イナズマイレブン!北のサッカープレイヤー 作:リンク切り
俺達食堂組は、円堂達が雷雷軒に行った後に食堂へと晩飯を食いに行った。
その時に食堂へいたのは、不動とクララとウルビダだった。
飛鷹は雷門中を出てどこかへ行ったし、緑川はまだグラウンドで練習をしている。
緑川の方は後で覗いてみて、まだやってるようなら一緒に練習してやろうかな。
「ここ、隣いいか?」
「・・・・ああ。」
不動とボッチ飯はちょっと一考したかったため、俺はウルビダとクララの座っていた机へと腰掛けた。
俺はどっちかと言うとご飯は人と食べたいし、何にせよ2人とも可愛いしな。
不動も含めて3人とも、一言も喋らずに黙々と食事を口に運んでいる。
この空気、息苦しすぎない?
「なあ。それ、美味しい?」
「ああ。」
「そ、そうか・・・・」
話続ける気ねえのかよ!?
俺はさすがにいたたまれなくなって引き下がる。
っていうか、いつも食事を運んでくる目金遅いな。
「なあ、飯来ないんだけど。お前らのいつ来たの?」
「今日は自分で頼んだ。なかなか来なかったからな。」
「・・・・自分で頼んで来たら?人の行動を待ってたら置いていかれる。」
「あ、ああ、そうする・・・・」
ウルビダは兎も角、クララは微笑んでなんてことを言うんだ。
とりあえず、皆自分で貰いに行ったなら俺もそうするか。
つか、何で目金来ないんだよ。
俺はカウンターまで行って木野を呼び出す。
「木野ー?木野さーん?木野ちゃーん!?きーーのーーこーーちゃーーんーー????」
「はーい!」
奥の厨房から、木野がパタパタっとスリッパ?をならして走ってくる。
「あれ?今、私のこときのこって言った?」
「言ってない。」
俺が真顔で嘘をつくと、もう、次からはやめてよ?とはにかむ。
優しい。
木野って優しい子だよな。
何しても怒んないで笑って許してくれそう。
俺も将来木枯らし荘に住みたいわ。
「それで、私に何か用?」
「ああ。飯来ないんだけど、目金は?」
「あ、ごめんね。目金君は今、みんなと一緒に雷雷軒に行ってるからいないんだ。かわりに、私が運ぶね。」
「ん、サンキュー。」
ふざけんなよ。何やってんだよ目金、次会った時はブラッドフェスティバルだぞ。
俺は目金に呆れと怒りの念を送った。
その時、ラーメンを頬張っていた目金が寒気を感じたらしいが、その事に俺が関係あるのかないのかは定かではない。
木野がまた奥の厨房に戻ろうとしたので、慌てて呼び止める。
「あ、ちょっと待って。」
「何?」
「今日の朝、ごめんな。勝手に頭触っちゃって。」
「えっ!?う、うん・・・・」
結局俺は謝っとく事にした。
まあ別に怒りはしないだろう、優しいし。
木野はそれを思い出したのか、また頰を薄く染めた。
「白恋中の奴らが結構ねだってくるんだよ。だからつい、いつもの癖で。」
「そうだったんだ・・・・」
「そうそう。じゃあ、晩飯頼むわ。」
「あ、わかった。取ってくるね。」
俺は厨房の方へ行く木野の背中を見送って、元の椅子に戻る。
はー。おなかすいたなー。
早く来ねーかなー。
「はい、お待たせ。」
数分後、木野が食事を持って来て、机の上にお盆を乗せた。
あれ?木野は左右の手に一つずつ持っている。
どういう事だ?
