これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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前回のあらすじ
大将昇格の危機、若葉の秘密の道


駿河諸島鎮守府の作戦支援 その4

どこまでも広がる黒い空

あたりを見回すと、島らしきものが左右にある

 

(・・・・・・どこだ?ここ?)

 

提督はきょろきょろとあたりを見回した

そして、足元を見る

 

(なんだこれ?!)

 

見れば、足元は赤黒い色で、波立っていた

 

深海棲艦の鬼級や姫級

更にその中でも特に力を持ったものは、海面に影響を与え赤く変色する

現在時刻はおそらくだが、夜

そのせいで、赤黒い海面になっているのだろう

 

しかし、提督が驚いているのはそこではない

 

 

 

なぜ自分が海の上にいるか

 

 

 

試しにしゃがんで海面を触ろうとしたとき、正面から砲撃の音が響いてきた

 

(!)

 

恐る恐る足を踏み出すと、まるで地面があるかのように歩けた

地面から視線を前に移すと、明かりが見える

提督は、明かりに向かって走り出した

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・!」

「・・・・・・!?」

「・・・・・・。」

 

たどり着いた先では、今まさに深海棲艦と戦っている艦娘たちがいた

目を凝らせば7人が単縦陣を組んでいる

その中の末席に見覚えのある子が1人

 

(時雨・・・・・・。)

 

時雨が真剣な面持ちで魚雷を構え、

敵艦隊はすでに全滅寸前であり、残っているのは新発見の姫級が二人

 

「・・・・・・・。」

 

静かに好機をうかがっている様子だ

 

そばに行ってやりたいが、自分がいま置かれている状況がいまいち読めないため遠目から見守ることしかできない

 

「!」

 

時雨が動き始めた

狙いは埋護姫だ

ちょうど山城に向かって照準を合わせるために視線が外れたわずかなスキを見逃さなかった

 

「通してもらう!!」

 

魚雷を放つと同時に、埋護姫に肉迫する

時雨の声に気が付き振り向いたときには、すでに回避不可能なところまで魚雷が接近していた

 

 

「残念だったね。」

 

 

魚雷が当たると同時に、砲撃を加えた

 

 

 

「キッ・・・・・・キカ・・・・・・ナイ!」

 

 

 

水しぶきがはれると、そこには片膝をついた埋護姫がいた

撃沈にはわずかに及ばなかったものの、相手は交戦能力を失っているのが一目でわかる

 

「時雨!前を見なさい!!」

「えっ?」

(!)

 

少し息を切らし、埋護姫を見下ろしていた時雨は山城の声で顔を上げる

海峡夜棲姫が悲しそうに顔をゆがませると、砲撃を放った

 

 

 

暁の空に時雨の体が舞う

 

 

提督は走り始め、時雨が落ちてくる場所に立つ

触れられるかわからなかったが、とりあえず手を広げて待ってみる

時雨が腕に落ちてくると、ずしんとした重みが伝わる

が、すぐにその重さを感じなくなった

しかし、一度重さでバランスを崩したため提督はそのまま一緒に倒れこむことになった

 

「提督・・・・・・。みんな・・・・・・。僕やったよ。」

「ああ。お疲れ様。怪我を治して無事に帰ってきてちょうだいな。」

 

起き上がると、時雨を支えながら声をかけた

その声が聞こえたのかわからないが時雨は微笑むと目をつぶった

一瞬ドキッとしたが、気を失っただけのようだ

 

 

 

「真っ二つになりたいのぉ!!!!」

 

 

 

海峡夜棲姫が更に悲しそうな顔をしてわめきたてる

それに対し、山城が離れている提督にまで聞こえるほどの歯ぎしりをする

 

「時雨・・・・・・。よくやったわ。あとは私たちに任せなさい!」

 

キィィという音が聞こえ始めた

いつの間にか、空は漆黒の色から赤と水色の暁の空へと変化していた

基地航空隊の支援が来たのだ

爆撃を雨あられのように浴びせ、海峡夜棲姫は息も絶え絶えだった

 

 

 

 

「じゃまだぁ!どけぇぇぇ!」

 

 

 

試製41㎝三連装の轟音が響き渡る

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・っ!」

「んあっ!」

 

がばっと体を提督は起こす

目の前には書類が鎮座している

きょろきょろとあたりを見回すといつもの執務室だ

時刻はマルゴーサンマル

隣の机では、吹雪がきょろきょろと不思議そうな寝ぼけ顔で見回してる

 

「・・・・・・夢?」

 

夢にしてはずいぶんリアルすぎであるし、腕には時雨を受け止めた時の重さや感触が残っている

 

「ふぶ・・・・・・。」ジリリリン!ジリリ

 

電話がけたたましくなる

 

