これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の非常業務 その3

『耳本中佐!お手柄だ!君の言った通り北東に敵の本隊および新型艦を発見できた。』

『それはよかったです。ところで空襲は大丈夫でしたか?』

『ああ・・・。民間人に被害はなかった。』

『・・・資源用意しときます。』

『・・・・余計な仕事を増やしてすまない。それではな。』

 

砂安中将からお礼の電話だったが、仕事が増えたことも確定した。

とりあえず今日裁く予定だった仕事+αは片づけた。

ソファーでは時雨が山風を寝かしつけており、とても微笑ましい。

それを横目に吹雪に頼み、書類を新しく書き始めた。

どうせ来ることが確定しているのだ。

先ほどの資源補充の許可書等を事前に準備しておく。

これが終わったら今日放出した分の資源の増産の見積もりを出さねばならない。

明日でもいいのだが今やっておけば明日の負担が減る

「だからそんな顔しないでくれ・・・・時雨」

「・・・うん。」

じとっと全然不満ありますといった視線を向けていた時雨に言った。

 

そうこれは仕方のないこと

嫌々やっているんだ。

え?ちょっとうれしそう?まっさか!

 

・・・え?ほんとに?

 

自分はワーホリではないはず・・・そう思っているが違ったのだろうか。

「でも終わるまでは手伝うよ。」

「いや大丈夫だよ。時雨も疲れているだろ?」

今朝みんなが集まった時言わなかったが全員クマができていた。

俺自身でも裁ききれない書類がこぼれたまっていくため、他の皆もあまり寝れてないようだ。

俺と吹雪は貫徹はなれているが、川内以外は慣れていない。

おそらく仕事量や疲労度からみるに2徹はしている。

さすがに今日はさせるわけにはいかない

「でも提督ここ一週間の睡眠時間10時間ないよね?」

「残念13時間寝ました~」

「ほら。今朝寝るまでは碌に寝てないじゃない。」

完全に墓穴を掘った

「・・・あーあー聞こえない」

「子供みたいなこと言ってないで早く片付けよう?」

吹雪から書類を受け取り、山風を起こさないように始めていた。

吹雪は今日はあきらめましょう。といった視線だ。

口パクで「あの手がありますし」と言っていた。

 

 

 

 

時刻はフタサンマルマル

時雨に交渉を行い何とかさらにちょっと余分に仕事を片付け自室へと戻る。

バリケードはすでになく、当然布団のふくらみはない。

「さてっと・・・。こういう時の秘密の扉♪」

執務室にとんぼ返りしようとしたところ、何かに引っ張られた。

「え?なに?」

「提督・・・。」

仕事が終わる少し前に時雨とともに部屋に行ったはずの山風がいた。

寝間着を着ており、枕を持っていた。

「提督と、一緒に、寝たい。」

どうやら昨日俺が普段使っている布団で寝たせいか、落ち着くらしい。

「・・・・時雨ェ」

絶対あいつこっちに誘導しただろ・・・

「時雨姉ぇが、提督と寝ると、安心して寝れる、って言ったから・・・だめ?」

「・・・仕方ないな。ちょっとシャワー浴びてくるから待っててな。」

寝かしつけてから仕事にかかろう。

 

 

 

 

 

「そう思っていた時期が俺にもありました。」

一緒の布団に入り山風は10分ほどで眠りについた。

最初は服の裾をつかまれてしまい焦ったが最悪脱いで抜け出せばよい

そう考えていたのが甘かった

抜け出す前に頭を撫でた

これが失敗だった

 

 

なんとそのまま手をつかまれてしまったのだ!

 

 

幸い寝るのには不便ではない左手(山風は左側)をつかまれたが

抜け出すのに腕を引っこ抜くわけにもいかないし、振りほどいたら起きてしまう。

うんうんと小さく聞こえないように考えていると小さくノックの音がした。

「しれいかーん?いけそうですかー?」

そっと着替え等を持って吹雪が入室してきた

「御覧の通りだ・・・」

「あー・・・これは無理ですね・・・。」

「まだだ。利き手は動く。ここで仕事をやろう。」

吹雪に執務室から持ってきてもらえばいい。

そう食い下がったが、ここで急に重さを感じた。

見ると左腕を握っていた手がほどけている

 

 

 

だが、山風にいつぞやのようにがっちりと抱き枕のようにされてしまったのである。

ちょっとでも動くと顔をゆがめて小さく唸り声がする。

おそらく無理に動けば起きるだろう。

「・・・司令官。あきらめましょうか。」

「・・・・・・明日だな」

「じゃあついでで私もご一緒してますね」

「え?ちょっ・・・まっ!」

吹雪も山風も体は大きくないため収まることには収まるが

「じゃあおやすみなさい司令官。」

「あ、うん、お休み・・・。」

ついこの間からちょいちょい潜り込みをされているため、すでに半分あきらめてはいるが果たしてこれはどうなのだろうか・・・?

