これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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伏線回収・・・。
気付いた方はいたかな?


駿河諸島鎮守府の探索 その1

「耳本さん!お久しぶりなのです!」

「おや?大湊の電君じゃないか。大本営の時以来だね。」

今日も今日とて書類に追われているが2時間の間食休憩はきっちりとる(取らされる)。

秋の作戦も終了し、事後処理に追われている最中であるため人手が足りなく、目付け役はいないし、吹雪は提督と交代で休むことになっていた。

話し相手もいないため宿泊棟の旅館の一室で読書に耽っていた。

 

「今回はサンマを持ってきたのです!」

北方の海域の鎮守府は作戦と並行でサンマ漁支援も行っていたのだがそのおすそ分けだろう。

鳳翔の方に持って行ってくれたらしく、こちらにはあいさつがてらといったところだろう。

「いつもありがとうね。何かお返しをあげたいところだけど・・・立て込んでいてね。」

「大丈夫なのです!今回はこれを使わせていただいたのです。」

いつぞや渡したパスを見せられ納得した。

榛名に言って夕食を豪華にしてもらうかと考えを巡らせる。

 

「何もないけどお茶でも飲んでいくかい?」

「いいのですか?」

「話し相手がいなくて退屈していたところだ。」

読みかけの本にしおりを挟み、お茶を入れなおしに立ち上がる。

 

 

 

 

「おいしいのです!」

「もっとおあがりなさいな。」

今日はオーソドックスな間宮の羊羹

各場所で違ったりするらしいが、うちは塩羊羹だ。

 

茶菓子の談義や鎮守府の日常など様々なことを話していると少し曇り気味な顔をして、電が話題を変えた

 

「ところで話は変わるんですが・・・耳本さんはこの子を最近見かけませんでしたか?」

そういってある写真を見せる

「・・・いや~。見てないな。この子がどうかしたのかい?」

写真に写っていたのは深海棲艦の北方棲姫

他の深海棲艦とはまた少し違い、人型にしては著しく小さく、背丈は雪風や山風の胸くらいしかない。

強さは当然姫と呼ばれるだけあって段違いだからなめてかかると大抵痛い目を見る。

深海棲艦は敵

当り前のことだがその写真にはその常識を覆すようなものが写っていた。

 

 

笑顔の北方棲姫と電が並んで移っていた。

 

 

 

残念そうに胸ポケットにしまうと、顔を引き締めた。

「・・・ここの鎮守府だけの話にしていただけますか?」

「?」

「この子は私の鎮守府と友好的にしているのです。」

「・・・・・詳しく教えてもらえるかい?」

 

曰く

たまたまの偶然だが北方棲姫がけがをして大湊付近まで流されたことがあったらしい。

その際、電が隠れて手当てを行った結果、話をすることができた。

その後、話や交流を進めていくうちに、北方海域においては大湊に関してのみ、先制攻撃を行わなければ攻撃をしない協定を結んでいる。

 

 

 

「・・・大本営に報告なんてできないな。」

特にタカ派の耳に入ったら大変だ。

今でこそ世論はハト派に近いが、深海棲艦は殲滅すべき敵というのが常識だ。

タカ派にとっては世論を味方につけるチャンスでもあり、捕獲すれば実験材料としても利用ができる。

 

 

 

「・・・この子に何かあったのか?」

「実は、今回のサンマのおすそわけができたのも、この子のおかげなんです。ほっぽちゃん・・・あっ」

「いいよ。言いやすいように言ってくれるかい?」

「はい。ほっぽちゃんが漁場を教えてくれたり、護衛についてくれたりしたおかげで私たちは大漁だったのです。だけど・・・」

「だけど?」

「ここ最近ほっぽちゃんを見かけていないのです。今回のお礼にと、おうちのある島に行ってみたのですがこちらもいなくて・・・。」

心配そうな顔で今にも泣きそうな雰囲気だ。

「そうか・・・。住処を変えた・・・のなら仲が良ければ連絡は絶対するよな・・・。」

「・・・はい。海域のどこにもいなくて・・・」

「さてさてどうしたもの・・・・!ちょっと来てくれるかい?」

 

 

 

 

 

