これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の協定

「第32回定例会を始めます。」

駿河諸島鎮守府宿泊棟第二会議室

いつも和やかな雰囲気からはじまるはずの定例会だが、今回はみな一様にピリピリしている

理由は簡単

今回は議題が原因なのだ

号令をかけた古鷹が続ける

「先日の花見で大将を通じて行った提督の意中・・・つまりは好きな子がいるのかいないのかについての調査結果が出ています。手元の資料をご覧ください。」

 

 

資料には大将が提督へ聞くべきことが箇条書きで書かれていた

 

・好きな子はいるのか

・その子は鎮守府にいるのか

・複数いる場合序列も聞くこと

☆一番の子は誰なのか

 

 

最後のところだけは星印となっていた

当たり前だが一番重要なところなのだ

「結果は次のページの通りです。」

 

・好きな子はいる

・この鎮守府に所属している

・わからず

・わからず(ヒントは聞き出せた)

 

「おいおい・・・。こりゃあちっとあんまりやないか?」

龍驤が声を上げる

「そうだね。せっかく提督と一緒の時間を削って得られた結果にしてはちょっと少なすぎるよね?」

川内も同調する

「ちょっと大将にプレゼント用意しないとかな?」

加古がタブレットを取り出し薬の在庫を調べ始める

「落ち着きましょうよ!ね?ヒントは聞き出せたってありますしそれを聞きましょう?!」

吹雪が慌てて3人をなだめる

吹雪以外の3人は先日の花見で提督といられる時間を削ったメンツだ。

他のメンツも不満そうな顔はしているが、実害はなかったので声には出さなかった。

 

 

 

しかし、3人は違う。

秘書艦である吹雪を除いてここ最近は忙しく、間食の持ち回りも他の人に代わってもらっていたのだ。

特に川内は潜入や諜報の関係で会う機会すら少なかったのだ。

龍驤や加古が迎え役を譲ったのもそういった背景があったからだ。

そういったことすべてをぐっと我慢できたのは阿武隈からの誘いだった

 

大将を通じて提督の本心を聞き出します

 

「吹雪が言うなら・・・。」

3人は不満そうだが聞く姿勢にはなった

「ありがとうございます・・・。えー・・・大将曰くとぎれとぎれでこう言っていたとのことです。」

 

ずっと前から

 

「「「!!!」」」ガタッ

「推測ではあるんですけどぉ・・・。」

数人が立ち上がったが阿武隈は話を続けながら前のホワイトボードに名前を書いていく

 

吹雪

川内

龍驤

加古

古鷹

時雨

榛名

望月、深雪

山風

58

皐月、阿武隈

 

「これは着任順です。例外はありますけどずっと前からという単語から推測したうえで消すと・・・」

阿武隈が書いた名前を消していき、残ったのは

 

吹雪

川内

龍驤

加古

望月、深雪

 

「おそらくはこの中ではないかなぁと。」

理由としては前からという場合はここ最近の者以外が対象となる

だが、ずっとという単語で一変した

提督がずっと前というときは大体鎮守府が設置されて日が浅い時の話をするときだ。

 

早い話、今山風が使っている旧鎮守府建屋が鎮守府と名乗っていたころの話だ

 

そんな前から所属しているのは3人

1人がぎりぎり対象ということだ。

そして、提督が着任する以前に教艦を務めていた2人の計6人

「あ~・・・・・・せやろなぁ。」

対象となっているはずの龍驤は微妙そうな顔をした

「?ずいぶん歯切れが悪そうですね?」

古鷹が不思議そうに龍驤を見る

「そのヒントやったら多分うちは違うなぁ・・・。」

少ししょげた雰囲気でホワイトボードに近づくと自身の名前を消した

「あたしも多分違うねぇ~。」

加古が龍驤に消しといてと頼んだ。

うすうす感づいていたのか加古はダメージを受けている雰囲気はない

 

 

残る候補は4人

 

 

