ナザリックinスレイヤーズ   作:史上最弱の弟子

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ようやくリナが登場、でも戦うのはアインズ様です。


大激戦 レベル100級の戦い

「あなた方を倒し、私はオリジナルを超えます」

 

 サイラーグのレゾ、その正体はオリジナルのレゾのコピーだった。自我に目覚めたレゾはオリジナルを超えることを渇望していたが、その前に死んでしまったため、代わりにオリジナルを破ったリナ・インバース、ガウリイ・ガブリエフ、ゼルガディス・グレイワーズの3名を倒すことで目標を達成しようとしたのである。

 しかし、今、正に決着をつけようとした時だった。

 

「悪いが、その願いは適わんな。何故ならば、貴様はその前に私の手にかかって死ぬのだから」

 

「なっ!?」

 

 空間を転移して現れた2名、アインズ・ウール・ゴウンとアルベド。彼等がレゾとリナ達の間に割って入ったのである。

 

「魔族……じゃないわね。この気配はアンデッド、けど、空間を渡るなんてあんた何者?」

 

「至高の御方に対しその口の効き方、慎みなさい!!」

 

 突然現れたアインズを警戒するリナとその言葉遣いに怒りを露にするアルベド。

 そこでアインズが間に入り仲裁をした。

 

「落ち着くのだアルベド。人間の魔道士よ。お前の疑問は最も。そして突然現れ場を乱したことも詫びよう」

 

「へえ、随分と丁寧じゃない。こっちも敬語とか使った方がいいかしら?」

 

 礼儀正しいアンデッド程度、リナにすれば驚く程のことでは無い。軽口を飛ばす。しかし言葉は軽くても一分の油断さえもなく何時でも戦闘態勢に移れるようにしていた。

 

「別にそのままでかまわんさ。こちらもそうさせてもらうだけの話、さて本題だがあの男の相手を譲ってもらいたい。少し前のあの男の所為で私の配下が傷ついたのでね。このまま引き下がれないのだよ」

 

「これはまた随分と逆恨みですね。先に仕掛けたのはあなたの方では? 」

 

 アインズの言葉にレゾが不平を漏らす。その言葉に対しアインズは反論せず頷き、しかし意見を翻すことはなかった。

 

「逆恨みと言われれば反論はできないであろうな。だが、私はとても我儘なのだよ」

 

 アインズの答えを聞いてレゾは溜息をつく。

 

「こんなことなら放っておくのでしたね。リナさん達との戦いの障害にならないようにと思って始末するつもりだったのですが」

 

「ほう、なるほど。仕返しでは無かったという訳か。だが、そう言った理由なら多少は大義名分も立つな。どうだろう、先鋒を譲ってもらえないだろうか?」

 

「そうね。いいわ、あっちの方はあたし達と戦いたいみたいだけど、あたし達の方に戦う理由はないもの。あんた達が倒してくれるって言うならこっちとしては面倒が省けて願ったり適ったりよ。あんた達も良いわね、ガウリイ! ゼル!」

 

「まあ、お前がそう判断したのならな」

 

「ああ、俺も構わん。オリジナルのレゾならばともかく、奴とは因縁がある訳でもないしな。それに、その二人とレゾ、同時に相手どるのは流石にやばそうだ」

 

 アインズの願いに対し、承諾するリナ。状況をどこまで見抜いているのかよくわからないガウリイは軽い感じでリナに従い、ゼルガディスはアインズ達の実力を見抜いたらしく警戒を露にしていた。

 

「そうか。感謝しよう」

 

「っと、そうだ。その前にあんたの名前教えてくれない。ちなみにあたしはリナ・インバース。あっちの二人の名はさっき呼んだから省略するわね」

 

 礼をするアインズ。

 そしてリナより自己紹介を受ける。

 

「リナだな。覚えておこう。私の名はアインズ・ウール・ゴウン、そして彼女は配下のアルベドだ」

 

