ラブライブ!~女神達を奮い立たせる旗手~ 作:実況夢見る少年幽魔
その代わりにあの娘が……
あの色々ありすぎた合宿は終わりを迎え、俺たちはまたいつもの日常に戻っていた。夏休みなのにも関わらず練習練習の毎日。ホントに大変以外の言葉が出てこねぇぞバカヤロー。
そして俺は今日、親父から言われていた『ある人』と面会するために東京駅に来ていた。誰なんだよマジで。俺はそんなに大人に会いたいと言われる様なことはしてないぞ?
そんな事を考えながら俺は待ち合わせのカフェにやって来た。μ'sの皆は練習だから付いてくる心配はない。
カランカラン
よく喫茶店とかで聞こえるベルの音、そして中に入る。落ち着いた雰囲気のカフェだ。うん、ここはまた来たい。まだ何も頼んでないけど雰囲気で好きになった。
「いらっしゃいませ。おひとり様ですか?」
「あ、いえ。待ち合わせしているんですけど。」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
店員に連れていかれたのは奥にあった個室らしき部屋。こんな部屋もあったのかと感心する前に部屋にいた1人の男性と目が合った。
「君が松元一希君だね?君の事はお父さんから聞いているよ!」
「父と知り合いでしたか…。」
「申し遅れたね。僕は西山って言うんだ。お父さんとは高校の同級生でね。」
「あっ、そうなんですか。」
やべぇ正直どうでもいい。親父との思い出話のために呼ばれたのは俺は…。やることめっちゃあるのに……。
「そんな君にお願いがあってきたんだ。」
「お願い、ですか。」
「そう、一緒にラブライブを盛り上げてくれないかな?」
「あーそういう事でしたか…ってなりませんよ何ですかそれぇ!!!!」
待て待て待て、話が飛躍しすぎている。何?俺があの全国スクールアイドルの大会である『ラブライブ』を盛り上げる!?は!?この人何者!?
「実は僕、ラブライブの運営チームに所属していてね、こうやって何か運営に関わることには僕が動くってわけだ。」
「よく分かりましたが最初からそれを話してくれませんかね……。」
運営チームに知り合い居るって親父の同級生ってまさかこんなのばっかだったりしちゃう?
「んで、盛り上げるって具体的にはどのような事をするんですか?内容によっては願い下げなんですけど。」
「君には運営公認のスクールアイドルになってもらう。そういう事だ。」
「スクールアイドルになる、か。簡単な事じゃない却下無理です。」
「そんな事言わずに頼むよ。これはラブライブの為だけじゃない。全国に男子のスクールアイドルを増やすためなんだ。それに、君の過去の経歴からしても申し分ないからね。」
「俺は何もやった事はありませんよ?向こうでは普通の中高生だったんですから。」
「……嘘ついたね。」
チッ、やっぱりバレてるのかよ。俺に声を掛けられ、更に西山さんがラブライブ運営チームの人間だと聞いた時から嫌な予感はしていたが。
「君があの『九州の流星』と呼ばれていたアイドルだって事は知ってるよ?何故か知らないけど君は1年でその活動を終わらせたがね。」
「……………」
俺は黙るしか無かった。そう、何を隠そう俺はアイドル、というよりアーティストとして活動していた。九州各地を回ったのは良い思い出だ。だけど、俺はある一件で姿を消さざるを得なかった。花陽とにこがスクールアイドルに詳しいって聞いた時はバレたらどうするかと思っていた。
「九州では一番の人気を誇っていた君の力を、今度は私たちのために貸してもらえないか?」
「俺は今はμ'sのアシスタントです。あいつらにどう言えば分かりません。それに俺はあの頃の自分には反吐が出るんですよ。あんな事していた自分の姿が。」
「勿論、μ'sのアシスタントとしての活動もして大丈夫だ。ただ、イベントに出演する時は出来ないがね。それに、僕は純粋に君のステージを用意したいだけなんだ。どうしてもね。」
その言葉を聞いた瞬間、俺は心の中で笑っていた。自分の過去を払拭する良い機会だと思ったからだ。
「貴方の熱い思いは分かりました。俺が出来ることなら何でもしますよ。」
「ありがとう!君ならそう言ってくれると思ったよ。」
「それで、ラブライブを盛り上げるためのアイドルになる俺は何をすればいいんですかね?」
「とりあえず各地で行われるイベントには参加してもらう。そこで歌ったり踊ったりね。それと、本戦でのパフォーマンスも予定しているよ。」
「ヤ、ヤベェ。規模がやっぱりデカすぎる。俺数年もステージから離れてるんですよ?手足が震えて笑い者になりますよこれは。」
そう言うと西山さんは大きな声で笑い出した。俺そんなにおかしな事言ったかな?
「いや、悪い悪い。余りにもそういう事を言わなさそうだったもんで。でも君なら大丈夫だよ。根拠は無いけどね。」
そう言われた途端、今度は俺が大声で笑うハメになった。この人、面白い人だな。仮にも初対面だろ?
