これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の探索 その2

「不安だなぁ・・・」

「何がなのです?」

「何がだ?」

「君らだよ・・・」

山風の証言曰く海から砂浜へと上がってくる姿を見たらしい

艦娘と思い近づいたがびっくりしたようで鎮守府の方に走って行ってしまったらしい。

鎮守府裏は手つかずであり、設置されたばかりのころ見てそれっきりだ。

念のため護衛をと思いだれか手の空いているものを探したが山風は仕事途中、吹雪は俺の代役で外せず、ほかの部署もほぼフル稼働で空いている子は一人しかいなかった。

その空いている子が・・・

 

「深雪とはなぁ・・・」

「「?」」

大体わかると思うから説明を省かせていただこう

「二人とも気をつけろよ?」

「「あいよ!/はいなのです!」」

主に身内に・・・

 

 

 

 

 

 

草はぼうぼう木はあちこちに伸び放題

ここに生えている木は、果樹や木の実をつけるものばかりだ。

視察に来た当初は整備することしか考えてなかったので、ちょっとした発見だ。

これらの木々は鳥が食べて、糞をしていった後に生えたのだろう。

その後、実がなるようになり、その実が落ちたり鳥に食べられたりでサイクルが始まり増えていったのだろうが、手つかずのためかなり乱雑になっている。

幸いにも木はまだ樹齢が若いおかげでそんなにうっそうとしてはいないが、雑草がものすごい。

具体的な高さは俺の胸元ぐらい、深雪や電は生首が移動しているように見えるぐらいだ。

リュックにナイフか何かでも詰めてくればよかったかなと少し後悔した。

足元に何があるかも確かめられない怖さがあるがそれよりも心配なのが

 

「なのです!」

「いってぇ!」

「あっ!ごめんなさい!ごめんなさい!」

「だっ大丈夫!気にすんなって!足元見えないから仕方ない仕方ない!」

このやり取り実に5回目である

そろそろお互いに黄色いマークがつくんじゃないかとひやひやしている。

 

 

 

 

「ふにゃぁ!」

「いっつ!」

「おわぁ!」

今度は玉突き事故

やっと雑草地帯から抜け出して反対側の浜辺へと出るところのあたりで1列に並んで倒れた。

やっぱり順番を変えるべきだったか・・・

そんなことを思い顔をあげると白い砂浜に真っ黒な場所があるのが見えた

 

 

 

 

 

「さすがに冷たいか」

「焚火の跡か・・・。」

電は辺りを見回りに行っている。

ほっぽちゃんの手がかりかもしれないといったときからそわそわして落ち着かない。

「みっちゃん。これなんだろ?」

焚火後から離れ、波打ち際を見ていた深雪が持ってきたのは両手で持てるサイズの鉄片らしきものだった。

「見たところ元は丸いもののようだな。」

鉄片は曲線を描いており、推定から50cm~1mくらいと推測できる。

「ひょっとするとほっぽちゃんの要塞じゃない?」

「・・・ありうるな。」

北方棲姫は陸上型の深海棲艦だ。

海を渡るのには何かしらの道具を必要とする。

行動の推測からしてこれに乗って逃げてきたのだろう。

「耳本さん!深雪さん!」

電が慌てて戻ってきた何か見つけたのかと思ったがどうやら違いそうだ。

「スコールが来そうなのです!」

西の方がどんよりと曇っているのがわかる

しかし、そのさらに奥は晴れているところを見ると通り雨なのはわかる。

時間にして長くても2~3時間といったところだろう

「どっか雨宿りできるところあったっけみっちゃん?」

「たしか鉱山の開発関連で掘った坑道が二本あるぞ。雨宿りくらいできるら。こっちだ。」

おそらく途中で降られるがびしょぬれにはならないだろう。

 

 

 

 

 

びしょぬれは避けられたがやはり濡れて坑道に入ることになった。

入口は一つで中で二股に分かれている。

途中で水が湧き出たため、掘削ルートを変更したのだ。

「雨宿りついでにあたしと電はこっちを見てくるよ。」

「了解。ちっとばっか濡れたから焚火でも起こしとくわ。」

「では、入ってきますなのです!」

入口から少し行ったところに腰を下ろすとライターとたばこを探した。

煙草はいい火種になる・・・とおもったらまさかの空っぽだった。

あまり吸わないからチェックを怠っていた。

仕方なくメモ用紙や廃棄する予定の書類などをかき集め火をつける。

煙いが仕方ない(煙草でつけても煙いけど)

他に何か燃やすものでもと、辺りを見回すが当然あるはずがない

ポケットをあさって出てくるものはお菓子ぐらい

まぁ長くてもそんなにはいないし大丈夫

そう思ったがぺた・・・っと

 

音がすることに気づいた

ぺた・・・・ぺた・・・・

動物にしては足音が変だ

ということは・・・

ほっぽちゃんなら万事解決!となるがそれにしては嫌に勿体付けたかのような歩き方だ。

そもそもこの島にいる動物は鳥ぐらいなものだ

ほっぽちゃんであることを祈っていたらそぐそこまで足音は来ていた

 

 

焚火のうっすらとした明かりから背丈が低いことを確認し安心した。

お目当てのほっぽちゃんだろう。

しかし、見つかったのはいいが電が戻るまでどうしよう。

ほっぽちゃんが知っているのはこの場では電しかいない。

「・・・・カッカエレ」

「あー・・・どうしよう・・・。」

薄暗がりで見えづらいが何か細長いものをこちらに向けている

艤装がないところを見ると故障かあるいは逃げている途中で破壊されたかのどちらかだ

(おそらく後者だろう)