「私も、一緒に食べていいかな?」
なるほど、そう言う事か。
俺に二つ食えって言ってんのかと思ったわ。
食べられない、ってことはないだろうけどさ。
「ああ、俺はいいけど・・・・」
他の2人はどうだろう、と思って、ウルビダとクララに視線を送る。
「私も構いはしない。」
「好きに、すれば?」
クララは、やっぱり言い方がおかしいんだよな。
微笑を浮かべているためにきっと悪意はないんだろうと思うのだが。
ウルビダは純粋に無愛想だ。
「ありがとう。じゃあ、いただきます。」
「いただきます。」
俺と木野は、2人で一緒に合掌して料理に手をつける。
うげ、今日のメニュー野菜が多い・・・・
「3人は仲がいいの?」
「んや、別に?2人はどうなのか知らないが、俺は大して。ヒロトに、ウルビダとも仲良くしてやってくれと言われた程度かな。」
「私の名前は、八神玲奈だ。いい加減覚えろ。・・・・ヒロト、余計な事を。」
ウルビダは、小さな声で悪態をつく。
ウルビダの名前って覚えにくいんだよなあ。
俺の中では、ウルビダにはウルビダという名前がしっくりくる。
今更知らない名前が出て来てもな。
まあ、それに関してはレーゼも一緒なんだが。
「そうだな、こんな事でプレイに影響が出たら目も当てられない。じゃあ。よろしくな、玲奈。」
「ああ。」
一つ頷いて、黙々と食事を続けるウルビダはどことなく嬉しそうだった。
ああ、ウルビダじゃない、玲奈だ。
「ふーん。私と音無さんは苗字だったのに、八神さんは名前なんだ?」
「え?あ、いや、ごめん、別にそういうつもりは・・・・」
「ふふふっ、冗談。好きなように呼んでくれていいわ。」
木野ってばこんな事も言うのか。
なんだろう、ラブコメの波動を感じる。
「オイ、そこの黒一点。鼻の下伸びてるぞ。」
食べ終わった不動が、食器を下げに来たついでに嫌味を言って行く。
お前、悪ぶってる割にはちゃんと食器下げるんだな。
いい奴だな不動。
「お前も、1人端で食ってて寂しくなかったかー?」
「フン。俺はお前らなんかとは違って仲良しゴッコするつもりはないんだよ。」
「寂しい奴だな。」
「うるせえよ。」
俺達は数回やりとりをかわす。
ある程度不動が離れてから、木野が声をあげた。
「
「喧嘩?まさか。別に俺たちは喧嘩してたわけじゃないぞ。」
「え?」
「仲も、多分悪いわけじゃないしな。」
俺の言葉に、不思議そうにする木野達。
不動と俺は、気があうんだと思う。
不動の方も、そう思ってくれていると嬉しいんだけど。
俺は俺と不動が不仲じゃない説を証明するために食堂から出て行く不動に声をかける。
「 おい不動!」
「何だよ。」
「俺の事、嫌いか?」
「別に。」
不動は、俺に目もくれずに自分の部屋へと戻って言った。
「ほらな?嫌いじゃないってさ。」
「そ、そうなのかな・・・・?」
「とんでもないポジティブだな。」
木野達は微妙そうな顔をしていたが、俺はそんな事ないと思うんだけどな。
俺の捻くれレベルがアップしたら、多分あんな感じだろう。
吹雪にも、天邪鬼クソ野郎と言われたからな。
・・・・いや、ちょっと盛った。
クソ野郎とは言ってなかった。
ごめん吹雪。
不動が出て行った後も何気ない会話を続けて、俺達は少し仲良くなったような気がした。
趣味の話だったり、好きなものの話だったり、サッカーをやり始めたきっかけだったり。
玲奈もクララも、無愛想だと思っていたが意外に友好的なのがわかった。
あと、クララの方は何となくわかっていたがやっぱり言葉の選び方が下手だった。
「おーい、円堂ー!」
「ん?」
そして翌日。
久遠監督の練習も二日目だ。
今日も今日とて結構なハードメニューで、やっと昼の休憩がやって来たとき。