「OK、覚えたわ」

 

(初対面なのに妙に気安く話せる人だな。最近は守護者としか話してなかったからか、こういう会話、昔を思い出して楽しいかも)

 

 からからと笑うリナ。アインズは自分に対し気負いなく接するものとの久しぶりの会話に少し楽しい気持ちを覚えていた。同時に関心する。恐らくは自分達の力を見抜いている。その上でこんな風に会話できる彼女のことを凄いと思ったのだ。

 

「それじゃあ、頑張ってねアインズさん」

 

「ああ、リナさん。君は離れていたまえ」

 

 会話を打ち切るのを惜しいと思いつつ、彼女から離れレゾに向き合う。それと入れ違いにガウリイがリナに近づき、彼女の耳元で囁いた。

 

「相変わらず危ないことするなお前は」

 

「大丈夫よ。あたしの経験と勘から言えばああいうタイプは、いきなり攻撃を仕掛けてくることは無いわ」

 

「いや、あっちの骸骨さんの方じゃなくて、鎧の方。顔が見えなくてもわかる位に凄い殺気でお前の方睨んでたぞ」

 

 ガウリイが警戒していたのはアインズではなく、アルベドの方であった。その指摘にリナは少し冷や汗をたらす。

 

「あは、確かにあっちの方はあたしもちょっとびびったわ。配下ってことだったし、主に対する態度が気に食わなかったかもしれないけど……。どっちかって言うと……」

 

「女の情念……って奴か?」

 

「多分ね。片思いなのか、両思いなのかはしんないけど」

 

 時々妙にするどいガウリイの答えに正解と返すリナ。二人はアルベドのアインズに対する想いを見抜いたようである。一方、レゾとアインズ達は戦闘を開始しようとしていた。 

 

「さて、私の目的はあくまでリナさん達に勝つことですので、あなた方にはこう言った手を使わせていただきます。」

 

 そう言って呪文を詠唱するレゾ。

 そして2体の魔物が召喚される。

 

「魔王竜、そしてレッサー・デーモンの上位種であるブラス・デーモンを更に強化した魔族です。ヴィゼアを破ったあなた方も苦労するかと思いますよ」

 

「デミウルゴスが言っていたこの世界最強のドラゴンに加えて強化された魔族か。なるほど油断できんな。アルベド全力で行け」

 

「はい!!」

 

 主の命に憎しみのぶつけどころができたと言わんばかりの喜悦の表情を浮かべ答えるアルベド。役割どおり前衛として飛び出す。先に狙ったのは強化ブラス・デーモン。強化前の状態で既に並の剣士や魔道士では歯が立たない程に強力な存在である筈のその存在をアルベドはハルバートを振るい、一撃で切り裂いて見せた。

 だが、そこに魔王竜の爪が迫る。

 

「はっ!!」

 

 爪の一撃を武器で受け止め弾く。両者の間に僅かに距離が生まれ、そのタイミングを逃さずアインズが魔法を放った。

 

「エクスプロード!!」

 

 第8位階の魔法で魔王竜の胴体を爆発させる。しかし魔王竜はドラグスレイブにすら1~2発は耐える程の耐久力を持つドラゴンである、補助魔法により第10位階魔法相当に強化されているとは言え一発で倒せる程甘くはない。

 口から黒い霧のようなブレスを放ち、反撃を仕掛けてきた。

 

「ぐっ」

 

 ヴォイドブレス、小さな町位なら一撃で消し去る闇属性のブレス。放たれた方向次第ではサイラーグにかなりの被害がでていたであろう。少し離れた所で観戦していたリナ達は何とか回避に成功するが、間近で戦っていたアインズとアルベドはブレスに飲み込まれてしまう。

 

「なるほど、これがダメージの感覚か」

 

 しかし二人の受けた傷は軽微だった。アインズはアンデッド故、闇属性に耐性があり、アルベドはナザリックの守護者の中でも防御特化、何より二人とも神器級アイテムを装備しており、その防御力は人間とはかけ離れている。

