「これでよしっと・・・。」
提督が小さくつぶやきながら額縁を持った
額縁には写真が入っており、映っているのは提督と吹雪達所属している者たち全員だ
壁に打たれた画鋲にひっかけると、傾きを整える
新しく掛けた額縁の隣には今より映っている人数が少なく、背景もまた違う写真が飾ってある
さらにその隣にはさらに人数が少ない写真、そして末端には提督と吹雪だけが映っている写真が飾ってある
それぞれ背景にはその時の鎮守府の建屋が映っている
最初の写真を除き、背景には真新しい鎮守府の建屋が映っていた
提督は少し離れ、ゆっくりと写真を眺め、うんうんと頷いた
「失礼します司令官。本日付けで着任の子が来ました。」
ちょっとした感傷に浸っていると吹雪が扉を開けて伝達をする
時計を見て、もうこんな時間かとつぶやくと吹雪の方を向いた
「了解。こっちに通してもらっていい?」
「では呼んできますね!」
「軽巡夕張!到着しました!耳本提督、吹雪ちゃんよろしくお願いします!」
「ようこそ。当鎮守府へ。」
「よろしくお願いします。夕張さん。」
提督は夕張に敬礼を返し、握手をする
続いて、吹雪を紹介しこちらも握手を交わす
夕張は事前に明石を通じて転属と着任関係の書類を書いてもらっているため、複雑な手続きはなく、工廠関係や機器類の業務の引継ぎはこちらに着任する前に終わっているという
予定しているのは鎮守府の簡単な案内と引き継がれた業務の中で今後の方針について話すくらいだ
「新しく鎮守府を建て直したと聞いてましたけどこれはすごいですね!」
口頭ではあるが、簡単に鎮守府がどのような感じになっているのかを説明すると、夕張は目をキラキラさせている
普通であればそれは素直な感嘆の声だと思うが、いかんせん目の前にいるのはあの魔改造の珍兵器を作った人物である
「今回は結構時間がかかった方だから割と手間の多いものがあったのかなぁとは思っているけどね。」
「明石さんから具体的な目録をもらっているんですけど・・・・・・これは確かに時間かかる物ばっかりですからね。」
夕張は荷物の中から冊子を取り出した
表紙には『駿河諸島鎮守府機械目録』と書かれている
夕張曰く、地下階に関することが時間をどうしても取ってしまうという事だ
妖精さんの不思議な技術をもってしても時間の短縮に限界はあるという事らしい
しかし、それでも十分早い仕事ではある
「それに酸素発生装置に非常電源のガス、石炭、石油各種の発電機に潮力発電機、水耕栽培施設、脱塩装置に放射能除去装置・・・・・・。」
「ん?!ちょっとまった!」
「え?何かありましたか?」
地下階に関することを夕張がつらつらと話しているのを提督が最初こそうんうんと頷いていた
しかし、後半の目録の読み上げで提督は待ったをかけた
「え?酸素発生装置に水耕栽培施設・・・?ごめんそれは発注も許可もした記憶がないんだけど・・・・・・?」
たしかに、休んでいた分を取り戻すためにあわただしく仕事をしたが、適当に書類に判を押してはいない
記憶をさらってみるがそのような物品は外注も妖精さんへ注文したという書類はなかった
吹雪に確認するが吹雪も記憶にないという
「え?でもちゃんと書いてありますよ?地下に大規模シェルターを建設って・・・・・・。」
「「大規模シェルター?!隠し部屋じゃなくて?!」」
エレベーターを降りるとだだっ広い空間が広がっていた
サッカーコート1面分くらいは優にあり、話し声や足音がこだまする
「ここは非常時に1000人が1人4畳半くらいの広さで寝泊りができるようになっているようです。」
夕張がエレベーターの横の壁のスイッチを押すと地面から壁がせりあがってきた
壁は3mほどの天井まで達し、止まった
一辺にはドアがあり、開けるとそこは個室となっていた
防音性もそこそこあり、避難施設としては申し分ない
また、エレベーターから向かって左側の扉の先には個室が50室あり、その個室には風呂とトイレも併設されているという事だ
反対側の右側の扉の先には、食堂や風呂、トイレなどがある
他にも、別の階にはドックや工廠施設、農園や養殖施設なども併設されている
早い話がここの鎮守府がそのまま地下にもう一つある状態だ
「・・・あの・・・・・・お二方とも聞いてますか?」
夕張が仕様説明書から目を離し、話を中断した
「・・・ああうん・・・・・・。ええ・・・?」
「えっと・・・はい。」
提督と吹雪はただただ頭が回らず生返事だった
これだけの地下シェルターの建造費はいったいどこから来ているのだろうか
今まで来ていた書類の中に不自然なものはなかったはず
ではこれだけの物はどうやって作った?
