サヨナラ、阿求。享年24歳。   作:芽琉

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「人の幸せは何処にあるのでしょう?」

「人それぞれだろう」

「そうですね。私の場合はあなたといる時ですよ」

「………不意打ちはやめてくんねぇかなぁ」


小野塚小町は酒を呑む。

阿求の葬儀が終わってから数日。

 

 

アルビノの青年はとある場所に来ていた。無縁塚を通り過ぎてやっとたどり着く場所。彼岸に行く時には必ず通る場所である三途の川である。

 

なぜこのような場所にいるのか、人間にとっては命がいくつあっても足りないと言われるほどに危険であるこの場所には、人間である青年が来る理由もないはずである。

 

しかし、青年はここにいるはずであろうサボり魔である船頭に会うために来たのである。名前派小野塚小町。この三途の川に死者の魂を運ぶ船頭の1人である。青年は時折こうして、三途の川を訪れては悪友とも呼べる小町とともに酒を飲んでいるのである。

 

今日も今日とて、自分の心の整理やら、葬儀の忙しさも解消されたため、久しぶりに彼奴と一杯やろうと思い、片手に日本酒を抱えながらもやってきた訳である。

 

三途の川に着くと、青年は迷わず小町がいるであろう舟の所へ行く。小町と友人になって10年ほどである。ある程度は小町の考えてることやしているであろうことは想像つく。青年の足取りには迷いはなかった。

 

舟の方に行くと案の定小町を見つけた…が、仕事をしているのではなく、どうやらサボって寝ているようだ。死者の魂がいないからいいものの、いたら閻魔に大目玉である。時たま青年と小町が、酒を呑んでるところが見つかり、青年もその説教に加わることもあるために、若干思う所があるが、今回は閻魔が来てもいいかなと思えているのだ。別に説教がされたいという変態的な思考ではなく、ただ単に聞いてみたいことがあるだけである。

しばらく様子を見ていると小町の目がぱちくりと、開く。

 

身体を起こすと視界に青年を捉える。小町は青年を見ると。

 

「やあ、かなり久しぶりじゃないかい」

 

と声をかける。青年の方も軽く手を挙げ、

 

「ああ、久しぶり。久しぶりに酒でも飲もうじゃないか」

 

と、返事する。

 

「よかった」

 

つまみや酒の用意を終え、酒を飲む準備を終えて一息ついてる時にぽつり、と小町がつぶやく。青年は疑問に思い、

 

「何がだ?」

 

と投げかける。

 

「いや、あたい的にはお前さんが結構余裕あるように見えるんだよねぇ。てっきり、意気消沈して案山子みたいになってるのかとも思ってたんだけど…」

 

「まぁ、もともと分かっていたことだ。阿求が死ぬ前からある程度の覚悟は決めていた…まぁ、慰めてくれたのは当事者からだがな」

 

かははと、笑う。

 

「ふぅん…お前さんの力を持ってすればあの子の延命もできたんじゃなないのかい?例えば────」

 

「妖怪にする。とかか」

 

青年は先読みして言う。

 

「いや、確かに妖怪にすること自体は容易い。だがしかし、人里の人間が妖怪になるのは禁止されている。なったとしても博麗の巫女が狩りに来るだろう。」

 

確かに、人里の人間が妖怪になることは禁止されているし、博麗の巫女がそれを見逃すわけがない。彼女は彼女で信念があるのだ。だがしかし、

 

「お前さんは、博麗の巫女を打ち倒す。下手すれば八雲をおまけに付けても逃げおおせる位には実力があるだろう?」

 

「実力を買いかぶりすぎだ。さすがにきつい。」

 

『きつい』であって、否定はしない。

 

「俺は…阿求には人間のまま死んで欲しかった。」

 

「それはまた…何でだい?」

 

愛するものが死ぬのだ。手段を選んでいられないだろう。阿求が死ぬかもしれないのにそこをこだわらなければ生きられるのだ。何故そこにこだわるのか、小町には理解ができなかった。

 

「阿求を妖怪にすれば幻想郷そのものが敵に回る…俺の実力ではさすがに荷が重いのもあるが、俺は阿求にとっての人間としての積み重ねを…24年間生きた意味を壊してまで妖怪にさせたくなかった。」

 

とても身勝手なものだがな、と、かははとまた笑う。

 

「…分からないね。死んでしまったら何も意味が無いだろうさ」

 

「いんや、あるね。少なくとも俺は、阿求が今まで必死に御阿礼の子としての役目を務めて、その他の家事だったり、人との交友も頑張ってる姿をこの目に、そして何より心に、焼き付けている。それを蔑ろにしてまでも妖怪にする必要が全くないように思えた。確かに生きているのが一番なのかもしれない。でも、俺が惚れた女は少なくとも周りを犠牲にしてまで、自分が助かろうとする奴じゃない。」

 

結果論が多くなってしまったな、と三度かはは、と笑う。

 

「そうかい」

 

と、小町は満足そうに笑う。

 

「やっぱりあんたら似てるよそうゆう所。あの子とほとんど同じ会話をしたよ。舟で。」

 

「お前…ちゃんと仕事してたのか…」

 

「流石にひどくないかい!?あたいだって普通に仕事してるよ!!」

 

小町はそれは心外だよ!といいながら頭を抱えているが、そう思わせるほどサボったりしているのだから自業自得である。

 

「ほんとなん何だい…ほんっとにそうゆうとこ含めて反応が同じって…あの子にも仕事してるんですね!って言われたよ…」

 

「かはは…まぁ、言われたくないならもっと真面目に仕事するんだな」

 

どうせしないだろうけど…と思いながらも一応言っておく。ふと、船頭として、死者に投げかける質問を青年にしてみる。

 

「あんたの人生は良いものかい?」

 

流石に生きているからいつもの過去形にはしない。青年は右手にある盃に新しく酒を汲み、それを一気に飲み干す。そして笑いながら

 

「先立たれてるからいいものとは言えないな!俺が死んで阿求と再会したらそこら辺のところの文句を言いに行ってやるさ。」

 

かははと、今日何度目かはわからない笑い声が三途の川に響く。

 

死人に口無しとはよく言ったものだよ…ここまで根に持たれちゃ死人になったら口はない方がいいかね。と、小町はこの男を見て思った。

 

 

 

 

 




結構早くできました。
これくらいのスピード保てればいいのになぁ…
浮き沈み激しいので不定期なのですけども…
小町は人と人の思いをつなぐ三途の川のしがない船頭。
阿求の魂は友人として、責任もって運んだことでしょう。
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