オッス、俺ゴールド 〜ヤンデレ娘クリスとポケモンの世界で旅をする〜   作:友親 太一

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第五十話 我輩はヒマナッツである、まだ太陽の石は無い

 オッス、俺ゴールド。

 俺達は今、自然公園にいる。

 

 昨日クリスとオフクロの誕生日プレゼントをどうするか相談したんだが、その時にクリスが

 

「たぶんお母さんが今一番ほしいのは一緒にいてくれる家族だと思うわ。だってお父様は仕事で海外にいるし、ゴールドとアタシは旅に出ちゃったでしょ?

 ……お母さんはあの家で一人ぼっちで寂しいと思うよ」

 

 と、言い出した。

 

 確かにそうだな、オフクロは天然だが寂しがり屋だし。

 でも俺もオヤジも今すぐ家に戻るわけには行かない。

 

 そこで俺達の代わりに家族になってくれるポケモンを一匹送ろうと考えたんだ。

 だが俺やクリスの手持ちは渡せない、そんなことしたら今後の旅に支障が出るし、何より俺もクリスも今の仲間には愛着がある。

 ならパソコンに預けてるポケモンを送ろうとも考えたが、それは何か手抜きしたみたいで嫌だ。

 

 なのでオフクロが好きな花がヒマワリだからヒマワリに良く似たーー太陽ポケモンのキマワリを二人でプレゼントにする事に決めた。

 

 で、ネットで調べたらキマワリはヒマナッツが『太陽の石』によって進化する事が分かった。

 ヒマナッツは自然公園に生息してるし、太陽の石も自然公園で開催される虫取り大会の景品になってる為、俺とクリスはこの自然公園に来たって訳だ。

 

 何気に自然公園は何度も世話になってるな、デートの時とか、特訓の時とか。

 

「では今から虫取り大会の説明をします。参加者は公園東ゲートに集まって下さい」

 

 おっと、公園に設置されたスピーカーから集合のアナウンスが流れた。

 

「じゃあなクリス。ヒマナッツの捕獲は任せたぞ」

 

「うん! ゴールドも大会がんばってね♡」

 

 尚、俺が太陽の石を手に入れる事に、クリスがヒマナッツを捕獲する事に決めた。

 この分担の理由? 単純にクリスに虫ポケモンを手に入れるチャンスを与えたくなかったからだよ、虫ポケモンは状態異常技が豊富だし。

 

 

 

【自然公園、東ゲート】

 

「ではこれより虫取り大会のルールを説明します。

 ルールは簡単、手持ちのポケモン一匹で一番強そうな虫ポケモンをゲットした人が優勝です。

 モンスターボールはこちらのパークボールを使って頂きます。

 自分のポケモンが戦闘不能になるか、パークボールを使い切ったらその時点でここに戻って来てください。

 また公園には他のお客さんも居ますので迷惑にならないようお願いします。

 制限時間は二十分、頑張って強そうな虫ポケモンをゲットして下さい!」

 

 使えるポケモンは一匹だけか。

 さて、どのポケモンを使うかな?

 …… …… …… …… よし決めた。

 

「バタフリー、出番だ!」

 

「フッリー!!」

 

 俺はバタフリーをボールから出す。

 バタフリーなら状態異常技も豊富だし空も飛べるから虫ポケモンを探すの楽な筈だ。

 

 係の人からパークボールを貰い、代わりにバタフリー以外のボールを預けた。

 

「では虫取り大会スタートです!」

 

 スタートの合図と共に参加者は一斉にゲートを飛び出す。

 

「バタフリー、絶対に優勝するぞ!」

 

「フリフリ!!」

 

 そして俺達も少し遅れてゲートを出る。

 さぁやるか!

 

 ★☆★☆

 

【自然公園、北部】

 

 ハァイ、アタシはクリス。

 今ね、お母さんの誕生日プレゼントのヒマナッツを探してるのよ。

 でも中々見つからないの、普段なら直ぐに見つかるのに探してる時に限って見つからないって良くあるよね?