その休憩を狙いすましたかのようにやって来た奴らがいた。
「塔子じゃないか!それに、佐久間に綱海、マックス!」
「うちも応援に来たったで!」
「リカ!久しぶりだな!」
円堂の言う通り、やって来たのは選抜を落選したメンバー達。
塔子に熱波、佐久間、綱海、マックス、栗松。
ついでに塔子には浦部リカが付いて来ていた。
「キャプテン!オレもでやんす!」
「陣中見舞いだ。ちゃんと練習やってるか?」
「勿論さ!」
そりゃあやってますとも。
さっきまで、皆でヒイヒイ言ってたところだ。
「あれ?ダーリン、うちのダーリンは!?」
「え?一ノ瀬は、代表候補に呼ばれてなかったな。」
「それ、ど、どういう事なん!?」
「い、痛い痛い、離して、リカ・・・・」
あっちは無視しておく事にするか。
俺は、鬼道と話している佐久間の方へ行った。
「傷だらけだな・・・そんなに、練習を頑張っているのか?」
「ああ。FFIには、選手起用の特別ルールがあるからな。」
「特別ルール?」
俺が2人の間に入って話を遮ると、2人は律儀に俺の問いに答えてくれた。
「ああ。FFIでは、試合ごとに代表選手を入れ替える事が出来る。」
「へー、じゃあ、佐久間達にもチャンスはまだまだあるって事か。」
「そうだ。だから、ずっと特訓してこんななりなんだ。」
「あまり無茶をするなよ。選ばれる前に怪我をしたら、目も当てられないぞ。」
「ああ、わかってる。」
いいなあ、2人とも。
信頼しあってるパートナーみたいで。
俺も佐久間と背中を預け合うパートナーになりたい。
「そっかー。でも、紅白戦のルールは若干佐久間に不利なところあったもんな。連携必殺技は使っちゃいけなかったし。」
「でも、俺はそんな理由をつけて代表を諦めたくないんだ。」
「だよな!お前がチームに入る事、期待してる。」
「ああ。」
俺と佐久間は互いに握手する。
うん。佐久間、メンバーに入ってくれたら嬉しいな。
佐久間は、今度は鬼道と握手して言葉を交わす。
「鬼道。俺はきっと選ばれてみせる。」
「ああ。俺たちは、一足先に世界を見てくる。待ってるぞ、佐久間。」
やっぱり、俺はお邪魔だったかな?
⚽️
今日の練習は模擬戦だけではなく、基礎体力作りや必殺技の訓練など色々なことをした。
特に体力を使う特訓が酷いもので、走り込みをした後は全員グラウンドに大の字で倒れるくらいだった。
それ以外に特に大きなことはなかったが、あったことといえば・・・・・
久遠監督は試合ではあまり動かないはずのディフェンダーにもミッドフィールダー並の厳しい走り込みをやらせていた。
その時に壁山が脱落しそうになったが、円堂の声かけと持ち前のガッツで練習を耐え抜いた。
そのくらいかな。
そんな日の夕暮れ、俺たちが激しい練習を終えて宿舎に帰ったきた時の事だった。
「みなさん、聞いてください!」
食堂で晩飯をガッツリ食ってやろうかと思っていると、珍しく真剣な顔で音無が言った。
音無は、目金と木野を連れて俺たちを待って待機していたようだ。
俺達は顔を見合わせた後、代表して円堂が聞いた。
「どうしたんだ?音無。」
「私、少しおかしいと思って、久遠監督がどういう監督なのかサッカー協会で少し調べてみたんです。」
「サッカー協会?行ってきたの?」
「え、ええ、色々ありまして・・・・」
マネージャー陣は、マネージャーなりに俺達イナズマジャパンの心配をしてくれているようだ。
俺は正直、良い監督だと思ってるんだけどな、あの監督。
「それで、久遠監督の経歴なんですが・・・・」
「うんうん。」
全員、音無の話には興味津々なようだ。
まあ確かに、色々と謎の多い人物ではあるのだが・・・・
「10年前に、桜木中学校というところでサッカー部の監督をしていたようです。」
