これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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今回はやたら目ったら長く日常話でありません。


駿河諸島鎮守府と大本営

大本営

 

軍の総括本部であるが今はもっぱら海軍の統括組織である。

月に一度ある大本営会議には基本出席しなければならないのだが特例で出なくてもいい鎮守府も存在する。

当然うちも指定を受けてはいるのだが、今回はそれを抜きにしてなるべくであれば参加してほしいとの要請を受け吹雪と加古の3人で大本営にいた。

できればこんな権力争いの場所に来たくはないのだが、どうやらうちに関係がある事が一部の議題にあるらしい。

吹雪はこういった会議には必ず連れて行っているため場慣れしているが、加古は珍しく目を見張らせあたりを警戒している雰囲気だ。

そうしてもらわなければ困るなぜならば・・・

 

「これはこれは耳本殿。おめずらしいことで・・・」

「なに!耳本中佐が見えているのか?!ご挨拶をせねば!」

「駿河殿!先日の臨時融資の件についてお礼を言いたく・・・・」

「耳本中佐!臨時融資の件でお話ししたいので昼食でも・・・」

 

こうなる

ちなみに駿河殿は俺の鎮守府が駿河諸島だかららしい。

おっさん爺さんに囲まれてもみくちゃにされるのが嫌だから、緊急の用がない限りは絶対来ないのだ。

 

 

 

「帰りてぇ・・・・」

「司令官・・・気持ちはわかりますがこらえてください。」

「提督もってもてじゃん」

「加古、お前は今日一日御用聞きな」

加古は悪かったと泣きつくがさすがに許さない。

いちいち献上品やら会食の誘いなどを受けたくないのだ。

加古は俺の態度が変わらないのに気付きあきらめて扉口で対応を始めた。

「まぁ大本営に同行するメンバーは一回は経験するんだけどな」

吹雪はもちろん川内、龍驤、古鷹、時雨、榛名全員この洗礼を経験済みだ。

ちなみに一番うまかったのは川内で、一触即発まで険悪に持って行ったのは、意外や意外古鷹だったりする。

え?意外じゃない?最近俺もそう思う・・・。

 

「提督~来客だよ~」

「って全部断れって言ったじゃん!」

「いやでもさぁ大湊の電だよ?」

加古が通した相手は以前うちの鎮守府に会談しに来た際、俺を気遣ってくれた艦娘だ。

「そっか。悪い悪い通して大丈夫だよ。」

 

「お久しぶりなのです。」

「久しぶりだね。この間はマグロありがとうね。」

「いえいえ。・・・よかったのです。」

「何がですか?」

「以前お会いした時よりもだいぶ顔色がいいので。」

「あーそれはその・・・。最近は大規模作戦がないおかげでそこそこの仕事量に落ち着いているんだ。」

「そうですか!それはよかったのです。」

「心配してくれてありがとうね。これ気持ちだけど。」

そういって旅館のフリーパスを渡す。

「これは駿河旅館のフリーパス!こんな高価なもの受け取れません!」

「えっそうなの?」

「司令官・・・。料金表の書類ちゃんと見ました?」

「えー・・・。まだかも。今日の決裁書類に混ざってるかも」

バッグをあさりレンガブロックぐらいの厚さの書類の束から探し出す。

「あった!どれどれ・・・。1泊最低で3万って・・・。」

最高額は見なかったことにした。最低ランク一か月ちょいが飛ぶってどんだけの部屋だよ・・・・。

あっ加古さん後生ですから古鷹さんに仕事持ち込んだなんて言わないで!

「でもそれを言ったらマグロだってかなりするんじゃない?」

スマホで電話をするのをやめてくれた加古が、ふと思い当たったように言った。

「それは・・・・」

「まぁうちにいつでも遊びに来てって意味合いだしね?仲のいい友達とでも気が向いたら来てよ。」

「そういうことでしたら・・・・すみませんこんなに高価なものをいただいてしまって・・・。」

「いーのいーの。何かあったら相談して?うちも何か困ったことあったら相談するからさ。」

 

電が出て行ったあとすぐに会議が始まるとの放送が入り、会場へと移動した。

大きなホールには大量の傍聴席がありすでに大半の提督は着席をしていた。

隅っこの人がいなさそうなところへと移動しようとすると係員に最前列のほうへと案内された。

最前列は発言者のみが座ることになっているため、何かしらの発言の機会があるということだ。

 

「それでは開会いたします!」

 

うちの鎮守府には関係のないことが多く、あってもそれは書類だけが回ってくるような案件であり、特に発言することもなく最後の議題になった。

ステージの壇上に上がったのは俺と同じかそれより下の若い提督だった。

肩章を見るに少将。

俺ぐらいの年であればエリート街道を歩いている人間であるというのが分かる。

 

「わたくし須下が提案いたしますのは先日の房総鎮守府での一件の判決の見直しです」

 

どうやらエリート様はろくでなしのようだ。

「罷免する際に証拠となったのは、艦娘が撮った写真や証言のみであり、証拠としての信憑性は薄いと思われます。さらに、先日罷免された二人は、国家への功労が多く罷免は妥当ではないと考えます。それに伴い、今回立件に至った証拠提示を行った駿河諸島鎮守府の耳本中佐の考えをお聞きしたい。」

