これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府と姉妹 その2

「馬鹿じゃないの?」

「あはは・・・。」

 

 

 

佐世保第二鎮守府 秘書艦室

 

 

 

鎮守府から出張という名目の追い出しを食らった吹雪は、辛辣な叢雲の一言に苦笑いをしてこめかみを掻いた

作戦がもうすぐ終わるため、使った分の資源回復のために遠征に出たのだ

だが、ついた先で備蓄予定数を上回る資源とついでに姉を押し付けられ何が何だかわからぬうちに追い返された

とりあえず自身の提督に報告をし、吹雪が持っていた手紙を見て頭を抱えた

そして、純粋に出てきた言葉が最初の言葉である

 

 

「もおおお・・・どうしてあんたって・・・あー・・・。」

机に突っ伏すとため息をついた

「ごめんね。叢雲ちゃん。」

申し訳なさそうに吹雪は謝る

「はぁ・・・・・・私はまだもう少し仕事あるからここにいなさい。」

深いため息をつくと、書類を見始めた

吹雪は手紙を見る前に出されたお茶を一口含んだ

上品な甘さと渋みが口に広がる

気を使ってくれたのか上等な物のようだ

 

ちらっと横目で見ると叢雲は集中しており、こちらに気を向けてないことがわかる

ここにいなさいと言われたが、なにもしゃべらずじっとしているのは性に合わない

かといって話しかけて邪魔をするのは気が引ける

どうしたものかと思い、あたりを見回すとある物が目に入った

隣の執務室へ通じる扉のところに未決済(期限長め)と書かれた書類束があった

そっとソファーから立ち上がり、近づく

つかんで、ぺらぺらと捲っていく

出撃報告書や建造報告書などの自分たちのところにはない書類もあれば、遠征報告書、任務報告書などの自分たちが担当している書類があった

そして、じっと見ると遠征報告書や任務報告書はすでに記入が必要なところは終わっており、最後の秘書艦のミスがないかのチェックと確認印が押されるのを待っている状態だった

そっと後ろを見ると叢雲は、先ほどと変わらず作業をしている

 

 

 

 

 

 

「ん!終わったわ・・・」

「お疲れ様。はいお茶ここに置くね。」

持っていた書類を決済済みの箱に入れ、伸びをした

吹雪はニコニコして、お茶を机の上に置いた

「あら、ありがとう。・・・ってこれ吹雪にやらせることじゃないんだけど。」

「ごめんね。じっとしているのが性に合わなくて・・・。」

お茶を飲みながらジト目で吹雪を見ると目線を合わせないように先ほど出された湯飲みにお茶を入れる

 

「全くもう・・・。ところでさっきそっちに行ってたけど何してたのよ?」

「えっ?!ええと・・・。」

お茶を飲もうとした吹雪はビクッとして言葉を濁す

何も言わなかったから見てないと思ったのだ

「・・・ちょっと。何してたのよ?」

「えっとね?怒らない?」

「ケースバイケースね。」

むすっとした顔をして吹雪を見る

気まずそうに吹雪は書類束を出す

「・・・・・・まさか?」

叢雲は書類束をひっつかんで捲っていく

下の支給側と書かれた枠に駿河諸島鎮守府の印鑑が押されていた

さらには、ご丁寧に書き間違いのところは二重線が引っ張って訂正されていた

 

つまりは、チェックが終わっているため確認印のところと訂正印を押すだけでよくなっていた

 

