これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の酒癖

今日も今日とて残業(勝手に)

いや違うんですよ

ちょーっとだけ面倒な書類がありましてね?

今日はなんと古鷹は年始の古巣へ里帰り

時雨は山風を連れて同期の白露型の皆に会いに泊りがけで外している。

一番監視の目が薄い日

 

 

そして目の前にはちょうどいい感じの残留業務

 

 

いつやるか?

 

 

すでにだいぶ旬を過ぎた言葉なのでこの先は割愛させてもらう。

そんなわけでやり始めたのだが、これが思いのほか早く片付いた。

 

「あれ?これこんなもんか。」

よくよく見ると添付資料を用意しなくてよいと書いてあったのを見落としていたようだ。

時刻はフタヒトマルマル

切り上げてもいいのだがせっかく興が乗ってきたところ

これで切り上げるのはちょっともったいない。

頭の中で考えを巡らせる

港湾関係や滑走路は終了したし、年始のお年玉任務の処理もある程度終わっている。

 

 

「じゃあこの間のあのあたりの開発書類でも作るか。」

あのあたりとはほっぽちゃん捜索の時の草原地帯のことだ。

せっかく果樹が生えているのだから、いっそ果樹園にでもしてしまおうかと。

旅館やホテルで出してもいいだろうし、緊急時の食料にもできる。

 

方針が決定したところで、棚から新品の書類を取り出そうとしたとき、スマホが鳴った。

ディスプレイには古鷹と表示されている。

 

『はい。耳本ですけど?』

『あっ!提督ですか?夜分にすみません。』

『いいや。大丈夫だよ。何かあったのかい?』

『いえ・・・。提督また残業してませんよね?』

書類を数えていた手を止めた

『・・・うんにゃしとらんよ?どうしてまた?』

『いえ。ちょっと気になったものですから。明日の昼ごろ帰りますのでそれでは。』

『はいな。気をつけてな~。』

 

 

 

一瞬心臓が止まるかと思った。

こういう時は大体乗り込んでくる予兆だったりするのだが、明日帰ってくるといった。

そうなると直近の残業の予定を古鷹の見回りの時は外すようにすり合わせて・・・。

「って古鷹今日見回りじゃん。まぁだれか代理頼んでるだろうし、いっかぁ。それよりお仕事お仕事。」

席に戻り、万年筆をとったところでスマホが鳴った

「また?吹雪ちゃんか・・・」

『もしもし?吹雪ちゃん?』

『司令官!すぐにg・・・あいえ!その・・・。』

『ん?どうした?怖い夢でも見たんか?』

何やら慌てている様子なので少し茶化してみる

『いえ・・・。今どちらにいますか?』

『ん~。執務室。今日のあの書類すぐ終わっちゃってさ、せっかくだから果樹園でも作っとこうかなぁって思ってさ。』

『そっそうなんですか・・・・・・・。あの・・・今から行ってもいいですか?』

『いいよ~。いつもの入り口から入っといで~。そんじゃ後でね。』

なんだかしどろもどろだったけど・・・まぁこちらに来るということだから待っていよう。

 

 

 

字を書く音だけがする室内にノックの音が響いた。

「入っといで~。」

いつもの隠し扉の開く音がした。

「いやちょうどよかった。今年の本土からの補給船団っていつ来るんだっけ?」

「7日ですよ。提督。」

「7日か・・・。果樹の注文ってさすが・・・あれ?」

吹雪ちゃんって提督呼びだっけ?

てかさっき聞いたような気がする声のような

「提督。ちょっとお話が。」

優しい声だが明らかに怒気が混ざっている。

この声は吹雪ちゃんの前に話したある方の声だ。

目の前の書類を見ている目をほんのすこーしずつ横にずらしていく。

ローファーが見え少しずつあげるとそこには

「何をしていらっしゃるんですか?」

「・・・・ちょっとかたずけを・・・」

アルカイックスマイルをした古鷹さんがいらっしゃいました

 

 

 

 

 

 

「それで残業をしていらしたと。」

「ハイ」

「あの隠し扉については吹雪ちゃんに聞かせていただきました。」

「あれは非常口・・・」

圧力に屈しないぞ。

屈したら最後あそこは使えなくなってしまう。

「提督?」

「残業時の抜け道です!」

古鷹さんの激おこに屈しない人っているのかな?

