これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府と報道

羽田空港 ロビー

 

大本営に決算の書類と簡単な株主総会(一応採掘関連は民間であるため行われる)の打ち合わせのために提督と宿泊棟責任者の榛名はいた

本来であれば鎮守府から軍基地内の滑走路へと行き、そこから直接大本営に向かう。

だが、タイミングが悪く今日は滑走路の整備点検で着陸不可だった。

そのため、一度八丈島に飛んでから民間機で羽田へと飛んだ。

もちろん迎えはないため、公共交通機関を使う。

「すみません!」

タクシーでも拾おうと、外に出ようとしたときある女性に呼び止められた。

「耳本中佐ですか?」

「ええ・・・。失礼ですがあなたは?」

人の覚えは悪くないはずだが、話しかけてきた女性と会った記憶はない

 

「こちらこそ失礼しました。私はこういうものでして・・・・・・。」

すっと名刺を差し出される

「・・・なるほど新聞社の方でしたか。」

○○新聞社

国内でも有数の新聞社であり、俗にいう大手紙といわれるところだ。

「・・・・・・大変申し訳ございません。取材に関しては大本営からの許可がないとできない状態でして」

「そこを何とかお願いできませんか?」

申し訳なさそうな顔をして断るが、記者の方も食い下がる。

大本営からの許可がないとできないというのは本当だ。

だが、今すぐ電話をして許可を願い出れば許可は下りる。

それをしたくない理由が2つある

 

1つは自身が持つ影響力だ

派閥に属してないうえ、日本でも最重要の補給拠点の司令官の言葉が軽いはずがない

慎重に言葉を選ばなければならない

しかし、それが決して面倒というわけではない

 

 

マスコミが真実のまま伝えることはほぼない

 

 

これが最大の原因だ

インタビューを受けたとして使われるのはごく一部

それも、曲解されたり誤解を受けそうなところを切り取る

悪い言い方だが、マスコミというのはその道のプロ集団だ

いくら現状艦娘に対して世論は好意的といっても夏木達を主体とした広報部の血のにじむような努力の結果だ

国営放送でも、戦果の報道や艦娘のドラマ、企画した番組に出ることが時々ではあるが出演する

だが、民間の放送局や新聞社の場合スポンサーや株主などのバックについている人たちの影響をがっつりと受ける

 

すべての報道関係がそうだとは言わないが、艦娘関係の記事やニュースではどちらかというと批判的や軽視、時には全くのでまかせの情報が流れてたりする

かといって国営放送が信じられるかというとそういうわけではないのだが・・・

民間のニュースはイエロージャーナリズムの色が濃いワイドショーと化している

 

 

 

どんな言葉を切り取り、曲解、揚げ足取りされ、夏木達の努力を壊してしまうのかわからない

 

 

 

定例会見などなら、時間をかけて誤解を生まない対策ができる。

しかし、こういった直接取材はそういったことができない観点から受けないのが通例だ。

もちろん、大本営が規制しているというイメージを持たせないため、許可の申し出があれば許可を出すという形態はとっている。

 

 

 

 

 

2つ目は榛名の様子だ

申し訳なさそうな顔を浮かべているが、どこか悲しそうな・・・

少なくとも好意的ではない感情が出ている

ホテルや旅館の管理を任されている榛名が、人に対してこのような反応をするのは初めてだ。

 

「匿名にもいたしますので!」

「ですから大本営の方に・・・」

何度言っても食い下がってくる

周りの人たちもなんだなんだとこちらをちらちら見始めた

「それでは大本営の方に掛け合っていただけませんか?お願いします!」

「・・・っ!」

これを言われてしまうと電話をかけるしかなくなる

重々しくスマホをとりだし、大本営に電話をかけようとロックを解除する

 

 

 

「耳本さん!」

聞きなれた声がした方をむく

「お迎えに上がりました!大将から早急にと言われましたので!」

内浦鎮守府の青葉だった

渡りに船

「すみません。こういった事情ですので今回はご容赦ください。行きましょう青葉君。」

 

 

 

 

「はぁ・・・助かった・・・・・・。」

車内でスーツのネクタイを取る。

民間の交通機関を使う際は軍服の着用はしない。

以前はしていたのが、戦争の近況を聞きたいものや先ほどみたいなインタビューなどで囲まれてしまい、対応に追われた事例が過去にあった。

そのため大本営の近く以外は、軍人とわからない格好で外に出ることが現在は推奨されている。

「間に合ってよかったです。基地の工事の時は時々、ああいった輩が空港を張っているのが常ですから・・・。」

「榛名の様子もおかしかったから助かったよ。」

「え・・・。気づいていたんですか?」

榛名はびっくりした顔をした。

おそらく本人は隠しきれていると思っていたのだろう。

「あんまり民間の報道関係や取材の類は好きではなくって・・・」

「そうか・・・・・・。これからはあまり受けないようにしておくよ。」

 

時の話題

 

ある映像資料のタイトルが頭をよぎった。

そういえば青葉もその一人だったと思いだす。

本人たちにとっていい話題ではないので言わずに頭の隅に再度戻す。

 

 

 

「それにしても大将にお礼言わなきゃな。」

上着だけ軍服に着替え、ゆったりとくつろいでいた。

「あっいえ。実は大将ではなくってですね・・・」

「耳本様到着しました。」

運転手がこちらを向いた

窓の外を見れば、いつの間にか大本営の門の前まで来ていた。

ちなみに将官ならば建物の前まで行ってもらえる。

「ああ。ありがとうございました。お礼言いたいからあとでそっちに行くよ。それじゃあ行くぞ。」

「はい!青葉さん。ありがとうございました。」

「わかりました。それじゃあ待っています。」

 

