ごめんなさい。
もう何度この言葉を聞いただろうか。
桜内梨子、私のクラスに転校してきて数日…今日もまた
スクールアイドルの勧誘を逃げるようにして断っている。
それにしても馬鹿の1つ覚えな勧誘、最初は口出しする
つもりはなかったのだが。流石に誘う方も誘われる方も
堂々巡りなので助言をすることにしますかね。
「高海、放課後職員室にくるように、朝のHRは以上。
今日も一日頑張って。」
「ほえぇ?」
「ち、千歌ちゃんなにかやらかしたの?」
何か悪いことをしてしまったのかと勘違いしている渡辺
の声を背に教室を後にする。
さて、いざ助言と言えど…どうするか。海の音がどうとか
で悩んでたよな。そして4月の海へダイブか、海の中にヒ
ントが隠されているのかは定かではないけど潜ってみるの
も有りと仮定して…うん、これしかない。
考えが一段落したところで今日も教師生活を謳歌すると
しますか。
時間は過ぎ昼休み、…ご飯を食べ終わると校長に話し
かけられる。
「岸先生、すまないが生徒会の手伝いをしてもらえん
ですかな?」
「は、はぁ構いませんが。」
お断りします!って言いたい、西木野みたくw新任に
負担増やすなよドS校長め。。
「おぉ、助かるよ。早速今からよろしく頼む。」
って今からかよ…ブツブツと愚痴を心で呟きながら
職員室を出て生徒会室へと向かう。
「お断りしますわ!」
生徒会室に入ろうとするとお断りされましたw
…こっそりと中を覗くと黒澤と見慣れた後ろ姿、
あれは高海と渡辺か。なるほど、帰りたい。しかし
校長にお願いされた手前帰れない…様子を見るか。
「こっちもぉ!?」
「やっぱりぃ…」
「5人必要だと言ったはずです。」
んーと、部活申請を2人で通そうとしてるのね。なんだ
このデジャヴ感は…そういえば高坂達も5人必要なのに3人
で申請しようとしてたっけ。
「それ以前に作曲はどうなったのです?」
「それはぁ…多分ー…いずれぇ…きっと…可能性は無限大!」
せめて作曲スキルのある桜内を加入させてから申請しろよ。
それでも3人だけどw
「で、でも最初は3人しかいなくて大変だったんですよ
ね?u'sも。」
……………ん?
「知りませんか?第2回ラブライブ優勝!音ノ木坂学院
スクールアイドル、u'sっ!」
トントントントントン、机を人差し指で突いてらっしゃる黒澤氏。
机に穴が空きそうだ…どんな怪力だよw
「それはもしかして…μ'sのことを言ってるのではありま
せんですわよねぇ?」
か、帰りたい。誰が見ても一目瞭然、黒澤様はおキレに
なっていますわ。。
「も、もしかしてあれってミューズって読む…」
「おだまらっしゃぁぁぁぁい!!」
「言うに事欠いて名前を間違えるですってぇ?あぁ!?
μ'sはスクールアイドル達にとっての伝説・聖域・聖典、
宇宙にも等しき生命の源ですわよ!?」
「その名前を間違えるとは…片腹痛いですわ……」
そう言って高海へと詰め寄る黒澤様、うん信者だねw
しかも片腹痛いって…盲腸かな?wなにより…あぁ!?ってw
ヤンキーまっしぐらやん。もう金髪にしてしまおうよw
ダメだ、笑いが止まらない。。
その後も黒澤様のお小言が続き、何故かμ'sの問題を出さ
れる高海。
「μ'sが最初に9人で歌った曲、答えられますか?」
「え、えっと…」
「ブーーーッ!ですわ。」
考える時間、え、えっとの間。鬼畜を見た瞬間である。
まぁ黒澤レベルだと即答できなきゃ駄目ってことだろう。
ちなみに私は…3秒くらい考えました。ブーーーッですね。
その後も問題が進み、冒頭でスキップしてる4人は誰とか
…私は知らない。μ'sとあれだけ関わってきたのに、それに
関する問題に答えれない私…これは事件ですね。
もしこっちにまで問題出されて答えれなかったら黒澤から
何を言われることやら。
ブッブッブーーーーーーっですわと言いながら再び高海
へと詰め寄る黒澤、後退りした高海が触れたのは…あ、
マズイ。とりあえず耳を塞ごう。何か色々言ってるが
耳を塞いでるから耐えられた…静かになったので塞いだ
手を離すと。
「と、とにかく!スクールアイドル部は認めません!!」
う、うるさい。これがずっと校内に流れていたのかと思う
と…片腹痛いですわ。仕方ない、入るか。
まずはマイクをオフにしてと…
「うるさいぞ黒澤!」
「…岸先生、何がうるさいのです?」
おぅ、まだ機嫌が悪いご様子で。。
「今の校内に流れてたぞ、高海が後退った時にスイッチ
入ってな。」
「なっ…」
顔がみるみる真っ赤に染め上がり怒りの感情が恥ずかしさ
