は決勝ね!」
こうして俺達は、決勝へと駒を進めた。
⚽
「やったー!次は決勝戦だー!」
「そうだな。やっとここまで来れた。」
「次勝てば、いよいよ世界に行けるッス!なんか、夢みたいッス!」
場所が変わって、合宿所。
俺達は、スタジアムから興奮冷めぬままキャラバンで帰ってきていた。
「全員が全員、気合十分みたい。」
「皆、あれだけ疲れてたのにね・・・・」
マネージャー陣も苦笑して、楽しそうに円堂達を見ていた。
俺は、そんな中円堂を呼んだ。
「あ、ちょっと、円堂。少し二人だけで話がしたいんだけど、いいか?」
「ん?いいけど、どうしたんだ?」
「気になる事があるんだ。」
トコトコと、メンバーから離れて食堂の方へ行く俺について来る円堂。
背が小さいなー、円堂は。
「なあ、どうしたんだ?」
「・・・・この辺でいいか。円堂。」
食堂に入って、俺はようやく円堂に向き直った。
ここからだと、聞こえないだろう。
「おっ、おう!」
「俺は、お前を信用していない。最近知り合ったばかりだしな。」
「俺は
「わかった、それはいい。で、本題だが・・・・」
俺は、「気になっていた事」を円堂に伝えた。
「円堂。お前の正義の鉄拳、今回のデザートライオンでボロボロにされていたな。」
「あ、あはは・・・・
頭を掻きながら、笑いながら謝る円堂。
「・・・・それで、俺の言いたいことだが。」
俺は、ひと呼吸おいて円堂に言い放った。
「あんなにゴールを入れられるような奴に、ゴールは任せられない。」
「えっ?」
「新必殺技を編み出せ。正義の鉄拳は、きっと世界には通用しない。」
「・・・・でも、新必殺技って言っても、奥義技を超えるような技、そんなにすぐ作れないぞ?」
「なら、日本代表を辞退してくれ。今のお前とでは、立向居の方がゴールを守る安心感がある。」
はっと息を呑む円堂。
必殺奥義「正義の鉄拳」は、「ムゲン・ザ・ハンド」の前の技だ。
しかも、ムゲン・ザ・ハンドの方はG4まで進化し、2でのジェネシス最強技、スペースペンギンをも止めた。
どう考えても、ムゲン・ザ・ハンドの方が効力な必殺技のように思えるのだ。
俺には、なぜ監督が円堂をゴールキーパーにしているのかがわからない。
「俺はフォワードだ。相手のゴールから、点を奪うためにいる。俺は今回の試合、フォワードの勤めを果たしたつもりだ。円堂、お前はどうだった?」
「俺は・・・・」
「次の決勝戦は、きっと韓国が勝ち上がってくるぞ。ファイアードラゴンは、名前はダサいが強力なチームだ。正義の鉄拳じゃ勝ち目はないぞ。名前はダサいけど。」
ファイアードラゴン。
アジア最強と言われている、韓国の代表チームだ。
「次の試合までには、新しい必殺技を完成させとけよ。」
俺は、円堂を残して食堂を去った。