ラブライブ!~女神達を奮い立たせる旗手~ 作:実況夢見る少年幽魔
それではどうぞ!
結局あのまま夏休みはあっという間に終わってしまいました。勉強と練習の両立は大分キツかったのが本音です…。
そんな事はどうでも良く、私は今凄く一希が心配なのです。合宿が終わってまもない頃には練習に来ていたのですが、後半には『都合が悪い』と言って練習を全て休んでいました。私は本当は一希に何かあったのでは無いのかと思ってしまうのです。
「海未ちゃん、なんか最近変だよ?」
「……穂乃果は何も感じないのですか?あれだけ私たちに協力してきてくれた一希が後半全然来なかった事について。」
「確かにかずくんの事、全然見ていないかも。」
いつもの3人で学校に登校しています。今日から新学期が始まりますので。
「確かに変だとは思ったよ?でもやっぱり人には人の都合ってものがあるからしょうがないのかなぁって。」
穂乃果が言っていることはごもっともです。ただ、それが私は引っかかるんです。
「今日行ったら詳しく聞けば良いんじゃないかな?かずくんだって流石に学校サボるなんてしないでしょ?」
「それもそうですね。」
私は今日、色々と理由を聞くことにしました。一希なら心配無いだろうという謎の確信を持って。
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そして学校に着き、教室に向かっている途中に廊下での話し声が聞こえてきました。
「あの人ってあんな雰囲気だったっけ?」
「やっぱり少し変えたかったんじゃないの?自分の事、イメチェンってやつ?」
「でも私はあっちの方が良いなぁ。」
「あっ、それは私も!」
どうやら誰かがイメージチェンジをしたらしいですね。でもそこまで盛り上がる事でしょうか?
そんな事を考えて教室に入ると私たちは衝撃の光景を目の当たりにしました。穂乃果の後ろの席、つまり一希の席に髪が長い誰かが座って勉強しているではありませんか。後ろに伸びた髪はゴムで結んでいて完全に髪型は女子のような…
「海未ちゃん、ことりちゃん。あれって……」
「うん、かずくん、なのかな?」
「私にもあれは分かりません…」
そこで私たちは自席に着く時にこっそり覗き込もうと考えました。そして覗き込もうとすると
「おいおい、幼なじみなんだろ?俺の、その、オーラみたいなので分からねぇのかよ。」
「分かるわけないですよ!!ってこの感じは……一希なんですね。」
「あぁ、久しぶりだな、お前ら。」
再びよく見るとより個性的になっていた一希がそこに居ました。
「「「えぇーーーっ!!!???」」」
「いやだからそれマジで何回目だよてか海未自分で言っておいて何驚いてるの?」
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放課後、俺は幼なじみ三人衆に部室へ強制連行された。逃げねぇって言ってるのに何故かキツイ拘束をされて。
俺たちが部室に着いた頃には他のみんなは既に部室にいた。そして第一声はやっぱり
「「「「「「えぇーーーっ!!!???」」」」」」
「いやその反応マジデジャヴなんで辞めてくださいお願いします。」
もうその反応見飽きたからもっと新鮮な反応してくれませんかね?
「か、一希が女装するなんて思ってもみなかったわ。何があったのか話してみなさい。いじめられてるんでしょ?そうなんでしょ?」
「絵里姉ちょっと落ち着けって。俺は女装をしている訳でも無いし、いじめられてる訳でもないぞ?てか前者だと俺が変質者みたいに聞こえるからお願いだからそれだけは言わないでおいて…」
相手にするの本当に疲れるしめんどくさい。でもまだ隠しておきたいから本当の事は言わないけどね〜。
「まずは皆、すまなかった。俺は夏休みは鹿児島に帰って実家の手伝いしてたんだ。だから今の今まで顔を出せなかった。」
「確か一希君の実家ってお菓子屋さんなんですよね?」
「花陽の言う通りだ。しかも夏休みなんてすぐ客でいっぱいになっちまう。親父だけだと流石に手が回んねぇからな。」
皆は納得しているようだが実は凄くベタな嘘なんだよなこれが。ラブライブの近くにならないとこの事を言えないってどういう事だよマジで。
「んで、この髪は忙しすぎて切れなかったってわけ。ただ、俺がこの感じを気に入ってるから暫くはこのまんまでもいいのではないかと。」
「なんか、こう見ると女として負けた気がしてならへんのだけど…」
ん?何で?僕男の子だよね?何で希を含めて皆ガックリしてるの?何も悪いことしてないよね?俺してないよね?
