ポケットモンスターオラージュ   作:フロストライナー

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サブタイトルの意:珍しい物を持つ人は気を付けよう。

……という訳で第4話。予約投稿忘れてました。

言い忘れていましたが、原作の登場人物はゲーム版をベースにしています。

PS.タグ追加しました。


限定品は皆欲しくなる

 

「――蓮火ァッ!!」

 

「漲って来たァァァァァッ!!」

 

 投げたボールから蓮火が飛び出す。尻尾の蒼い炎が闘志を表すように激しく燃えていた。

 

 ――同時に、陽射しが強くなる(・・・・・・・・)

 

 一瞬戸惑う、が、直ぐに冷静になる。

 

 今日は晴天であるが明らかな変化。太陽の光に額から汗が流れる。

 

 天候変化、陽射しが強い状態になった。

 

 スリーパーは僅かに上を見た。お坊っちゃまのトレーナーは気付いていない。相手の様子から、相手が技を使った訳ではない。

 

 となると……原因は蓮火か。

 

 リザードンの特性は“もうか”、隠れ特性で“サンパワー”でありゲーム時の蓮火は“もうか”だった筈。だが蓮火自身も技を使っていない為、何らかの理由で特性が“ひでり”に変わっているらしい。蓮火が場に出たと同時に天候変化した為間違いないだろう。

 

 なお、特性で天候が変わる時は、天候変化の特性のポケモンが場に出た時……この“場に出た”はポケモンが戦闘体勢に入った時からなのでさっきまで蓮火が出ていた時に“ひでり”が発動しなかったのはその為だ。

 

 予想外であるが、寧ろプラスだ。

 

「突っ込めェッ!」

 

「グルァアアァァァァァアァァァッ!!」

 

「何をしている! “さいみんじゅつ”!」

 

 相手がスリーパーに指示……いや、命令を出すが遅い。

 

 ゲームでは技に優先度があったが、現実ではトレーナーの指示でポケモンの行動その物に速さと鋭さが生まれる。それがゲームで言う優先度なり、種族値で劣っていてもトレーナー次第で補う事が可能だ。

 

 それにリザードンとスリーパーの【すばやさ】はリザードンが高い。

 

 もう一つ、蓮火のモチベーションが高い。ポケモンのモチベーションはバトルに密接に関係している。ポケモンだって生き物だ、ビビれば攻撃・特攻は下がるし動きも悪くなる。逆にモチベーションが高ければ、動きが鋭く速く、能力値が上昇し急所にも当たりやすくなる。

 

 指示の速さと種族値の差、モチベーションが揃い、蓮火が負ける理由は無い。

 

「グルラァァアアァァァァァッ!!」

 

 蓮火は咆哮を上げ、全身を蒼炎で包み防弾のように突っ込んで行く。

 

 “フレアドライブ”が動こうとしていたスリーパーに当たる、否、激突。

 

 スリーパーは軽々と吹っ飛ばされて。

 

「ぐばぁっ!?」

 

 後ろに居たお坊っちゃまを巻き込み揉みくちゃになりながら転がって……止まった時には目を回して倒れていた。

 

「……やり過ぎた?」

 

 一撃で戦闘不能(ひんし)状態。

 

 確かに“フレアドライブ”は高威力の技で蓮火とは同じ【ほのお】タイプでタイプ一致、更に“ひでり”による強化も入っている。スリーパーなら一撃撃破も可能……だと思うが。

 

「威力、強すぎるような……もがっ!?」

 

 急に、視界が真っ暗になった。そして顔を包む柔らかく暖かい物は……!

 

 とにかく息が苦しい。必死に脱出しようともがいて居ると、頭上から声が聞こえた。

 

「やったよトレーナー! 勝った勝った! やっぱりトレーナーが居るのが一番だ!」

 

 この声は蓮火ァァァ! まっ、まさか顔にしっかりフィットしているのは蓮火のお胸様ァッ!!