 でもそろそろ虫取り大会も始まる時間だし、大会のジャマはしたく無いから始まる前にはゲットしたかったのに。

 

「トゲチック、そっちはいたぁ?」

 

「トゲー《いないよー》」

 

 トゲチックに空から探してもらってるけど見つからない。

 

「そっかぁ。そっちも見つからない?」

 

「メノノ〜《見つかりませんわ〜》」

 

「ベイベイ《もう少し探す範囲を広げだ方が良いかもしれませんね》」

 

 メノクラゲとベイリーフも草むらを掻き分けて探してたけどそっちも見つからないか。

 

「あれ? ねぇスリープはどこ行ったの?」

 

「トゲトゲ《そういえば、さっき公園の奥の方に歩いて行ったよ》」

 

「メノメノメ?《どうせスリープの事だから自分好みの少女を見つけて、ストーキングでもしてるんじゃないかしら?》」

 

「ベイ! ベイリフ《まったく不真面目な! スリープは徹底的にお説教するべきです》」

 

「まぁまぁ、とりあえずスリープと合流して一度休憩しましょう」

 

 このまま探しても見つかりそうに無いし、大会が終わってからゴールドと一緒に探せば見つかるよね?

 

【自然公園、奥】

 

 アタシ達は公園の奥深く、大きな大木に囲まれた場所でスリープを見つけた。

 

「スリ、スリーープ!!《君は何回言ったら分かるのだ、ロリこそ究極の萌だろうがーー!!》」

 

「ヒマ、ヒマナッッツ!!《貴様こそ何故理解しない、お姉様こそ究極の美だぁぁ!!》」

 

 そして何故かスリープとヒマナッツが物凄い形相で怒鳴りあってる。

 二人ともお互いを至近距離で射殺しそうなぐらいに睨み合い、相手の存在を否定するように罵り合いを繰り返してるわ。

 

「と、とにかくあのケンカを止めないと。みんな手伝って!」

 

 みんなで二人を無理やり引き剥がし、まだ怒りが収まらない二人をなだめる。

 少し落ち着いたのを確認してアタシはケンカした理由を聞いてみた。

 

「で、何で二人はケンカしてたの?」

 

「ヒマッ!《フンッ!》」

 

「スリッ! スリープ!《このっ! クリスちゃんに向かって何て無礼な態度を!》」

 

「落ち着いてスリープ、アタシは気にしてないからね。スリープ、何でヒマナッツとケンカしてたの?」

 

 またヒマナッツに怒鳴りそうになったスリープをなだめる再度理由を聞く。

 本当どうしてケンカしたのかな?

 

「……スリィプ《……元々は僕がここに来たのが始まりだよ》」

 

「トゲ、トゲ? チク?《ねぇねぇ、スリープはこんな外れまで一人で来たの? サボるため?》」

 

「スリ! スリ。スリプ? スリープ

 《馬鹿にしてるのか! 僕はここにヒマナッツの巣があるのを知ってたから探しに来たんだ。

 忘れてるかもしれなかいが僕はコガネシティの近くで暮らしてたんだぞ?

 この公園は週末には大勢の子供で賑わう、僕にとっては天国のような場所だから毎週通ってたんだよ》」

 

「メノ〜、メノノ〜《それは失礼〜、てっきりワタクシは貴方が少女を追い回してサボってるのかと思いましたわ〜》」

 

「ベイベィリフ……《巣を知ってるなら最初から私達に教えてくれれば良かったのに……》」

 

「スリプ。スリスリ、スリ《この公園にクリスちゃん以上の美少女がいるわけ無いだろ。

 お前達に教えなかったのは僕一人でヒマナッツを捕まえて、僕だけがクリスちゃんに褒めて貰おうと思ったんだよ、分かったかドブス共》」

 

「……ベイ、リフ《……やっぱり一度、コイツはしばき倒したほうが良い気がしてきました》」

 

「メノメノ〜《体罰ならワタクシも手伝いますわ〜》」

 

「まぁまぁ」

 

 ベイリーフ達をなだめながらアタシは話の続きを聞く。

 

「スリ? スリプ。スリ……《続きいいか? で、目論見通りここでアイツを見つけたんだ。そして大人しく捕まるように説得したんだが……》」

 

 すると今まで黙ってたヒマナッツが声を荒げた。

 

「ヒマ! ヒマナッツ!《何が説得だ! 貴様はずっとその人間の小娘の自慢してただけではないか!》」

 

「スリ。スリープ!《だからまだ分からんのか、クズめ。この超絶美少女のクリスちゃんの役に立てるのだから大人しく捕まれ!》」

 

「ヒマ!? ヒマナツ! ヒ、マ、ナ!《貴様こそ我輩の話を聞いていなかったのか!? 我輩は三十未満の女に興味ない!

