ポケットモンスターオラージュ   作:フロストライナー

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漸く、漸くリザードンが出せる……!

なお、擬人化ポケモンはネット上のイラストを基本にするつもりですが、今回のリザードンは独自設定が盛られているのでオリジナルとなっています。

誰か噂のロリマンダのイラストを教えてくれぇ……。


何のギャルゲーだァァァッ!!

 

 

 トキワシティには三つの道がある。

 

 南にマサラタウンに続く1番道路。西にチャンピオンロード、セキエイ高原に続く22番道路。

 

 そしてトキワの森に続く2番道路、俺が今居るのは此処になる。

 

 

「ここでいっか……バタフリー」

 

 

 ボタンを押し小さくしていたモンスターボールを元の大きさに戻し、もう一度ボタンを押す。開閉ボタンが押された事でボールが開き、中から白い光が飛び出しポケモンの姿を作る。

 

 白い光が晴れると、そこにちょうちょポケモンのバタフリーが現れた。

 

 

「フリィ!」

 

 

 まるで任せろと堂々とした姿を見せるバタフリーに笑みが零れる。

 

 ――街から出た際、ポケモンはボールから出した状態が望まれる。数は一から二、あまり出し過ぎると周囲に迷惑になるので必要な時は注意が必要だ。

 

 理由としては自衛のため。野生のポケモンから身を守るためだ。

 

 ゲームでもそうだったが、野生のポケモンは突然襲い掛かって来る。元の世界の野生動物と同じだ。縄張りに侵入した外敵を排除するため、人間が持ってる食料を奪うため、肉食ならば食料として喰らうため。

 

 その対抗手段が人間と暮らすポケモン。ポケモンにはポケモンを、という事だ。

 

 ポケモンは素人の人間よりも危機察知能力が高く、野生のポケモンが襲い掛かって来ても直ぐに教えてくれるし迎撃もしてくれる。また、ポケモントレーナーやポケモンは相手の強さが分かる。相手が自身より強ければ、野生のポケモンは無闇に襲っては来ない。

 

 強さ、簡単に言えばレベルだが、勿論レベルが低いとポケモンを出していても野生のポケモンは襲って来る。今回、連れているバタフリーはジムで共用に使われている一匹だ。レベルは30代なのでトキワシティ周辺、トキワの森の浅い場所なら問題は無い。

 

 なお、トキワの森の深くに行くと50代以上が集団で襲って来るので要注意だ。

 

 

「ま、ここら辺だと要らないけどな」

 

 

 半年の間に覚えた常識を思い出しながら自嘲気味に笑う。

 

 確かに必要な事であるが、2番道路は人が通るのを前提とした道。定期的にジムリーダー、ジムトレーナーが見回っているので野生のポケモンはまず出て来ない。

 

 またトレーナーの姿も無く、トキワの森までは問題無く進めるだろう。

 

 

フリィ(フラグ乙)

 

 

 ……何か余計な一言を言われた気がしたがスルーする。

 

 それで、なら何でバタフリーを出したかと言えば……気分の問題だ。

 

 未だ自分のポケモンを持っていない俺にとって、ジムでポケモンと練習するジムトレーナーの姿は憧れで、羨ましくもあった。

 

 一時的な貸出しだとしても、『俺はポケモンを持っているぞ』と誰も居なくとも自慢したかった。それだけの話だ。

 

 ……こんな事、クソ恥ずかし過ぎて誰にも言えないけどさ!

 

 

「まぁ、短い時間だろうけど、今日は宜しくな」

 

フリ、フリィ(足を引っ張るなよ小僧)

 

 

 ……何故か今日限定の相棒を殴りたくなった。

 

 何故か沸き上がった殺意を抑え思考を切り替える。

 

 目的地はトキワの森、捕まえるポケモンは決めていない。トキワの森には何が居たか、とゲーム知識を思い出す。

 

 主にバタフリーの進化前のキャタピー、ビードル、コクーン。出現率が低いピカチュウ、キノココも出るんだったか。

 

 

「……キノココかな」

 

 

 キノココはキノガッサに進化する。そう、あのガッサに。トラウマの一つのガッサににににににに!

