これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府のお見舞い その1

「お邪魔しまーす!」

「はいどうぞ。」

今日は見舞いと取材を兼ねて青葉が訪ねてきた。

「あ。こちらお見舞いの品です。」

「ごめんね。気を使わせちゃって。」

「いえいえ。いつもお世話になっていますから!それで調子の方はいかがでしょうか?」

こたつに入るようすすめ、お茶を入れに台所に行く。

どうやらお見舞い品はプリンのようなので冷蔵庫にしまい、お茶とミカンかごを持って戻る。

「俺も吹雪もだいぶ良くなったんだけどね・・・。あと4日ここで安静だって。」

「そうですか。・・・ちなみに最後にお休みになったのって・・・?」

「正月の2、3日かな。」

「・・・ですよね。」

それはそうもなりますと言いながらと呆れた顔をされた。

 

「とりあえずクーデターが起きなかっただけましと思うことにしたよ・・・。」

「でも川内さんちゃんと根回してましたから成功はしたと思いますよ。」

「え?そこまでしてたの?」

「私の場合指示があったら国内に向けて大本営(タカ派)の伏せている失態や悪評をメディアに流すように指示されてましたよ?」

後はと続けて、電やほっぽちゃんがいる大湊や長門のいるリンガ、初霜の房総、ほかにも俺の同期がいるところなど様々な鎮守府や警備府のリストを見せられた。

「これって・・・。」

「クーデター参加予定だった一覧表です。」

これが起きたらひとたまりもなかっただろう。

「・・・・・背筋が寒くなってきた。」

「司令官さんも気を付けてくださいね?」

「ワカリマシタ」

 

 

 

 

 

「うちの戦力?」

「はい!誰が強いんですか?」

改めて取材へと移った。

「え~。うちの子っち戦闘関係は結構癖あるからなぁ・・・。」

「そうなんですか?」

「うん。比べるのは難しいなぁ。」

「とりあえず吹雪さんは殿堂入りですよね?」

「よく知ってるね?演習やったことあった?」

そういった瞬間目のハイライトが消えうなずいた

「艦載機は7割叩き落されて、戦艦の装甲を貫き大破させ、その砲撃を全部交わして、夜戦で私がボコられました。」

単艦だったのに・・・。

ほんとに駆逐艦の名のとおりでした。

お茶を飲もうと湯呑を持つが、いまだにトラウマなのか手が震えている。

 

「そうさねぇ・・・。単純にタイマン勝負だと・・・。」

 

川内≧古鷹=加古>深雪≧望月=榛名(艤装が動けば)>時雨>龍驤>>山風

※吹雪は除外

 

「こんな感じ?」

「山風さんはまだ加入したばかりだから低いのはわかりますけど、龍驤さんは低すぎないですか?」

「いやー・・・。このメンツで上にいるのは相当厳しいよ?」

回避されまくって龍驤の攻撃が当たらず致命傷を与えられない。

しかも夜戦ができないとくるとこの順位になってしまう。

「でも一撃あたった場合は装甲が一番硬い榛名でも耐えられないしね。」

「はー・・・。6隻編成で演習挑まれたら絶対勝てないじゃないですか・・・。」

がっくりと肩を落とした

 

 

 

 

 

「じゃあ次は怖さ!これについてお願いします。」

「それはマジで怒らせたときので?」

「はい!古鷹さんと時雨さんが一位で同着ですよね?」

「うんにゃ。昨日しこたま怒られたけど違う。」

「え?じゃあ吹雪さんですか?」

「それも違う」

かぶりを振って否定する。

青葉は首をかしげる。

「こんな感じ」

加古≧深雪≧龍驤>望月>古鷹=(山風?)>時雨=川内>吹雪>榛名

 

「加古さんが一番?」

「言葉には尽くせません・・・。」

「深雪さんは・・・なんとなくわかりますけど新米教育の時のですか?」

「正解。マジで初歩的なミスをしたときにどんじかられてえらい目にあった・・・。」

遠い目をしながら外を眺める。

 

「でも加古さんが怒っているところがちょっと想像できないですね。」

「そりゃあそうだもん。俺だって一回しか見たことないし。」

「沸点が高いんですかね?」

「逆にマジで怒らせたらびっくりするわ。」

「で?なにしたんです?」

青葉がボイスレコーダーまで取り出してスイッチを入れる。

こうなったら最後絶対言うまで梃子でも動いてくれないからあきらめて話すしかない。

 

 

 

 