「10年前?」
怪訝に思ったのか、豪炎寺が声を上げる。
まあ確かに、10年も前のことを言われてもな、とは俺も思った。
「はい。その代の桜木中は、フットボールフロンティアを大量得点差で勝ち抜くというかなりの強豪だったみたいなんです。」
「本当か!?やっぱり、凄い監督だったんじゃないか!」
「いいえ。この話には、まだ続きがあるんです。」
喜ぶ円堂を尻目に、音無は険しい顔を変えずに話を続けた。
「そんな優勝も夢じゃないと期待される桜木中だったんですが、決勝戦の前日になって久遠監督が事件を起こした事で、チームは決勝を棄権になってしまったんです。」
「な、なんだって・・・・!?」
「これ以上の詳しいことは、記述がなくてわからなかったんですけど・・・・」
皆は音無の話を聞いて、一様に口を閉ざした。
久遠監督、そんな事やってたのかよ。
でも、俺はあんなに選手を想った指示ができる監督がそんなことをするとは思えないんだよな。
それに10年前ってことは影山零治が関わっていても全く不思議はない。
というか、影山が何かしたと考えたほうが自然だ。
影山が指揮する帝国学園のフットボールフロンティア無敗記録は40年間で、状況証拠になる。
決勝を戦う前に相手チームに棄権させるなんて影山の策にしてはぬるい方だ。
俺は頭の中でそう結論付け、音無の話を聞いた。
「あと、桜木中の資料を見ていたら、気になる噂が出てきたんです。」
「その噂って?」
「久遠道也は、呪われた監督だって。」
「呪われた、監督・・・・・」
呪われた監督、ねえ。
装備が脱げなくなったりするのだろうか。
本当に呪われてるなら、怨念とかで死にそうだな、監督。
まあそんな冗談はさておき。
これ以上ないほど胡散臭い噂だな。
実際どうせ根も葉もないような嫌味だろう。
俺は流石に馬鹿らしくなって、話を聞くのをやめた。
コンコン
「誰だー?。」
「
「ああ。どーぞ。」
食事を終えた後、それぞれのメンバーは自由行動だ。
俺はそのまま宿舎の部屋に戻って小説を読んでいたのだが、そこに吹雪が訪ねてきた。
まあ、なんの要件なのかは分からなくもないが。
「
吹雪は、俺の部屋に入った直後に本題へと入った。
どうせ、そんなことだろうと思った。
「俺は別に?あんな噂、信じちゃいねーよ。」
俺は小説から目を逸らさずに、吹雪の質問に答える。
しかし、吹雪は思った以上に不安なようで、食い下がってくる。
「でも、試合をする前に棄権なんてなったら・・・・」
「大丈夫だって。」
「どうして、そんな事が言えるの?」
「俺はあの監督のこと信用してっから。」
暫くの間、ペラっと俺が本のページをめくる音だけが残る。
吹雪は言葉を無くしていた。
「な、何で?あの監督には会ったばかりだし、ボクたちを世界大会に行かせないためにおかしな練習をさせてるのかも・・・・」
「そんな事ないって。」
「なら、桜木中の時はどうして事件なんて起こしたの?」
「何か事情があったんだろ。」
しつこい奴だな。
俺は本に栞を挿して机の上に置く。
初めて吹雪と目を合わせたが、吹雪は信じられないというような顔をした。
「事情があったからって、事件を起こしていい訳ない!」
「・・・・、どうしたんだよ、お前らしくないぞ、吹雪。」
「だって、監督が・・・・」
俺は、吹雪の肩をがしりと掴んでゆっくりグラグラと揺らす。
ぼけーっとしている相手にするアレだ。
「大丈夫だって。俺たちは絶対に世界に行く。そして、世界一になるんだ。」
「でも・・・・」
まだ吹雪は納得がいっていないようだ。
流石にうざったい。
中学生じゃねえんだから、そんなことでくよくよ悩むなよ!!
そう、声を荒げ用としたところで俺は気づいた。
こいつら、中学生だったーーー!!!!
