オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜 作:友親 太一
……フン、オレはシルバー……
オレは今、非常に機嫌が悪い。
理由は彼女……名前はクリス……とにかくあの女に負けたからだ。
★☆★☆
クリスに初めて会ったのはワカバタウンだった。
あの時オレはウツギポケモン研究所の偵察をしてた……ポケモンを盗むためにな。
……だが偵察してるとあのムカつく野郎……名前はゴールド……とにかく奴がオレを上から目線で注意してきやがった。
ゴールドの野郎、オレとそう年は変わらない筈なのにオレを「少年」呼ばわりしやがったからな。
ムカついたオレは奴を思いっきり突き飛ばしてやった。
……アレは気持ちよかったぜ……奴が無様に尻もちついてオレを見上げてるんだからな……オレをバカにする奴を逆に見下すのはいい気分だったぜ。
そしてその後だった、クリスと初めて目を合わしたのは。
……オレは直感した、「コイツはオレと同じだ」ってな。
初めてクソオヤジ以外でオレの同類を見つけたことにオレは感動すら覚えたよ。
クソオヤジがオレを捨てて消えてから初めてオレは他人に興味を持ったんだ。
……だがクリスは次の瞬間、彼女はあり得ないことにこう言い放ったんだ、「アタシのゴールドに何をするの!」ってな。
なんでだ、奴はオレ達とは違う! キミならわかるだろ、オレ達は自分以外を信用しない、してはいけないんだ!
アイツはオレ達とは違う生き物、いつか必ずキミを裏切るんだ!
オレがショックで呆然としてる間に二人は研究所に入っていった。
……クソ、なぜなんだ……なぜあの女はあんな奴を!
オレはこの時、ひどく混乱してた。
なぜあの女はあんな奴の隣にいるんだ、なんでオレの隣にいないんだ、
キミの隣にいるべきはオレなんだ……そんな考えが何度も何度もオレの頭を駆け巡った。
……そして結論を出した、「あの女を奴から奪ってやる」ってな。
★☆★☆
次にあの二人と会ったのはオレが研究所からワニノコを奪った直後だ。
アイツ等は楽しそうに喋りながら並んで歩いて来やがった。
……本当にムカつく、彼女の横にはオレこそが相応しいのに。
だからオレはゴールドにバトルを挑んだ……オレの方が強いことをゴールドに思い知らせる為に。
オレがキミの隣にいるべきだと、この野郎は必要ないことをクリスに教えるために。
……だが、オレは負けた。
クソッタレ、何でだ!
何であんなヘラヘラした奴にオレは負けたんだ!
悔しかった、悔しくって悔しくって悔しかったんだ。
……だからオレはゴールドに教えてやった、オレの名前とオレがいつか最強になることを。
……いつか必ずオレが最強のトレーナーになる、そうしたらクリスは絶対にオレのモノになる、そうに決まってる。
……この世は弱肉強食、強いオレにクリスが惚れないわけがない。
仮にオレに惚れなくても力づくでオレのモノにしてやる。
……その為にはもっと力がいる、もっと強いポケモンがいる。
……なら探してやる、もっと強いポケモンを。
そしてオレはキキョウタウンに向った、強いポケモンを求めて。
★☆★★
……そしてマダツボミの塔でまたあの二人と再会した。
その時のオレは今とは逆に非常に機嫌が良かった。
ゴースをゲットし、オレに偉そうに説教しやがった長老を倒したからな。
……ワニノコはやはり当たりポケモンだったな……コイツは強くなる、オレはマダツボミを倒した時にそう確信した。
オレが長老と戦ってる様子を二人は見てた。
……だからオレはゴールドに言ってやった。
「ポケモンに優しくとか甘いこと言ってるやつに、オレは負けない。
俺が大事にするのは強くて勝てるポケモンだけ。それ以外はどうでも良いのさ」
ってな。
……これでゴールドもそしてクリスも思い知っただろう、この世は力が全て、人もポケモンも力無き者はただ駆逐されるだけ。
愛情や優しさなんかは弱者の戯れ言、圧倒的な強者には不要なものだとな。
……だがゴールドは、「でもポケモンも感情があるから、あんまり厳しくすると嫌われちゃうよ?」と言いやがった。
本当にムカつく奴だ、オレが目の前で力の重要さを見せてやったのにまだ甘い事言いやがる。
腹が立ったオレはゴールドの横を抜けてその場を去ろうとした。
……その前に少しだけクリスの方を見たんだ、彼女ならオレの強さを分かってくれてると思ってな。
……だがクリスの瞳には俺に対する怒り、それしか写ってなかった。
……オレはクリスの視線に耐えきれず逃げるようにその場を走り去ったんだ。
なんでなんだ!? どうしてなんだ!? キミはオレと同類だろ!? キミだって力で他者を潰したいだろ!? キミは……オレと同じだろ……
……クリスはオレと違うのか……いや、そんな事はない!