 

「コール・グレーター・サンダー!!」

 

 巨大な豪雷が魔王竜を貫く。更に追撃をしかけようとするアインズ。しかしそこでアルベドが彼の前に飛び出した。

 

「アインズ様!!ぐっ……」

 

 それまで静観していたレゾの攻撃。ブラスト・ボムを受け3重装甲に作られた鎧の1層が破壊される。更に、そこに迫った魔王竜の爪により跳ね飛ばされるアルベド。

 

「貴様!!!」

 

 アルベドが続けざまに攻撃を受けたことに対し、切れたアインズは第十位階魔法、リアリティ・スラッシュを使用する。空間ごと切断するその魔法は魔王竜の首を切り裂く。完全に切断するには至らなかったが垂れ下がる首。脅威的なことにその状態で尚、魔王竜には未だ息があった。とは言え死にかけで戦闘を継続できるようにも見えない状態に追い込む。しかしそう思ったことが油断に繋がってしまう。

 

魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)

 

 確かに魔王竜は瀕死だった。しかし垂れ下がったその首をブラインドにしてレゾが接近していたのだ。アインズがそれに気づくのとほぼ同時にレゾが放った魔法が魔王竜の首を貫き、そのまま彼へと迫ったのである。

 

「!!」

 

 魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)は魔王の腹心の力を借りた強力な術である。その上アインズの苦手とする炎属性が含まれていて。

 アインズはマジック・キャスターであり耐久力が低い。神器級装備で身を硬めているとは言え、これを受ければ相当のダメージを受けることを覚悟しなければならない。

 

「グレーター・マジックシールド!!」

 

 しかしアインズも伊達に最強クラスのギルドでギルドマスターを務めていた訳では無い。ロールプレイ重視のスキル振りをしながらゲーム内でも強者の立場にあった彼のゲーム時代のプレイヤースキルはかなり高く、この世界においてもその技量は引き継がれていた。事前に呪文詠唱を短縮などの数種類のバフをかけていたこともあり、ギリギリで防御魔法を発動。魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)を防いでみせる。

 そしてそのタイミングで先程跳ね飛ばされたアルベドが戻ってくる。

 

「よおくもアインズ様をおおおおお!!!」

 

 愛しい相手が殺されかけたことに対し、凄まじい憎悪を身に纏っており、その表情は狂騒に歪んでいた。その憎しみが込められた渾身の一撃。それをレゾは錫杖で受けるが、アルベドの持つハルバードは世界級のアイテムを変形させたもの。その特殊能力を発揮していない状態でも伝説級の装備並の攻撃力と神器級を超える耐久力を持ち合わせている。その切れ味に耐え切れず切断される杖。

 

「ぐっ」

 

 体を捻り直撃は避けるものの、脇腹を切り裂かれるレゾ。そこで風の弾丸を連続で放つ術、ボム・ディ・ウィンの強化版の呪文を放つ。それは殺傷力は然程でも無いが衝撃が大きいため足止めに向いた術の筈であった。

 

「なっ!?」

 

 だがアルベドはそれを力づくで破りレゾに接近、振るわれたハルバードに対し一撃は何とか回避するものの、次の一撃でレゾの左腕が切り落とされる。

 そして今度は首が落とされるようとし、しかしその前にレゾの呪文が完成した。

 

「ダイナスト・ブレス!!」

 

「くっ」

 

 魔王の腹心の力を借りた氷の呪文。かなり高位の魔族にすら有効なこの呪文を力押しで破ることは流石にできず、今度こそ足止めされ、距離を置かれてしまうのだった。

 

読んでみたいネタ

  • リナ&アインズVS最恐の敵(コメディ)
  • セバス主人公のダークシリアスバトル
  • ナーガとヘロヘロさんの凸凹二人旅
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  • だらだら続けない方がいい

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