 

 

青葉新聞 大本営本局

青葉新聞は各鎮守府にいる青葉が情報を持ち寄って書かれる全国版と各鎮守府の青葉個人が発行する地方版が存在する

全国版の場合は週刊での発行となる

軍内部のみでの流通のため、割と俗っぽいことから作戦の遂行状況など様々なことが載っている

・・・以前騒ぎになったのは俗っぽいことが書いてある紙面だ

 

「粗茶ですがどうぞ。」

会議が終わった後、本局に来た提督と榛名は応接室に通された。

青葉曰く

「迎えに行くように頼まれた人がぜひ会いたいとのことでしたので。」

ここまでの歓待を受けることは想定していなかった

青葉はお茶を出すと退出していった

一体誰だろうか

ひょっとして・・・

そう思ったとき、ノックの音がして入ってきた。

 

 

 

「お久しぶりですね。耳本さん。」

「やっぱり君だったか!青ちゃん。」

(青ちゃん!?)

榛名は戦慄した

鎮守府であだ名がついた子は一人もいない

長い付き合いの吹雪、川内

教艦としての付き合いがある望月、深雪

上記の4人ですらあだ名呼びではない

「あの・・・・・・提督・・・・・・その方は・・・・・・・・・・?」

あまりのショックを隠し切れずとぎれとぎれに声を絞り出した

 

ずっと前から

 

以前の会議で出てきたあの単語が頭の中で反響する

 

「ああ。彼女はね・・・・・・」

青葉はいらずらに笑うと提督にバッと飛びついた

 

 

 

 

 

「耳本さんの彼女です!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「おい!・・・榛名?」

提督は苦笑いして小突いた

それと同時に榛名の様子がまたしてもおかしいことに気が付いた

「・・・・・・キュウ。」ガックン

「おい!榛名?!」

「榛名さん?!」

 

 

 

「つまりお二人はそういった関係ではないと?」

「ちょっとした冗談のつもりだったんです・・・。大変申し訳ありません。」

深々と頭を下げる

なんとか提督が抱き起し、ソファーに寝かせると10分ほどで目が覚めた

目が覚めると青葉は慌てて近寄り、先の謝罪をした

「でもそういった関係でないとするとどうしてそんなに親しげなんですか?」

あだ名呼びなんてよほど仲が良くない限りあり得ないはず

そういう続きの言葉は飲み込み、青葉に問う

「ああ、それは耳本さんが募集の際の説明を私が担当したんですよ。」

 

提督は随時募集がかかっている

全国に港は何か所もある上、艦娘の索敵範囲は以前のような護衛艦のようにはいかない

小さなところから大きなところ

時には湖や山みたいなところにも警備府や出張所として構えているとこさえある

(湖は時たま出るらしいが山に関しては全く不明だ)

志願者も多いが、ある程度の素質で振り分けされている

妖精さんが見えるか見えないか

これで半数が落ちるらしい

妖精さんが見えなければ仕事にならない

そこからさらに試験を行うため、入ってくる提督候補は少ない

 

 

 

「その時にたまたま話が弾んでね。俺があっちに着任するまではよく話したり、遊んだりしたんだよ。最近は編集長になったとか聞いたけど?」

「そうなんですよ!それでここの本局を空けることがちょっと増えちゃって・・・いつ以来でしょうかね?」

「えー・・・3年ぶりくらい?古鷹を引き取りに来た時だったから。」

向かい合って話している様子から見て親友という位置づけだろうか

榛名は怪しまれない程度に観察する

「そうだ!耳本さんもだめですよ!最近では隙あらば話を聞こうとあっちこっちで見張っているんですからね!」

「ほんとに助かったよ・・・。あのままだとインビューに応じざる得なかったから・・・・・・。」

苦笑いしながらお礼を言う

「それと本命は決まりましたか?」

「ノーコメントです。」

意地の悪い笑みで青葉が聞くと、提督は目をつぶって微笑しながら答えた

「今度内浦の子を侵入させましょうかね・・・・・・。」

「あの子は引き受けないと思うけど?」

でしょうねと肩をすくめ、別の話題に入った

 

 

 

 

 

 

 

「編集長?」

「どうしたの?」

「耳本さんとの久しぶりの再会はいかがでしたか?」

青葉はちょっと茶化した感じで言ってみる

「そうだね・・・・・・。楽しかったかな?」

ちょっと憂いのある表情で答えた

「?ひょっとして編集長も耳本さん狙いですか?」

「・・・・・・。」

「えっ・・・・・・?まさか?!」

冗談のつもりだったその質問に対する反応は、編集長は回転いすをくるりと回転させて視線をそらしたものだった




ちょっとある動画の影響を受けましてきつめで一方的なの表現かもしれないです。

やっとこさ資源の回復もめどが付きそろそろ次のイベントに向けての育成艦を絞り始めている今日この頃
うちは対潜駆逐の幅がひどかったのとサブの雷巡育成をメインにしていく方針です(´・ω・`)
堀の時対潜要因がかっつかつでしたので・・・
そして次の改二は熊野が濃厚・・・
2隻持ち推奨ですし設計図3枚とかもう・・・_(:3 」∠ )_
追いつけるペース超えてるじゃないですかヤダー_(:3 」∠ )_

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