それと評価をしてくださった方、ありがとうございます。
「梨子ちゃん…先生……に憧れてるんだよ!」
渡辺を送った帰りの車内で、先程告げられた衝撃の真
実について考える。
え?あの驚き方だと好きとかそういう話しじゃないの?
と思われるかもしれないが、私にとって憧れを抱かれ
る要素に検討がつかない為にあのような驚き方をして
しまった。あの子になにかしただろうか…編曲して今
日晩御飯を振る舞ったくらい…
あれか!変なスイッチが入って凝りすぎたあのカレー
が胃袋を掴んだか!ふっ、何を馬鹿なことを(笑)
そもそも味の感想なんか聞いてもないし。美味しかっ
たです!とか…言ってほしかったなぁ、とほほ。
まぁわからないことを考えても仕方ない、あいつらは
明日からライブ告知で忙しくなるみたいなこと言って
たし…このことは無かったことになるだろう。
自分の中で勝手な結論に至り、家に帰ったらそのまま
眠りについた。。
ーside 桜内 INー
「はぁ…」
帰宅して母親にただいまと伝えそのまま現在お風呂に
浸かってる。そしてつい、考えてしまう…この気持ち
はなんなのだろうと。先生のことを考えるだけで胸の
あたりがモヤモヤする。HRや授業をしている先生を目
で追ってしまうことが多々ある…いったい…いつから?
最初に会ったのは千歌ちゃんと海に落ちたとき。正確
には巻き込んじゃったんだけど。あの時はこんなモヤ
モヤした気持ちはなかった…ちょっとカッコいいなぁ
とは思ったけど…ここじゃないわ。
次に会ったのは…先生がピアノを弾きながら歌ってい
時。私自身、聴いたこともないような優しい音色…そ
してあの透き通った歌声…そう!多分ここ。その時か
ら妙に意識している自分に心当たりがある。私、どう
しちゃったんだろう…
そして最近気づいたことが…先生は普段凛々しいとい
うか、どこか近づき難い雰囲気みたいなものがある。
ところが実際の先生は話しやすく、たまに私達と歳の
差なんて無いような接し方になること…も!?
「こ、これってもしかして…」
本で読んだことがある!…何の本かは今は置いといて
…なんだったかしら……あ!そうだわ、ギャップ萌え!
え?私先生に惹かれてる?先生に…恋…してるの…?そん
な…先生と恋なんて叶うわけないじゃない…それが叶
うのは漫画やドラマやアニメの世界での話し。先生は
先生、私は所詮生徒でしかないのだから。
千歌ちゃん…曜ちゃん…私…どうしたら。
…いけないいけない!今はスクールアイドルにピアノ
に忙しいんだから!!と、簡単に割り切れるならどれ
だけ楽なのだろう。。
「…はぁ……」
私が吐いた2度目の大きな溜め息は…湯煙と混じり合
い、儚く消えていく…私の恋も…きっと……。
ーside 桜内 outー
「んん…」
翌朝、カーテンの隙間から射し込む日の光で目が
覚める。部屋の空気が少しばかり悪く感じたので
窓をあけ、今何時なのか気になった為時計を見る。
時刻は…なんだ、まだ朝の9時じゃないか…
休みだし二度寝と洒落込みますか♪…洒落っけなん
かないけど。再びベットにダイブし…Zzzz[浦の星
女学院スクールアイドル!Aqoursですっ!!]
「な、なんだ!?」
人が安眠しかけたところだったのに外から大きな…
なんて言うんだっけ?町内放送?(笑)都会じゃまずこ
んなこと有り得ない…ってそんなことはどうでもよ
くて。この声は…
[待って!でもまだ学校から正式な承認貰ってない
んじゃ!?]
[んなぁ~!?じゃぁ…えぇっと…浦の星女学院非公
認アイドル!Aqoursですっ!今度の土曜14時から
浦の星女学院体育館にてライブ…]
[非公認っていうのはちょっと…]
[じゃぁ!なんて言えばいいのぉ~~っ!]
なんだ、ただの町内コントか。よし寝よう、私は
なにも聴いていない…いやこの場合は聞いていない
だな。聞くと聴くの違いって難しいよね、日本語
嫌いっ♪Zzzz…
[~♪~♪]寝かせてっ!誰だよ教師の疲れ果てた休
日に電話くれる阿呆はっ!!