「そんな事よりも、今のお前らがどこまでやれるようになったか見せてくれよ。俺だって手伝いなんだ。メンバーの状態ぐらいは把握しておきたいからな。」
「そ、そうだよね!じゃ、皆!着替えて上に集合!」
穂乃果がそう言うと皆は着替えに出かけた。部室に居るのは俺1人。ここからはぶっちゃけトーク始めるか?
まず、俺がμ'sの練習に行けなかった理由、それは体力作り、曲作りなど大変な事が多かったからだ。勿論、西山さんに呼ばれて会議だってした。μ'sの皆にはバレないようにとその時に言われた。
次に俺のこの長髪の理由なんだがこれは至ってシンプル。昔からこの髪型でライブをしていたからだ。辞めてからは普通に短髪、まぁそこら辺の男子と同じような髪型だったんだが、復帰するにあたって戻す事にしたんだ。花陽とにこにはバレちまうかなって思ってたがなんとかなったようだな。因みに俺の正装はこれに右眼にする眼帯で完成だぞ☆決して厨二病とか言うやつじゃないからな!
そして今、音ノ木坂では文化祭の準備の真っ只中だ。無論、μ'sがライブをするのは言うまでもない。だが、その場所を決める抽選会は明日だ。嫌な予感しかしないんだけど……本当に講堂取れんのか?
そんな事をくっちゃべってる内に皆着替えて上に行ったみたいだな。何でわかるかって?そりゃ足音うるさいですしおすし。そんじゃ俺も行くとしますか!
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「それじゃあ、少し休憩にしましょうか。」
絵里姉の合図で皆は休憩に入る。正直また上達していると思う。俺が離れてからまた頑張ったんだなこいつら。そんな事を思っているとにこが近付いてきて
「あんた、どっかで見た事があるわよね。やっぱり。」
「は?何だよいきなり。」
「最初に会った時から何処か見覚えのある顔だったのよ。」
「それはお前の数少ない友達と間違えただけなんじゃないの?」
「確かに人間違えかもね……って誰が友達少ないよ!!」
軽くあしらったのはいいものの、内心俺はドキリとしていた。にこには俺の正体がバレてしまう恐れがあるからだ。
「あんた、『九州の流星』と呼ばれている人、知ってる?」
「まぁ、九州出身だからな。それぐらいは小耳に挟んだ事はあるぞ?」
ヤベェヤベェ冷静に対処は出来てるけど心臓バクバク言ってんだけどマジで。何?こいついきなり何言い出してるの?
「その人はね、にこが最初に憧れた人だったの。私にこの世界を教えてくれたのは間違いなく彼だわ。」
「……そっか。お前の原点はそこなのか。にこが言うんだったら凄いスクールアイドルなんだな、そいつ。」
「今のスクールアイドルのブームがあるのは彼のおかげである事に間違いはないわ。その人のステージは異次元だったもの。」
俺は黙って聞いてた。まさか身近に俺の事を憧れてスクールアイドルを始めたやつが居たなんてな。
「だから私も、このメンバーでそんなパフォーマンスが出来ればいいなって思ってるわけよ。」
「何で俺にそんな話をしたんだ?普段なら絶対しないだろそんな話。」
「何故かしらね。自分でも分からないわ。」
そう言うとにこは再び練習に戻っていった。アイツ、もしかしたら俺の正体に気付いてるのかもしれないな。
そんな時、俺の電話の着信音が鳴り響いた。
「すまん、俺だ。」
そう言って相手を見てみると、俺は自然と屋上を離れた。この人との会話は絶対聞かれてはならない。
誰もいない教室、そこで俺は通話に応じた。
「何ですか西山さん。今絶賛ドキドキしてた所だったんすけど?」
『突然の電話申し訳ない。お邪魔だったか?』
「いやそういうイチャコラの方のドキドキじゃないし邪魔でもなかったです。でも時と場合を少し考えて下さいよ…」
電話の相手は西山さん、てかこんな時間にどうしたんだよ。
『とりあえず要件だけ伝えとく。明日テレビ局行くぞ。いいな。』
「はぁ!?テレビ局だと!?いや、別にイイけどなんで今まで言ってくれなかったんですか!?」
『いやぁ、伝えようとしたんだが色々お前も忙しいと思ってな。』
「いやメールでも何でも良いんで連絡よこしてくれませんかね……」
本当に掴みどころが無いというか…不思議な人だよ全く。
「んで、俺は直でテレビ局に行けばいいんですか?」
『いや、学校まで迎えに行こう。ただ、お前もμ'sにはバレたくないだろう。少し離れたところに車を置いておく。あの路地裏にでも留めておくよ。』
「リョーカイです。じゃ明日放課後すぐにそちらに向かいますね。ハイ、それじゃまた明日宜しくお願いします。」
そうして俺は携帯を切った。ヤベェ俺テレビ出るの?マジで?あぁ、震えが止まんねぇ!!