「・・・・・・ん。」

「えっ?」

叢雲は見ている間は肩を震わせていたが、見終えると肩を落とした

そして、吹雪の方に手を出した

吹雪は訳が分からず聞き返した

「印鑑とペンをよこしなさい。」

ワンオクターブ低い声で言った

「えっ?叢雲ちゃんでもそれは・・・。」

「没収よ!あんたここにきてまで仕事道具持ってると思わなかったわ!!!」

そういって奪い取ると、机の鍵付きの引き出しに入れて鍵を閉めた

「もう!いい?あんたは今日明日は休みなの!!」

「でもちょっと暇だなぁ・・・って。」

「今もう私も暇になったから行くわよ!」

吹雪の腕をひっつかむと秘書艦室を出た

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

「ごめんね?」

「・・・・・・。」

不満たっぷりのむくれ顔で目の前に座る叢雲に吹雪はどうにかご機嫌を取ろうとしていた

すべての艦娘の癒しの場所間宮

時刻はちょうどヒトサンマルマル

メニューを確認すると、定番の物以外にもカステラなどの此処でしか食べられないものもあったりする

ちらっと見ると機嫌が少し直したのか、叢雲もメニューを見ている

が、目がちらちらと規則的に左右に動いている

場所から予測するに、クリームぜんざいかパフェで迷っていそうだ

「決めたわ。吹雪は?」

「ん?決まったよ。」

「じゃあ呼ぶわね。すいませーん!」

「はいはい!ご注文をどうぞ!」

手の空いていた伊良湖が伝票をもってこちらにやって来た

「クリームぜんざいをお願いします。」

「はい。クリームぜんざいを一つ。」

「あ、私はパフェを一つお願いします。」

「え?」

「パフェを一つですね?かしこまりました!」

パタパタと小走りで厨房の方に引っ込んでいった

「・・・・・・。」

「私も食べたかったから半分こしよう?」

「しっ仕方ないわね!」

ほほを赤く染めてそっぽを向いた

 

 

 

 

「それで?本当に大丈夫なの?」

「この前からそればっかり・・・。」

器をもらい、半分ずつ食べていると叢雲が聞いてきた

「だってつい数か月前に倒れたのよ?ふぉれはのひむひゃしひふぁ。」

若干キラキラさせながらパフェを食べている

「大丈夫だよ~・・・。」(多分)

「吹雪が倒れたらこっちまでやばくなるんだからね!ほんとにもう!」

「・・・ひょっとして代理頼んだ時きつかった?」

「そっそんなこと・・・・・・。」

否定しようとしたが、そのあとにないの言葉が続かなかった

「あちゃあ・・・ごめんね?大変だったでしょ?」

次からはあんまり頼まない方が

そうぽろっと言いかけた時、叢雲がずいっと顔を近づけた

「どうしてそうなるの!」

「ええ?!なんかまずいこと言った?!」

「確かに大変だったけど!姉さんもたまには休んでよ!!あたしやうちの人に頼んだっていいから!また倒れるわよ?!」

吹雪はびっくりした顔をしていた

同時に、店内がシーンと静まり返っていることに叢雲は気が付いた

「・・・ちょっちょっと外すわ!!」

気まずそうに席を慌てて立って行った

「あっ・・・行っちゃった・・・。」

吹雪は呼び止めようとしたが言葉が出る前に行ってしまった

ふぅと軽いため息をつくと小さくありがとうねと聞こえないだろうがお礼を言った

そして、伊良湖を呼び紅茶とコーヒーを叢雲が戻ってきたら持ってきてもらうように頼んだ

そのついでで会計をした

店内は徐々ににぎやかさをまた取り戻し始めた

少しすれば戻ってくるだろう

そう思い何気なくスマホを取り出した

「・・・・・・?」

急に何か慌てた様子でロックを解除すると電話をかけ始めた

『あ?もしもし?吹雪ですけど・・・・・・。』

 

 

 

 

 

 

後日

佐世保第二鎮守府の青葉が新聞で叢雲のツンデレ特集が組まれた

見出しは

「ツンデレ秘書艦の弱点は姉?!」

「提督にすら見せない一面!」

 

 

叢雲が青葉を追い回すのはまた別のお話し

 

ちなみに新聞は飛ぶように売れた




吹雪型は姉妹という感じがないけど姉をしている吹雪と妹してる叢雲が書きたかったのです(´・ω・`)

睦月型の情報がちょこっと出ましたね
三日月が実質脱落しちゃいましたね
前線で奮闘を続けたという事で菊月の線もかなり薄くなってきたなぁと・・・




瑞雲ハイランドに再吶喊してきました
前回は買えなかった念願の瑞雲法被を入手!
着心地は・・・うん(´・ω・`)
他にも奇跡のラスイチSIMカードを入手できるなどほくほくでした(使い道は知らん)

昼には海自カレーか陸自カレーが食べられるという事で突撃したんですけど陸自カレーしか残ってなかった・・・
でも護衛艦伊勢のカレーがまさかのイカ墨カレーというちょっと勇気のいるものでしたw
陸自カレーはケチャップがかかっている甘めのカレーでした(長門さんもニッコリ)
念願のもっちーのクリアファイルも入手!

スペシャルステージは立ち見に並んでいた人と偶然話し込みそのまま一緒に話しながら時間をつぶしつつステージを一緒に見てましたw
ちゃっかりサークル名刺ももらってきました

・・・なんか最初の瑞雲祭りより楽しめた気がする(´・ω・`)
でももうこれで行くことはない!
・・・嫁艦の商品や声優さん来なければ

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