執務室へと戻ると、吹雪が忙しそうに仕事をしていた。

「お疲れ様です!司令官!久しぶりだね。電ちゃん。」

「お久しぶりなのです。吹雪さん。」

「ところで司令官。まだ休憩時間ありますけど・・・どうかしました?」

見つかったら大変なことになりますよと言われたが、今回はちゃんと免罪符がある。

「ちょっとな。川内の監視報告書ってどこだっけ?」

「それなら左側の棚にありますよ。」

「ありがとさん。あと応接室にいるから緊急時は内線で頼むよ」

「了解です!」

 

 

 

分厚いファイルをめくっていき、目当てのページを見つけだす。

「これだ。この日に気になる艦隊が動いているんだ。」

報告書には『幌筵泊地にて護衛艦が艦娘の警護の下出港、ある島に上陸、探索を行ったがめぼしい成果を得られず中断。即時撤退した』

そう記載されている。

「ここって!」

「ビンゴか。」

「はい!ここの島がほっぽちゃんのおうちのある島です。」

「さらに気になることがあってな。」

事前に持ってきていたノートパソコンを起動させ、ファイルに挟まっていたUSBメモリーをセットし、アプリを開く。

 

 

 

 

表示されたのは、太平洋の半分の地図

つまり、日本と東南アジア、アラスカがほんの少し表示された地図だ。

「これは船団の航路データでな。おかしな動きをしているんだ。」

スタートを押すとゆっくりと点滅する黄色い点が表示され、幌筵泊地から先ほどの島へと向かっていく。

「ここからがおかしな点だ。」

黄色い点が南西に進路を取り始めたのだ

「ふつう何もなければ西に進路をとって戻るのに、なぜか気になっていたんだ。しかもだ」

そのままずーっと真っすぐかなり早めのスピードで千葉沖を通過し、伊豆諸島の手前で停止した。

「このあと、八丈島のあたりでしばらくうろうろしたのち、銚子で補給して戻っていったんだ。」

「まさか・・・」

顔面蒼白で電が震えていた。

これだけを見ると最悪のケースも考えてしまうだろう。

 

だが

 

「おそらくだがほっぽちゃんは生きているぞ?」

「え?」

安心させるために、推論だが予測を話す。

 

第一に撃沈の確認をするにしてはうろうろしていた時間が長すぎること

第二に捕獲していたのならタカ派に目立った動きがあること

そして極めつけは翌日、翌々日と伊豆諸島付近を探索する艦隊がいたことだ

 

「じゃあ!」

「まだこのあたりの海域にいるかもしれん。」

ノックの音がしたので資料をたたむと、どうぞと言った。

「提督・・・あっ。」

湧きあがったところに冷や水を浴びたような感覚が襲う

山風が入ってきてしまったのだ

彼女はまだ目撃報告のみの艦娘

自身のうかつさを呪うほかない

「どちら様なのです?」

「あっ・・・その・・・・えっと・・・・・。」

 

山風は助けを求める視線をこちらに向ける

とっさにどうごまかすか考えたが、よくよく考えてみれば話して問題はおそらくない。

むしろ電のほうがよっぽど危険なことを話しているのだ。

それに信頼している相手に隠し事はフェアじゃない。

 

「・・・ああ。紹介するよ。白露型駆逐艦8番艦の山風だ。」

「提督・・・・!?」

「山風大丈夫だよ。彼女は信頼できる子だから。」

 

 

詳しい説明をすると電は納得してくれた。

 

 

「私は大湊鎮守府の電です。よろしくお願いします。」

「よろしく、お願いします・・・・。」

礼をしたとき先ほどの写真が胸ポケットから山風の前に落ちる

「これは、なに・・・?」

「ああそれはな・・・」

 

 

さらに先ほどまでしていた話をすると山風はとんでもないことを言った。

 

 

「あたし、この子を浜辺で、見たよ?」

「「え?」」




改二情報来ましたね~。
ザラとおそらく荒潮らしいですけど・・・。
ザラはいないので関係なし・・・(のん兵衛の妹さんならいるんですが・・・)

荒潮はステータスでいつレベル上げするか決めますかね・・・。
図面使わないと助かるんですがね。(70以上でもつらいですけど)

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