「テレビ局って……どういう事?」
え?なんか違う意味でも震えてきたんですけど?その声はまさか………
「絵里姉、聞いちまったのか。」
「え、えぇ。」
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「説明してくれるかしら?」
私、絢瀬絵里は今、弟のような存在である一希と真正面で向かい合っている。何やら一希はテレビ局やなんやと言っていた。
「……嫌だと言ったら?」
「!!何故なの?何で話してくれないの?私はいつだって貴方の相談相手になるって言ったのに!」
一希は俯いたままこちらを向こうとしない。何かを考えているようだったが、そんな事今は関係ない。
「隠さないで教えてちょうだい!一希!貴方は今何を抱えて生きているの?」
一希はため息をついて顔をゆっくり上げる。その顔は何か、決意をしたような顔だった。
「分かった。絵里姉には打ち明けておくよ。但し、この話は穂乃果たちには内緒にするって事で良い?」
「一希、そこまで……」
「勘違いしないで欲しい。別に言えないような理由ではないよ。ただ、これを言ってしまったらμ'sは集中出来なくなってしまう。特に2年生組はな。だから1番信用してる絵里姉には言っておくよ。」
「………分かったわ。そこまで言うのであれば私も一希を信じるわ。」
ありがとう、と一希は微笑んでから口を開いた。その言葉は想像出来ないものだった。
「俺さ、ラブライブの運営チームにスカウトされて、スクールアイドル始める事にしたんだ。」
え?一希がスクールアイドルに?
「最初は俺もバカバカしいと思ったよ?μ'sの手伝いだってあるしそんな暇ないってね。でもその人の魂が俺の中の炎を燃やしてくれた、だから俺は受けることにした。μ'sのサポートはさせてもらうっていう条件付きでね。」
「それじゃあ、ずっと練習に来ていなかったのは……」
「うん。全てはその為の下準備だよ。曲作ったり体力強化したりさ。この髪だってその活動に向けて俺はわざと伸ばしたんだ。それにこの髪型は俺の思い出のあるものなんだ。」
「その思い出っていうのは?」
「『九州の流星』そう言えば分かるかな?」
「!!!」
九州の流星、確かに聞いたことがある。にこと花陽がスクールアイドルを語るのには外せない人物だったはずだ。中学生の髪の長く、眼帯をつけた男子が予告無しに九州各地でライブをしていたらしい。その歌声も素晴らしく、人気は凄いものだったらしい。
「その九州の流星、俺の事なんだよ。俺が中学生の時、好き勝手やってた時のあだ名なんだ。」
「にこと花陽から聞いたことがあるけど、まさか一希だったなんて……一希がスクールアイドルを再び始める一番の理由は何?それだけは聞いておきたい。」
「俺は……全国に男子アイドルも作りたいって思ってるんだ。」
全国に、男子アイドルを?
「今のスクールアイドル界は女子アイドルの土俵だ。俺たち男子が踏み入れることが出来ない所。でもそれはおかしいと思うんだ。プロには男子アイドルもいるのになんでスクールアイドルには無いんだろうって。」
「つまり一希は、男子がスクールアイドルを始めるための道標になるって事?」
一希はフッと微笑みながら答えた。
「道標、か。そうなったら良いな。」
一希にはちゃんとした目標がある。それは凄い目標だし一希なら成し遂げられるかもしれない。
「さ、さっさと上に戻ろうぜ!まだまだ練習足りないでしょ?」
「……勿論よ!」
絶対に一希の期待に応える。でもそれだけじゃなくて
(目の前のライバルには負けない!)
そう心に誓う私だった。
次の回はテレビ局編です。ここであのグループとの関わりを持たせるだろう。