それで仕方なく何か別のものを持っているのだろう

殴りかかられたらさすがに死んでしまうので両手をあげた

戦闘の意思がないことがこれで通じればいいのだが

 

「・・・・・。」

「・・・・・。」

 

なんてこったにらみ合い状態になった

何かいい方法はないだろうか考えていると、奥の薄暗がりにミカンの皮らしきものが目に入った。

ここに来る途中に木々の中にミカンが生えていたのを思い出す。

とすれば

 

 

 

「・・・」スッ

「!」

思った通り飴の包みを見て反応した。

「・・・」スッスッ

「!!」

あからさまにこちらへの注意力がそれた

「・・・」ポイ

「・・・」

目の前に投げてやるとそれと俺を交互に見ている。

吹雪ちゃんとかならもっといい案教えてくれただろうけど、俺はわからないのでちょっと動物・・・かなり動物扱いだが許してほしい

 

「食べていいよ。」

「!?」

そういうとビクッと肩を震わせ棒を片手で握りにじり寄ってきた。

そして飴を拾うと即座に先ほどの位置に戻った。

ある程度の警戒心は解けているところを見ると、急に殴り掛かってくる危険性は去ったようだ。

さすがに飴一つじゃかわいそうだからとチョコや小さいせんべいなどありったけのをさっきの場所に放ってやり

「自由に食べて」

電と深雪が戻ってくるのを待ちながら燃やすものを探す。

 

 

 

 

帰ってこない!

そして燃やすものが見つからない!

外は結構降っている

 

腕時計を確認するとヒトナナマルマル

雨が降り出して1時間といったところか

そんなに深かっただろうかと頭の記憶を探ったが、ひょっとすると今の坑道のルートの一つがこちら側に少し貫通していたかも

 

そうなると厄介だ。

厄介と行っても戻ってくるのが遅くなるだけ

それだけならいいのだが・・・

 

「ただ転んで気絶してたりしてな・・・」

なんにせよ困ったことに燃やすものがないということだ

外に取りに行ったところで濡れてしまうし、濡れて手に入れた木だって焚火がくすぶる原因にしかならない。

かくなる上はこの季節外れの白い第二種軍服を火種に

「アノ・・・コレ・・・」

そんなことを考えていたらいつの間にかほっぽちゃんが近くに寄ってきていた

手に持っているのは焚火にちょうどいい小枝の束

「いいのかい?」

コクリとうなづき、差し出してきた。

「オカシノオレイ。」

「ありがとう。」

頭をなでてやるとむずがゆそうだが少し笑った。

 

 

 

 

 

「もどったぜぃ・・・・・ほっぽちゃんそこだったのか・・・」

「おお、お疲れ・・・衝突してたか・・・。」

30分程で戻ってきた2人の姿は泥だらけなうえ、電に至っては目を回している。

深雪も電を下すと、いっつつと行って頭をさすった。

聞けば、暗がりで先行していた深雪に、躓いた電が衝突。

油断していた深雪が耐え切れず地面にごっつんこした事に驚いて、電が慌てふためいて壁に頭をぶつけ、そのまま夢の世界へと行ってしまったらしい。

 

 

「おーいて・・・。電気絶しちゃってるけどどうする?」

「あー・・・。ほっぽちゃん?」

「ナニ?」

電のことを心配そうに見ているほっぽちゃんに話しかける

「俺たちそこの建物に住んでるんだけどうちっちくる?」

「・・・・・ウン。」

素直で助かった

これでヤダと言われたら電が起きるのを待つしかない。

それを待っていたら、鎮守府に連絡を入れなくてはいけない

誰に電話してもみんなで迎えに来そうなのでこの手段はできれば取りたくない。

ほっぽちゃんが大勢の人たちと会うのに慣れているかわからないからだ。

パニクって暴れでもしたら鎮圧か放置の二択しかないのだ。

しかし、これでもまだ問題はある

 

「さて後はどうやって部屋に運ぶかだな」

最大の難関はここである

宿泊棟があるのは隣の島

ほっぽちゃんをそのまま連れていくとこれもまたパニックになりかねない。

「それなら私にいい考えがあるぜ!」

 

 

 

 

「・・・」

「・・・」

そこには深雪が電を背負い、提督は先ほどと同じ格好をしていた。

しいて言うなら先ほどはスリムだったリュックがパンパンに膨らんでいるということだろう

「・・・ほっぽちゃん我慢できる?」

「ナントカ」

「・・・よし!」

「・・・あんま良しじゃないと思うんだけど・・・・・これ以外今のとこねぇしさっさと行くか・・・。」

かくして何とか大問題になる前に収束したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ほっぽちゃんから話を聞くと予想していたが新情報が手に入った。

 

幌筵鎮守府から出ていたのは須下中将本人であったこと

襲撃を行い、その際艤装は半壊したこと

ひきつれた艦娘の目が生気を帯びていなかったこと

艦娘は護衛艦からはそんなに離れてまでは追ってこなかったことがわかった

 

とりあえず艤装を直す手段を探さなければならないのだが、このまま家に帰すのは危険すぎるし、大湊へ向かうのも危険が生じる。

かといってうちのような出入りが激しい場所で預かるのも危険だ。

となるとあいつのところか。

電話を掛けると数コールで出た

「柏崎か?この前の話だが」




資源の備蓄とレベリングの両立ががが・・・。
蒼龍、飛龍、比叡、霧島が一週間以内に改二に届きそう・・・。
弾薬が・・・(鉄は腐るほどあるから問題なし)

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