これははたして鎮守府か?   作:バリカツオ

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駿河諸島鎮守府の小休止

時刻はヒトハチマルマル

太陽はすでに西の空に沈み、空は深い藍色をたたえている

執務室を開けると、すでに明かりは消えており外と同じく暗い

提督が机の方に寄ると一枚のメモが置いてあった

 

 

 

 

提督へ

観艦式お疲れ様でした!

留守中の業務は、滞りなく終わらせてありますのでご安心ください

くれぐれも前倒しでお仕事をなさらないようにしてくださいね

確認作業も明日行ってください

 

古鷹

 

 

 

 

読み終えた提督は思わず苦笑がこぼれた

 

「まぁちょっとやることがあるんだけれどもね。」

 

そう呟いて内線をかけ始めた

 

 

 

 

 

「おかえりなさいませ。耳本提督。」

「ただいま。留守中に問題とかはなかった?」

「いえ特にはありませんでした。」

 

執務室に入って来たのは翔鶴だった

座るように勧め、提督は資料をもって翔鶴の向かい側に座った

 

「それはよかった。実は翔鶴君は明日には大本営に戻る予定だったね?」

「はい。その予定ですが・・・。」

「その件なんだけどもう少しこちら側にいてもらえないかな?」

 

それを聞くと特段驚く様子もなかった

 

「夏の大規模作戦ですか?」

「あれ?知ってたかな?・・・実はうちも出撃することになってね。追々正式な作戦会議をするんだけど、端的に行ってしまえば正規空母がほしい作戦でね。翔鶴君が了承してくれれば一時的に戦力として出撃させてもいいという許可ももらってあるんだ。」

「そういう事でしたら私は構いません。」

 

翔鶴は毅然とした態度で答えた

 

「・・・ところで耳本提督お聞きしたいことがありまして・・・・・・。」

 

そして、少し間を開けると聞きにくそうな顔をしていた

 

「ん?どうぞ。答えられる範囲なら大丈夫だけど。」

「では・・・。提督はカレー洋解放作戦についてご存知ですか?」

「・・・・・・まぁ知ってはいるよ。私がまだ見習い提督として海軍の学校にいたころだったけど。」

 

提督は立ち上がって窓辺に行った

 

「私が知っているのは過去の戦闘記録と同じ事しか知らないがそれがどうかしたのかね?」

「・・・・・・そうですか。わかりました。」

「・・・少し私も質問いいかな?」

 

提督は振り返ると退出しようとした翔鶴を呼び止める

 

「君はもしかしてz・・・」

「てーとく!お迎えに来たでち!!」

 

提督の会話に大声で割り込んできたのは酒瓶担いだゴーヤだった

若干ほほが赤らんでいるところを見るとのすでに出来上がってるらしい

ゴーヤは観艦式会場の沿岸警備に出向いていたのだが、その後別ルートで先に鎮守府に直接戻っていた

うちが作戦に参画することが決定したため、人員が少しでも必要な関係上しばらくはこちらでの勤務となるためである

 

「ごっゴーヤ?!迎えってなんのだ?!」

「宴会場でち!早くいこーよ!」

 

そういってぐいぐいと袖を引っ張っている

 

「ああもうわかったわかった!すまん翔鶴君。さっきのは忘れてくれ。戻って部屋で休んでて頂戴。」

「はい。承知しました。」

 

あっけにとられてる翔鶴を帰るように促した

 

 

 

 

 

ゴーヤの後をついていくと、行きついた先は居酒屋鳳翔だった

中に入ると鳳翔さんがお疲れ様ですと微笑んで奥の方に手を向けた

 

「連れて来たでち!」

 

ふすまを開けると広めの部屋にいたのは親潮、若葉、深雪、望月、山風、榛名、古鷹、阿武隈がいた

共通点はここに残った・・・いわゆる留守番組だ

ちょうど目があった望月は、幸いにもジュースを持っていたので酔っ払いの相手をしなくて済みそうだと一安心した

・・・すでに迎えに来たものが酔っ払いなのだが

 

「やれやれ。いったい何の宴会かいな?」

「提督・・・。」

「ん?古鷹か・・・おつk・・・・・・。」

 

どっこいしょと腰を掛けると近くにいた古鷹が近寄って来た

提督代理を務めてもらったのだからねぎらいの言葉でも・・・

そう思い古鷹の顔を見て絶句した

ほほが赤らんでいる

 

「ていとくー。」

 

そう言いながらこちらにダイブしてきた

見たところキス魔を引いてはいなさそうだ

しかし、酔っ払いの付き合いは確定した

 

「・・・誰だ?飲ませたのは?」

「「「「「「「・・・・・・・。」」」」」」」

 

見事に全員が目を逸らした

こんなことをしても誰も得をしないだろうに・・・

そう思い古鷹を引き離しにかかる

 

「ていとくー・・・。わたしたちにもあのすがたみせてー。」

「あの姿?」

「これだよこーれ。」

 

そう言って望月がスマホを持ってきた

そこには観艦式の待合室の写真がうつっており、送り主は皐月となっていた

 

 

 

