これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府と足音

「正座。」

「「「はい・・・。」」」

 

執務室にて提督と吹雪、親潮が3人正座していた

その前には般若の顔をした時雨、仁王立ちした古鷹、眉間をもんでいる阿武隈の姿があった

時刻はマルキュウマルマル

 

 

「で?またやったの?」

 

時雨がドスのきいた声で3人に質問する

 

「いやほんとちょっと!」

「そうです!ほんとに少し残ってただけですから・・・。」

 

提督と吹雪が釈明の声を上げる

しかし、その顔は明らかに徹夜しましたと顔のやつれ具合が物語っている

 

「君たちの少しは徹夜なのかい?」

 

ぴしゃりと時雨がいうと、二人は何も言えず俯いた

 

「親潮も今日で3徹目だよね?」

 

先ほどまでのきつい声を幾分か和らげ、親潮に話しかける

 

「えっと・・・はい・・・。」

 

しょぼんとした様子でうなづく

 

「まだ説明してなかったけどうちは3徹目は提督の許可がないと禁止なんだ。」

「えっ!そうなんですか?」

 

提督がこんな振る舞いをしていて意外にも思われるかもしれないが、これには理由がちゃんとある

いくらここが補給専門といっても鎮守府であることに変わりはない

そのため、深海棲艦が哨戒線を潜り抜け付近に出没した際は、こちらが迎撃して処理をしなければならない

その時にあまりに疲弊した者を出撃させるのは本人だけでなく、艦隊や鎮守府をも危険に晒す

なるべくであれば外すのだが、場合によっては人員不足でメンバーに入れなくてはならない可能性もある

今日だって川内は大本営で調べもの、龍驤は八丈島へ航空隊の指導、山風は本土に用具の買い付けに出ている

このように、必ずしも全員が常時鎮守府にいるわけではない

予定が重なってしまうと6人ぎりぎりの時だってある

そうなるといやでも疲弊した者を組み込んで迎撃しなければならない

 

と、ここまでつらつらと説明しているが提督と吹雪は一切守らなかったため今では別の誰かに許可をもらってからになっている

 

 

 

「というわけで、親潮は今日は休み明日から1週間は定時で上がってね?」

「はっはい!」

「うん。じゃあ戻ってよし。」

 

少しおびえた雰囲気でうなづくと足早に退出していった

 

 

こののち、ワーホリ枠が1人増えたと3人の頭を悩ませることになるのだがそれはまだ先のことである

 

 

「提督と吹雪は・・・。わかってるよね?」

「「アッハイ。」」

 

今日はとりあえず休め

処罰に関しては後日だ

そういう目をしていた

 

「あ、そういえば今日は観艦式の時にこっちに一時的にくる子が挨拶に来るんだった。」

「・・・・・・じゃあその仕事したらちゃんと寝てよ?僕と阿武隈は今日は仕事があるから古鷹を監視に着けるね。」

「提督。よろしくお願いしますね?」

 

にっこりと笑っているがこちらも目が笑っていない

あ、お願いしますと提督は目を逸らしながら声が徐々に小さくなった

 

 

 

 

2人が出て行ったあと、古鷹が質問した

 

「ところでどうしてまた観艦式の時だけくる子がいるんですか?」

「ああ、こんなお達しが来てね?」

 

そういって質問をした古鷹に書類を渡す

見ると、観艦式の案内で下の方に『参加する艦隊はある程度しっかりとした艦隊を組んでくること』というのが明記されていた

意訳すればおそらくはその鎮守府の一級の戦力を組み込んで来いという事なのだろう

そうなれば鎮守府唯一の航空戦力たる龍驤は外せない

しかし、ここに所属している子たちで空母は派遣されている鳳翔さんを除くと龍驤のみ

そうなると、観艦式の間は基地航空隊関係や偵察機での哨戒任務ができなくなってしまう

それを防ぐために、大本営に一時的な派遣要請を行った

 

「そういう事だったんですね。という事はわたしも?」

「いや・・・予定しているメンバーを連れて行くとここの代理を務められる子がなぁ・・・。多分代理を古鷹にお願いすることになると思うんだがいいか?」

 

吹雪はもちろん、戦闘経験の豊富さから川内もメンバーに入る

そして、最初は代理を頼もうと思った龍驤だがこちらもつれていくとなると残るのはこの間やったばかりだが、古鷹しか代理ができない

 

「はい!大丈夫です!私にお任せください。」

「ごめんな?連れてってやれなくて。」

「そんなことないです!提督からの任務。しっかり頑張ります!」

「まぁまだ決まったわけじゃないがその時は頼むぞ。」ジリリリ

 

そんな会話をしていると机の上の電話が鳴った

 

「おっと、あちらさんは到着したかな?はい。駿河諸島鎮守府・・・ああ文月か。一体・・・・・・は?!それは・・・本当か?!」

 

提督の声に緊張が走る

 

「それで今は・・・・・・。そうか。わかった今から向かう。それじゃあ病院で!」

 

受話器を荒々しく置くと、慌てて隣の自室へと飛び込んだ

10分くらいして、出てきた提督の姿は髪が濡れているところを見るとシャワーを浴びた様子だった

 

