ラブライブ!~女神達を奮い立たせる旗手~ 作:実況夢見る少年幽魔
近い内に活動報告に詳しいことを書かせていただくのでもう少し待ってもらえると幸いです。
その日は誰かの涙のような雨が降り続いていた。しかし、その中でもμ'sはライブをやらなければならない。そうしないと学校が救えないかもしれないからだ。
しかし、そのμ'sにもこの雨雲のような暗雲が近づいていた。この雨がまだ優しいと思えるほどの嵐がμ's、そして松元一希に試練をもたらす。
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俺は朝早くに学校に登校してきた。みんなはまだ来ていない。ライブの機材のチェック、そして雨から守るためにカバーを付ける約束をヒデコとしていた。
しかし俺の心はそんなところに向かってなかった。穂乃果がとにかく心配なのだ。昨日、結局止められなかった。止めるべきだったのに俺もムキになってた、と帰ってから冷静に考えた。
「俺が出来るのはこういう事だけだな。」
俺は穂乃果がいつも座る部室の席に風邪薬とメモ書きを置いて部室を後にした。
ヒデコと機具の確認を終えた俺は部室に戻った。そこには既に衣装に着替えたμ'sメンバーがいた。
「よっす、皆。」
「一希、おはよう。朝からご苦労だったわね。」
「まぁ、大変だったけどヒデコがいた分楽だったかな?………ありゃ?」
絵里姉とそんな感じの会話を交わしていたら気付いた。μ'sメンバーの中にアイツが居ない。
「ことり、海未、穂乃果は?まだ来てないのか?」
「そうなんです。まだ来ていません。」
不味いな…俺の嫌な予感が的中しちまうかもしれない。穂乃果が居ないとパフォーマンスなんて出来るわけない。最悪中止なんてなったらやべぇぞこれ。そんな事を思っていたら
「皆!遅れてごめん!」
穂乃果がやって来た。全く最後までヒヤヒヤさせるぜこいつは。俺は少なくともこの時はそう思っていただろう。
「穂乃果!遅いわよ、何やってたのよ?」
「ごめん。ちょっと寝坊しちゃって…ってあれれ?」
にこの質問にいつも通り答えた穂乃果だったがその後すぐにふらついてしまう。その変化を俺が見逃すはずもない。よく顔を観察してみる。
「ど、どうしたの一希君?そんなに私を見て。」
コイツは誤魔化そうとしてるな。でもバレバレだ。顔がいつもより赤い。これは間違いなく風邪引いてるな。
「……穂乃果、お前は着替える前にアレを飲んどいてくれ。多少は役に立つだろうからな。」
「……うん、分かった。ありがと、一希君。」
「…………あぁ。」
そう言って俺は部室を再び後にする。
確かに穂乃果が着替えるから、という理由もある。だがそれ以上に俺は
昨日穂乃果から言われた言葉を引きずったままでいた。
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一希君が居なくなった部室ではいつも通り皆と準備した。でも、やっぱりいつもより体が重い。頭も少しボーッとする。
少なからず、私は昨日の一希君に向けての言葉に後悔していた。私の事を思って止めてくれてた一希君に私は突き放すような言葉を言ってしまった。
『関係ない』と。
朝も、一希君に謝ろうと思っていた。けどこのだるさがそうさせなかった。でも一希君はいつもと同じように私に話しかけて来て、風邪薬まで用意してくれてた。多少は気分は楽になるだろうと。
私はこんなに私の事を思ってくれる一希君の事を突き放してしまったんだ。その事が頭から離れない。
「穂乃果ちゃん?」
そんな事を考えてた私にことりちゃんが声をかけてくる。そうだ、今はライブ前なんだ。リーダーの私がこんな暗い顔する訳にはいかない。
「どうしたの?ことりちゃん?」
「………ライブ、頑張ろうね!」
「…………うん!」
この時の私は考えもしなかったんだ。
ことりちゃんが、私に伝えたい事があったんだってこと。
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時は流れ、遂にライブの直前になった。俺は音響のチェックを終えて機具を弄ろうとしたが、ヒデコに
「一希君本格的にμ'sのライブ見るの初めてなんだから客席から見てきなよ!音響ならわたしに任せて!」
と、気を使われてしまった。結局俺は顔に出やすいタイプなのだろうか?そんな事を考えていると見た事のある2人の少女を発見した。
「おーい!雪穂!亜理紗!!」
「あっ、一兄!」
「一希さん!お久しぶりです!」
そう、この赤茶色の髪の毛をしているのは以前合宿の時に話した『高坂 雪穂』。言わずもがな穂乃果の妹だ。
そしてこちらの金髪の少女は容姿を見れば分かるがどっかの生徒会長にそっくりである。そう、『絢瀬 亜里沙』。絵里姉の妹だ。
