これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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前回のあらすじ

オータムクラウド先生来襲
提督ラッキースケベの代償に精神を滅多打ち

※今回結構下品です


駿河諸島鎮守府と同人活動 その2

「ふーん・・・。」

「お願いできませんか?」

 

目の下に隈を作り、目をシパシパさせながら手に持った書類を机の上に音を立てておく

 

特殊鎮守府車両の整備許可願い

 

特殊鎮守府とは、一言で言ってしまえば移動鎮守府である

まだ、深海棲艦への対抗方法が艦娘と分かったばかりのころに設立された鎮守府だ

海軍の歴史の中では四大鎮守府の次に古い鎮守府に当たる

 

業務内容は、日本の沿岸に出没した深海棲艦への迎撃である

最初のころは、今みたいに警備府、監視府が全国津々浦々にまでなく現場に急行するまでに時間がかかった

そこで、常に沿岸の鉄路を巡回させ迅速に対処できるようにしたのが移動鎮守府だった

 

黎明期には、そこそこ活躍したものの各地の基地が整備された今では、大本営直轄の鉄道部に格下げさせられて人員も削減されていた

 

「それってここじゃないとできないことなの?」

 

書類を持ってきた夕張に率直な疑問をぶつける

 

「あの機関車はただのSL・・・ただの蒸気機関車ではないんです。」

「というと?」

「あれは、艦娘の艤装技術を一部流用して作られた機関車なんです。」

「・・・・・・。なるほど、つまりそろそろ整備をしないとまずい時に来ているけど迂闊なところで整備はできないというわけか。」

 

頷きながら許可の判を押す

 

「ありがとうございます!」

「いいっていいって。後輩の車両でもあるからな。」

「提督の後輩ですか?」

「そ。さぁ行った行った。ちょっとここ数日やけに書類が立て込んで忙しいんだ。」

 

目元を抑えながら、執務机に提督は戻っていく

時刻はマルマルサンマル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駿河諸島鎮守府 旅館一室

 

「席に着いたね・・・・・・。」

 

ノートパソコンに映し出されているのは、四分割された提督の執務室

モンスター片手に書類と奮闘する提督の姿が映っていた

 

 

 

『・・・・・・ん?』

「「来た!」」

 

 

 

パソコンの前にいるのは秋雲

そして、望月と皐月が片手で秋雲の頭を踏み台にした

 

 

 

 

 

「なんだこれ?」

 

書類の山から見覚えのない3冊の冊子が出てきた

表裏何も書かれておらず、見た目はとても薄い

試しにめくってみると・・・

 

「望月・・・?ってこれ漫画かよ・・・・・・。」

 

おそらくは秋雲から回ってくる書類に紛れてきたのだろうと察する

 

「ほー・・・こういうかんz・・・!」

 

ぺらぺらとめくって流し読みしていた提督だったが、あるシーンになったとたん冊子を閉じた

思わず天を仰ぎ見る

 

「ひょっとして全部そうか?!」

 

それぞれ、めくってみれば書かれていたのは皐月と若葉

少しほほを赤らめて、全く・・・と言いながら苦々しい顔をした

3つの冊子をまとめると、机の隅っこに置くと、上に「秋雲の私物」と書いた紙を置いた

 

 

 

 

 

 

「「あれぇ・・・?」」

「・・・・・・。」

 

皐月と望月は声をそろえて残念そうな声を出し、若葉は何も言わないが少し落ち込んだ雰囲気を醸し出していた

 

「やっぱ純愛ものじゃなくて乱交もののほうがいいっていったじゃん!」

「わかってないなぁ~。それじゃあみっちゃんろくに見もせずに閉じちゃうでしょ?」

 

経験則がある望月が窘めると皐月はまぁそうだねといった

 

「しかしだ。確かに提督は反応はしていたぞ?」

「つまり裸で迫ってみればいいんだね!」

 

3人は部屋の隅でどうアプローチしようか算段を立て始めた

 

 

 

 

 

「・・・・・・。なんかすごい濃ゆいねぇ。」

「まぁなんだかんだ好かれてはいるからね。」

 

秋雲が少し引き気味で言うと、深雪が秋雲の隣に来て笑った

 

「でもおかげさまで3冊目も行けそうな感じだかんね。」

 