「というか3人ともずいぶん気をしっかり持っとるやん。」

「そうだねぇ。あそこで4人が気を張っているのはわかるけどね。」

 

吹雪、川内、望月、深雪

 

この4人はお互いの顔を見ながら気を張っている。

他の者たちはがっくりと意気消沈している

 

「実はもう一つ情報なんですけどぉ・・・」

 

 

提督はおそらく自分たちの好意に気づいている

 

 

『!!!』

うなだれていたり、しょげていた全員が顔をバッと上げた

「ちょいまちぃや!つうことは・・・・・・!」

「まだまだ僕たちの逆転の目は消えていないってことだよ。」

「「「「え?」」」」

それを聞いた一歩リードしているかもしれない4人も我に返った

 

「・・・あっ。そういえばうち司令官にちょっと書類が・・・。」

「そういえばあたしは健康診断の書類が」

「私も」

「あたし・・・も」

一斉に冊子や荷物をまとめて退室しようと各々動き始める

しかし、古鷹がそれを制止した

「まってください!今みんなで押しかけたら提督に迷惑が掛かります!」

制止の声に皆我に返ったのか片づけをやめ、席に再度つく

ヒントを聞いた時の対象外の人たちは落胆の色を隠せなかったのだ

3人もそれがわかるゆえに武力行使だけはしたくなかった

 

「僕からの提案だけど3つ約束をしないかい?」

 

・普段通りの生活をおくり業務に支障を出さない

・誰かを蹴落とそうとしない

・だれが選ばれても恨んだりしない

 

誰も反対の声がなかったところを見るに納得したのだろう

どれかを破った時点で鎮守府運営に支障が絶対出るし、なにより提督がこのことを知った場合自分の責任だと攻めてしまう可能性がある。

 

3人はほっとした顔をして解散をしようとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとまった。」

丸く収まってやっと解散と思ったその矢先、川内が待ったをかけた

「大将はどうしたの?」

どうしたのというのは諜報に関して中途半端な成果を持ち帰ってきたことに対してのことだろう

大将にとってはとばっちりもいいところだが、普段から提督に頼りっぱなしなところがあるので頼み事を断りづらい

 

けっして古鷹が後ろで仁王立ちしていたのにおびえていたとかそんなわけではない

 

ちょっと肩こりを直すために肩を回していただけだ

 

 

「えっとぉ・・・中途半端ではあるけどちゃんと持ち帰ってきてくれたので今回は不問という事に・・・」

「へぇ・・・ところでさ?提督は結局花見が終わっても帰ってこなかったけど、どこにいたの?」

阿武隈の目が泳ぐ

それもそのはずだ阿武隈達も報告を聞いた時はボイコットを考えたくらいだ

しかし大将には切り札があった

 

 

「耳本くんの介抱を頼んでもいいかのう?」

 

 

意訳するとこれで許してくれというわけだ。

阿武隈、時雨、古鷹は速攻で実益の方を取った

 

「なぁ時雨?ずいぶん顔色わるぅなっとるなぁ?」

「そっそうかい?」

龍驤もそっぽを向いた時雨の顔を覗き込んだ

「古鷹ぁ?話してくれるよね?」

「・・・っ!」

ニコニコと古鷹に詰め寄るが腕には怒筋が浮かんでいる

 

 

 

 

この日から一か月間3人の間食当番の大半を川内と龍驤、加古に交代させられたとか

 

 

 

オマケ

吹雪(第32回っていったいいつからこんな会議してたんだろう?)

※普段の議題はいかにして提督と吹雪の残業時間を減らすかの会議のため呼ばれない




昨日やっとE5クリアしました!
初めての甲クリア&甲勲章
始めて1年未満でとれるとは思ってもみませんでした
これでやっと落ち着ける・・・

わけもなく堀が残っていたりします・・・
E1 朝霜、高波
E2 朝風
E4 秋月
E5 ローマ、嵐、萩風、秋津洲

E5が辛いなぁ(´・ω・`)

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