これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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※日常回です


駿河諸島鎮守府の夜戦?

しとしとと暗雲を見つめる。

今日は小雨が降っており補給部隊もいくつか翌日にずれた。

海は荒れてはいないのだがこんな日はいくら艦娘でも寒さは耐えられない。

明日の仕事を思うとちょっと気が重くなるが仕方ない。

本土だと広範囲で雪が降っているそうだ。

 

雪か

 

子供のころは静岡にいたおかげで全然なじみがなかった。

大雪とかの映像を見てはテレビの中だけのことと思っていたな。

今まで生きてきて地元で雪を見たのは、片手で数えるくらいだ。

 

 

 

 

「さてさて。今日はもう引き上げましょうかね。」

吹雪は少し前に帰してしまったため、一人最後の片付けをしていた。

あとちょっと仕事が残っているのだが、これ以上残業すると・・・大体察していただけるだろう。

廊下に出ればかなり冷えており、思わず身震いした。

部屋が隣でよかったっちゃよかったが、結局今の今まで部屋にいなかったから室温は廊下と変わらないだろう。

キンキンに冷えたドアノブを回し、部屋の電気をつけると暖房にスイッチを入れる。

するとあることに気付いた。

 

 

「げっ!?」

 

 

決していつもの変態がいるとか、Gが出たとかではない。

布団が濡れているのだ。

ひょっとしてホラー?と思った方は申し訳ない。

原因は単純明快

雨漏りだ。

 

「この間の明石の改装だよなぁ・・・。」

上には木の色が丸く変色し、真ん中からはピチョンピチョンと水がしたたり落ちている。

これは困った。

布団は一組しか置いていない。

旅館で一泊することも考えたが、時刻はフタフタマルマル

地下鉄は二十四時間だが、この雨の中外出するのはめんどくさい。

それに榛名に一言は断りたいがこの時間だと起きているかどうか。

他の艦娘に予備の布団を借りるというのも手だが、いかんせん時間が微妙なラインだ。

いっそマルマルマルマルを回ってしまえばあきらめもつくのだが、この時間だと起きている子もいれば寝ている子もいる。

 

クリスマスイブの前日になんか演習を催しやがったせいで、最近また寝不足になっているのだ。(翌日にデートできて一石二鳥だしわしって頭よくね?とほざきやがったから望月の一ケタ増えた領収書の訂正をやめてきた。)

睡眠時間は4~5時間なだけましだが、今日は少し早く上がれたのだから布団で寝たい。

 

山風は今日は時雨の部屋だ。

つい最近当番で寝るようになってくれたため、助かった。(なんだか手のひらで踊らされている気がするのだが気のせいだろうか?)

吹雪は今日まで俺とほぼ同じ日程だったから行くのは避けたい。

古鷹、深雪は早寝だからボツ。

加古は・・・夜通しちゃんぽんをする日があると聞いたのだが、本当だろうか・・・。これもボツ。

龍驤は安牌かな?

望月はド危険牌だな。今日は潜り込んだ形跡がないうえ、ちょっとあれなのを見たくはない。(こないだ行ったら部屋の前に俺のパンツが何故か落ちてたし)

川内は・・・今日は任務だっけ?

初歩的なことを忘れるなんて、最近疲れているのかもしれない。

とにかく寝入ってしまう前に布団を借りねばならない。

 

 

「あらー・・・。やらかしたねこれ。」

龍驤の部屋の前まで来たが、扉の隅にある小さいガラスのぽっちは暗い。

つまり部屋の電気が消えているということだ。

というか今朝、自分が明日朝一で龍驤に本土への日帰り出張を言い渡したことを思い出した。

残った手札は2枚。

酒を飲んで寝不足か貞操を守って寝不足か

「どっちもやだなぁ・・・・。」

「な~にが~?」

「いや選択肢がさ・・・望月さん?」

「だからなに~?」

「尻もむのやめてくれませんかね?」

「前のh「やめい!」」

女の子としてあるまじきことを言いそうになったのでストップを入れる。

「ところでみっちゃんはどうしたの?夜這い?」

「お前なぁ・・・」

頭痛がするが、こらえて事情を説明する。

「あ~なるほどねぇ。悪いんだけどごめん貸せないんだ。」

「あらら。予備の布団おいてなかったっけ?」

「いやその・・・ね?昨日アレが盛り上がっちゃってそのままでさ~。」

珍しく赤くなりながらもじもじしている。

「アレ?・・・・あっ。もういいぞ。すまなかった。」

「今日雨だったから干せなくてね~。ごめんね~。」

「ってどこ行くんだ?部屋はこっちじゃないっけ?」

「ああ。加古の部屋で今日飲むことにしてるんだ。そいじゃね~。」

正解だった。

行ってたら確実に寝不足コースだった。

しかし、おかげで手札はなくなってしまった。

 