やたら大人な雰囲気がある奴もいて忘れてたが、こいつらは中学生だ。
元の俺の、高校生の考え方を押し付けるのはやめよう。
これは俺の経験だが、中学生の後半から高校までで気持ちは遥かに成長する。
少なくとも俺はそうだった。
まあ、正直クソガキから超クソガキになったくらいの成長だが。
俺は、吹雪をどうやって安心させてやろうか考えた。
「吹雪。俺のこと、信用してるよな?」
「え?うん、してるよ。」
話を急にそらした俺に、吹雪は不満そうだ。
まあ、こんな事じゃ安心はできないかもしれないが、言うだけ言っておいて損はないはずだ。
俺は、昔元の世界で見ていたアニメのセリフをリスペクトして吹雪に伝える。
「じゃあ、俺が信じてる久遠監督を信じろ。」
「えっ?」
「お前の信じている俺が信じろって言ってるんだ。」
ハハ、こんなの、普段の俺なら絶対に言わないぜ。
「保証する。久遠監督は俺たちを世界へ連れて行ってくれる。」
俺は吹雪の目を見て、想いを伝えた。
なんとか、納得してくれればいいが。
「・・・・うん、わかった。ボクも、信じてみることにするよ。」
吹雪は少し迷った後、強く頷いた。
晴れやかな顔とまではいかないが、とりあえずは納得してくれたみたいだ。
なんとか少し信じてみようかな、くらいには思わせられたんじゃないかと思う。
ただの受け売りなんだけどな、このセリフ。
まあでも、これで良かったかな。
「んじゃあ、俺は続き読むから。」
俺はもう大丈夫だろうと思い、吹雪に手をヒラヒラと振って本を手に取る。
そして、栞を取って読書を再開した。
「はは・・・・ありがとう、
「んー?」
「いや、何でもないんだ。おやすみ、
「おう。」
吹雪の言葉を半分聞き流しながら、本の内容を読み進める俺。
吹雪は、そのまま部屋を出て行ったようだ。
この程度で状況が好転するとも思えないが、まあ悪いようにはならないだろう。
俺はそんな考えで本を読み続けた。
そして練習は続き、いよいよこの日がやって来た。
FFIのトーナメントの発表だ。
この日から、やっと待ちに待ったFFIが本格的に始まるのだ。
まあ、まずは予選大会な訳だが。
『今、第一回、フットボールフロンティアインターナショナル。FFIの、アジア予選、組み合わせ抽選会が始まろうとしています!』
俺たちイナズマジャパンのメンバーは、食堂に備え付けられているテレビの前に集合していた。
アジア予選での、チームのトーナメント表が決まる。
こんな大切な場面を見逃すわけにはいかないのだ。
FFIは、まず予選の地区大会を勝ち抜くことができて初めて世界大会へ行ける。
無印でのフットボールフロンティアと同じようなシステムだな。
全部でアジア地区を始めとした10の地区が出場している。
ただ、一つの地区からは一つのチームしか出場できない。
そして、予選では一度負ければ世界大会に出られないまま予選敗退になってしまうのだ。
日本は勿論、アジア地区での予選大会に組み込まれている。
『おっと!予選トーナメントのくじ引きが始まったようです!』
テレビから聞こえたその言葉に、俺たちは思わず身を乗り出して画面を見つめる。
『まずは韓国代表のチーム、ファイアードラゴンの抽選からです!』
「ファイアードラゴン、か。」
「こ、怖そうな監督ッス・・・・」
「だっせえチーム名だな。」
『圧倒的な攻撃力を有し、アジア最強との呼び声も高いファイアードラゴンですが、果たして抽選の結果は!?』
画面の中の、久遠監督よりも厳つそうなファイアードラゴンの監督が抽選のくじを引く。
それにしても、アジア最強か。
初戦で当たる、なんて事がなければ良いんだが・・・・
欲を言えば、決勝くらいまでは当たりたくないな。
『ファイアードラゴン、3−Aです。』
ファイアードラゴンは、3ブロック目のAに入った。
このFFIのアジア地区予選トーナメントは、見る限り4つのブロックに分かれた合計8カ国が競う形らしい。
まずは同じブロックのAチームとBチームが戦う。
その後1と2、3と4のブロック同士で第一試合に勝ったチームが戦う。
最後は双方の勝ったチームが決勝を行うという、なんだかわかりずらいトーナメントだ。
とりあえず、予選で優勝するためには敵チームに3回連続で勝てば良いと言うことだ。
先ほども言った通り、予選で一回でも負ければ勿論世界大会へ行くことすらできない。
そして、ファイアードラゴン他、八チームが全て抽選を終えた。
そして、完成したトーナメント表がこちら。
ブロック1
A、日本(イナズマジャパン)
B、オーストラリア(ビッグウェイブズ)
ブロック2
A、タイ(サザンクロス)
B、カタール(デザートライオン)
ブロック3
A、韓国(ファイアードラゴン)
B、ウズベキスタン(レッドバイパー)
ブロック4
A、中国(ラストエンペラー)
B、サウジアラビア(ザ・バラクーラ)
俺たちのチーム、イナズマジャパンは、初戦ではオーストラリアと戦うことになった。
オーストラリアか、どんなチームなんだ?
