IS世界の冥王計画   作:なみ高志

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次話投稿します。

作中補足 HD:木原マサキの設計した有人パワードアーマー、『ハウドラゴン』の略称
        ISと違い絶対防御がないので、搭乗者はHDプロテクターを装着する。


登場、その名はローズセラヴィー

第三話 『登場、その名はローズセラヴィー』

 

 

 木原葎(きはら りつ)は歓喜していた。

 ーー 葎、お前に新型のHDを与える、俺たちの力を学園の連中に示してやれ ーー

 入学前に敬愛する兄のマサキからそう告げられ、今自分を代表戦候補として挙げてくれた。つまり自分にはその資格と価値があると兄が認めてくれたのだと葎は感じたからだ。ならばその期待に応えたい、葎は心にそう決めた。

 

 五日後、1-1クラス代表決定の試合はISアリーナと呼ばれるIS学園内に複数ある施設の一つを貸しきって放課後に実施された。

 ISの実技訓練用に作られたこの施設はローマの闘技場めいた設計をされており、現在基本的にスポーツ競技用として運用されるIS操縦者が実技訓練をつむ為に様様な機能が備わっている。現在、1-1の代表選出者以外と別に一部許可を受けた者だけがISアリーナの観客席で三名の試合を分厚い電磁シールド越しで見ることが許されていた。

 今そこでは先ほど行われた一夏とセシリアの試合の感想を語り合ってる。結果から言えばセシリアの勝利という大半の予想通りのものではあったが、前日届いたばかりの新型IS白式を使い、あと一歩までセシリアを追い詰めた一夏の評価は上々であり、多くの女生徒たちは一夏の姿に魅了され一夏ファンクラブ結成を決めつつあった。

 

 そのころ、選手控え室にて肌に密着する黒のISインナー姿の一夏と銀のHDプロテクターをまとった葎、制服姿の箒が先ほどの試合を振り返っていた。

 

 「あーあ、箒と葎が特訓に付き合ってくれたのになあ、ごめん」

 「何言ってるんだ一夏。代表候補生相手に五日であそこまでできれば上等じゃないか、そうだろ箒?」

 「うむ、そうだな。後はその機体に慣れるためにももっと訓練すればよいだろう。む、無論それに一夏が付き合えといえば私は喜んで手を貸すぞ!」

 「サンキューな二人とも、俺はいい友達をもったぜ」

 

 恋愛絶縁体織斑一夏に隙はない。

 

 「それより次は葎の番だろ?がんばれよといいたいけどHDでISと一対一だろ、大丈夫か?」

 「フフ、一夏との訓練では僕のローズセラヴィーは全力を出したわけじゃないからね。まあ見ていてよ」

 「おう、じゃあ楽しみにしてるぜ葎」

 「葎ならば心配ないと思うが、無謀なことはするなよ」

 

 三人はそう言葉を交し合うと、次の試合に向けて動き出した。

 

 『木原葎さん。試合の前に五日前の私の発言を撤回し謝罪いたしますわ』

 『一夏との試合で何か見えたのかな?セシリア・オルコットさん』

 『ええ。私の目が曇っておりましたわ。実に申し訳ありませんでしたわ』

 『わかった。貴女の謝罪受け取らせてもらうよ』

 

 ISアリーナに入った両者は、互いに空中にて距離を保ちつつ解放回線を使い言葉を交わし以前の遺恨を晴らすと、試合への集中を高めていく。

 

 『なので、もはや侮りはしません。IS学園生徒、セシリア・オルコット全力でお相手いたしますわ』

 『IS学園生徒、木原葎。こちらも全力でかかる』

 

 両者の宣誓が終わると同時に試合開始のカウントが始まり両者は構え、開始の合図と同時に両者は動き出す。

 まずはセシリアの乗る青き流線形IS、ブルー・ティアーズが上空を押さえ4つのブルー・ティアーズ(以下BTと表記)からビーム、2つのBTからミサイルを発射,葎の乗る真紅のHDローズセラヴィーに襲い掛かる。時間差で放たれたそれらを全て回避できないとみた葎はローズセラヴィーの右手指それぞれの先からの五条のビームを左手に構えたIS用アサルトライフルで射撃を放ち迎撃を図る。ミサイルはビームを受け途中で爆散、三条のビーム光線をこちらのビームで干渉し軌道をそらすことができたが残るビーム光線がローズセラヴィーの脚部装甲に着弾した。だが、ローズセラヴィーの装甲は厚く未だダメージは軽微。ブルー・ティアーズは全ての攻撃を回避して無傷。

 

 『おやりになりますわね』

 『兄さんの設計したコスト度外視の新型だ、これくらいではね』

 

 それから暫くの間は機動力に勝るブルー・ティアーズが上空を押さえ続け傍目には有利をとり続けていたが、セシリアには焦りが生じていた。途中に一撃もらったローズセラヴィーの放つビームでシールドのエネルギーがかなり削られたためだ。ブルー・ティアーズはビーム攻撃と対ビーム攻撃に特化したISであるにも拘らずそれである。もしあの五条全てのビームを食らえば絶対防御発動の危険域に達するであろうことは予測できる。ならばと回避主体で交戦し続けて相手のエネルギー切れを図っていたがローズセラヴィーのビーム攻撃は一向に衰える気配がなかった。逆にこちらのエネルギー残量がかなり心もとなくなってしまっていた。加えてミサイルBTの残量はゼロ。装甲で覆われたローズセラヴィーでは搭乗者の表情も伺えず、機体の状態のみで次の手を判断をしなくてはいけない。

 

 (向こうは装甲は削れているものの動きが鈍らない…このままでは敗北は必然、ならば!)

 

 セシリアは勝負に出た。4つのBTを束ねて高出力攻撃可能な形態に変え急速上昇させる。直撃すればいかなローズセラヴィーも致命的ダメージを受ける。当然右手を迎撃に向けるローズセラヴィーに対し、セシリアはブルーティアーズを瞬間加速で地表に高速着地し、即座にビームライフル、スターダストMkⅢを拡張領域から引き出しローズセラヴィーに狙いをつける。上下どちらも最大出力の致命的攻撃を加える必勝の型といえた。

 

 前提を間違えていなければ。

 

セシリアの上からアサルトライフルが落とされたたその上空、ローズセラヴィーの左手から、五条のビーム光線が降り注ぎ、アサルトライフルを貫いてブルーティアーズに直撃した。

 

 『ブルー・ティアーズのシールドエネルギー残量ゼロ!勝者、木原葎!』

 

 

次回 『決定、クラス代表と冥王の鼓動』




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