にやりと後ろを見やる

そこには、吹雪以外の鎮守府にいて提督と契りを交わしているメンバーがいた

そう

ここ数日提督が忙しいのは、普段仕事量を調整している古鷹と時雨の協力があったからだ

秋雲曰く、今回書きたいのは純愛系

そこで登場させたい男のイメージは性に関して奥手・・・

いわゆる童貞の系統にしたいという設定があった

 

ちょうど、数日前に親潮、榛名が提督とぶつかったとき、提督が榛名の豊満な胸に手をついて支えてしまったことがあった

その時、握りしめるわけでもどかすわけでもなく手のひらを広げて握りしめないようにだけしていた提督を見て秋雲は気が付いた

 

「これは使える!」

 

更に幸運が続く

提督はまだ誰とも大人の一夜を共にしていないという事実

吹雪に自ら告白したとはいえ、ひょっとするとLoveではなくLikeのほうだったのではないか・・・・・・にわかに心配になり始めたのだ

これならば資料集めという不純な動機で、協力者など望めないはずが一転

 

提督の好みがわかるかもしれない、提督の普段見られない反応が見られるかもしれない

 

甘言に押しつぶされるものが続出したというわけだ

また、冷静に対処されては困るため仕事で疲れた状態ならば判断力が鈍り、ひょっとすると致してくれるかもしれない

そんな甘言を付けたら、あっさり落ちた調整役達だった

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

提督は目の前の冊子を見つめていた

今度の冊子は5冊

少し考えたが、見続けても仕方ないと手に取った

 

「・・・・・・今度は深雪かい。」

 

もう観念したのかぺらぺらと見始めた

そして、成人向けになるシーンの直前にパタンと音を立てて閉める

 

「龍驤に阿武隈・・・おいおい山風まであるんかい・・・・・・。」

 

全年齢に見せられるところまで見ると、閉じてしまい再び秋雲返却ゾーンへと置いた

残った一冊は本当の資料であり、なんだ・・・と言いながら処理を始めた

 

 

 

「ええ・・・!終わりかよ!」

「終わりだねぇ。」

 

深雪が音を立てて机をたたく

しかし、非情かな

提督は何食わぬ顔で執務に戻っている

 

「うぅ・・・・・・。」

「最初の望月たちのほうが反応あったんやないか?」

「・・・・・・・。」

 

ひょうひょうとした龍驤ですら少しうろたえていた

阿武隈と山風の落胆ぶりに、さすがの秋雲も罪悪感が芽生えた

とはいっても、秋雲にもどうすることもできない

 

「しかたないなぁ・・・。」

 

秋雲はノートパソコンを一度手繰り寄せ、カチカチと何かを始めた

よしという声とともに、目の前に出てきたのは・・・・・・

 

「「「「!!!」」」」

 

四分割のうち一つだけ視点が移り変わっている

 

 

 

「その視点のカメラはこの若葉が設置した。」

 

キリっとした顔で若葉が手を挙げた

どこに設置されているのかといえば、男性は性的な興奮を覚えた場合ある場所が反応を示す

つまりは、切り替わった視線というのは机の中側から見た視点

股間が見えるようになっているわけだ

 

 

 

「って・・・結局見たところピクリとも動いとらんやんけ・・・。」

 

カクッと龍驤が頭を垂れた

 

 

 

 

「・・・!」

 

またしても冊子

提督はそっと開けてみる

 

「っとこれは皐月からの再開発の資料か。」

 

肩透かしを食らった感じで、安心した顔をする

その後も、冊子が来るたびに構えるがどれも本物の資料だった

 

 

「もう終わりなんか?」

「まさか。」

 

龍驤が不思議そうに聞くと、秋雲は意地の悪そうな笑みを浮かべた

 

「ここからは内容が変わってくるのさ。主にここが素晴らしい人たちだからね。」

「それはうちに喧嘩売っとるんか?」

 

秋雲がさすさすと胸をさすると、龍驤が笑顔で青筋を浮かべた

 

「そろそろ警戒心がなくなってきてるころだから・・・・・・。来たっ!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・。」

 

 

 

 

流れ作業で開いた冊子

そこにはすっぽんぽんで平均より大きい双丘をあらわにし、男の象徴を例のところに突っ込んで乱れている様子の川内が書かれていた

 

 

 

 

 

「うわわわ・・・。改めてこんなの見ると恥ずかしいねぇ。」

 

川内が少し照れ臭そうにほほを掻いて画面を見る

 

 

 

「・・・・・・っ。」

 

提督はゆっくりと閉じた

そして、深呼吸を始めた

吸って、吐いて、吸って、吐いて

 

 

 

 

「うっはー顔真っ赤になってるよ。」

 

くすくすと加古が笑っている

 

(ん?おやおや?)