「・・・ちゃんと無理しすぎない程度でしたら今回は見なかったことにします。」

「ほんとに!?」

困り気味の顔だがうなづいた。

「ただし、ちゃんと自己管理してくださいね。」

「ぜんs・・・はい・・・」

ここで善処だなんて言ったら最後、隠し扉はもう永久に使えないだろう。

私だって学習しているぞ

「本当は提督さんを驚かせようと思ったんですけど・・・。」

執務室に明かりがついていたのを見られたか・・・。

次からは誰もいなくても黒カーテンをするようにしなければ。

「何か変なこと考えてません?」

「うんにゃ?」

「そうですか?・・・まぁいいです。話は変わりますが、前の提督から提督への預かりものです。」

「こりゃあ・・・。いいもんだけーが・・・。」

目の前に置かれたのは高級なスコッチウィスキー

いいものなのだが苦々しい思い出だ。

「せっかくですし飲みませんか?」

「え?いまから?」

「ええ。もうお仕事はないですよね?」

「まぁ・・・。ほんとに?」

「何かまずいことでもありましたか?」

「いや・・・。」

「たまには私も提督さんと飲みたいんです!加古に止められちゃいますし・・・何でだろ?」

なぜこんなにも聞くのか

酒好きの加古がなぜ止めるのか

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは簡単

とんでもなく酒癖が悪いのだ

 

以前青葉が取材に来た時なんかは大変だった。

最初こそほかのメンツに交じってちびちびと飲み、酔いを抑えてはくれるのだがそのタガが外れたら・・・・。

 

「ていとくさんもういっぱいどうぞ~」

「ああ・・・。ありがと。」

こうなる。

フニャフニャとした可愛い笑みを浮かべている。

ロックでいただいているが、少しでも減るとすぐに注いで来る。

自分の飲むペースをひっかきまわされるのだ。

「せっかくですしいっきしましょ!いっき!」

「え?!」

「はいいっき!いっき!」

ニコニコ笑いながら手をたたいている。

天使のようでやっていることは悪魔だ。

「・・・ぐっ!」

ウィスキーの一気はつらい

思わずうめき声が出てくる トポトポ

「ちょい!さっき飲んだばっかじゃん!」

古鷹があっという間に次のを注ぐ。

「そうでしたっけ?」

そういいながら瓶をもって煽る。

「おおい!!」

「?」

「小首かしげてもダメ!グラスに注ぎなさいってば!」

何とか瓶を引き離し、ため息をつく。

この間の時は頭から掛けられて大変だった。

毛根から酒を飲むなんて芸当できないからな?

 

「ていとくにつぎたいです。」

遠ざけておいたため、俺のグラスはいつの間にか空っぽになっていた。

正直もういらないが断ることもできないため瓶を先に渡した。

次にグラスをもって振り返ったとき、衝撃がはしった。

何事かと思ったら見慣れた天井が見える。

ソファーにごろ寝するくらい酔ってたか?

そう思っていると、古鷹が覗き込んできた。

おそらくだが古鷹に押されたのだろう。

「ていとくさん?もうねちゃうんですか?」

これは切り上げるチャンスかもしれない。

そうだ寝たふりをしてしまおう

「のみましょうよ~。」

目をつぶってやり過ごそうとしたのが失敗だった。

古鷹はむくれた顔で酒瓶を提督の口に押し付ける。

これは困った

口を開ければウィスキーがなくなるまで飲まされるだろう。

若干こぼれて冷たいが我慢を・・・・

「・・・えい!」スブ

「うひゃあ!」ガボ

わき腹を急襲された

どうにもこれには弱く、口を開けてしまい酒瓶が突っ込まれた。

それと同時に意識が薄れていった

 

 

 

 

 

 

「しっ司令官!」

「げ!古鷹・・・・。」

翌朝早く心配して見に来た吹雪と、昨日の一件を聞いてついてきた加古曰く

提督は口から酒瓶をはやして全身ウイスキーにまみれ、古鷹は提督の上で提督の口に酒瓶を突っ込んだまま寝ていたらしい。

一週間ほどウイスキーのにおいがとれなかった上、ウイスキーを見るだけで膝が少し笑うようになった。

古鷹の酒癖はランダムで今回は相手に飲ませたがるタイプだった。

加古曰く

絡み酒、笑い上戸、泣き上戸、キス魔、脱ぎ魔、ect...

たちの悪いものから害のないものまでのどれかが出てくるらしい。

外で飲むときは自制しているのか絶対に出ないのだが、仲のいいメンツの時はこうなるという。

 

 

 

 

ちなみにだが古鷹は何があったのかを一切合切覚えていない。




劇場版見てきました!
戦闘シーンよかったですねぇ!
内容は途中までよかったんですけど・・・
後半が詰めすぎぃ!
そんな感じで2回見てじっくり考えて納得した感じに・・・
とりあえず睦月ちゃんと如月ちゃん育てます・・・。

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