・・・なるほどそういうことで大本営に呼ばれたわけか。

まったく胸糞の悪くなる要件だ。

会場では少将への肯定のヤジがちらほら飛んでいる。

壇上に進み出てマイクの前で一例をし発言をする。

「駿河諸島鎮守府の耳本です。わたくしがお答えする前に須下少将にお聞きしたいことがございます。なぜ艦娘が撮った写真や証言の信憑性が薄いのでしょうか?」

「鎮守府という閉鎖空間において提督以外すべて艦娘が大半であるためです。証拠というのは第三者であるものが集めてこそ信憑性があるということです。」

「では我々は第三者でないとお考えですか?」

「艦娘が撮った写真ですから信憑性は薄いと何度も申し上げています。監察官や他の提督、憲兵が撮った写真でないと証拠としては足りえないと思います。艦娘同士が共謀している可能性がありますから。」

「なるほど。では艦娘同士が共謀してなぜ困るのですか?」

「国家に対する反逆でしょう?今回の件も艦娘が謀ったとしか思えません。兵器ですし一回解体してリセットしたほうがよろしいでしょう。」

勝手にべらべらと先のことまで述べている。

自分の言うことは正しく、自分のいうことは皆縦にうなづく。

典型的な勘違い野郎だ。

軽蔑した目線を向けながら反論する。こういう輩は徹底的につぶすのが一番いい。

「左様ですか。ではお聞きしますが少将殿にとって艦娘とはいったいどのような存在ですか?」

「兵器以外の何物でもないでしょう?おぞましいことこの上ない存在ですよ。」

「・・・・私は彼女たちは特殊な兵器を使用できる唯一の人間と考えております。ただの兵器に感情がありますか?銃が笑いますか?刀が怒りますか?誰かを思いやったり心配したりしますか?」

「それは・・・」

少将は次の句が出ない。

「私としては少将のほうが人間ではないと思います。喜怒哀楽がある艦娘を平気で解体しろなどという様はもう人を殺すことに対して抵抗を持たない無差別殺人者と同じ存在としか思えません!少将こそ国家に対して反逆の意思があるとみられてもおかしくない。国家のために尽くしてくれる艦娘に対しそのような感情を抱いているあなたは反逆者も同然です!」

「心外だ!どういう神経をしているんだ!」

「では先ほどの質問に対して答えられますか?」

「・・・・・」

必死の形相で考えているようだが出てこない様子だ。

「証言どうこうから脱線は致しましたが、先日罷免された二人の見直しはなしということでよろしいですね?」

少将は何も答えない。

あれほどざわついていてヤジが時たま飛んできていた会場も水を打ったかのように静かだ。

壇上から降り席に着くと吹雪がそっと手を握ってきた。

「ありがとうございます。」

一言そういった。

 

「提督もあんなに声張り上げるんだ~」

「やめてくれ・・・心臓が破裂しそうなくらい緊張してたんだぞ」

「うっそだー」

加古は信じられないといった顔をしていた。

実のところあんな大勢の前で発言をすることは大の苦手だ。

今回はあまりにもむかっ腹に来たため、緊張よりも怒りが来てたためあんな啖呵が切れたのだが・・・

「おい」

呼び止められ後ろを向けば先ほどのエリート様がいた

「貴様にとって所属している艦娘とは何だ?」

「家族みたいな存在だ。」

即答すると鬼の首でも取ったかのように喜々として声を張り上げた。

「はっ!家族?貴様は鎮守府でままごとでもやっているのか?公私混同甚だしい!貴様は家族を戦場に喜んで送り出すのか?貴様こそ人間じゃないだろう!」

ここまで来てやるのが揚げ足取りとはつくづく救いようのない人間だ。

「ようなものといったのが聞こえませんでしたかな?少将殿?私は家族を戦場に送り出すことはできません。しかし、寝食をともにし、互いに困ったことや心配事を相談をする。一見すると戦友のようですがまた違う。」

戦友では互いに考えていることまでは即座には見抜き正しい対処はできないだろう。

それを言うのは野暮だったたあえて言わなかった。

奴は反論できず唇をかみしめていた。

「それでは時間ですので。」

 

 

 

「まったくえらい会議だった・・・」

飛行機の中で頭を抱える

「「家族みたいな存在だ」」キリッ

「やめろぉ!ちょっとこっぱずかしいんだ!」

加古と吹雪が茶化してくるが、いじられるのも悪くはない。

「ところで提督?大本営から仕事の書類新しく受け取ってなんかいないよね?」

「・・・・・まっさかー(棒)」

実はこっそり受け取ってカバンの中に忍ばせている。

仕方ないでしょ!あの下種に対して資源の供給止めなきゃだし。

何より最初に持ってきた書類は大半が大本営に送る書類だからすり替えても問題ない。

「ふーん。ところでこの書類束だけど朝見た時と違うんだけど?」

いつの間にか書類束をひらひらさせている。

カバンを確認すると空っぽになっていた。

「きっ気のせいじゃないかなー?」

ごまかそうと視線で吹雪に助け舟を求めた。

「・・・」フルフル

打つ手なし。

吹雪があきらめましょうという視線を向ける。

まだだ!まだあきらめんよ!

「あっ古鷹?」

「大本営から受け取りました!」

白旗をあげ降参した。

結局3週間後の書類のため加古が吹雪に毎日規定量の書類を渡すことになった。

 

「こういうところの勘は鈍くなってほしいなぁ・・・」




日常話のほうが書きやすかったです(白目)
納得していないところがちらほらあったりなかったり・・・。
次は日常話の予定です。
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