 

皆騒いでいて気が付かないが、秋雲は若葉カメラにかすかだが動きがあることに気が付いた

 

 

 

 

「んんんんんん!!!」

 

一方執務室は大変な騒ぎになっていた

ここから冊子が連続していることに気が付いた提督が机に頭を打ち付け始めた

やがて落ち着いたのか、そのまま頭をゆっくりともたげ冊子を手元に持ってくる

 

「・・・・・・。そうだ。さっきは油断したけど考えてもみれば大体最初のページは普通だったじゃないか!」

 

そう

先ほどの冊子はうっかり真ん中のところから開いていた

 

「そうと分かれば楽r・・・。」

 

「かかった!」

 

 

 

そう秋雲が声を上げた

画面の提督は目をかっぴらいて動かない

 

 

こちらもまた見事な豊満な胸を見開きいっぱいにさらけだして両腕を広げている榛名がいた

 

 

 

 

 

「えっ・・・。2ページ目開いたよね・・・?まさか・・・・・・。」

 

提督はそっと閉じて、次の冊子を開ける

古鷹、加古、時雨に衣笠・・・全員がものの見事にポーズこそ違えど致しているところ

もしくは、致す寸前だったのだ

 

 

これが秋雲が言っていた内容が違うということだ

 

 

おそらく、回数を重ねると学習して一ページだけ見て終わりにしてしまうだろうという見立てだ

それでは、本来の趣旨である反応が見れなくて収穫がない

 

ならば、どこを見ても男の性を駆り立てるページにしてしまえばよい

その考えは見事的中し、提督にクリティカルヒットをたたき出した

 

 

 

「・・・っ!だぁもう!こんなんじゃ集中してできん!もう冊子関係は明日に回す!」

 

半分キレ気味に同人誌を返却ゾーンへと乱雑に置き、未決済のところから適当な量の冊子をつかみ取る

 

 

 

「あっ!」

「親潮のは特別サービスにしておいたよ。」

 

 

 

「まっtあああああ!!」

 

奇声を上げた提督

適当につかみ取った書類束の上には親潮の同人誌が乗っていた

 

それも、今までのものと違い表紙付きで悩まし気な表情でこちらにお尻を向けているものだった

 

 

「秋雲・・・!」

 

 

顔を真っ赤にして髪留めを秋雲に突き刺そうとするが、カメラの映像が気になってそちらをチラチラ見ている・・・

 

どころかがっつり見ている

 

 

 

 

「今日は一体何なんだ・・・?」

 

肩で息をしながら提督は書類を捌くことを再開した

しかし、今までと違い秋雲への返却ゾーンにチラチラと視線がいっている

誰もいないのに咳ばらいを先ほどから連発し、そわそわと落ち着かない

 

 

 

「これよこれよ!この反応を待っていたのよ!」

 

秋雲はスケッチブックにペンを走らせる

周りも、もしかするとという期待をもって見つめる

 

大変見苦しいが、机の中の映像も男として正常な反応を示してしまっている状態が流れている

 

 

 

 

 

「・・・っ!!」

 

書類をいつもの2倍時間をかけて何とか終え、次の束をそう思った時だった

またもや冊子

しかも表紙ありだ

 

 

これまたすっぽんぽん・・・

 

というわけではない

トロンとした表情に赤く火照ったほほ

乱れたセーラー服

 

これだけなら全く!といいながら返却ゾーンへ直行だ

何が提督を迷わせているか

 

 

 

表紙が吹雪だからだ

 

 

 

 

「あー・・・やっぱり吹雪か・・・。」

 

周りの空気はがっかりに変わった

が、秋雲は一人違った目で画面を見ていた

 

提督の目の色が変わった

 

先ほどまでは戸惑いが目に映っていた

しかし、今の目の色は明らかに違う

我慢が抑えられなくなっている目だ

 

 

先ほどまで乱れていた呼吸は、逆に静かになった

ゆっくりと手を伸ばし、冊子をつかむと手元に持ってくる

まじまじと表紙を見ながら、そっとページをめくろうと手を伸ばす

部屋の中では、様子が変わったことに気が付いた皆が見入っていた

数人は、目を覆っていたがその覆いは隙間だらけで意味をなしていない

音は、秋雲が手元を見ずに動かしているスケッチブックとペンの音だけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」スッ