一言文句でも言ってやろうと思い、スマホを睨み
つけながら着信の相手を確認する…
…
…
うん、私は寝テイルンダ。着信ナンテ気ヅカナカッ
タコトニシヨウ…そうしよう!(笑)
それから5分くらい経っただろうか、スマホは未だに
鳴り続けてます。。これは出ないと後々怖い…仕方
ねぇなぁ。ちゃんと寝てました的な声にすることも
忘れずにw
「ふぁい、んもしも…[いつまで電話かけさせるのよ
っ!]」
はいご立腹きたぁー!文句言いたいのこっちなんで
すけど。
「んぁ、あぁ悪い…寝てたんだ。どうしたこんな朝
早くから。君から電話してくるなんて珍しい。」
すると突如…
ピンポーン、ピンピンピンピンポーン…悪戯の如く
インターホンを連打される。
[いいからっ!早く開けなさいっ!!]
…は?え、インターホン押してるの電話の人!?
待って待って待って!何で家知ってるの!?怖い
怖い怖い怖い怖すぎるっ!
「な、何を言ってるのかな君は。私の住んでるとこ
ろを君が知ってるはずないじゃないか、ははは。」
あ、ちなみに今もインターホン連打されてます(笑)
[あなたの母親に聞いてるから間違いないわっ!後、
私って言い方やめなさい!キモチワルイわっ。]
あのババァ!なんてことしてくれたんだっ!…ごめん
なさい母様には感謝しかしておりません…さっきまで
は。それとキモチワルイ頂きました。デジャヴ。。
「わ、わかった…わかったからインターホン連打する
のやめてくれ。」
[わかればいいのよっ]
捨て台詞をかまされて電話を切られる、しかし何で
またこんな何もない休日に訪ねてきたんだろう。
色々と考えながら玄関まで来たがサッパリわからな
い。扉を開けるとそこには、両腕を腰に当て威張っ
たポーズのやつがいた…やつって(笑)
「…何しに来た…西木野さんよぉぉ。…!?」
何年ぶりだろうか、あ。ピアノコンクールの時以来
だね。しかしまぁ…なんと言うか…久しぶりに会った
彼女は更に大人っぽさが増しており、思わず見惚れ
てしまう。髪も綺麗に伸ばされており、癖毛がいい
感じのカールをアシストしている。
「いつまでそうしてるつもり?早く入れてくれない
?」
「あ、あぁ。お前…綺麗になったな。」
ヤバッ、口に出してしまったぞ。恐る恐る彼女を見
ると顔を真っ赤にし、私はトマトが好きなのっ的な
アピール顔になっていた…なんだそれ。
「ぐふっ…!?」
なにが起こったかって?鳩尾を殴られましたとも(笑)
そのまま家の中へズカズカと入っていかれました。
これが園田のパンチだったら気絶悶絶絶滅滅滅でし
たけどね、なんとか耐えましたよ。誰か誉めて。
結局少しその場でしゃがみ込んでしまったので時間差
で彼女の後を追うことになったのは、新たな黒歴史で
ある。
「そんで?なにしにきたのさ君は。」
リビングのソファーで寛ぎ、髪の毛をクルクルしなが
ら不機嫌そうな彼女に問い掛ける。
「わざわざ訪ねて来たのにお茶も出さないの?だから
モテないのよあんた。」
「は、はい。今すぐ用意します…」
なにこの状況(笑)まぁ紳士ならすぐにお茶でも出すん
だろうけども。釈然としないままキッチンへと向かう
…クソッ!下痢でもするような薬ねぇかなっ!…餓鬼
すぎるぞ私(苦笑)高海達になら安っぽい紅茶でも出す
のだが彼女はこう見えてお嬢様なのだ。…仕方ない、
秘蔵コレクションの中からダージリンのファースト
フラッシュを取りだし、カップなどは予め湯通し。
注いだ後は蓋をして少し蒸らしてからリビングへと
運ぶ…休日になにやってんだ私は…。。
運んだ紅茶を少し飲み、ふぅっ…と息を吐いた彼女が
語り出した言葉を私は黙って聞くことになる。
「あなた、また曲作るんでしょ?だから…その…アド
バイスでもしようと思って来たのっ!文句ある?」
その言葉を聴いて素直に嬉しかった…私が彼女を頼っ
て電話したあの日から、きっと気にしていてくれたの
だろう。西木野は外見や口調から誤解されることが
多いがほんとは優しくて気遣いのできる素敵な女性な
のである。
「あ、曲ならもう出来た(笑)それと来るなら事前に
アポ取れよ。めっちゃ焦ったわ!」
素直にありがとうと言えない自分自身を呪いたい。。
「な、なによっ!あなたサプライズ知らないの?だか
らモテないのよ!」
「一言多いわっ!!!」
いやモテないのは理解してるから連発するな…流石に
凹む…。
「そ、そう。曲はもう出来てるのね、心配して損した
わ。」
損って(笑)西木野を損された私は訴えられお金の力で
負けそうです母様助けて。。
「聞いてみるかい?曲。」
「別にいいわ。あなたの曲なら心配ないし、そのスク
ールアイドルの子達も受け入れたんじゃない?」
なんかめっちゃ嬉しいことをサラッと言ってくれた
んですけど、泣いていいですかね。
「はぁ、夜まで暇になったわね。和也、沼津に買い物
行きたいから荷物持ちで着いてきなさい。」
…泣きそうになった先程の純情な感情を返して頂きた
い!!買い物に付き合うのは構わない、だが!最初
から荷物持ち前提というのは如何なものかっ!