 

 自覚すると一気に体温が上がるのを感じた。蓮火め、さては文字通り飛んで戻って来た勢いのまま抱き付いて来たな!? 両腕でしっかり後頭部をホールドされてて中々。あ、意識が……。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 蓮火の腹か腰辺りを掴み持てる力を持って顔面を魅惑のホールドから救出。酸素を確保する。

 

 ヤ、ヤバかった、死ぬかと思った。死因:乳圧による窒息とか笑えない。いや、幸せではあったが蓮火には安全面を考慮してからやるように言っておこう。まぁ、でも……。

 

 背伸びをして蓮火の頭に手を伸ばし、そのまま撫でる。

 

「お疲れ様、蓮火」

 

「……うん!」

 

 最初は何をされてるのか理解出来なかったのか、キョトンとした顔だった蓮火も直ぐに笑顔になった。

 

 ……犬猫感覚でやってみたが、上手くいったらしい。

 

「一先ず置いといて」

 

「?」

 

「問題はあっちだな」

 

 面倒と思いジト目になるのを自覚しつつ視線を向ける。

 

 気絶しっぱなしのお坊っちゃまとスリーパー。

 

 流れでバトルになったが、後始末を全く考えていなかった。放置するのも手だが激情に任せて傷害未遂を犯すような輩だ、報復に来ないとも限らない。

 

 どうした物か、と言うか……。

 

「面倒だ」

 

「おーい!」

 

「オラージュー!」

 

「ん?」

 

 俺を呼ぶ声がした。声の方を見れば、此方に走って来る二人の女性の姿を見付けた。例えるならミニスカートとバトルガールの二人組だ。

 

 なお、当然だがミニスカートやバトルガール、お坊っちゃまなんて分類のトレーナーは実際には居ない。見た目から俺が分かりやすく例えているだけである。

 

「……誰?」

 

「俺が世話になってる所のジムトレーナー。悪い人達じゃないから警戒すんな」

 

 二人は世話になった事もある顔見知りのジムトレーナーだ。まぁトキワジムのジムトレーナーは大概知り合いだが。

 

 警戒体勢な蓮火を嗜めジムトレーナーの二人に手を振る。

 

「今朝ぶりですね。どうしました?」

 

「ジムリーダーが嫌な予感がするからって、暇な私達が来たんだけど……」

 

「とりあえず初ポケモンゲット&初バトルおめでとー! 初めてにしてはやるじゃん」

 

 どうやらジムリーダーが原因らしい。というかその口振り、さては最初から見てたな?

 

「……何処から見てました?」

 

「えーっと、あの男の人が来た辺りから」

 

「隠れて見てたと」

 

「だって面白そうだったし」

 

「助けろォッ!」

 

 前から思ってたけどうちのジムトレーナー全員ノリが軽いぞ。今も怪我しなかったから問題無しって笑ってるし。

 

「……まぁいいです。最初から見てたならアレ、どうしましょ」

 

 こうなったら後始末に悩んでいたお坊っちゃまを押し付ける。

 

「あぁアレ? 傷害未遂だしジュンサーさんに連絡したから大丈夫だよ」

 

「言質も取ってるし」

 

 ポケギアを振って見せ、その画面は録音機能を表示していた。……やだ、この人達手馴れてる。面倒事を押し付けようとしたらこれである。

 

 というか連絡済みかい。被害者が言うのも何だが慈悲はないのか。……ッ!?

 

「に゛ゃっ!? ……何する蓮火」

 

「つーん」

 

 何の前触れ無く蓮火に足を踏まれた。蓮火は機嫌が悪いのかそっぽを向いてるし……何故?

 

「へー」

 

「ホォー」

 

「そのニヤケ顔止めろし」

 

「……トレーナー、疲れたからボールの中戻して」

 

「お前も急にどう」

 

「い・い・か・ら・!」

 

「分かったよ」

 

 急に機嫌が悪くなった蓮火をボールに戻す。

 

 一体何なんだ? あとジムトレーナー二人は今すぐニヤケ顔止めろ。ボール顔面に叩き付けるぞ。

 

「まぁまぁ、そんな睨まない睨まない」

 

「けど、後でちゃんと謝りなよー。ポケモンって言っても女の子なんだから」

 

「いや誰のせいだと……誰のせい?」

 

 分からず首を傾げる。けどまぁ了解しておこう。前世の経験上、こういう場合は男は謝るしか選択肢が無い。

 

「けど、人型種か」

 

 ふと、ジムトレーナー(バトルガール)が呟く。

 

「ちょっと忙しくなりそうだなぁ」

 

 その呟きの意味が分からず、その時は首を傾げるしかなかった。

 

 

◆◆◇◆◆

 

 

「――失礼、私、ポケモン研究家の……」

 

『ヒャッハー! 新鮮な挑戦者だァーッ!!』

 

「えっちょっ……あ゛ぁぁぁッ!?」

 

 白衣姿の男がジムの正面から入るが、言葉を言い切る前に世紀末のザコのように(数名、本当に世紀末のザコ……風のトレーナーが混じっている)が群がりあっという間にポケモンバトルに強制参加させる。まるで獲物に群がるキバニアだ。