加古が来て半年したころ

今からだと大体2年前くらいかな

当時所属していたのは吹雪、川内、龍驤そして加古の5人

娯楽関係はホテルのみではあったが、その宿泊記録の管理、遠征隊を裁き、近海の哨戒といったことを5人で行うのはいっぱいいっぱいだった。

そこにおりしも悪く大規模作戦

当然人員は足りず、調達は作戦中に着き不可。

決済の遅延は命取り

 

幸いにもそんなに問題のない書類の遅延で済んだ。

大本営も実情がわかっているのかあれやこれやとはいってこなかった。

作戦終了後もしばらく後処理が続くのだが、そんな時寝不足から足をもつらせて階段から落ちた。

 

「・・・?」ガバ

「司令官!よかった!」

「吹雪ちゃん?」

「加古さん!司令官が起きました!」

起きれば自身の部屋にいた。

頭には包帯がまかれていたが、痛くはない。

代わりに左腕の方が少し痛く、めくってみると額の形にあざがついていた。

「提督~?大丈夫かい?」

「おう!だい・・・じょ・・・・・・ぶ。」

ひょうひょうとした声がしたので慌ててまくった腕を戻し向き直る。

そこのはいつも眠そうに目を半開きにしているはずが、目をしっかり開け無表情の加古がいた。

「そうかい。・・・腕があざになっていたみたいだけど見せてくんない?」

「こっこれくらい大丈夫だよ。」

「いいから。」

「でm「はやく。」・・・はい。」

おずおずと見せると険しい顔をした。

「これはしばらく執務やらない方がいいねぇ。」

そういってスマホを操作し電話をかける

「ええ・・・。はい・・・。そうです。腕と頭をけがしまして・・・。」

「じゃあそんなわけでもろもろの事情から始末書とかは無しでいいですね?」

「はい?原因作ったのどっちだよ?増員の要請下げたのどっちだよ?あ”?!」

眠そうな顔している普段の加古はどこへやら

目の前で青い稲妻が走っている

「・・・わかったね?ええ。それじゃあ1週間経過観察ってことでいいね?はい。それじゃ。」

「あの・・・。どちらにお電話を?」

「ん~桐月大将んとこ。提督も右腕けがしちゃって大変だね。」

「え・・・。左・・・。」

「右」

「いや・・・ひd「利き腕けがしちゃって大変だよね?」・・・・はい。」

利き腕と言い換えた時に顔をずいっとよせ有無を言わせないといった雰囲気だった。

「頭の方も打ってるみたいだし一週間休みってことでよろしくね~。」

「いやいやいや!この時期にそんなに休めないよ!あs「提督。あたしは気が長くないんだけど?」・・・・・・でも」

「・・・」バゴン

「!」ビク

横のテーブルの天板が真っ二つに割れた

「でも?」

「なんでもないです!」

「そう?ならしっかり寝てねぇ~。寝れなかったらあたしと一緒に寝ようか~?」

「いえ・・・。遠慮しときます。」

「残念だね~。」

後で変わりの机持ってくるよと言って退出していった。

 

 

 

 

「ってことがあったのよ。」

「・・・失礼ですが司令官はそれ以来怒らせたことは?」

「怒りそうな雰囲気を察知して先に折れる」

この手に限る

だってあの目は実際やばい

Yes以外言ったらどうなるかわかっているよねって目線だもの

後々古鷹が転属してああ姉妹だなぁってわかったけどさ

「ちなみに今回の件については・・・。」

「ちゃんと休むからで納得していただきました・・・。」

切れそうな顔だったがぎりぎり耐えてくれたようだ。

「というか加古さんって何者・・・?」

「医師免許持ってるよ。あと調剤士の資格も。」

「・・・・・・あんまり診断は受けたくないですね。」

「腕はしっかりしてるよ?診察中や調剤中には寝たりしないからさ」

そのほかは寝るけど

 

 

 

 

 

 

「ラストは秘書艦としての優秀さです!」

「これは入った順だね。」

「いやいやいや。それじゃ記事にならないんですけど。」

「えー・・・。」

そうは言われてもここは経験の長さが物語るところが大きい。

もちろんその人の器量もあるが、そんなもの誤差に程度にしかならない

ひと月も秘書艦として働けば誰でもできる

「慣れざる得ないってことでは?」

「・・・まぁね。でも秘書艦やったことあるのは吹雪以外だと川内と龍驤の3人だけだね。」

「そうなんですか?てっきり全員やったことがあるものだと」

「加古が来たあたりでみんな固定の持ち場になっていったかな。そっちのが把握しやすいし。」

吹雪は秘書兼補給部、川内は生産部と資源部、龍驤は警邏部と補給部手伝い、加古は今も昔も総務部。

総務の役目は結構変わってたりするがずっとやっていることは大本営への提出書類の最終検閲ぐらいだ。

 