そしてアジア最強とか言っていた韓国とは、俺が願った通り決勝まで会えないようだ。
と言うことは、俺たちが無事勝ち上がる事ができれば最後の予選決勝で韓国との因縁の対決って感じになりそうだな。
いや、でも、そんなこと言って無印の時のように新しい強豪が急に出て来るかもしれない。
・・・・、さすがにそんな事はないか。
そして、2ブロックのタイとカタール。
これはどっちが強いんだろうな。
このブロックで勝ったチームが、俺たちの二戦目の相手になる。
「ビッグウェイブズ。たしか、韓国までとは言わないものの、優勝候補でしたよ?」
「い、いきなり優勝候補かよ・・・・・」
優勝候補何個あるんだよ。
ファイアードラゴンだけを警戒するわけにもいかないって事か。
「だが、相手にとって不足はないぜ!」
「噂では、奴らには相手の攻撃を完全に封じ込めるフォーメーションがあるらしい。」
「そ、そんなチームに、俺達が勝てるッスかね・・・・?」
優勝候補と聞いて、まず最初に壁山がビビる。
俺が。俺たちが。予選落ちするなんて有り得ないだろ。
「くーっ!面白いな!そんな凄い奴とサッカーできるなんて、最高じゃないか!」
「お、面白いって・・・・さすがキャプテンッス!」
「よーし、みんな!早速グラウンドに出て特訓しよう!打倒、オーストラリアだ!」
「「「おー!!」」」
俺たちは、やる気のある奴から順にグラウンドへと飛び出していった。
もうこんなに暗いのに、また練習するつもりなのか?
元気があるのはいい事だけどな・・・・
残っていた俺と吹雪は互いに苦笑しあった。
俺達以外の他のメンバーやマネージャーも呆れていた。
「集合!」
次の日。
朝早く、いつもの練習の時間に久遠監督に呼ばれて集合する俺たち。
またいつものように厳しい練習が始まるのか。
俺も、他のメンバーも、そう思っていたのだが・・・・・
「これから、お前たちに練習方針を伝える。」
「「「はいっ!!」」」
全員が全員、元気な返事をする。
対戦相手が決まり明確な目標ができた俺達は、どんな練習でもこなしてみせる!と、そんな心意気だった。
しかし、久遠監督の言った言葉に、俺達は驚かされる事になった。
「これより、オーストラリア戦が終わるまでの二日間、練習禁止とする。」
えぇ?
「えぇぇええーーーーっっっっ!?!?!?」
皆が一斉に大声をあげた。
そりゃあ皆驚いてたし、俺も驚いた。
この監督、どんな凄い指示をするのかと思ったら、まさか、練習禁止と来たか・・・・
「これは命令だ。オーストラリア戦が始まるまで、合宿所から出ることも許さん。」
ど、どうしよう、吹雪、俺もなんか、この監督で大丈夫なのか自信なくなってきた・・・・
でも、うん、多分監督には何かちゃんとした考えがあるんだよな、きっと。
そういう作戦があるんだよな、ちゃんと意味があるんだよな。
本当にこんな指示に意味があるのなら、どう言う意味があるのか知りたい。
楽しみがまた増えたな。
「ちょっと待ってください!どう言う意味ですか!?」
「言葉通りだ。」
「俺たちは日本代表になったばかりで、チームの連携ができていません!この二日間は、ポジショニングの練習を・・・・」
「監督は私だ。納得がいかないなら、チームを抜けてもらっても結構だ。」
「なっ!?」
うーわ、嫌な奴!
凄い嫌な奴だな。
会話する事が下手だ下手だとは思っていたが、こんなにもチームと馴れ合おうとしないなんて。
「試合当日までは、宿舎のそれぞれの部屋で過ごしてもらう。互いの行き来は自由だが、合宿所から出ることは許さない。いいな?」
ここには、嫌だと言えるようなやつはいなかった。
さて。
二日間、何をして過ごそうかな・・・・?