「貴方はとても面白い人の様ですね。それでこそ、貴方方の元で活動する価値があるってもんですよ。これから宜しくお願いします。」
「君って言う人は。ホントに面白いな。こちらも全力でサポートさせてもらうよ。こちらこそ宜しく!」
こうして俺のスクールアイドル活動が始まった、のかもしれない。
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なんか早速曲作ってこいって言われた……。イメージ何でも良いとか俺を殺す気かあの野郎。ま、そんな文句言っても仕方が無いから作るんだけどね。
俺は東京駅から帰ろうといつもの路線に向かって歩いていた。しかし、足が止まった。何故かって?ピアノの音が聞こえてきたんだよ。綺麗な、真姫が弾いてるピアノとはまた一味違った柔らかさがこもった演奏が。
東京駅のある一角、そこにはピアノが置いてあり、誰でも弾けるようになっていた。そこでピアノの弾いているのは意外にも小中学生だと思われる女の子だった。桜色の色をした髪だった。
俺はその演奏が終わるまでじっと聞いていた。とても暖かい、良い演奏だった。俺は彼女がピアノを弾き終わると
「凄いな……。」
と思わず呟いた。すると彼女はこちらに気づいたみたいだ。そしてこちらに会釈してくる。
「今の曲、凄くいい曲だった。君が作ったの?」
「は、はい。でもまだまだ改良が必要で…。何か閃くかなと思って週に2回はここに通ってます。」
「まぁここなら無料で弾けるし、あんまりこういう所で弾く人は少ないと思うからうってつけだね。あ、そうだ。ちょっと席を譲ってもらっても良いかな?」
「え?良いですけど。」
ありがとう、と一言彼女に言ってから俺はピアノと向き合う。えっと、確かこんな感じだったっけな。そして俺はピアノを弾き始める。言ってなかったけど、俺ピアノも小さい頃かじってて、最近は真姫に教えて貰っている。
「えっ………?」
彼女が驚くのは無理もない。俺が今弾いてるのは彼女がついさっき弾いていた曲のアレンジだからだ。彼女の曲は綺麗に整っていて良い感じではあるが、何か足りないと本人は言っていた。俺が感じたものとは違うかもしれない、でも俺が足りないと思った事を今伝えたい。
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俺と少女は駅内にあるベンチに腰掛けていた。勿論、飲み物は奢ったよ?それぐらいはするよ?
「あの!さっきの曲は貴方の前では1回しか弾いてないはずなのにどうしてあそこまで弾けたんですか?」
「うーん、答えにくい質問だな。君の曲が良い曲すぎて俺の頭にスッと入ってきたから、かな?」
「本当にそれだけですか?」
「あぁ、そうだとも。」
俺は笑いながら答えた。すると彼女も微笑んだ。いい笑顔持ってんなー今どきの女子って。
「そうだ。まだ名乗ってなかった。俺は松元一希、高校2年だ。宜しくね。」
「えっ!?えぇーーーっ!!!???」
俺が名乗った瞬間、彼女は大声を上げて驚いた。え?俺なにかしたっけ?自己紹介しただけだよね?
「松元一希さんって、あの『九州の流星』と呼ばれたあの!?何でそんな有名人が私の前に!?」
「オーケー落ち着こう。多分状況を飲み込んでいないのはコチラとしても同じだからな。まず俺の事知ってることに驚きだよ…。」
何!?こっちで知ってる人とか居たの!?ヤベェ凄くびっくりなんですけど。基本的には九州でしかライブを開いていないし、CDも少量しか……。
「そりゃ知ってますよ!あんだけのパフォーマンスを見せられたら!私が小さい頃、親子で旅行に福岡に行ったんです。その時にたまたま一希さんのライブに遭遇して……感激という一言しか無かったんです。」
「お、おう。凄く熱烈なファンだって事は良く分かった。」
こっちでも意外と知られてるんだな。俺って。
「わ、私も自己紹介まだでした。『桜内 梨子』です。今小学6年です。」
「そうか、いい名前だね。そんな梨子ちゃんに一つ質問。」
「は、はい。何でしょうか?」
俺は真面目な顔になってからこう彼女に問う。
「梨子ちゃんは心からピアノを楽しめているか?」
「!?」
梨子ちゃんは少し驚いた様な素振りを見せた。
「さっきの演奏、凄くまとまっていて綺麗だった。でも、俺が印象に残ってるのはそれだけだ。心からこの曲良いなって少なくとも俺はならなかったかな。」
「そ、それだけで?」
「うん、勿論それは人による見方だし俺が思ってる事は間違いかもしれない。だけど敢えて言わせてもらう。最近成績が思うようにいかないんだね?」
「…………はい。」
「やっぱりね。じゃ一つだけ助言しておくね。『自分が楽しめないようで誰を楽しませる、唸らせることが出来るか?』って事だよ。これは俺の座右の銘だ。あのステージに上がっていた時から俺はそんな事をいつも考えていた。梨子ちゃんにもその事が理解できたらまた違う景色が見れるんじゃないかな?」
「楽しむ……。」
「何事も楽しいと思わないと始まらないよ。スポーツ選手にしても歌手にしてもタレントにしても、皆原点は楽しむ事だからね。」
俺は梨子ちゃんに優しく微笑みながらメモを取り出して自分の連絡先を書き、それを渡した。
「もし、また何か迷った時があったりしたらいつでも連絡しておいで。俺は出来る限りの手助けはする。」
梨子ちゃんはその言葉を聞くと
「ありがとうございます。また近い内に連絡します!それでは!」
と言ってその場を去っていった。何でかは分からないが、彼女とはまた一緒に何かを作り上げる気がしてならなかった。
はい、という事でAqoursから梨子ちゃんが登場いたしました。今後も何人か出す予定です。