…ん?
「夜まで?夜からなんかあるのか?」
「こっちにある別荘でパパとママと3人で食事する
ことになってるの。」
でたよ別荘。あ、そういえばこの家も母親の別荘だ
ったんだっけ?なんで金持ちはいろんな所に家を持
ちたがるんだ、理解できん。…そして相変わらずパパ
とママなんだ(笑)
「ふーん、そっか。じゃぁ準備してくるからゆっく
りしてて。」
「言われなくてもゆっくりしてるわ。」
あー、なんだろ…イライラするっ♪更年期かしらっw
眉間に皺を寄せながら出掛ける準備をする私はいった
いどれほど滑稽なのだろうか…。
「お待たせっと、さて行きますかね。」
「…」
「なんだよ…」
「…はぁ…社会人になってその服のセンスはどうなの
よ。。」
あんたのサングラスの方がよっぽどセンス疑うよ!
なんだその不審者サングラスはw
しかしまぁ叩けば叩くほど出る埃のようにディスらせ
てませんかね私…。仕方ないだろ、服に興味ないんだ
から。服に金出すくらいなら良い弦買ってニヤニヤし
ながら張り替えるわ!(笑)
「駅の近くに良いのお店あったしら…はぁ…早く行く
わよ和也。」
何回溜め息ついてんだよ、幸せ逃げるぞざまぁみろw
「あんたのせいよっ!」
あれぇ…口に出してないのに。。。
そんなこんなで沼津駅方面へと向かうことになりまし
た。バスで…いや、車で行く予定でしたよ?でもこん
なことがあったんです。。
「車で行くかい?」
「あなた車持ってたのね、じゃぁお願いするわ。」
「了解、車出すからそこで待ってて。」
ガレージに向かい車のエンジンをかける、けたたまし
い排気サウンドに心踊らせながら西木野の前に車を
横付けすると…
「なによ、この田舎のヤンキーが乗ってそうな車は
…はぁ…バスで行きましょ。」
ですってよ奥さん!(笑)また溜め息ついて幸せが逃げ
てますよ奥さんっ♪あらあら、可哀想ねあの子…
「あんたのせいよっ!!」
…殴られました。。。理不尽な!貴婦人!…
また殴られました。
解せない気持ちのままバスに乗り、沼津駅に着いた
頃にはお昼前になっていた。あぁ、私の安らかな休
日がゴリゴリ削られていく…
「そのダサい服で一緒に歩きたくないから、まずは
あなたの服を買いに行くわよ。ほら、早くしなさ
い」
私のライフは君とのライフでゴリゴリ削られてます
よ、休日の時間と共に!あ、なんか上手いこと言え
てない?…気のせいか。
訳のわからないまま服屋に引き摺られ、着せ替え人
形の如くあれこれ試着させられ、買い物カゴの中が
服でいっぱいになり、そのままレジへと。待て!こ
れ全部買うのか!?チラチラ値札見たけどどれ単価
安くないぞ?そこそこ良い中古ギター買える値段じ
ゃやいのかこれは(泣)レジに打ち出された金額を見
た時には意識が飛びそうになりました。。渋々財布
を開き払おうとしたら西木野に止められ、横からカ
-ドがスッと出てきてそのままお会計を済ませよう
としている。
「お、おい。なにしてんだよ…これ私の服だろ…」
「だからキモチワルイから私って言うのやめなさ
い!…いいわよこのくらい、今から荷物持ちし
てもらうんだからそのお礼!いいわねっ!?」
…荷物持ちするだけで諭吉様をこんなに飛ばすん
なら私はいつでもあなた様の荷物持ち致します!