「しれいかーん・・・・・・。」

「!!!!!!」ガン

 

ノックなしに扉を開けて入ってきたのは吹雪だった

寝間着に、寝ぼけまなこ

提督は瞬時に手に持っていた冊子を机の下に隠す

 

「な・・・ん”!なんかあった?」

 

声の上ずりを一度の咳払いで戻し、吹雪に問いかける

 

「いまなんかものすごいおとしませんでしたか・・・?」

「ああ!突然開いたからびっくりして机に足がね!」

「あ、すみません・・・。」

 

ようやく目が覚めてきたのか、目を瞬かせる

 

「それよりこんな時間にどうしたの?」

 

時刻はマルサンサンマル

 

「ちょっと目が覚めた時に、思い出したんです。」

 

隣の秘書艦用机に近寄ると、書類束を取り出した

そして、正面に回り決済済みのところに置く

 

「ほんとは仕事が終わったときに置いていこうとして忘れちゃったんです。」

 

見れば、朝一番に回さないといけないものだった

 

「そっかそっか。気を付けてね。」

「司令官もそろそろ寝たほうがいいですよ?」

「うん!もう少ししたら片付けするから!!」

「?それじゃあおやすみなさい。」

 

無意識に声が大きめになっている

訝し気な吹雪の表情に引きつった笑いで見送る

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・・。」

「司令官?」

「ななななに?」

 

びくっとして、思わず隠してた冊子を取り落とす

幸いにも、音は声でまぎれ聞こえなかったようだ

 

「ひょっとして調子とか・・・。」

「大丈夫!大丈夫!ほんとに大丈夫だから!」

「そっそれならいいんですけど・・・・・・。おやすみなさい。」

 

あまりの必死さに、吹雪も引き下がった

 

扉に思わずもたれかかり、吹雪の足音が徐々に消えていくのが聞こえると、肺の底から息を吐く

そして、ふらふらと机に戻り椅子に腰かけようとする

落した吹雪の同人誌を拾おうとしゃがみこんだ時だった

 

 

 

『・・・・・・ん?』

「やっば!」

『なんだこれ?』

 

秋雲と提督の目が合った

正確にはカメラ越しで、提督側からはわからない

にゅっと手が伸び、四分割のうちの一角が揺れだす

 

「・・・・・・!」

 

何かに気が付いた提督は、スマホで電話をかける

 

『もしもし?夕張か?すまんもう寝てたよな・・・・・・。最近小型カメラの注文ってなかったか?え?秋雲から?そうかわかった。わりーっけね起こしちゃって。じゃ。』

 

 

 

 

「やっば!・・・ってえ?」

 

誰かに意見を求めようと、後ろを見れば先ほどまで見入っていた者たちは誰一人いない

ただそこに一枚の紙切れが残されているのみだった

 

 

 

 

 

がんばれ

 

 

 

 

 

「・・・・・・やっべー。詰んだねこれ・・・・・・。」ドンドンアキグモ∼?

 

 

 

 

 

最終的に謝罪と交渉の末、あるものと引き換えに何とか許してもらった

 

 

 

三冊目がぎりぎりだったものの、なんとか脱稿

冬の祭典での売れ行きは「男性の心理、行動描写がリアル!」と好評

 

 

 

 

のちにプレミアがつくほどになったとか




秋雲編はこれにて終了です
ちょっと・・・いやかなり下品になっちゃったかもです(;´∀`)


更新遅れまして申し訳ございません
多忙のなか動画作成のほうに時間を割きまして更新が遅れました


いやぁ陽炎改二のグラもなかなかいいですねぇ
幸いにもうちでは霞改二乙を基準にして88まで上げてありましたので滞りなく改装できました
多分流れからすると不知火改二も決まっているんだろうなぁと思いつつ・・・
3人目の改装は誰だろうかとちょっと怖くなってたりします
順当に行けば黒潮なんですが・・・
谷風もありそうだなぁと・・・

なお、5周年任務で鎮守府海域と南西諸島の出撃数ひっくるめて51回ほど出撃しました

なにこれ?(キレ気味)

閣これ祭参加してます(こちらもちょっと下品だったり・・・)

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