 

 そして完封すると、死に体となった挑戦者(強制)をジムのカイリキーが裏口へと運んで行く。……今頃裏口の外では挑戦者(犠牲者)の小山が出来上がっている事だろう。

 

 ……敢えて言わせて貰おう。

 

「何だこれ」

 

 場所はトキワジム。俺はジムの二階、バトルフィールドが一望出来る客席で上記のようなバトル(?)を見ている。

 

 蓮火と再会して3日が経ったが、昨日の午後辺りからさっきみたいなポケモン研究家(真偽不明)やポケモンコレクターがやって来る。その度にジムトレーナーが世紀末プレイをするのだが……どうしてこうなった?

 

「ここに居たか」

 

「あ、ジムリーダー」

 

 そこにジムリーダー・グリーンがやって来た。せっかくだから聞く事にしよう。

「これ……どういう状況ですか?」

 

「あぁ、そう言えば話してなかったな。単刀直入に言うと、やって来る連中はお前の人型種が目的なんだ」

 

「蓮火を?」

 

 腰の蓮火が入ったボールに触れる。蓮火が原因ってどういう事だ?

 

「人型種に限らず、色違い、特異個体は良くも悪くも人目を引くからな。珍しいポケモンが見付かったと聞くと、ポケモン研究家やコレクターが挙って来るんだ。中には資産家なんかも混じってるか」

 

 それは分かる気がする。人間、珍しい、貴重と聞くと一度は見たくなるし欲しくなる。場合によっては過激な行動に出る輩も居る。それはこっち(この世界)でも変わらないらしい。

 

「ポケモン協会でも注意してるが、そういったのは強引でな。さっきみたいにアポ無しでいきなり押し掛けて来る事があるんだよ」

 

「だからコレ、ですか?」

 

「あぁ。門前払いしても無駄に諦めが悪いからな。ジムの運営も滞っちまうし、なら無理矢理“挑戦者”にしてジムトレーナーのスパーに使おう、って算段だ」

 

 ポケモン協会も多少は黙認しているらしい……やり過ぎはダメだが。

 

 蓮火の情報は3日前か。お坊っちゃまとのバトルの時、ちらほらギャラリーが居た訳だしそこから洩れたか。まぁつまり、この騒ぎは俺が原因な訳で……。

 

「……すみません」

 

「気にするな。こっちもポケモンリーグのシーズンオフ中は暇だったし、丁度いいサンドバッグ……スパーリング相手が出来てジムトレーナーも自主練になる」

 

「今完全にサンドバッグって言いましたよね?」

 

「ハッハッハッ」

 

 笑って誤魔化された。

 

 ……あ、また犠牲者が。ずっと見ているが酷い光景だ。

 

「アッハッハッハッ!」

 

 グリーンはその光景を見下して高笑いを決めている。あれ……もしかしてトキワジム、キチガイしか居ない……?

 

「これならオレが居なくても大丈夫だろ。行くぞ、オラージュ」

 

「……え? あっ、はい」

 

 そうだった。待ち合わせの暇潰しで見たジムの光景がアレだったから忘れていたが、これからグリーンと出掛けるんだった。

 

 行き先は始まりの町にある研究所。その名も――。

 

 

◆◆◇◆◆

 

 

「――初めまして、儂の名はオーキド・ユキナリ。ポケモン博士などと呼ばれておる。君の事は孫のグリーンから聞いとるよ」

 

 目の前に立っているのは白衣の老人。しかし足腰はしっかりしており腰を曲げず真っ直ぐ立っている。

 

 ポケモン博士オーキド・ユキナリ――ポケモンに関わった事がある者なら誰もが知る人物が目の前に居た。

 

「初めまして、オラージュです」

 

 しっかり頭を下げる。第一印象は大事だ。

 

 グリーンに連れられ、俺が来たのはマサラタウンにあるオーキド研究所。此処には蓮火の事を知る為に来た。

 

 というのもだ、蓮火については分からない事が多い。人型種というのを抜いても通常のリザードンと違う翼の形状、蒼い炎。特性の“ひでり”、通常の原種リザードンと比べ高い能力――人型種というだけで目立つのに、更に悪い意味で人目を引く要素満載だった。

 

 トレーナーならばポケモンをよく知るべき……とグリーンに言われ、俺自身も知りたかった為こうしてポケモン研究の第一人者であるオーキド博士を訪ねた訳だ。

 

