これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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前回のあらすじ

涼月生存&着任
オータムクラウド先生到着


駿河諸島鎮守府と同人活動 その1

「はい。それでは失礼いたします。」

 

ガチャンと受話器を置くと、再び書類に向かう

再び電話が鳴るが、今度は隣の机の吹雪が電話をとる

輸送船団の寄港のピークは過ぎ、補給部関係の忙しさはいつも通りの水準まで戻ってきた

代わりに、年末年始に向けての仕事が増えてきたところだ

 

「あれ?」

「どうかしました?」

 

提督は思わず時計を二度見して、声が漏れた

 

「いや。親潮が年末調整の書類や4半期の帳簿を13時に持ってくるっていったんだけど・・・・・・。」

「もう14時になりますね・・・・・・。」

 

時計はヒトサンゴーゴー

きっちりしている親潮が1時間近くも連絡なしに遅れるとは考えづらい

 

「ちょっと探してくるで留守をお願いね。」

「はい!行ってらっしゃいませ。・・・・・・はい!駿河諸島鎮守府です!」

 

執務室を出ると、寒さに体を震わせる

いくら本州より南寄りとはいえ、今の季節は冬

寒いことには変わりない

強い寒波が来れば雪だって降る

早く会計部の部屋に行って来ようと走り出した時

執務室から、電話に出ていたはずの吹雪が慌てて出てきて、提督を引き留めた

 

「司令官!大将からお電話です。」

「大将から?」

 

 

 

 

 

 

「はい耳本です。」

『すまんの。どうも呼び戻してしまったようじゃが。』

「いえ。ちょうど席を立ったばかりでしたので。それで何かありましたか?」

『いや。前に秋雲がそっちの離れを借りたいといったのを覚えておるかの?』

 

提督はええ覚えていますといったあと、はたと思案した

そして、机の上の卓上カレンダーを見る

予定が書きこまれすぎて見えづらくなっているが、確かに秋雲が来る日にメモが残っていた

 

「そういえば言ってましたね・・・・・・。もう一週間過ぎてますけど。」

『やっぱりあいつ連絡を忘れおったな!』

 

どうやら秋雲は挨拶を忘れて、そのまま原稿に取り掛かってしまったらしい

念のため本人がいるかどうかを後で確認してきてほしいと大将に頼まれた

どうやら、ここにいる間は少しだけ事務仕事があるらしい

 

 

 

 

 

 

 

「親潮ー?おやしおー?」

 

会計部の扉をノックするが、誰も出てくる気配はない

妖精さんの一人くらいいるはず

そう思い、扉を開けるとあわただしく妖精さんが動き回っている

ちょうど近くを通りがかった妖精さんを呼び止める

 

「ちょっといい?」

「ナンデス?」

「親潮はいないの?」

「オヤシオサンナラヨウジガアルトイッテハルナサンノトコロニイッタデス。」

 

そういうと、急いで仕事に戻っていった

会計部は補給部と並んで忙しい部署

これ以上話しかけて仕事の邪魔をするのは悪いと思い撤収することにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再開発中の温泉街を抜け、ホテルを横目にしばらく行くと旅館がある

いつぞや来た時に、ホテルの従業員から浴びせられた視線を思い出し、事前に連絡することにした

すると、こちらも用事で席を外しているということだった

行き先を聞いてもどこかわからなかったため、仕方なく旅館にいるはずの秋雲の件をかたずけることにした

 

「あら?提督どうかなさいましたか?」

 

着物を着た大鷹が入り口で出迎えてくれた

 

「いや一番奥の離れに用事があってね。誰か入ってるよね?」

「さぁ・・・・・・?榛名さんでしたらご存知だと思いますが・・・・・・。あ、でもちょうど榛名さんと親潮さんが離れのほうに行くと・・・・・・。」

「あらら?」

 

探し回った結果、最初からここに来ればよかったという事実に肩を落とす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木の葉は全て落ち、水面は風で少しだけ波立っている

春や夏、秋に比べると寂寥を感じるがそれもまた一興

 

ここ最近また仕事に忙殺されているな

年末には吹雪と2人でどこかに行ければいいな

そんなことを思いながら歩いていると、離れが見えてきた

 

妖精さんご自慢の技術で作られた離れは、外観は少し大きめの古い茅葺の庵だ

しかし、その中は1LDと広めで冷暖房完備、風呂トイレ完備と籠るには絶好の場所である

 

 

 

「・・・・・・。なんか騒がしいけど。」

 

先ほどまでの穏やかな気持ちが吹き飛ぶように聞き覚えのない声とシャッター音が聞こえる

玄関から入り、廊下を歩いて部屋の障子の前に立つ

念のため呼びかけたり、たたいてみるが返事はなく相変わらず騒がしい

提督は仕方なく開けることにした

 

「おーい。さっきから返事・・・・・・が?」

「「てっていとく/しっしれい・・・・・・!」」

「お邪魔しました!」

 

勢いよく障子をピシャッと閉めた

 

部屋の中では親潮が榛名に覆いかぶさっていた

それだけならまだよかった

 

 

 

 

まさか生まれたままの姿になっているとは思わなかった

 

 

 

 

とりあえずどうしようかと障子の前で目頭を押さえる

 

「「待ってください!」」

「え?」

 

とりあえず恥ずかしいところだけ隠して出てきたのだろう

下着姿で飛び出してきた

 