「はい。駿河諸島鎮守府・・・・・・。ああ彩雲か。」

『朝早くにごめんね!今ちょうど海峡夜棲姫を撃沈したって艦隊から連絡が入ったんだ!』

「・・・そっか。」

『?どうかしたのかい?』

「ああいや。ちょっと不思議なことがあってね。で、時雨はドックかい?」

 

提督は少し笑うと、彩雲に聞いてみる

 

『そうそう!最後に埋護姫を撃退してくれたMVPだよ!・・・ってよく知ってるね?』

「ん?まぁその辺はまたおいおい・・・ね?」

『それで実はまだ問題があって・・・・・・。』

「?」

『その埋護姫が逃げ延びて艦隊を形成したみたいなんだ。』

「・・・・・・!長期化しそうか?」

 

もし長期化すると、南方の泊地の体力がさらに削られることになる

 

『いや。多分だがそこまで長引くことはないと思う。』

「そうか・・・・・・。じゃあ時雨も?」

『それについては大丈夫!うちの時雨が昨日リンガ泊地に到着したと連絡があったからね!こっからはうちの時雨の出番さ。』

 

電話口からは張り切った声が聞こえる

その後、時雨がいつ頃戻ってくるのかを確認すると一つだけ伝言を頼んだ

 

 

「お疲れ様。怪我を治して無事に帰ってきてちょうだいな。」

 

 

 

 

「時雨ちゃん。いつ頃戻ってくるんですか?」

 

電話を置くと吹雪がどことなく心配そうに聞いてきた

 

「今はブルネイのほうに寄港しているらしい。艤装の修理、点検が終わってから戻るみたいだから3日後とのことだ。」

「そうですか!間宮さんや鳳翔さんに言っておいしいものをたくさん作ってもらいましょう!」

「そうだな。・・・っと!そうだ。ちょうどいいタイミングに着任の子がいるしな。準備しないと。」

「あ、じゃあその時は榛名さん呼んできますか?」

「ん。お願い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「航空母艦大鷹です。戦力としてお役に立てるよう、努めます。」

「ここの責任者の耳本だ。こっちは秘書艦の吹雪。そして宿泊棟の総支配人の榛名だ。」

 

 

 

 

自己紹介もそこそこに、本題に入る

大鷹は、龍驤と榛名の補佐がメインとなる

基地航空隊の交代要員として龍驤を補佐し、その業務がない時は、榛名の補佐として宿泊棟に行く形になる

予定では、大鷹は基地航空隊の補佐のみだったが、八丈島にいる瑞鶴が哨戒や管制業務を半々で受け持ってくれるという申し出があった

これにより、龍驤の負担がへり、補佐は少しだけでよくなった

代わりに、当初はホテルだけだったのに、今は旅館が併設されたため業務量がひっ迫寸前になっている宿泊棟への補佐を担当させることにした

もともと大鷹は、客船になる予定だった船

当然、一級のマナーや料理の腕などを身に着けている

それをぜひとも役立ててもらおうということだ

 

 

「それじゃあ後はよろしくね。」

「はい!榛名にお任せください!」

「よろしくね~。」

 

「あっ!そうでした。提督少しご質問が・・・・・・。」

 

榛名に連れられて出ていこうとした大鷹が提督の元に戻ってくる

 

「ん?なんかあった?」

「あの・・・お耳のほうを・・・・・・。」

「?」

 

言われた通り耳を傾ける

 

「あの・・・・・・お床の準備はどうなさいますか?」

「・・・・・・ん?」

 

大鷹の耳打ちに、一瞬固まった提督は一度背筋を伸ばした

そして聞き返す

 

「すまない。お床とは寝床のことだな?」

「あっはい。大将に夜の方をする気配がないからということで・・・・・・。」

 

提督はふぅー・・・・・・とゆっくり息を吐きだした

そして電話をとる

 

「あ?もしもし青葉?今大丈夫?悪いんだけど大将を一発ぶん殴ってきてくれない?艤装装着で。」

「あの・・・・・・それをこちらにいらっしゃる望月さんと皐月さんにせかされたと・・・・・・。」

「あ?もしもし?長波?今すぐ望月と皐月を執務室に縄で縛って連れてきて?え?無理?頑張って艤装使っていいから。」




吹雪ちゃんとお床につk・・・大変失礼いたしました



大変遅くなりました(;´・ω・)
早く仕上げようと思ってましたがイベントが始まってしまいここまで遅くなってしまいました

冬イベ開幕!
とか言ってたらE1~E3がめちゃくちゃ楽ちんなんで肩透かしを食らった気分になってます
E4でのジャービス、大東堀も無事終了し、本攻略に乗り出そうかなぁという次第です
E7のアイオワ堀があるのがなんとも;つД`)
早く終わってほしいぃ・・・

ちなみに武蔵さんの改装は設計図1枚の不足で済んでましたのでE1クリアしてさっさと改装しました(;´∀`)
5スロつおい・・・!

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