 ……蓮火が他のリザードンと比べ特異な部位に関しては理由と原因は分かってたりするのだが、一度オーキド博士に会ってみたかったのが本音だったりする。

 

「うむ。挨拶がしっかり出来ておるのう。グリーンが同じぐらいの歳の時とは大違いじゃ」

 

「おいおいじーさん、昔の事を掘り下げるの止めてくれよ」

 

「何を言う。今でこそ治ったが、当時は儂をジジイ呼びしおってからに」

 

 それはジムトレーナーから聞いた事がある。

 

 当時、トレーナーに成り立てだった頃のグリーンは有名な祖父に反抗してやんちゃしてたんだとか。今はジムリーダーとなり、責任を負う立場になったからか、それとも変化したからジムリーダーになったのか丸くなったんだとか。

 

 あくまで人伝に聞いたので本当かは分からなかったが、今の話を聞いて本当であり、それを笑い話に出来る程関係は改善しているらしい。

 

 祖父孫が仲が良いのは良いが、それはそうと……。

 

「……そろそろいいですか?」

 

「おっと、すまんすまん。では早速で悪いが、君の人型種のポケモンを出してくれんか」

 

 言われるがまま蓮火を出す。

 

 部屋の中央に出現した蓮火を、オーキド博士はじっくり観察を始めた。

 

「ふむふむ。話には聞いておったが、リザードンにしては大分違うの……。

蒼い炎はより高温の炎を扱えるのを表し、大きくなった翼は飛行能力を上げる為か。確か特性も変化しとるのじゃったか……」

 

「……トレーナー……」

 

「うん、気持ちは分かるけどもうちょっと我慢な」

 

 研究者の血が騒ぐのか、オーキド博士が蓮火の周り周りつつブツブツ呟く。若干引く。

 

 蓮火が助けを求めてこっちを見るが、許可を出した手前止め辛い。

 

 と、グリーンが助け船を出してくれた。

 

「おーいじーさん。ポケモンとトレーナーが引いてるから観察はその辺にしとけ。あと絵面が絵面だから身内としても止めて欲しい」

 

「最後のは余計じゃ! ……まぁその通りじゃな。では次は……」

 

 吸盤の付いたコードを持ち出し、それを蓮火に取り付ける。

 

 なお、取り付け作業時に触れようとしたオーキド博士を蓮火が燃やし、代わりに俺が取り付けるというアクシデントがあったが割合する。

 

 しかし“かえんほうしゃ”を受けてもちょっと焦げただけな辺り、やはりオーキド博士もマサラ人だった。

 

 閑話休題。

 

 蓮火のデータを録り、それがパソコン画面に映される。

 

 多角形グラフが表示され、【こうげき】と【とくこう】が特に高く、その他のパロメーターも高い値を示していた。

 

 そしてタイプが【ドラゴン】・【ほのお】になっていて、特性の欄には“ひでり”ともう一つ、“かたいツメ”となっていた。

 

 これはまるで……。

 

「……まるでメガシンカじゃな」

 

「メガ進化? なんだそれ?」

 

「メガシンカじゃよ。お前が知らぬのも無理も無い。カロス地方とホウエン地方の一部に伝わるポケモンの可能性じゃ。戦闘時にのみ一時的に変化が出来る事から、通常の進化とは区別して“シンカ”としておる。

儂は専門外じゃから詳しくは教えられぬが、ふむ、プラターヌ君にも聞いてみるかの」

 

 ……グリーンとオーキド博士の言葉を聞き流しつつ思う。やっぱり、と。

 

 メガシンカ、メガリザードンX、メガリザードンY。

 

 二種類のメガリザードンの良い所取りの常時メガシンカ体。

 

 世間に知られたらモルモット直行なてんこ盛り状態なのが蓮火――

 

 ――俺だけのリザードン(蓮火)の正体だった。





蓮火(れんか)
種族:リザードン・人型種・特異個体
性別:♀
タイプ:ドラゴン・ほのお
特性:かたいツメ、ひでり
技:ドラゴンクロー、フレアドライブ、かえんほうしゃ、ブラストバーン


……常時メガシンカな蓮火。種族値はメガリザードンXの物、ドラゴンタイプが先に来ているのは仕様です。

600族超えだけどチートじゃないよ? ――ジムリーダー以上はこれを平然と蹂躙するから。

蓮火がXY混合常時メガシンカ状態の理由は次回予定。


あと小説のストックが無くなったので次回から不定期更新になります。

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