「2人とも雨の中よく来たな。寒くないか?」
「大丈夫だよ!今日は楽しみで仕方無かったんだから!」
「私もです!昨日も楽しみで寝れなかったんです!」
「いやそれ普通出る側の台詞だぞ亜理紗………」
まぁ、こういう風に抜けてるところがあるから可愛いんだなこれが。雪穂に至ってはちゃんとしてるから穂乃果とどっちが姉か分からなくなることもしばしば。
そうこうしている間に時間になり、μ'sのみんなが出てきた。今回は穂乃果の提案により新曲だ。その方がお客さんも盛り上がるし、なによりラブライブ!への良いアピールになる。
song 『No brand girls』 μ's
穂乃果の言っていたことは的中した。雨の中来てくれた沢山のお客さんは雨のことを忘れて楽しんでいるように見える。ここまでは順調に来ている。隣にいる雪穂と亜理紗もとても楽しんでいる。
このままの勢いで行ってほしい
そう思った時だった。
曲が終わり、穂乃果が倒れてしまったのは
「……………………………………え?」
俺はその状況を飲み込めずにいた。いや、俺だけでなく観客やμ'sのみんなだってそうだろう。ここまでは上手くいっていた。なのにこの一瞬で全てが崩れ落ちてしまった。
気がつけば俺は観客をかき分け、ステージに向かっていた。
「穂乃果ぁぁぁ!!!」
俺がステージに着いた頃、μ'sメンバーに囲まれている穂乃果に目をやる。
顔が明らかにさっきより赤くなっている。
「これ、どうするの?」
「どうするって、中止するしか……」
「どうするも何も決まってる。絵里姉、ライブはこれをもって中止、すぐに穂乃果を保健室へ運ぶ。いいな?」
「え、えぇ。」
こうしてμ'sの文化祭ライブは中止になってしまった。
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ライブが中止になってから暫く経った。穂乃果は未だに眠ったまま。それもそうだ。熱があるのにも関わらずあんなに激しいダンスを踊ったのだ。無理もない。
だけど、私が気になるのは一希の状態だった。
一希は穂乃果を保健室へ運んだ後、心配そうに穂乃果を見ていたが、明らかにいつもの一希では無かった。ここまで焦った彼を私は見たことが無い。
その後、私たちも穂乃果の傍にいたが一希はその時には下を向いたまま。項垂れていたという表現が的確だろう。
「何でこんな事に……。」
「穂乃果は今日に向けて無理な特訓を積み重ねてきましたからね。ろくに休んでないのでしょう。」
ことりと海未がそんな事を話していると
「………俺のせいだ。」
今まで項垂れていた一希が突然顔を上げてそう言い出す。
「俺が昨日穂乃果を無理矢理止めていればきっとこんな事にはならなかったんだ。」
「か、一希だけのせいって訳では……」
「良いんだよ絵里姉。実際、オーバーワークを注意はしたが穂乃果に負けてたのは俺なんだ。」
私がフォローを入れようとすると一希はそれを制す。
「俺はアイツの事が心配だった。でも最後の最後で俺はアイツの気迫に負けちまったんだ!ムキになって好きにすればイイって思っちまったんだ!」
机を叩く一希の顔には雫があった。いつも明るく振る舞う彼からは想像がつかない姿だった。
「……俺はもう、穂乃果の母さんにも、ライブを楽しみにしてくれた人たちにも、それこそ雪穂と亜理紗にも顔向け出来ない。」
「そ、そこまで自分を責めないでよ一希君!」
「そうにゃ!いつも必死のサポートをしてくれてるのは何処の誰にゃ!」
「まぁ、私たちが言いたいのはそんなに責任を感じないでって、自分を追い詰めないでってこと。」
1年生はほんとにいい娘ばっかりだ。こんな時でも他の人の心配が出来る。自分たちだってまだ状況を受け止めきれてないはずなのに。
「確かにかずくんが悪いわけではないよ。私たちも注意して見てればすぐ気付くはずだったんだから。」
「一希、私からも言わせてもらいますがこれは一希1人のせいではありません。グループの問題だったんです。だから…」
海未がそう話した時、一希はいきなり立ち上がった。そして
「メンバーにも話すことが出来ねぇなんてこんなんじゃマネージャーとしてやっていけないよな。」
そう言って保健室から出ていってしまった。
「「「一希(かずくん)!!」」」
私と海未、ことりが追おうとすると外からドサッ、という音が聞こえてきた。それと同時だっただろうか。何故か鳥肌が立った。そして保健室の扉を開けると目の前には…………
「ちょっ!?一希!?」
「一希!しっかりして下さい!!」
「かずくん起きて!!」
倒れている一希がいたのだった。
崩壊は確実に進んでいる。
とりあえず言っとく。
ファンミーティング行きかったーー!!!!!