 

 

 

 

 

 

・・・・望月よりましか

 

 

極論だがそう思うことで自身を無理やり納得させた。

 

 

 

 

 

 

敵本隊概要

 

水母   1隻

戦艦   6隻

空母   7隻

重巡   9隻

軽巡   6隻

駆逐  18隻

潜水艦  4隻

※敵本隊は連合艦隊の編成

※敵本隊の南南西の小隊旗艦は戦艦棲姫

※敵本隊旗艦は新種艦により水母水姫(シャングリラ)と呼称を決定

 

朝一で送られてきた続報である。

こちらとしては戦闘はないものとしているが、残党がこちらに来る可能性を否定できないのが厄介だ。

先日最初に発見した前衛船団はすでに壊滅させた。

こちらからもまだ滑走路は一本しか使用はできなかったが、基地航空隊として龍驤と鳳翔それぞれに指揮を執ってもらい派遣した。

おそらく昼頃から残党狩りと本隊への攻撃が始まるだろう。

前線指揮所も八丈島と房総鎮守府2か所に決まったため、ようやくうちは見かけだけは落ち着きを取り戻した。

見かけ「だけ」はだ

 

 

結局、消費した分の資材計算や取り戻す時間、これから来ると想定される遠征部隊の見積もり、一時貸与した装備品の修理費や期間などなど・・・。

うちの鎮守府の中はハチの巣を2つ、3つを同時に突っついた騒ぎだった。

執務室にはいらなくなったメモ用紙やミスプリ、用済みの書類が床に散らばり、おまけに使い捨てのごとく100円ボールペンがあっちこっちに散らばっている。

 

俺は今回の大本営に対する請求書の計算にさっきからかかりっきりだ。

試算を出すのに電卓を使おうとするが吹雪が使っており、そろばんは時雨が使っている。

仕方なくスマホの電卓機能を使おうと起動させると充電切れ

舌打ちをしてソファーに放りなげると吹雪から何かパスが来た。

受け取ると吹雪のスマホで、電卓が表示されている

「あんがとさん!」

「いいえ!」

 

 

 

ちなみに山風はいきなり事務処理を任せるわけにいかないので、床に落ちた雑紙をまとめてもらっている。

ボールペンも集めてはもらっているが、あまりの忙しさで計算が終わり一枚描きあがるたびに机の上から零れ落ちている。

ちょっと泣きそうな顔をしているが、書類を書いている片手間に撫でてやると頑張ると言ってくれ、何とか回っている。

シュレッダーもフル回転しているが5台中1台が紙詰まり、1台が満杯

だがそれを処理する時間すらない。

分類に間違いがあってもいけないので、山風にはそちらに専念してもらっている。

そんなことを言っていたらピーという音とともにシュレッダーがまた一つ使用不能に

 

 

 

 

「山風!」

「なに?」

あわあわとして困っている山風を呼び寄せた

「もう環境に配慮だのどうこう言ってられない!文字が書いてあるやつはこん中に全部ぶち込んじゃえ!」

最終兵器として出した手段。

それは

「暖炉?」

ほとんど飾りだが一応機能はする

煙突内部に換気扇を仕込んであるため、部屋になるべくすすや煙を残さないようにしている。

 

 

 

換気のため窓を開け放しながら仕事をこなしていく

後のすす処理とかどうしようかと一瞬浮かんだが背に腹は代えられない

あきらめよう

再び思考を仕事に戻したとき電話が鳴った

吹雪は手を離せそうにないし、俺も手を電卓から離せない。

山風を応対させるわけにもいかないため(一応うちにいないことになっているため)受話器だけ取ってもらい耳に当ててもらった。




艦これのアップデート来ましたね・・・。
これ冬イベで使いますよって雰囲気プンプン漂わせてるじゃないですかヤダー。

もしくは高速艦の優遇が続いたから低速艦に対しての救済措置か
どっちにしろ缶一個しかないからどうしようもないんですがね・・・。

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