それは遡ること一時間ほど前

観艦式から提督たちお出かけ組が返ってくるという事で留守番組はお疲れ様会を兼ねて酒宴を開くことにした

酒に弱い望月とご存知の通り酒癖が悪いことで有名な古鷹はソフトドリンクで、あとはみんなお酒を飲んでいた

その時ふと望月と深雪の会話が火種となった

 

「そういえばみっちゃんの制服みたのって卒業式以来かな?」

「ああ、だな。久しぶりに生で見たかったぜぇ・・・。」

 

深雪が残念そうにお猪口をあおった

まぁ呪い殺されたくはないけどなと笑った

 

「え?制服?」

「うん。ほら。」

 

食いついたのは古鷹だった

望月が古鷹に見せた

皐月のどや顔がうっすらと後ろから見えそうなくらいの文章に添付された画像を

 

「・・・私この姿の提督見たことないです。」

「・・・・・・私もです。」

 

榛名も後ろから見るとしょんぼりした顔をした

他のみんなに見せてみると口々に初めて見たという者ばかり

それもそうだろう

普段提督がしている格好は略式の物

一応制服でもいいのだが、いかんせん堅苦しすぎるので通常時もするものはまずいない

だからこういった特別な時しか見れない一種のレアものでもある

 

そして、見た事が無い者の中でもとりわけショックが大きかったのは古鷹と榛名だった

彼女たちはこの中では1,2の古株

ショックが大きいのも当然だ

 

「・・・!ねぇ?古鷹?みっちゃんのこの姿を生で見て見たくない?」

 

何かを思いついた望月が古鷹に話した

 

(おいおいおい!まさか酒を飲ませる気じゃないだろうな?)

 

望月の行動が読めた深雪はこっそりと耳打ちする

 

「・・・見たいです。」

(そのつもりだよ。考えてごらん?提督にお願いが効きそうな性格になれば成功してみんなハッピー。失敗したら提督にお任せすればこちらは被害なし。ね?)

 

深雪は少し迷ったが、それもそうかと考え望月を止めずに古鷹に酒を飲ませた

 

 

 

 

 

 

そして今に至る

 

「え?なにこれ?」

「だからー。この時の制服が見たいって言ってるの。」

「ええ・・・・・・。あれ堅苦しいからあんまり・・・。」

「やだー!みたいですー!!」

 

古鷹は提督の肩を掴むと泣き気味で少し強めに揺さぶった

 

「だー!わかったわかった!着替えてくるから離してくれ!」

 

どうやら今日の古鷹の酒癖は駄々っ子のようだ

提督はあきらめて古鷹を引き離し、着替えに行った

 

 

 

 

 

 

「はい着替えてきましたよーって・・・ル級とリ級まで追加されてるよ。」

「ああ、提督・・・随分男前ね。」

「かっこいいです!」

 

きっちりと着込んで戻ってくるとル級とリ級が追加されていた

 

「そんなににあってるか?これ?」

「あれよ・・・。馬子にも衣裳だったかしら?」

「ル級様それ確かバカにした意味だったような・・・?」

 

少しひどいことを言われたがまぁ的を射ている・・・

そう思いつつ腰を掛けると古鷹がご機嫌で飛びついてきた

・・・もう幼児退行を半分しているんじゃないかと思いつつ無理に引き離すのをやめ自由にさせることにした

 

 

 

 

 

 

「で?二人はどうしてまた急に来たんだ?」

 

ちょっとした撮影会を終え、提督はル級とリ級に話しかけた

 

「ああ。そうだったわ。提督・・・最近この付近で深海棲艦がうろついているかもしれないわ。」

「というと?」

 

ル級曰く

ここ数日気配がずっとしており、それについての報告書を提出したとのことだった

しかし、先ほど特に強い反応があったため直接耳に入れた方がいいとリ級と相談して探し回った末にここに着いたという

 

「あ!それならひょっとしてあれかなぁ?」

「あれって?」

「実は戻って来た時に空母ヲ級っぽい影を見つけたんでち。慌てて潜航したんだけど特に艦載機を放つわけでもなくただぼーっと突っ立ってたんでち。」

「ええ・・・・・・。見張りの哨戒網はいったいどうしてたんだ・・・?」

「とりあえず魚雷撃って追っ払ったでち!」

 

 

えらいえらいと撫でてやり、とりあえず作戦に支障がなければ・・・と内心不安を残すことになった

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ではあるが古鷹は酔っぱらった後の記憶があいまいになるため望月が報酬として写真を保存して送ってくれたのだが、あまりにもべたべたにくっついている物が何枚もあったため真っ赤になってしまったとか

 

そしてその記憶がないことをたいそう悔しがったとか




ちょっとした閑話としてのお話でした
次回からは夏イベの方に入っていきます

秋刀魚祭りで海防艦ドロップ?らしき情報が流れてきましたね
うちは海防艦は4隻とも居るのでそこまで血眼にはならないかなぁと思ってます
(というか春イベの時になぜか択捉がしれっと分身している不思議)
持ってきてくれるのは95式より2式の方がいいなぁと思う今日この頃です(´・ω・`)
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