 そんなケツの青い小娘が我輩をゲットしようなどと十年、いや二十年早いわ、馬鹿者!》」

 

「ケンカはやめなさーい!!」

 

 またケンカを始めた二人にワタシは大声を出して止める。

 でも要はヒマナッツは大人の女性が好きなんだよね?

 それなら……

 

「ねぇねぇヒマナッツ、少しアタシの話を聞いてくれるかな?」

 

「ヒマッ!《フンッ!》」

 

 ヒマナッツはそっぽ向いて拒否しようとしてる、それでもアタシは話を進める。

 

「アタシが貴方を欲しい理由はね、貴方をアタシと……アタシの大切な人のお母さんへの贈り物にしたいからなのよ」

 

 ピクッと分かりやすい反応をするヒマナッツ。

 

「アタシ達のお母さんはね、今は一人で暮らしてるの。だからお母さんが寂しくないように、ずっと側に居てくれるポケモンを探してたのよ」

 

 ピクピクッと反応するヒマナッツ、もう少しね。

 

「ヒマナッツお願い、お母さんの三十四歳の誕生日プレゼントになってくれないかな?」

 

「……ヒマ、ヒマ?《……おい小娘、貴様の母君は美人なのか?》」

 

 食いついた。

 

「美人だよ。そうだ、お母さんの写真見せてあげるね」

 

 アタシはリュックから小さなアルバムを出す……これはアタシの宝物の一つ、アタシの思い出が詰まってる大切なもの……

 

 そしてアルバムの中からお母さんが写った写真をヒマナッツに見せる。

 

「ヒマァァァッッ!!!《ぬおぉぉぉぉぉっっっ!!!》」

 

「ひっ!?」

 

 ビックリした、ヒマナッツったらいきなり大声だすんだもん。

 

「ヒマ、ヒマ、ヒマ、マ!!《この適度に丸みを帯びたプロポーション、艷やかな黒髪、何よりも聖母マリアのような優しい眼差し、パーフェクト!!》」

 

「えっと、お母さんを気に入ってくれたんだよね? なら、お母さんの誕生日プレゼントになってくれるかな?」

 

「ヒマ!! ヒマヒマ!《無論!! いや寧ろ我輩から頼む、この麗しのマダムのナイトに是非志願させてくれ!》」

 

 やったわ、ヒマナッツをゲットよ!

 

「ありがとうヒマナッツ。あともう一つお願いなんだけど、実はお母さんはヒマワリの花が好きで……」

 

「ヒ、マ!? ヒマ! ヒマ、ナツ《何たる偶然、いや運命か!? 我輩は進化するとヒマワリの化身キマワリになるぞ!

 おい小娘、直ぐに太陽の石を用意して我輩を進化させろ》」

 

「それなら大丈夫、太陽の石はお母さんの息子でアタシの恋人のゴールドが手に入れるからね♪」

 

 それを聞いて満足したヒマナッツは再びお母さんの写真を食い入るように見始めた。

 

「トゲチクー《なんかこのヒマナッツってスリープに似てるよねー》」

 

「スリ、スリプ!《オイ、この変態と僕を一緒にするな!》」

 

「メノ。メノメノ〜《どっからどう見ても同類ですわよ。それより〜、さっきはよくもワタクシ達をブス呼ばわりしてくれましたわね〜?》」

 

「スリッ。スリープ《チッ、覚えてやがったか。ではクリスちゃん、僕は一足先にゴールド君に報告してくるよ》」

 

 そう言い終わるとスリープはそのタップンタップンな肥満体型に似合わない俊足で走っていった。

 

「メノ、メノ! メノ〜!《あ、逃げる気ですわね! 待ちなさ〜い!》」

 

「スリ、スリ、リープ《失礼な、僕はただ戦略的撤退をするだけだ、逃げる訳ではない》」

 

「メノメノ〜!《その減らず口を二度と吐けぬように『どくばり』で縫って差し上げますわ〜!》」

 

 そしてメノクラゲもスリープを追いかけて行ったわ。

 

「トゲー、トゲゲー《待ってよー、鬼ごっこならボクもやるー》」

 

 それを更に追いかけて飛んでくトゲチック。

 

「えっと……ベイリーフ、それにヒマナッツも、アタシ達も行こうか」

 

 アタシが声を掛けるとヒマナッツはまだ写真を見つめてウットリしてた。

 

 ベイリーフはそんなヒマナッツを見て大きな溜め息をついてるわ。

 

「ヒマ、ヒマ。ナッツ《おー愛しの姫君よ、もう少しお待ち下さい。貴女のナイトたる我輩が直ぐにお側に参りまする》」

 

「ベイ……ベイリフ、ベィ《また変なのが仲間に……そろそろゴールドさんの胃に穴が開きそうで心配ですね、はぁ》」

 

 あれ? ベイリーフは何でゴールドの心配してるのかな?

