ナザリックinスレイヤーズ   作:史上最弱の弟子

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あらすじ確認お願いします。

遠隔視の鏡を見る所までは原作とほぼ同じ流れなため省略してあります。


挑戦の始まり

「ふっ、はっ、ほっ、おっ、映った」

 

 MMORPG、ユグドラシルの終焉と同時にギルド基地ごと異世界に飛ばされたモモンガは遠隔視の鏡<ミラー・オブ・リモート・ビューイング>を使って、この世界の様子を探ろうとしていた。

 そして適当に操作し映ったのは二人の剣士が対決する様子であった。

 一人は金髪で青い鎧を装備をした男、もう一人は黒い貫頭衣を着た男。この世界のレベルを知るのに丁度いいとそのまま観戦状態に入る。

 そしてしばらくたって彼の心に浮かんだのは”感嘆”だった。

 

(……これって相当レベルが高いんじゃないか? たっちさんのPVPを思い出すな)

 

 モモンガは魔法詠唱者(マジックキャスター)であり、剣に関しては現実でもゲームでも全くの素人だ。そんな彼の目から見てもわかる程、明らかに優れた技量。それを鏡に映し出されていた二人の剣士、両者共が持ちあわせていた。

 そして、見始めてから数分後、決着の時が訪れる。黒髪の男が剣を振り下ろし、金髪の男の左肩を切り裂こうとするが、それまでの戦いで男の剣が折れていたため浅くなり、反撃の一撃を脇腹に受けて倒れたのだ。

 

「ふむ……」

 

 勝敗が決して、男達は何やら会話しているようだったが声は聞こえない。またモモンガ自身がたいして興味をしめさなかった。今の彼の脳裏の大部分を占めるのは剣士達の実力に対してである。そして彼はそれをもう少し正確に見極めるために側に付き添った従者、セバス・チャンに対し尋ねることにした。

 

「セバス、この二人の実力、お前はどう考える?」

 

「……映像越しでは正確な判断は難しいですが、それでもよろしければ」

 

「構わぬ。忌憚無き意見を述べよ。少なくとも格闘に関しては我よりもお前の方が正確な判断が可能であろう」

 

 セバス・チャンを創造したプレイヤーであるたっち・みーはユグドラシルのワールドチャンピオンである戦士職、現実でも警察官である猛者だ。その影響を受け、セバスもまた高い格闘能力とそれに関する知識を有している。

 故に彼の判断は参考になると考え、意見を求めたのである。

 

「モモンガ様以上とは恐れおおい。私等、あなた様に比べれば卑小な身です。ですが求められた以上精一杯の私見を語らせていただきす。まず身体能力ですがユグドラシルのレベルに換算し、60~75程度と推測されます」

 

「ふむ」

 

 示されたレベルの範囲は少々広いが、前置きされたように映像越しでそこまで判断できれば十分であると満足そうに頷く。主の好感触の反応を確かめたセバスは予測を続ける。

 

「戦いを見る限り、スキルに該当するものは持っていないようです。しかしながら基本の技量のみを見るのならば私よりも上、たっち・みー様の領域かと。無論、戦えば間違いなくたっち・みー様が勝つでしょうが」

 

「なるほど(レベルは低いがPS<プレイヤー・スキル>の高いプレイヤーって感じか。厄介だな)」

 

 ゲームの世界においてレベルの差は大きなアドバンテージであるが、多少それ等が劣っていてもPSの高いプレイヤーと言うのは手強い存在である。レベルが10違えば劣る方に勝ち目は無いと言うのがユグドラシルでの定説だが、極稀にそう言ったものを覆す化け物のようなプレイヤーも存在した。

 レベル60~75程度の基礎能力があるのならばナザリックでもレベル90に満たない存在にとっては危険だし、同レベルの存在が複数居るのならモモンガ達、レベル100の存在にとっても十分に手強い相手に成り得る。

 

「反面、装備は粗末なものなようです。防具は分かりませんが武器は遺産級ですら無いでしょう」

 

「そうか、お前が認める程の技量の剣士がそのような装備をしている辺り、この世界には強力な装備は存在しない。もしくは極めて稀少と言う可能性が高いな」

 

 外面的には威厳を保ちながらかなりほっとするモモンガ。安心できる答えにたどり着かせてくれた従者に感謝の言葉を述べる。

 

「お前の判断、随分と参考になった。感謝しよう」

 

「勿体無きお言葉」

 

 これぞ執事と言わんばかりの綺麗な姿で礼をするセバス・チャン。

 それを満足そうに見た後、得たばかりの情報に対し動くため、モモンガは命令を下した。

 

「どうやらこの世界の住人は我等が適わぬ程の脅威では無いようだ。だが、侮れる存在でも無いだろう。配下達を集めよ。この世界の情報を集めさせる!!」

 

「はっ!!」

 

 主の命に応じ速やかに動く従者。

 そして十数分後にはナザリックの幹部級全てが同じ場所に集まるのだった。

 

 

 

 

 

 

「よく集まってくれた」

 

 従者であるNPC達を前に支配者プレイをするモモンガ。NPC達はそれに敬礼を持って答える。

 

「我等は突如異世界に飛ばされるという異常事態に見舞われた。そして私の調査の結果、この世界にはプレイヤーに匹敵するかもしれない力の持ち主が居ることがわかったのだ」

 

 その言葉に気を引き締める従者達。ゲーム時代、1500人のプレイヤーがナザリックを進行した時のことを思い出したのであろう。

 

「我等がこの世界でどのように過ごすかそのスタンスを決める上で情報は絶対に不可欠だ。この世界の住人達の実力、性格、その他できる限り多くの情報を一刻も早く把握しなければならない。そこで、お前達に偵察を命じる。セバス、お前は人間に最も姿が近く、人間達の中に紛れ込める倫理感を持ち合わせている。人間の社会に混じり、この世界の人間達について調査せよ。またプレアデスのメンバーに対し指示を任せる。手駒として活用せよ」