…だせぇ…ダサすぎだろ。。社会人が大学生に服
買って貰うとか…
その後、一通りのコーディネート分タグを切って
もらい試着室で着替えた私の姿に西木野は満足し
た顔になり、お互い並んで店を出た。
「ほんとによかったのか?お前これ…高卒の初任給
くらいの金額だと思うが。」
先程の買い物をしたレシートを眺めながら西木野に
話しかける。
「いいのよ、それともなに?私からのプレゼントは
受け取れないって言うつもり?」
「いや、そんなことはないが…」
お金持ちってみんなこうなの?よく感覚がわからない
んだが。。
「でもやっぱ…ん?」
再度西木野に話しかけると、彼女はとある店に目を
向けてジッと何かを見ている。その視線を辿り私も
そちらに視線を向けるとそこには…ボルドーレッド
とでも言えば良いだろうか。深い赤色をした宝石の
着いたネックレスが鎮座していた。
「なんでもないわ、さっ行きましょ。」
何事も無かったかのように隣の店へと入る西木野。
どうしたのだろうか、これが欲しいのかな?値段
を見てみるが先程買って貰った服を全て足した金
額の半値くらいだ。欲しいなら迷わず買いそうな
彼女だけに少々困惑してしまう。
「なにしてるのよっ、早く来なさいっ!」
「わ、わかったから街中で大声だすな!」
周りでクスクスと見知らぬ人々に笑われ恥ずかし
くなってきたのでそそくさと西木野が入っていっ
た店へと逃げ込む…げぇ。ここブランド店じゃん…
場違いすぎるわ(苦笑)
西木野は店内に入るなり、自分の目についた物を
次々と店員に渡しサイズが気になるものは試着し
ながら買い物をしているのだが、これ私必要ない
んじゃないだろうかと思い始める。まぁそもそも
服選びのセンスないし西木野もそこに期待はして
いないだろうし、ほんとに荷物持ちなんだな(笑)
んー、やっぱさっきの気になる…私は西木野が試着
室に入ったのを確認して先程のネックレスが鎮座
してた店に戻ることにした。
「やっぱ金額的にはそれほど高くない。」
0の数間違えたのかなとも思ったが杞憂に終わる。
…迷ったら買え!だね、こんなに服買ってもらって
お礼無しじゃ男の面子ってもんが泣く。私はその
ネックレスが置いてある店に入り即購入し、プレゼ
ントラッピングしてもらう。それほど高くないと
言ったが新任の教師が買うにはかなり痛手な金額で
あることに違いはない。母親が就職したときにくれ
た援助?が無ければ買うことができなかった。母様
マジで感謝しております。
急いで西木野のいる店に戻った時にどこ行ってたの
と怒られたが、御手洗いを理由にしてなんとか誤魔
化せた。
ってか…西木野のお会計の合計がカオスなんですけど
。カードにあまり詳しくないからわからないが、彼
女が持ってるカードに上限ってあるのか疑問に思う。
あくまで西木野個人の買い物だし、私に口を挟む道理
がないからなんとも言えないが…西木野パパさん…娘
さんに甘すぎません?
結局荷物持ちと言っても然程荷物も無く…いや、両手
一杯に紙袋下げてはいるが重くないので苦にならない
だけだが。お昼ご飯を済ませ、また沼津駅前へと戻っ
てくると見知った顔の3人がなにやら通行人に紙を配
っているのが見えた。桜内と高海、少し離れたところ
に渡辺の姿。
「よろしくお願いします。」
「よろしくぅ~」
「ありがとうございます。」
あぁ、ライブの宣伝活動か。へぇ、やるとは聞いて
いたがちゃんと3人で頑張ってるじゃない…感心感心。
いやまて、渡辺はなにやら様子がおかしい。
「じゃぁ~せぇぇ~のっ!全速前進~」
「「「「「「「「「ヨーソローッ!」」」」」」」」
なんで撮影会してんねん…。
「もしかしてあの子達なの?あなたが曲を作ってあげ
たスクールアイドルって。」
「ん?あぁそうだよ。彼女達が浦の星非公認スクール
アイドル(笑)」
「なによ非公認って。」
西木野がクスッと笑いながら非公認について聞いてく
るのだけど、非公認は非公認だからなぁ…
「まぁあれだ、結論から言えば今回やるライブが成功
すれば彼女達は正式なスクールアイドルになれる
ってことさ。」
「ふぅ~ん、何処の高校も大変なのね。」
「あぁ!先生だぁーっ!」
高海がこちらに気がついた様子でブンブン手を振り
ながらこちらに近づいてくる。それを慌てて追いかけ
てくる桜内…私の顔を見るなり俯いてしまった…あれ。
やっぱり桜内になにかしたのだろうか、不安になって
きた。
「ねぇねぇ、先生!隣の綺麗な女性は誰ですか!!