へとシフトしていく。茹で蛸でぇすね♪
「高海、渡辺、もう教室に戻れ。昼休み終わるぞ」
「で、でもまだ…」
「千歌ちゃん、戻ろ?」
渡辺に諭され渋々生徒会室を去る2人。
さて、後はこの茹で蛸様をなんとかしてちゃっちゃと
手伝いを終わらせますか。
「黒澤、校長から生徒会の手伝いを頼まれたんだ。
何をしたらいい?」
「こ、こほん。で、では書類の整理をお願いしますわ。」
まだ少し動揺しているが指示は出してくれた。何この
書類の数。。
「な、なぁ他の役員はどうした」
「部活動と掛け持ちなさってる方がほとんどですの。
ですからお昼休みなど使ってわたくしが作業を進めて
ますわ。」
なるほどね、しかしまぁ責任感の塊だことで。絢瀬も
生徒会長だからと背負い込んでたっけ…。あの人には
東條がいた、黒澤には…仕方ない。私がフォローしま
すかね。
黒澤の隣に座り、書類整理に時間を費やすこと数分、
やはり言いたいことがあったので話しかけることにした。
「黒澤、μ'sのこと大好きなんだな。私は編曲でしか
関わってないがそれでも嬉しかった、ありがとう。」
とびっきりの笑顔で黒澤へ感謝を伝えると何故か真顔
で見つめられた。あれ、茹で蛸期待してたのに。
「…まさかとは思いますが盗み聞きしていたのです…?」
「盗み聞きとは失礼な。入ろうとしてたらタイミング
を逃したので様子を見ていたのだ。」
「はぁぁ…」
あ、あれ?溜め息つかれました私、覗き見をしていたの
であって盗み聞きをしていた訳じゃない…どっちもどっ
ちな気がしてきましたはい…。
「先生、あの子達を助ける気はありませんの?その気に
なれば作曲もできるのではなくて?」
そうきたか。でも何故スクールアイドル否定してた彼女
が助ける気とか言い出すんだ?
「あぁ、まず作曲ができない。何度か作曲にもチャレンジ
したが西木野にスクールアイドルっぽくないと全て却下
されたよ。どうだっビビったかw」
「そ、そんなドヤ顔で言われましても困りますわ…」
「まぁ作曲に関しての人材はそのうちメンバーになる
さ。編曲はしらないけど。」
「編曲は難しいと聞いたことがあります、それこそ彼女
達を助けることができるのはありません?」
「まぁ難しいよ。それぞれ加える音源、つまり楽器の知識
や演奏ができないとまともな曲は作れないと思う。
それより何故スクールアイドルを否定してる君が彼女達
を助けようとしたがる?」
「そ、それは…」
「前にも言ったと思うが私は関わる気はないよ。」
ここまで拘ると言うことはやはりスクールアイドルに
未練があるのか?…少し突っかかってみるとしよう。
「なぁ黒澤、スクールアイドルに未練があるのか?」
「…!?」
驚いて目を見開きこちらを見てくる…やはりそういうこ
となのね。
「2年前、君はAqoursという名でスクールアイドルを
していた。違うかい?」
「くっ…」
唇を噛み締める黒澤。さらに突っ込んで聞こうかとした
時にタイミングが良いのか悪いのか、チャイムが鳴り響
く。…ここまでか、席を立ち書類を綺麗にまとめて置く。
「これ以上聞くのは野暮か、もう聞かないから安心しろ。
…また手が空いたら手伝いにくるから」
それだけ伝え生徒会室を出る。
そして時間は流れ放課後…
「し、失礼しまーす。」
職員室に来た高海は一目散に私の所へ駆け寄る。
「先生!私何かしました!?」
なん…だと。高海が敬語を使っている!?いやまぁ今は
置いといて。
「桜内を懲りずに勧誘してるようだな、そのことについ
てアドバンスをと思って呼んだんだ。」
「せ、せんせぇ…嬉しい!ありがとうこざいます!!」
「お、おう。とりあえず顔近いから離れてくれ。」
むぅ~と言いながら少し距離をとる高海。この子…常に無
防備だな、それとも私を異性として認識していないのか。
悲しきかな。あれ?でも黒澤に詰め寄られたとき近くない
ですか?って言ってたよね?。。まぁそれも置いといて。
「桜内と初めて会ったときのことを覚えてるか?彼女は
何かに悩んでいただろう?」
「えぇっと…あ!作曲をしてて海の音を聞きたいとか言っ
てました!!」
「そう、スクールアイドルやりませんかの前に彼女が
悩んでることがあるならそこを解決して、そこから
改めて勧誘したら少しは変わるんじゃないか?」
「な、なるほど。海に飛び込む、ダイブ…ダイビング…
あぁ!そっか♪先生ありがとうございました。」
お礼を言ったのも束の間、高海は職員室から駆け出して
いく。よし、これで大丈夫だろう…大丈夫だよな?