 

「はっ!!」

 

 

 まずはセバスとメイド達に指示を出し、別の配下へと視線を移す。

 

「デミウルゴスよ。お前は人間に近い姿と人外の姿を使い分けられる。その特性を活かし、人外の知能を持った生物が居ないかどうかを調査せよ。人間と敵対する種族、人間と共存する種族。どちらであってもお前ならば上手く対応できるであろう。だが、危険も多い任務だ。生還を第一に考え、決して無茶をするな。勿論、これはセバスにもこれから指示を出す他の者達にも言えることだがな」

 

「了解しました。偉大なるモモンガ様のためであれば私の命等惜しくはありませんが、情報を目的とするなら死んでしまえば役目を果たせない。必ずや帰還します」

 

 他の配下達が意図を汲めていない可能性を考え、あえて理解を口にするデミウルゴス。その言葉にモモンガは満足そうに頷きながら付け加えた。

 

「その通りだ。だが、それだけではない。お前達は私にとって何よりも愛しい存在だ。そんなお前達が無為に命を散らすことなど私は望まない」

 

「オ、オオー」

 

 主の愛ある言葉に歓喜の表情を浮かべる配下達。MAX状態の忠誠心が更に振り切れる。デミウルゴスも感動のあまり、目に浮かぶ涙を浮かべ、それを主に見せるべき姿では無いと隠し、震える声で言葉を紡ぐ。

 

「お、おこころありがたく頂戴します」

 

「う、うむ」

 

 本心から言った言葉であるが、予想以上の反応にたじろぐモモンガ。何とか対応すると、話を戻すことにした。

 

「シャルティア、お前の役割はデミウルゴスのサポートだ。お前もデミウルゴス同様に姿を変えられる。人外の存在に対し調査せよ。二人一緒に行動するか、別々に動くかはお前達の判断に任せる。状況に応じて効率のよいと思う方で動くがいい。それからお前達には私の代理としてナザリックの配下を動員する許可も与える」

 

「了解でありんす。モモンガ様の期待に反しないよう、しっかりと成果をみせるでありんすよ」

 

「うむ、期待している」

 

 調査隊として命じた3名。

 

「アウラ、マーレ、お前達は引き続き、ナザリックの隠蔽工作を続けよ」

 

「はい!!」

 

「わかりました」

 

 元気よく答える姉弟。

 

「コキュートス、お前にはナザリックの守護を任せる。外部に調査するメンバーに代わり空いた層の守護を務めよ」

 

「了解イタシマシタ」

 

 そしてモモンガはアルベドの方を見た。

 

「アルベドよ、お前にはナザリックの統括を命ずる。これはお前かデミウルゴスにしか任せられない重要な役目だ」

 

「統括……ですか? 勿論、モモンガ様の命令とあればお受けしますが、それではモモンガ様は?」

 

 モモンガの発言に対し、躊躇いがちに疑問を返すアルベド。

 そしてモモンガの口から従者達にとって衝撃的な言葉が飛び出す。

 

「うむ、私自身も調査を行う。セバスともデミウルゴス達とも別口でな」

 

「な、そんな危険すぎです!!」

 

「そうです。我等にお任せください!!」

 

 未知の世界の探索、危険なその行為に彼の身を第一に考える従者達が反対をする。しかしモモンガはその意見に応じる気はなかった。

 

「お前達の能力を疑う訳では無い。しかし伝聞と直接目にしたものは違うものだ。この異常事態に対し、私自身の目で現状を見定め、正確に把握する必要があると判断した」

 

「それならば、せめて我等の同行を」

 

「ふむ、ならばプレアデスのメンバーから誰か一人、同行するものを選出することにしよう。階層守護者であるお前達にはそれぞれ外せぬ役目を与えているからな」

 

 食い下がる従者達に対し、妥協案を出すモモンガ。偉大なる主が妥協させておきながら、尚も反論するのは不敬と不承ながらも頷く従者達。

 

(ふう、よかった)

 

 その反応にほっとするモモンガ。先程言った自分の目で確かめる、これは嘘では無いが、他に本心があった。その本心とは「忠誠心が重過ぎる従者達から離れて息抜きしたい」と言うものと「冒険者の血が騒ぐ」と言ったものであった。未知の世界に来たのだ。ゲームとは違うとは分かっていながらも好奇心が抑えられないのだ。仮にこの世界が自分の力が全く通じない程の魔境であれば好奇心よりも安全を重視し引きこもっていたかもしれないがそこまで脅威では無いと判断している。ならば、自らの足で世界を周りたいと考えたのだ。

 

「ここで私の意図を伝えよう。情報の収集は過程、手段に過ぎない。私の目的はこの地に我等の名を知らしめることにある。ユグドラシルでそうだったようにアインズ・ウール・ゴウンの名を誰もが知る存在としてこの世界に轟かせてやるのだ」

 

「「「「「「「おおおおおー!!!!!!」」」」」」」

 

 そしてモモンガは最後に締めとして雄雄しい宣言をする。その強気言葉に興奮し、歓声を上げる従者達。

 

「その第一歩として私はアインズ・ウール・ゴウンを私自身を示す名とする」

 

「アインズ様!!」

 

「アインズ様!!」

 

 こうして、アインズ・ウール・ゴウンはこの世界の歴史となる第一歩を踏み出したのであった。

読んでみたいネタ

  • リナ&アインズVS最恐の敵(コメディ)
  • セバス主人公のダークシリアスバトル
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  • だらだら続けない方がいい

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