もしかして…デートぉー?」
卑しげな顔でこちらに迫ってくるが、どうやらμ′sの
西木野真姫だとは気づいてないみたいだな。そりゃ
そうか、髪だって伸びてるしあれから大人な感じに
なってるから知らない人が見たら気づかないのが普
通…か。残念だったな高海(笑)
「…!?おい、どうした桜内!体調悪いのか?」
高海の卑しい顔に見飽きたので桜内の方を見てみる
と、胸元を握り締め苦しそうにしている。
「ちょっとあなたっ!大丈夫?」
いち早く桜内に駆け付けたのは西木野。さすが医者
を目指す彼女だけあって苦しそうな桜内に駆けつけ
る様は圧巻だった。
「い、いえ。大丈夫です…ちょっと胸が苦しくなっ
ただけですから。」
桜内は大丈夫アピールをするが顔色まで青くなって
きたので更に心配になってきた。
「高海、彼処のベンチまで桜内に肩貸して座らせて
おいてくれ。私は水を買ってくる。」
「は、はい!梨子ちゃん行こう…大丈夫…?」
ベンチへ向かうのに西木野も一緒にさせて、近くの
自販機で水を買うためにダッシュで向かう。
「先生、どうしたんですか!?」
自販機から水を取り振り返ったところで渡辺に声を
かけられる。
「桜内の体調が急に悪くなったみたいでな、ほら。
彼処のベンチで今休ませてる。」
「え!?」
2人で急ぎ桜内のもとへと戻り、水を渡し様子を
見てみるが少し落ち着いたみたいだ。
「脈拍も安定してるし、とりあえず心配はいらない
わ。」
「さすが医者の娘は言うことが違うね。」
「茶化さなくていいから!私はパパに電話して
ここに迎えにきてもらうから、あなたはあの子
達と一緒にいてあげて!いい?パパが来るまで
は私もここにいるから。」
「お、おう。すまないな、お前が居てくれて助かった
よ…ありがとう。」
「べ、別にいいわよ。」
茶化してる余裕なんてないので素直にお礼が言えた。
西木野は顔を真っ赤にしながらお決まりの髪の毛クル
クルを始めたが(笑)
「…お前達、チラシ全部こっちに渡して今日は帰りな
さい。心配しなくてもチラシは私が全て配っておく
から。いいな!?」
少し圧力を強めて言うと反発する気を削げたのか、
3人はこちらにチラシを全て渡しタイミングよく来た
バスに乗って帰っていく、もちろん桜内に2人を付き
添わせて。
「さてと、それじゃ配りますかね西木野さん♪」
「なんでそんなウキウキなのよ…しかも私まで一緒
に配らせるつもり!?」
「え?パパが来るまで暇でしょ?それに西木野って
そんな薄情なやつじゃないし、ね?」
「あぁーもうっ!やってやるわよっ!!」
うん、チョロいね(笑)マジでチョロルチョコレート
だよ。こっちはこっちで将来が心配になってきた…
ブツブツ言いながらもチラシを半分持っていき通行
人に配り始めた。あんな綺麗な人にチラシ配られた
ら男女関係なく飛び付くわな…私も頑張りますか!
「うちの学校の生徒がライブやります、よろしけれ
ば是非。」
「あら先生が休日にこんなことするのね、1枚頂い
ていくわ。」
「ありがとうございます、心優しき貴婦人。」
あれ、顔真っ赤にして去っていった…私変なこと言っ
たのかな?