 

 

「ハッ! 危なかった……!」

 

 

 間一髪の所で精神の帰還を果たす。大丈夫、浅い所にはガッサは居ない……はず。

 

 キノココなら、バタフリーに“ねむりごな”を使って眠らせれば良い。そうすれば問題無い。そう言い聞かせる。

 

 気分を切り替え、トキワの森に一歩踏み出そうとし、

 

 

「フリィッ!!」

 

 

 バタフリーに後ろ髪を掴まれ、動きが止められ、

 

 目の前を蒼い炎の放流が通り過ぎた。

 

 

◆◆◇◆◆

 

 

「……えぇー……」

 

 

 焦げた臭いを嗅ぎながら、たっぷり時間を掛けてもその言葉しなかった。バタフリーに止められていなかったら確実に飲み込まれていた。

 

 ギギギ、と錆び付いた機械のような音を出しながら炎の放流が来た方向を見れば、案の定、原因が居た。

 

 ゲームで言えばプレイヤーが行けない木が並んだ場所、炎の威力を見せ付けるように焼け焦げた道が出来上がっており、向こう側まで良く見える。

 

 炎の発生源には三つの人影。

 

 

「ヒッ、ヒィイ……!」

 

 

 一つは腰を抜かしたのか、尻餅を付いて情けない声を上げているスーツ姿の男。ゲームで言う所のお坊っちゃまという感じだ。

 

 もう一つは、焼け焦げた炎の通過道の真ん中で倒れているポケモン。全身焦げているがスリーパーだ。

 

 最後の一つが……。

 

 

「グルルルルルルッ!!」

 

 

 獣のような唸り声を出す16、17くらいの女……だが、人間ではない。

 

 まず目立つ容姿をしている。

 

 髪は炎のような赤で先に進むとグラデーションが掛かったように蒼くなっている長髪。頭には髪が角のように盛り上がっている。

 

 服装は上が体にフィットするタイプのノースリーブ、丈が短くヘソ出しだ。

 

 両腕には黒の長手袋、その上に前腕部をカバーするオレンジ色のアームガードプロテクター。

 

 下半身は際どい。フロントオープンスカートという装飾に使われるそれを直接着け、開いた前は青い前垂れで隠れてはいるが、深いスリットになっていて足が際どい所まで見えている。

 

 その足は黒のニーソックス、オレンジ色のロングブーツでしっかりガードしている。

 

 服は細かい部分を除けばオレンジ色と黒の二色、全体的に露出が高いが健康的な印象を受ける。

 

 ここまでなら、露出の高い格好をした少女……で済むのだが、無視出来ない箇所があった。

 

 背中から生えた翼と尻尾。尻尾の先の蒼い炎が少女の感情表すように激しく燃えていた。

 

 ……人間にまるでポケモンの要素を付けたそれは……。

 

 

「人型種……」

 

「ッ! ガァアアァァァアアアアッ!!」

 

「ヤバ……ッ!!」

 

 

 少女の姿に目を奪われていたら、向こうの殺気立った目と合い気付かれた。

 

 本能が逃げろと警報を鳴らす。踵を返し元来た道に、トキワシティに逃げようとするが、高速で近付く風切り音が聞こえて来る。

 

 

「フリィッ!」

 

「グルァアァァァッ!!」

 

 

 チラリと後ろを向けばバタフリーが割って入った。

 

 バタフリーが“ぎんいろのかぜ”で迎撃する。

 

 だがバタフリーが迎撃に入った時には相手は既に蒼い炎に身を包み、“ぎんいろのかぜ”の中を突っ込んで来る。

 

 

「ニトロチャージ……フレアドライブ!?」

 

 

