これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の花見 その2

駿河諸島 旅館 裏手

裏手は山に隣接しており、植樹こそ行われたもののそれ以上の手は加わっていない

あくまで旅館の敷地の方はということであり、少し行くと開発が行われた神社の参道になる

 

神社の方では他の鎮守府の一団が花を肴に・・・というより花につけて酔いつぶれたり、ワイワイと騒いでいる。

そこから少し離れ、がやがやとした声が聞こえるものの程よいにぎやかさに聞こえるくらいのところに駿河諸島の一団は花見の席を構えていた

 

 

 

 

かんぱーい!

 

 

 

 

それぞれ、おのおの好きな酒や飲み物を手に取り乾杯をした

色とりどりのおつまみや弁当は間宮さんと鳳翔さんお手製のものだ

晴れてよかっただ一斉休みがとれてよかっただ他愛もない話を話しながら時は経っていく

 

 

 

宴もたけなわ

 

 

 

席を立って回ろうとした

どこから行こうかとあたりを見回すと山風、58、阿武隈の3人が話していた

一見何の共通点もなさそうだが、ひとつだけある

3人ともここの催し物への参加は初めてなのだ

 

 

「飲んでいるかい?」

「あ!てーとく!」

「はい。料理もとってもおいしくてこんな時間を過ごしたのは初めてです。」

「ん・・・。」

ゴーヤと阿武隈はビール

山風はサワーだろうか

声をかけるとゴーヤと阿武隈が振り向き、山風は少し隅から移動した

気を使ってくれたのに答えないのも悪いため、山風のいたあたりに移動し座る。

座るとゴーヤが

「おもてなしするでち!」

そういってコップを持ってきてビールを注いでくれた

「・・・・・・ありがとうな!」

「どういたしまして!」

苦笑して頭を撫でてやる

 

 

 

 

 

どうしよう

 

 

 

 

ビール嫌いなんだよなぁ

 

 

 

 

考えてみるとここのメンツとは飲むことがなかった

特に58はオリョール海の出張所が勤務地だ

提督の好みを知らないのも無理はない

かといって注いでくれたのを無碍にするのも悪い

しかたなく、コップを手に取り煽る

 

(まっずぅい・・・・・・)

舌に残らないように必死で喉の奥へと送り込む

だが、のどにダイレクトアタックしてくる炭酸があまり好きではない

結果送り込めなかったビールが舌に残り、苦みを感じる

半分くらいを開けたところで、一回間を開ける

舌には苦々しい味が残り、思わず表情が崩れそうになるのを必死でこらえる

「うっうまいな!」

思わずどもったが、何とか表情は耐えた

「ゴーヤが入れたからでち!」

「ああ。ありがとうな。」

笑いかけてやると満足そうな笑みを返してくれた

 

(あれ・・・?提督・・・ビール嫌いだったはず・・・?)

この中では一番付き合いが長い山風は一人疑問に思っていた

引っ込み思案なたちのため、表だって言わないが提督の顔を注視する

 

「もう一杯いかがでち!」

「!あたしが!」

「へ?」

「あたしも・・・・・・注ぎたい。」

 

山風は見逃さなかった

もう一杯とゴーヤが言った瞬間、提督の顔が一瞬真顔になったのを

「一人一杯ってことにことにしましょう?提督だってこれからみんなのところを回るんだし。」

阿武隈も気が付いたのだろう

山風に乗って助け舟を出す

「そうでちね。てーとく!今度二人で飲む時までとっとくでち!」

(二人とも・・・ありがとう)

ゴーヤには申し訳ないが心の中で二人に感謝した

 

 

 

 

「山風はタイミングが悪くてなぁ。終わった直後に来たから秋祭りに参加できなかったんだよな」

「どんな感じだったんですか?」

口直しに山風に注いでもらったサワーをちびちびと飲みながら歓談に入った

ゴーヤは山風と話していた

どうやらお互いの部署の話みたいだ

ゴーヤは四六時中海に囲まれた環境

山風は四六時中畑に囲まれた環境

互いに違う環境だからこそ気が付かないことがあったり、気になることもあるのだろう

「どんなってなぁ。今回と似た感じよ。違うところは神社が中心地だったから神輿が出たり、巫女さんが神楽を待ったりしてたなぁ。あの時は一日一人と屋台回ったり、神輿を見たりして楽しんだよ。」

「んん~!ずるいです!」

阿武隈がほっぺたを膨らませる

少しほほが赤みを帯びているところを見るとほろ酔いで本音が出やすくなっているのだろう

「次はいつあるんですか?!」

食らいつくように聞いてきた

「ええ?いやー決めるのは大将や夏木達だかんねぇ・・・」

「夏か秋に期待してます!」

阿武隈は内心、大将に対する交渉の戦略を頭の隅に描き始めた

そして、古鷹や時雨と相談するために提督のそばを立った

 

 

 

 

「提督・・・はい。」

阿武隈が席を立った直後、山風が戻ってきた

ゴーヤは皐月に会いに行ったようだ。

大本営では顔を合わせる程度だったらしいが、話はあまりしたことないとのこと

「これは大根の漬物?」

「うん・・・。作ってみた。」

匂いからして甘酢漬け

好物の一つだ

「ありがとうな。好きなの知ってたっけ?」

「吹雪姉ぇに聞いた・・・。」

「ん。うまい。」

酸味が強めなのは吹雪の助言だろう

思わず素直な感想でそっけないが本心から出た言葉である

「本当・・・・・・!」

一瞬そっけない返事をしてしまったことに焦ったが、山風の反応からみて気づいてくれたようだ。

「でも大根ってまだ種まいたばかりじゃなかったか?」

先週くらいから種まきや苗を植える作業が始まっていたはず

もう取れるなんてことは・・・

「妖精さんがね・・・実験で去年から作っていたのをもらったの。」

言われてみれば、土地の活用を検討したのは去年から

作物を育てるのにいい土かを知りたかったため、妖精さんたちに指令を出したことをすっかり忘れていた

「食堂にもあるから・・・食べてね。」

そういって離れていった

ほかの子たちにも勧めに行ったのだろう

「・・・・・・純粋でいいなぁ!」

こそこそと後ろから忍び寄ってくる二人に対して聞こえるように少し大きめの声でつぶやいた




ビールのうまさがいまだにわからぬ(´・ω・`)
山風のはボイスで大根の漬物があったから入れてみました

次は誰が来るのやら(ヒント:金髪と茶髪の変態二人組)

イベントの第五艦隊・・・
多摩、ぼの、ぬいぬいが20で横並び
・・・何とかなるさ!(゚∀゚;)

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