「スクールアイドルのライブがあります、よろしけ
ればお越しください。」
今度は5人組の女子高生に渡す。
「へぇ、日曜の14時からだって!行く?」
「いんじゃね?暇じゃんうちら。」
清楚な顔してギャルっぽいぞこの集団。
「お願いします。」
5人に1枚ずつ渡し、笑顔で見送る。
「「「「「…///」」」」」
あの人ヤバくね!?
うんうん、ヤバイ!
だよねだよね、超ヤバイ!!
学校の人かな?行ったらまた会えるかも?
キャーーッ///
どうやら私はヤバイ人らしい…まぁスクールアイドル
のチラシを配る男だし?ヤバイんだろうねきっと…
シュン…。
辺りが夕焼け色になる頃、2人でチラシを配り終えた
達成感に浸りながらベンチに座り缶ジュースを飲む。
「ありがとう、この仮は出世払いで返すから。」
「それ、和也が出世しなかったら返さなくてよくな
るからダメ。」
「チッ、バレたか。でもほんと助かったよ。…はい、
これ。今日の色々をお礼として、これを受け取って」
ポケットに突っ込んでて危うく忘れるところだった物
を彼女へと差し出す。
「なによこれ…開けてもいいの?」
「構わないよ。」
そう言うと丁寧にラッピングされた包装をこれまた
丁寧に剥いていき、黒く長細い箱の蓋を開けて中を
みた西木野は驚いた様子で真っ先に私を見つめた。
「こ、これ…どうして…」
「うん?西木野、それ見てたでしょ?欲しいかどう
かはわからなかったけどその赤色が君に似合いそ
うだったから買っておいたのさ。」
「…!?あの御手洗いの…あれは嘘だったのね。」
「アハハッ、サプライズ返したのだよ(笑)」
開けたままの箱からネックレスを取り、それを彼女
へと付けてあげる。ほぉ、これはこれは…
「うん、やっぱりよく似合ってる。買ってよかっ
たよ」
「あ、ありがとう…///」
照れた西木野さん、いただきました(笑)
と、タイミングよく私達の前に黒塗りの高級外車が
停まる…AMGで纏められたその渋い車からは何度が
顔を見たことのあるお方が降りてきてこちらに挨拶
をしてくれる。
「おや、岸君じゃないか…久しぶりだね。」
「子無沙汰しております、西木野さん。」
そう、この方は西木野のパパさんである。都内でも
有名な大きな病院の開業者で、彼の治療を求め全国
から患者が押し寄せるとの噂も。見た目は…なんて
表現したら良いかわからないが、とにかくダンディ
と言う言葉が似合う素敵な人です。
「ハハッ、いつ私のことをパパと呼んでくれるんだ
い岸くん。」
と、笑いながらよく冗談を言うから見た目とは裏腹
にかなり接しやすい。
「もう、パパ!冗談はいいから早く行きましょ!」
「あら、ほんとだわ♪岸君お久しぶりね。」
おっと、西木野ママさんもご一緒だったか。そういや
3人でディナー言ってたから当たり前か。
「あらあら、とうとうウチの子とお付き合いを?」
ニヤニヤしながらとんでもない事を言ってくる。ママ
さんもこんな感じの方なのでほんと…疲れる(笑)
μ′sの曲作りはほとんど西木野邸でしていたのでこれ
ほど仲良くなれたのだが、少々誤解が発生しているの
である。
「そうだわ!あなた、岸君もディナーに誘っては
如何かしら?」
「おお、そうだな、それがいい。どうだい岸君?」
ほんとにこの両親は…(苦笑)
「いえ、折角の家族水入らずを邪魔する訳にはいき
ませんし…この後寄るところがありますので。」
「そうか、それは残念だな…またいつでもウチにいら
しゃい。歓迎するぞ。」
「パパ!ママ!早く行くわよっ!!」
「ハハッ、すまない岸君。じゃぁ我々はこれで失礼
するよ。」
「はい、お気をつけて。」
物凄く図太い音をたてながら去っていく高級外車を
見つめ、見えなくなったところで私もバス停へと向か
う…西木野には後で改めてお礼のメールをしておこう。
それにしても少々疲れた。このまま帰って寝たいとこ
だが、やはり心配なので訪ねるとしますかね。
岸がこれから向かう先…とある彼女の苦しみをさら
に増大させることになろうとは…彼は知る術もなか
った。
…ファーストライブエェェェェエ…
ほら、よく教師でも授業と関係ない話しをはじ
めて脱線するじゃないですか。自分はきっとそ
のタイプです…とか言い訳してみたり。。