 タイプと動作、威力から技を予想する。

 

 フレアドライブは【ほのお】タイプの物理技の中でも最上位の技だ。“ぎんいろのかぜ”の中を突っ切り、体当たり……もはや激突と言える勢いでバタフリーにブチ当たり、虫ポケモンの軽い体を吹き飛ばす。

 

 タイプ相性の不利、更に耐久防御の低いバタフリーは耐えきれず逆方向の岩肌に叩き付けられ、目を回して『ひんし』状態になった。

 

 そして反動を受けただろうが、そのそぶりを見せず女の鋭い眼光が此方を向いた……不味い。

 

 

「ふがっ!?」

 

 

 案の定、視界が回転し……正常に戻った時には仰向けに倒れ、女に馬乗りにされていた状態だった。

 

 片手で体を押さえ付けられ、振り上げた右手はエネルギーを纏う。“ドラゴンクロー”か。

 

 ……思ったより短い人生だった、と諦める。

 

 どういう理由でポケモンの世界に来たのか分からないまま半年、忙しくも楽しかった。世話になったグリーンに借りを返せなかったのが悔いに残る。

 

 やはり怖いので目を閉じその時を待つ。

 

 ……待って、いつまでもその時が来なかった。

 

 おかしく思い、恐る恐る目を開けると……。

 

 

「…………」

 

「うぉ!?」

 

 

 女の顔のドアップがありすっとんきょうな声が出た。

 

 女は顔を至近距離まで近付ける。スンスンと聞こえる事から、どうやら匂いを嗅いでいるらしい。

 

 ……冷静にしているつもりだが、顔が至近距離まで近付くって事は体も密着してるって事で女の立派な胸が当たっててててててててッ!!

 

 軈て漸く満足したのか、女は嗅ぐのを止め顔を離す……と言っても近いのは違いないが。その表情は打って変わって、激情から満面の笑みを浮かべていた。

 

 

「――見付けた」

 

「へ?」

 

「見付けたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 

 馬乗りされていた状態から高速で動き、気付いたら抱き上げられていた。

 

 再び胸の感触、更に匂いでクラクラになりそうになり……やや強めに頬擦りされて意識が引き戻される。

 

 

「見付けた、やっと見付けたよトレーナー! 会いたかったー!」

 

「え、えぇ!? ちょ、何、何なのお前!?」

 

「何って“レンカ”よ、トレーナーのポケモンの!」

 

 

 は、と思考が止まる。まさか、有り得ない。

 

 ……翼に炎が燃えている尻尾……色の組み合わせは違うが、該当するポケモンを俺は知っている。

 

 それに“レンカ”という名前……。

 

 

「レンカ……って、“蓮火”? リザードンの、俺のポケモンの?」

 

「当たり!」

 

「え、えぇぇぇ!?」

 

 

 蓮火。

 

 それはゲーム時代、俺が6V個体として作ったリザードンに名付けたニックネームだった。

 

 それが人の姿を持ち、満面の笑みを浮かべて目の前に居る……。

 

 しかも、“人型種”になって。

 

 

「何のギャルゲーだァァァァァァァァァッ!!」

 

 

◆◆◇◆◆

 

 

 俺がこの世界に来て驚き、頭痛を覚え、考えるのを放置した事がある。

 

 ――この世界のポケモンには大きく分けて二種類ある。

 

 “原種”と“人型種”。

 

 原種は俺もよく知る姿のポケモンであり、数が多いのは此方だ。

 

 人型種とは、“ポケモンが人に近付くために適応したポケモン”。

 

 最大の特徴は、人型種の名の通り人、“人間の姿形を持っている”という事だ。

 

 つまり分かりやすく言うと、擬人化ポケモン、萌えもんという事だ――

 

 

 




所で皆さん、サン・ムーンってどのくらい進んでいますか?

というか、もうストーリークリアした人が居るみたいですけど早くない? 寧ろ自分がスローリー?

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