「お先に失礼します、お疲れ様でした。」
辺りが夕焼け色に染まる頃、一通りやることが片付い
たので残っている他の先生方に挨拶をしバスで帰路に
つく。最寄りのバス停に到着し海を眺めると、まだ綺麗
な夕焼けに照らされて海が輝いて見えていた。
そして砂浜には女子高生のスカートを捲る女子高生が。
こちらも輝いて見え…そんなわけあるかwって高海と
桜内じゃないか。おいおい大丈夫なのか?
不安になった私は話が聞こえそうなところへ隠れ様子
を伺うことにする、別に桜内のスカートの中が気になっ
たとかじゃないんだからね!?
「こんなところまで追いかけてきても、答えは変わらない
わよ?」
「違う違う、通りがかっただけ」
通りがかって桜内を見つけスカートを捲ったのか。
うむ、意味がわからんw一人であれこれ考えてる間に話し
はどんどん進んでいく。
「じゃぁ今度の日曜日空いてる?」
どうやら海の音はまだ聞けてないみたいだな。そして
日曜日に予定を確認する辺り…もう大丈夫そうだ。
これ以上ここに身を潜めると誰かに見つかったら不審者
で通報待ったなしだ、帰るとしよう。
なんとかバレずに道へと戻ってこれた、再び彼女達に目を
向けると手を繋いで何かを話している。知らない人が見た
ら百合百合ですねこれ。
…家路へと向かうとしますか、そうして歩き始めると
後ろから。。
「おぉーーい、せんせぇーー!!」
高海に呼ばれた、君の位置から見える私は後ろ姿のはず…
なぜ認識できた。。まさか視力がブッ飛んでるのか!?
などと考えるとあっという間に私の側まできていた。
「先生、日曜日暇ですよね?」
…えっと?まさか私は暇人扱いされてますかね?日曜日は
家でゆっくり休みますよ?暇じゃありませんよ?休む日と
書いて休日ですよ??
「うーん、日曜日か。忙しいかな」
こう言っておけば何かに誘われることもないだろう。
忙しいのだから!w
「ふぅーん、さっきそこで盗み聞きしてたよね♪」
おいー!バレてーら。なんでやねん…
「な、な、なんのことかね?私は道を歩いて帰路につい
てるのだよ?盗み聞きなんてし、し、してないぞ」
誰が聞いても盗み聞きしたと言わんばかりの動揺をかま
してしまった。。童謡、動揺する先生…うわっおもんな。
「せ・ん・せ・い!暇だよね!?」
ぐぬっ、凄い圧迫感…骨折しそうである。抗うのはやめ
よう、女子高生の会話を盗み聞きする教師!なんて広ま
ったら…怖すぎる。
「はい、暇です…」
「よかったぁ。日曜日のお昼、ここに来てね♪
それじゃさよならー!」
ゴリ押し…恐るべし!!はぁ仕方ない…仕方なさすぎて
仕方ないが口癖になりそうだ。渡辺のヨーソローを連発
する気持ちを理解しながらトボトボと帰宅するのであっ
た。
…皆に問おう。……お昼って12時?13時?
お昼にここに来いとか…具体的に何時だよぉぉぉぉ~!