が、それは提督が扉の前にいないと思っているのが前提

障子の前でどうしようか思案していた提督に突っ込むことになってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し首をもたげながら、ズキズキと熱を持つ後頭部を気にする

徐々に目を開けると、目の前には親潮が自身の体に覆いかぶさっていた

そして、その上には榛名がのっかっているが、ギリギリのところで親潮はサンドイッチになっていない

 

なぜか

 

それは、提督の両手が柔らかい感触に包まれていることが起因している

それに気が付いたのは目を開け、親潮が無事であることを確認した時だった

 

肩でも腹でもなく、女性特有かつここにいる中で一番豊満な双丘に両手を当てて榛名を支えていた

 

「なんだなんだぁ?・・・・・・!」

 

手をどかそうにも、急にどかせば親潮に負担がかかる

 

というより、これ以上親潮にも密着されるといろいろとマズイ

そう思い、どうしようか回らない頭を必死に回そうとして空回りしているときだった

 

「なっ長・・・・・・波?」

 

まずい

これは非常にまずい

この状況をどう解釈しても今から1対2でおっぱじめようとしている姿にしか見えない

長波はおそらくパトロールに来ていたのだろう

これが、深雪や望月、皐月当たりだったら誤解を解くのは楽だっただろう

 

・・・望月や皐月はもう少し面倒なことになっていただろうが

 

「こここここれはちちがってだだだだ!」

「ああ・・・・・・。わかってるさ。」

 

真顔で長波がこちらに近づいてきた

提督はどう誤解を解こうか、そしてどうやって榛名を起こして親潮をはがそうか焦りばかりが出てしまい首をあちらこちらに回すことしかできない

運の悪いことに、榛名も親潮も顔を赤らめて頭の処理ができてないことが一目でわかる

これでは誤解を解くのに協力してもらうのはしばらくかかりそうだ

 

 

 

「くぉら秋雲!!お前のせいだろ!!」

 

スパーンともう片方の障子を開け放つと、デジカメを持った秋雲がやばっという声を出した

 

 

 

 

 

 

 

 

「すんませんでした・・・・・・。」

 

頭にきれいな雪だるまのコブを2つ作った秋雲が提督と榛名の前で土下座をしていた

後ろには呆れた顔をした長波と少し顔を赤らめ気まずそうな顔をした親潮が、仁王立ちで立っている

 

「えっと俺は大丈夫だけど・・・・・・。まぁその・・・・・・もう少し大声で呼びかければよかったね・・・・・・。」

 

早い話、秋雲の薄い本のための資料のためだった

たまたま、秋雲がこちらに来ている間にこなす予定だった仕事を親潮と食事の確認に来た榛名が一緒に尋ねたことが始まりだった

姉妹である秋雲の頼みを親潮は断れずしぶしぶ了承し、榛名にも一緒に頭を下げて頼んだ

 

「その・・・・・・・。榛名は大丈夫・・・・・・です。」

 

更にほほを赤らめた榛名は、恥ずかしいのか顔を覆ってしまった

 

「とりあえず俺は勘違いされなくてよかったというのがね?」

 

チラッと長波を見る

その視線に気づいたのか、長波は苦笑いをした

 

「いや~・・・・・・。提督がこういうことする人じゃないってのは長い間いるわけじゃないあたしでもわかり切っているというかぁ・・・・・・ねぇ?」

「つまりこういうことには割とヘタレ(奥手)ってこと?」

 

秋雲が生き生きと頭を上げた

それに対して、秋雲の言葉はグサッという漫画のような効果音が提督に突き刺さる

 

「ばっか!せっかくあたしがぼかしたのに!」

「だってケッコンしてまだヤッてない提督って結構貴重よ?今作はその路線もありか!」

 

長波がはたいても、秋雲は生き生きとしている

 

「秋雲!いい加減にしなさい!司令!どうか聞き流していただけると・・・・・・。」

「うん・・・。大丈夫。気にしてないから・・・・・・。」

 

精一杯笑ったつもりだったが引きつった笑みしかできなかった

長波の気を使った小声や親潮の気遣いが逆に痛かった

 

 

 

 

「とりあえず、こっちにいる間は出撃任務は基本なしでこっちに提出予定の書類をこなしてくれればいいからね。」

「りょうか~い。」

 

原稿に向かっている秋雲は、こちらを向かずに返事をする

部屋に残っているのは親潮だけで、榛名と長波は仕事に戻っていった

 

「で、一応原稿終わったら連絡が欲しいって大将が言ってたからそこもちゃんとしてね?」

「ん?原稿なら終わってるよ?」

「「え?」」

「じゃあさっき撮った写真は・・・・・・?」

 

親潮が小刻みに震えながら聞く

 

「いやぁ~・・・筆が進みそうだったから2冊目の原稿に入っちゃってさぁ。その資料だよん。」

「・・・・・・!」

 

提督は思わず後ずさりした

それに気が付いたのだろう

秋雲はさびた蛇口のようにゆっくりと振り返る

 

「あきぐも・・・・・・?」

「あはは。えーと・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

秋雲の頭から13号電探が生えることになった




遅くなりました(;´∀`)

霰改二の次は陽炎改二がほぼ内定ということで恒例の焦ってレベリング・・・
せずとも70に到達していたのでのんびり改造の最高レベル88を目安にのんびりとレベリングしています
やっとこさ焦ってレベリングしなくて済むなぁとちょっと感動してたりします

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