 

 ★☆★☆

 

「へっくしょん!!」

 

 我ながら随分デカイくしゃみしたな、花粉でも吸ったかな?

 

「フリ?」

 

「大丈夫だバタフリー、それより次の虫ポケモンを探してくれ」

 

「フリ!」

 

 返事をするとバタフリーは空高く飛び上がっていった。

 虫取り大会も残り時間は半分、俺が今までに捕獲したのはキャタピー、ビートル、コンパン。

 

 う~ん、イマイチな成果だ。

 もう少しゴツいポケモンじゃないと優勝は難しいわな。

 

 だが俺にしては珍しく今まで遭遇するポケモンがすべて雄、本当に珍しいと思うわ。

 だから運は向いてきてる筈、そろそろ大物を見つけ……

 

「フリフリー!」

 

 バタフリーからの合図、虫ポケモンを見つけたのか。

 俺はバタフリーの声のする方に走っていく。

 

 バタフリーと合流すると、くわがたポケモンのカイロスが居た、まだバタフリーには気付いてないな。

 

「でかしたバタフリー」

 

「フリ!」

 

 サイズも俺より一回り大きいぐらい、これなら充分優勝を狙えるぞ。

 そんな事を考えてるとカイロスが俺達に気付き攻撃しようと突撃してきた。

 

「バタフリー、『ねんりき』だ!」

 

「フリ! フッ、リー……?」

 

「どうしたバタフリー!?」

 

 バタフリーは『ねんりき』をしようと力を溜めたまま急に動きを止めた。

 まさか麻痺? いやそれは無い、バタフリーは今日は一度も麻痺技を受けてないぞ。

 

「フ、フリ……」

 

 バタフリーはカイロスの頭の角に挟まれて苦しそうにしてる、あの技は確か『しめつける』。

 

「バタフリー、『ねむりごな』を使うんだ!」

 

「フリ!」

 

 今度は無事技を成功させてカイロスは眠った。

 カイロスが眠ると同時にバタフリーは力が抜けた角から脱出する。

 すかさず俺はパークボールを投げつけカイロスを捕獲した。

 

 無事カイロスを捕獲のは良いがさっきのバタフリーの膠着状態は何だったんだ?

 

「お前、調子悪いのか?」

 

「フ……リィ……」

 

 バタフリーは歯切れの悪い返事をする。

 やはり調子が悪いのか? なら無理させる訳にはいかないな。

 

 時間は残ってるが俺達は東ゲートへ戻る事にした。

 大会が終わったらジョーイさんに診てもらおうと考えながら、落ち込んでるバタフリーを抱えて俺は東ゲートへ戻った。

 

 

 

 

【自然公園、東ゲート】

 

 そして時間は過ぎ、いよいよ結果発表。

 

「では結果発表ー!! ジャジャジャーン」

 

 係の人の元気な声で次々と結果が発表されてく。

 次は一位の発表……

 

「そして今回の大会の一番の優勝者は……

 

 カイロスを捕まえた、ポケモントレーナーのゴールドさんです、おめでとうございます!」

 

「よっしゃ!」

 

 ふー、何とか優勝出来たな。

 

「一番の方には太陽の石を、二番の方には変わらずの石を、三番の方には黄金の実をプレゼントです! また今回惜しくも入賞出来なった人には木の実を差し上げます」

 

 俺は太陽の石と預けたモンスターボールを受け取った。

 意気揚々と東ゲートを去ろうとすると後ろの方でスタッフが何やら慌ててた。

 

「あれ、黄金の実がないぞ!?」

 

「木の実も一個も無いです。おかしいな? 確かに預かったモンスターボールと一緒に金庫で保管してたのに……」

 

 ……非常に嫌な予感がして腰のモンスターボールに目をやる。

 

「……ポリッ……ポリッ……」

 

 ……マグマラシのボールから硬いものを砕く音がしたが聞かなかったことにしよう。

 

 さぁて、クリスは無事にヒマナッツを捕獲したかな?

 クリスが心配だから今すぐ合流しよう、うん。

 

 …………あ、カイロス貰うの忘れた。

 

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