「提督?何かあったんですか?!」

「桐月大将が襲撃されたそうだ!今海軍病院にいるらしい。すまないが吹雪を連れて行くから代理を頼んだ!」

「はっはい!」

 

そういって、再び自室に戻ると数分後にはあわただしく出てて行った

 

 

 

 

 

 

「失礼します!」コンコン

 

提督は落ち着いた雰囲気を装っているが、病室を歩く足は足早になっている

 

「耳本中佐、秘書艦吹雪、川内参りました。」

 

提督と吹雪、川内は礼をした

 

「心配をかけてすまなかったのう・・・。」

 

大将は本当に申し訳なさそうにした

見ると、利き手と片足にギプスをつけていた

聞くところによると、どうやら銃撃を受けたらしい

 

「文月がとっさに見たのじゃが・・・髪の色が白だったとしかわからんくてなぁ。」

「そうですか・・・・・・。とりあえず命に別条がなくて本当によかったです・・・・・・。」

「それとなんじゃが・・・この件は内密に頼む。」

 

大将はちらりと扉の方に目をやり、小声で言う

 

「!・・・何かあったんですか?」

「少し前から将官に対する謎の襲撃が合ったじゃろ?恐らくはこれもその一つじゃ。」

 

若葉からの情報で、将官襲撃犯の特徴は白髪という事しかわかっていない

 

「観艦式が迫っている中、公表するのはまずいという事ですか?」

「その通りじゃな。本来であれば中止にすべきなんじゃが・・・・・・な?」

 

おそらくはそのあとのことは察してくれという事だろう

杉蓋、骨田の一件で信頼を失っている今、さらにマイナスイメージをつけたくないという事だろう

 

「それでは観閲者に危険が・・・。」

「だが、これは決定事項でな・・・・・・。わかってくれ。」

 

提督は深いため息をつくとわかりましたと返事をした

 

「ところでその・・・。会計部の後任とかは・・・・・・。」

「その辺のわしの仕事は代理を立てることにした。」

「失礼するぞ。」

 

会話に割って入って来たのは、中肉中背の中年の男・・・だが随分やつれた印象を受けた

 

「大沢・・・元帥・・・・・・。」

「おお!大沢元帥!このような頼み事をして済まないのぉ。」

「気にしなくて大丈夫だ・・・。どうせ予備役の身だからな。」

 

そういって提督達とはベットを挟んで椅子に腰を掛けた

 

「・・・・・・。元帥・・・その・・・・・・。」

(・・・・・・?)

(・・・・・・)

 

提督は普段と違い明らかに動揺している雰囲気だった

吹雪は違和感を感じ取り提督を見やった

そして、川内は黙って静観していた

 

「耳本。執務もあるだろう。今日は戻りなさい。私は桐月と話がある。」

「・・・・・・。はい。戻るぞ吹雪ちゃん、川内。」

 

提督はそっと立ち上がると一礼して退出していった

 

「えっ?!」

「・・・了解。ほら吹雪、行くよ。」

「あっはい!失礼します!」

 

 

 

「・・・・・・。あいつはまだ引きずっているのか。」

「わしらの責任じゃな。」

 

3人が退出していったのを見届けると大沢が口を開く

それに大将が諫めるように・・・・・・そして悲し気に言った

 

「あいつは作戦立案や指揮に関しては最高級の才能を持っているが・・・・・・な。」

「・・・・・・面倒を見ていた時の情ですかな?」

「あいつは悪くない・・・。当時の艦隊のメンバーだって口をそろえて言っていたさ。」

 

深いため息をつくとこの話はやめようと大沢は言った

 

「それにしても二人連れてくるとはのう・・・・・・。どっちに本気を渡すとおもいますかな?」

 

大将はニヤリと笑って左手の薬指を曲げた

 

「・・・・・・一目ぼれした方で行こうじゃないか。」

「なるほど。ではわしはその反対で。」

 

笑い声が病室に響いた

その声にまぎれるかのように静かに扉が開いた

 

「っと・・・おでましですな。」

「あいつも踏ん切りがつけばこうならないのにな。」

「・・・・・・。カレー洋解放作戦について情報をいただけますか?」

 

川内が頭を下げた




いつも閲覧ありがとうございます
作者から読者の皆様にご報告と言いますかご挨拶がありますのでお暇でしたら活動報告の方をご閲覧ください

そして更新速度が落ちてしまって誠に申し訳ありませんでした
・・・堀がですね?いろいろ悲惨なことになりまして
幸いにも新艦は全員ゲット
持っていなかった海外艦はある程度着任させることができましたが・・・

プリンツ堀が失敗しました・・・

堀総数283回
使った資源は燃料、弾薬各約20万、ボーキ3万、バケツ約250

ここまでやっても出なかったのであきらめました・・・
前回の幸運と差っ引いても割に合わない・・・(白目)

因みにE-7は丙で楽々ストレートで粉砕しました♡
自分はこれにて夏イベはほぼ終了です!
皆様のご健闘お祈りします!

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