クリスはオレと同じだ! オレと同じで他人を信用しない、他人を憎んでる筈だ。
オレには分かる、クリスはきっとゴールドに騙されてるんだ、そうだ、そうに違いない。
……絶対にゴールドを倒す、そしてクリスを必ず手に入れる。
ゴールド、今はせいぜい笑ってるがいい、必ずオレの目の前にひざまずかせてやるからな。
新たに決意を固めたオレはキキョウタウンを後にした。
……新たな力を、ゴールドを倒す力を探すために。
★☆★☆
その後オレはズバットをゲットしオレは手持ちのポケモン達を鍛える毎日を過ごしてた。
……ワニノコはアリゲイツに進化し、他の二匹も順調に強くなっていった……これならゴールドを倒す日は近い。
そんなある日、オレはある噂を耳にした。
「ロケット団が復活した」とな。
オレは驚いた。
だってロケット団は三年前にリーダーだったオレのオヤジ……サカキが失踪して解散した筈だった。
……まさかオヤジが戻ってきた?
オレは急いでロケット団がいる筈のヒワダタウンを目指した。
……クソオヤジ、てめぇには聞きたいことが山ほどある。
だがその前に一発ぶん殴ってやる、覚悟しろよ。
★☆★☆
だがヒワダタウンにはロケット団も……そして、オヤジもいなかった。
代わりにゴールドとクリスがいた。
……またこいつらか……だが今は少しでもロケット団の情報が欲しい。
オレは嫌な気持ちを抑え込んでゴールドの奴にロケット団のことを聞いた。
……驚いた事にロケット団はこいつが追い払ったと言いやがった。
……だがそれと同時に納得もした。
ゴールドは最悪最低にムカつく奴だがバトルは強い……あの時の『えんまく』の使い方はなかなか厄介だったな。
……ちょうどいい、ここでコイツの今の実力を見てやるか。
オレはゴールドにバトルを挑もうとした。
……だがそこにクリスが割り込んできて自分がバトルすると言い出した。
クリスが言うにはロケット団はクリスが倒したらしい……もし本当なら好都合だ。
クリスが本当にロケット団を倒せるほどの実力があるならオレの女これ以上相応しい女はいないだろう。
オレはクリスの挑戦を受ける事にした。
……クリスの実力を知るために……クリスにオレの力を示すために……クリスを俺のモノにするために。
だが結果はオレの負け……オレが負けたんだ。
オレはまた逃げるようにウバメの森に走り込んだ。
★☆★☆
……クソッ、なんでだ!
……オレは弱いのか……いや違う! 弱いのはポケモンであってオレじゃない!
……ならもっとポケモン達を強くしてやる、それと同時にもっと強いポケモンもゲットしてやる。
「アリィ……」
「ズバァ……」
「ゴォス……」
……いつの間にか自主トレさせてたポケモン達がオレの側にいる。
……あぁそうか、そろそろメシの時間か。
腹が減って寄ってきたんだな。
なら町に戻って……ヒワダタウンにはゴールドとクリスがいるか……ならウバメの森を抜けてコガネシティに行くか。
「……いくぞ、お前ら」
……さて今日の晩御飯はどうするか?
強いポケモンの育成には栄誉バランスのいい食事は必要不可欠。
ならタンパク質とカルシウムは多めに……そういえばアリゲイツはワニポケモンのくせに魚が好きだったな。
アイツは最後のベイリーフには僅差で負けたがメノクラゲ、トゲピーと二匹も倒したんだ、今日は褒美としてアイツの好物してやるか。
……だがズバットは魚が苦手だし……仕方ない、ズバットにはハムをやるか。
……オレは弱い奴が大ッキライだ。
ポケモンだろうがトレーナーだろうが。
だからそんな弱い奴を潰すためにオレは強くなる。
……オレが強くなる為にこいつ等を鍛える。
その為には三食栄養バランスのとれた食事、適度な運動、上質な睡眠は必須。
……面倒ではあるがこれもオレが最強になる為に必要なこと、努力を惜しむつもりはない。
「……コラ、ゴース。木の実をつまみ食いするな……太ったらどうする」
……まったく、ゴースは最強のトレーナーの手持ちとしての自覚が足りん。
少しはアリゲイツとズバットを見習え、アイツ等はなかなか真面目で使い勝手がいい。
……最強への道はなかなか長いな。
だがオレは諦めん。
ゴールド、クリス、待ってろよ。
必ずお前達を倒してやる!