少し冷めたお茶を一気に飲み、新しく入れる。

青葉のも空っぽだったからついでに注いで渡す。

「でもやっぱり経験がものをいうからこんな感じかな」

 

吹雪≧川内≧龍驤>>その他

 

「ほうほう・・・。やっぱり吹雪さんですか。」

「まぁそりゃあ付き合いも長いしねぇ。最初こそ今の古鷹ポジだったけど・・・。」

「またまた御冗談を!」

「毎日毎日最高速で残業をやっても片付かない書類を一回経験してごらん?仕事が少なめの時は少しでも先取りするようになるから。」

「完全に調教の粋じゃないですか!」

 

 

 

 

 

「取材ありがとうございました!」

資料を机に軽くたたき整える。

「いいえ。またいつでも来てちょうだいな。」

「ありがとうございます!ところでこのミカンすごくおいしかったですけど、どこのですか?」

「ああこれ?うちの島で取れたやつ。」

「え?」

 

以前ほっぽちゃんが食べていたものである。

今の季節はこれくらいしかおいしく食べられるものがなかった。

しかし、気に入ったらしく大湊へと向かう際一緒に持って行ったくらいだ。

実際食べてみると酸味と甘みがちょうどよく、商品として売っても問題なさそうだった。

とれた量もここでの消費を上回ったため、近々本土の卸売場にも卸す予定だ。

「せっかくだから内浦へ送ろうか?」

「いやでも・・・。」

「いいのいいの。海野大佐や衣笠君とも食べて頂戴な。困ったら押し付けられたとでも言えばいいからさ。」

剥いたミカンを一口で口に入れる。

行儀が悪いがこの食べ方が好きだったりする。

「すみませんいただいてしまって・・・。ところで一つ疑問が湧いたんですけど。」

「なんだい?」

次のミカンを剥きながら質問に相槌を打つ

「ここってもはや補給基地の範疇超えてません?」

「最近俺も開発してて思ったけど、海上封鎖受けた時に食糧生産しておけば何とかなるでしょ?」

食料の定期便が来なかったらやばいしさ

「せっかく土地は腐るほど余ってるから有効活用しなきゃ。」

妖精さんも定期的に働かせてあげないと暴走しちゃうし

「はぁ。ともかく今回みたいに倒れないようにしてくださいよ?うちの司令官も心配してましたから。」

ややあきれ顔でスマホを出した。

どうやら何か連絡が来たのだろう

「・・・?」

「なんかあったのかい?」

怪訝そうな顔をして画面を見つめていたのでミカンをほおばりながら問う。

「いえ・・・。加古さんから司令官さんを逃がさないでっていう連絡が・・・。」

「え?俺なんかした?」

「さぁ・・・?何かしたのでは?」

 

仕事は休みでやってない

営業日にやっていないとかで文句を言われるのならわかるが・・・

書類の提出忘れ?

書類の修正?

「ん?修正?!」

「わかりましたか?」

「やっば!三が日の無断出勤の勤務表修正してなかった!」

倒れたせいで毎月末に提出するのを偽造し損ねたのだ

最終検閲の際に見つかってしまった以外ないだろう。

「・・・やっぱり正月も出てましたか。」

「逃げなきゃ!」

慌てて窓に近寄り、隠しロープを取り出そうとすると古鷹が下でスタンバイしているのが見えてしまった。

廊下からはコツコツとゆっくりとだが怒気を含んだ足音がこちらに向かっているのが聞こえる。

畳を持ち上げ下への隠し穴を覗き込むと下には山風がスタンバイ

掛け軸をめくり隣の部屋へと抜ける隠し穴の先には時雨

バッチリと目が合って部屋へととんぼ返り

「・・・」パシャッ

戻った先でシャッターを切られた

その隣には、先ほどの足音の主である加古が仁王立ちし、いつぞやのご尊顔をしていた。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

黙って両手をあげ正座へと移行する

「・・・総務室ね?」

「・・・はい。」

 

後で分かったことだが青葉がシャッターを切ったのは抜け道の捜索も兼ねていたらしい。

後できっちりと3か所の抜け道をふさがれた。




E-3何とか乙で完走・・・
資材が・・・またしても・・・燃料と弾薬が3万吹っ飛ばされました・・・。
しかもヒトミちゃん迎えてないし・・・
藤波とヒトミ堀りが待っていると思うと・・・

新入り駆逐の改までもっていくのがつらいなぁ・・・
予定だけで12隻って・・・

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