IS世界の冥王計画   作:なみ高志

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次話投稿します。


解析、織斑一夏の謎

 第十七話『解析、織斑一夏の謎』

 

 七月を迎え、IS学園も期末試験を終えて生徒が夏季休暇を待ちわびているころ、木原マサキと織斑千冬、篠ノ之束は学園内のIS及びHD研究棟の一角に密かに設置された部屋に集っていた。

 

 「さて今日ここに来てもらったのは、千冬と束にも大変興味深い事実がわかったからだ。織斑一夏がなぜISを装備できるのかということだ」

 「ずいぶんと早かったな。…まさかと思うが人道にもとることはしてないだろうな?」

 「まあまあ、ちーちゃん。ハウスハウス!まーくんがちーちゃんの弟君に変なことするわけないよ。だよね?」

 「当然だ。『とある事情』から彼とその友人たちに色々な状況下での比較実験に参加してもらってな。その際に採取した血液と着用していたISスーツに付着した分泌物を利用しただけだ」

 

 無断で行っていいものではないとは千冬は思うも、寮生活や教室で一夏を見た限り若干の疲弊した様子はあるがそれ以外は異常を認められなかったのでマサキに話の先を促す。

 

 「詳細はこの紙面に書いてあるが、結論から言えば織斑一夏の保有する特異なフェロモンが原因と考えられる」

 「フェロモン?あの異性をひきよせるというあれ?そんなのでISが装着できちゃうのかな?」

 「論より証拠を見せたほうが早かろう。少し待て」

 

 そういうとマサキは隅に控えていた氷室美久に合図を出すと大型の銀色のアタッシュケースを千冬と束の座る席の前にあるテーブルの上におきケースを開ける。中に入っているのはISスーツに似ているが何かの装置を胸部を装備したスーツとフルフェイスのバイザー付きヘルメット、そして四角錐を底辺でくっつけたような形態の水晶、ISコアが入っていた。

 

 「このスーツに装備した装置は先ほど話した一夏の発するフェロモンを擬似的にスーツとヘルメット表面に放出できるものだ。今からこれを俺が装着するが、その間にこれがまともなISコアか調べても構わんぞ」

 「ここで着替えるのか?」

 「何かの欺瞞がないかを証明するためだ。そのほうがよかろう」

 「いやあ、年頃の女性たちの前で着替えなんて、恥ずかしくないまーくん?」

 「フッ、見られて問題のある体はしてない」

 「そうじゃないんだが…まあマサキのすることだ仕方ない」

 「それもそーだね、あっ、これ確かに束さんのISコアだね。ちゃんと私のサインもあるよ!」

 

 束はISコアに自身しか読み取れない細工でされたナンバリングが手にしたISコアに刻まれているのを確認してそう告げる。

 その間にマサキは美久の手を借りてケースのスーツとヘルメットを着装しヘルメットのバイザーをおろした。

 

 『ではスーツの機能を起動する。みておけ』

 

 電子変換された音声でそういってマサキがISコアに触れる。暫くし明滅を繰り返した後にそれは光り輝く。

 

 「すごいすごい!ほんとに反応したよ!」

 「…つまり一夏が装着できるのは体質、ということか?」

 『そうだな、極めてめずらしい体質だが俺が考えるに過去にいないわけではなかっただろう』

 

 マサキはそのままソファーに腰掛けて、テーブルの上のアタッシュケースにISコアを納めて手を離すと発光も止まる。その後装置を操作した後でヘルメットを脱いだ。

 

 「過去の歴史で大衆を先導した政治家や宗教家にも同じ体質を持つ者たちがいたはずだ。彼らは人々、特に女性を味方につけてさまざまな事をなしただろうな」

 「つまりそのフェロモンが影響して一夏はISに乗れるということか」

 

 千冬は渋い表情でそういって腕を組む。

 

 「そうだ、短い期間で異性を惹きつけ魅了する織斑一夏という存在。葎からの話でその異常性は中学一年の終わりころ、つまりお前がドイツで教官をしている頃から始まっていた。恐らくは第二次性徴によるものだろうが、その頃から気にはなっていたことだ」

 「なぜ、お前が気にする必要があるのだ?」

 「俺と束、それぞれの計画上先導者が必要だからな。適格者を探していたのだ」

 「そうだね、私はみんなで宇宙にいくぞ~!って仕切ってくれる人が欲しいなあって」

 「言い換えれば客寄せだな」

 「「そうともいう」」

 

 まじめに言っているのだろうが冗談のようにしか聞こえない発言にため息をつきつつ千冬は二人の天災の顔をみる。

 

 「だが男生初のIS適格者となった以上、一夏は束の計画の方に入ってもらうほうがいいだろう。俺の計画は最悪俺が先導者になればいいことだ」

 「そだね。まーくんの計画にはいるといろいろきつそうだもんね!」

 「俺はできる奴にしか役割は与えんぞ」

 「お前のできる判断はいつも私たちのスペックぎりぎりだったからな。つらい事も多かったな」

 「まあ、束さんは楽しかったけどね!おかげでちーちゃん共々レベルアップしたし!」

 

 過去の思い出を苦笑する千冬と満面の笑みの束であるが、マサキが頼もしい友であるという思いは両者に共通しているのは身内には割りと甘いこの男に自身と同じ部分をみているからであろう。

 

 「でもなんでいっくんのフェロモンでISが乗れたんだろ?」

 「ああ、それは多分の話だがISコアの設計段階でのデータは束と千冬のものだからだな」

 「んー?…あっそっか、ISコアの原型が束さんとちーちゃんの思考を元にしてるから、あの子達は女の子なんだね!」

 「そういうことだ、そのために異性である男性の思考がノイズとして認識されていたんだろう。そしてISコアを一夏のフェロモンが魅了したということだ」

 「改めて聞くとわが弟ながら恐ろしいやつだな」

 

 マサキと束は千冬の弟ならばまあありえると思いながら口には出さない。虎の尾を踏むのは二人にしても遠慮したのだ。

 

 「で、マサキよ。この成果を上に報告するのか?」

 「その必要はない。公にすれば委員会の連中が情報を独占して奴らの利益にするだけだ。そろそろ頃合でもあるし、奴らには舞台から退場してもらわないと俺の計画に支障が出る」

 「あ~国際IS委員会だっけ?あのゴミの集まり」

 「あんなのでもこの学園を作る役には立った。がこれ以上俺立ちの周りをうるさくされても邪魔だ」

 

 国連の元で世界のIS事情を調整する組織もこの天災たちにはこの程度の存在でしかないことを千冬は頼もしくもあり恐ろしくも感じる。この特異なフェロモンの発見を一体何に使うのか?千冬は一瞬考えるもすぐにその考えを打ち切る。どの道派手なことになるのは分かりきったことだったからだ。

 

 次回『暗躍、国際IS委員会の闇』

 

 

 

 

 

 




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