「ヨバレタキガシタノデス」
一番最下層の生命維持装置関係がある場所を見ていると、天井から妖精さんがくるりと回りながら降りてきて体操選手並みの着地を決めた
「妖精さん・・・・・・この建造費用はいったい・・・・・・?」
「シュミデツクッテタモノデス。シュミデツクッタカラアンマリカカッタノハヒトデダケナノデス。」
こっちで具体的な話をするですと言われついていく
通されたのは会議室であり、プロジェクターが起動していた
妖精さん曰く、この地下空間はもともとボーリング調査で見つかったものであり、推測ではあるがマグマだまりだったのではないかという事だ
しかし、一回の噴火で地下から上がったマグマの大半を噴出してしまった
わずかに残ったマグマも、急激に冷えて固まってしまい、栓をしてしまい塞いでしまった
このままにしておくと、場合によっては地盤沈下の危険もあるため早急に手を打たなければならない
しかし、そのまま埋めてしまうのももったいない
幸いにも、マグマが上がってくる可能性はないため安心して活用ができる
妖精さんたちの会議の結果、普段よくしてくれている提督のためにギミック満載のシェルターを作ろうと言う結論に至った
「そういう事ね・・・・・・。いろいろ気を回してくれてありがとうね。」
そう言ってなでてやるとニコニコと誇らしげな笑顔を返す
今回の鎮守府の建屋新築に合わせて急ピッチで終わらせたらしい
提督は続けてこれからはちゃんと言ってね?と諭した
「さて、そういう事なら全部見て回ったし・・・そろそろ行きますか。」
内心では頭を抱えている
この件についての報告書を書かなければならない
ここまでの規模になると、政府や一部の国民の避難所としての使用ができるためである
また、最前線の指揮所としても使えるだろう
それはここがさらに戦略的な価値をさらに高めたということだ
妖精さん謹製の地下シェルターと言うのは高い信頼性を誇るが、妖精さんは気まぐれでもあるためなかなか頼んでも作ってくれないことが多い
気まぐれな気質のせいで長時間の作業が向かないというのが理由でもある
「チョットマツノデス。マダミテナイトコロガアルノデス。」
「え?でもさっきの機械室で最後だったんじゃ・・・?」
妖精さんに言われるがまま、再びエレベーターに乗る
階層のボタンを見てみるが、一番下は先ほどの機械室と書かれたボタンだ
妖精さんはパネルには目もくれず、ボタンの下にある鍵穴がついているところを開ける
中には最下層と書かれたボタンがあった
30秒ほどしてチーンと言う音ととも扉が開く
先ほどの広いホールみたいなところだが、少し違う
奥の方はトンネルみたいになっており、そこから2本線路が伸びてきている
線路が引かれているところは1.5mほど掘り下げられており、まるで地下鉄の駅みたいになっていた
エレベーターの到着と同時にガタンガタンと言う音がトンネルの奥からする
トンネルから電気機関車が出てきて、右側の線路に入線し停車した
妖精さんが走り寄って運転席にいる妖精さんと話し始めた
2,3会話すると、運転席の妖精さんが運転台の無線で何かを話し始めた
5分ほどして、反対側の線に客車を付けた列車が入線してくる
「ヨウコソスルガショトウカイテイタンコウニ!」
大変遅れました(;´Д`)
いかんせんイベントのかかりっきりでしたはい・・・
現在E3甲をクリアしてE4やるのがめんどくさ!ってなっているところです(白目)
とりあえずE3でまだあっていない秋月掘りながらどうやって行こうか決める予定です
幸いにも堀は雲龍堀が50週前後とちょっと手間取ったくらいで済み、新艦の子たちは攻略中、葛城は5週目と資源にダメージをそんなに追わずに済みました
新艦堀が攻略中で終わったことを某大坂の提督さんに報告したところ血涙を流しておられましたはい