 

 

 

 

「しょんないからなんか飲んで無理やり寝るか。」

食堂へ行き、何かないかと探す。

行く途中部屋を見ては行ったが、みんな電気が消えているところを見ると今日は早寝みたいだ。

「げっ・・・これあんときのウイスキー・・・。」

酒の入っている戸棚を開けると、いつぞや疲労困憊したときに吹雪と一緒に一気に飲んだウイスキーが出てきた。

あれ以来洋酒系はちょっと避けるようにしている。

「やめやめ。えっと・・・ビールは嫌だし焼酎は好きじゃない・・・梅酒でいいや。」

いいお酒はみんなで飲みたいから結局手前のパックの酒をとり、執務室へ戻る。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・さっむ!」

執務室を開けた時間は1時間ほどだろうか

暖房も切っていたためそこそこ冷えている。

部屋の温度は一桁前半

相当強い寒波だろう。

ケトルのスイッチを入れお湯を沸かす。

お湯割りなら比較的早く寝つけるはずだ。

お湯が沸くのを待つ間、外を見ると雪まではいかないもののみぞれが降っていた。

ここでも雪を見ることがあるかもしれない。

ちょっと楽しみだな。

雪ねぇ・・・。

そんなふうに椅子に座って考えていたらカチッと音がし、お湯が沸いた。

 

 

 

 

 

「提督?まだ仕事してんの?」

お湯割りを入れ、一口付けたところで入ってきたのは川内だった。

「ありゃ?今日は任務入れてなかったか。」

「もー。今日は中止って言ってたじゃない。」

思い出した

今日は雪が降るから交通機関もマヒするし諜報は無しでって言ったな。

「わりーっけね。ちょっと酔ってたみたい。」

「珍しいね執務室でお酒なんて。」

隣に腰を掛けた。

梅酒のお湯割りを作ってやり、渡してやる。

「ほい。」

「ありがとー。」

「いやな。部屋が・・・」

 

事情を説明し、今日はここで寝るつもりだというと

 

「ええ!今日は冷えるよ!そうだ!私の部屋に来なよ!」

「でも酒入れちゃったし・・・」

「いーのいーのさ!行こ!」

畳みかけられ部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁ入って!」

「おっおう・・・。」

部屋はきれいにされており、ちゃんと生活感はある。(自分の部屋とは大違いだ)

「なぁに提督?艦娘の部屋はいるの初めてなの?」

「・・・長時間はないな。」

「え!吹雪の部屋もまだなの?」

「・・・・・・・・というか女性の部屋自体・・・。」

「・・・へぇ~?」

あれなんだかこの目を見た気が・・・。

というか後ろにいつ回ったんですか ガチャン

「あの・・・。布団を借りに来ただけ・・・・。」

「逃がさないわよ。さぁ!私と夜戦しよ!」

 

 

 

 

 

 

「まぁ知ってた。」

「なにがぁ?」

お約束というかスマブラでした。

「というか提督へった~」

「な!こっこれは酒に酔ってるからであってだな!」

「あたしだってお酒入ってるもーん。」

「ぐぬぬ・・・。」

5戦全敗

もともと格闘ゲーム系は得意ではないがやはり悔しい。

 

 

 

時刻はマルマルサンマル

そろそろ寝なければ

「じゃあ布団借りてく・・・じゃダメか・・・。」

「そうやすやすと返すとでも?」

「わかったよ泊まってくから。」

こうなったらしょうがない。

あきらめ布団を敷いた。

「こっちこないの?」

いたずらっぽい笑みを浮かべて川内は自身の布団をまくる。

「男に対してそんなことするなっての。」

デコピンしてさっさと引いた布団に潜り込む。

「ケチー。ほかの子たちとは寝たんでしょ?」

「押し切られたんだっての。・・・まてまて。こっちに来るな。」

「じゃあ私も押し切ろうかと・・・。」

「だーめーだーってーのー!」

布団をまくられはいられそうになったため必死の防衛を行う。

 

 

 

30分の格闘に勝利はしたが拗ねられてしまったうえ、翌朝部屋から出たら青葉とばったり会ってしまった。

新聞に書くなと念押ししたが、ネタ帳にメモられたのは痛いなぁ・・・。




なんだか予告を見る限りひょっとして荒潮の改二が速そう??^^;
そうなると次の改二も早く来る可能性が・・・?

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