DDG-191ふぶきの物語   作:シン・アルビレオ

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皆様お待たせしました!ちょっと政治的な話も出てきます( ̄ω ̄;) スマヌ

GWはゆっくり休めた(運転の練習は死ぬかとと思った)艦これはあまりできてないけど。そろそろ五周年任務やらなければ… 

用語説明 
・AP(アルペジオ)モード…霧の艦隊のようにメンタルモデル式になれること。(クラインフィールドっぽいのはでるけどやはり薄め)
利点は観艦式の時に見栄えが良い、災害派遣や人員輸送に役に立つ。欠点は通常の艦娘式よりも燃料を喰ってしまうことや、演算処理能力に負荷がかかることからあまり使うことはない。





10話 決意

 ふぶきが工廠から去った後も、いつもと変わりなく様々な機械音が響き渡る中、明石と夕張は妖精さんたちの協力でふぶきのカタログスペックを夕方遅くにやっと完成させたが、あまりにも異次元過ぎて提督にどう報告すればいいのか悩んでいた。

「APモードの全長や排水量とかは分かったけど、この数値はどうみても駆逐艦じゃない。重巡洋艦レベルよ。それに加え武装も電探も機関も私達のものとは全く違う。しかもどれをとっても高スペック。なんだこれ…」

明石はお手上げのようでイスに座ったままクルクル回した。

「そうよねー。例えばこれとかね」

夕張は一見単装砲のような主砲を手に取った。

「単装砲なのに射程は大和型の主砲以上で最大100km以上。発射速度は一分間に最大で35発。さらに対艦だけでなく対空と対地もこなすらしいわ。ありえない…主砲とは?」とまじまじと二人は単装砲を見つめる。

角ばった形になってるのは海自妖精さんによると、ステルス性を意識しているらしい。

ステルスといえばここでは迷彩がほとんどになる。例えば榛名改二の主砲のダズル迷彩や、多摩改二の北方迷彩が有名だろう。これらは感覚器官や環境による発見を防ぐための手段や距離を誤認させて砲撃の精度低下を引き起こす役割がある。

しかし、ふぶきの世界のステルス性というのはレーダー等のセンサー類からいかに探知され難くするかの軍事技術であり、各国は血眼になって研究しているそうだ。ここ最近は軍艦だけでなく、戦闘機等にもステルス性を意識して設計されている。この時点で技術の進歩は、はるか遠くに進んでいる。

「この主砲はイタリア製のオートメラーラ社127/64ライト・ウェイトと呼ばれているそうね。イタリアは砲に関してはいい仕事するけど技術の進歩半端ないなぁ」夕張はOTO152mm副砲を思い出していた。中々使い勝手がよく夕張もよくお世話になった副砲であったがここまで高性能になっていたのは予想外だった。

「あと…ミサイルだっけ?確かドイツが無線誘導ミサイルの開発してたけど、ふぶきに搭載されているミサイルはそれらを軽くどころじゃないほど凌駕しているわ。まさに進化版ね。」明石らはミサイルを解体して詳しく調べようとしたがあまりにも複雑としてて解析はできなかった。出来たとしても非常に時間がかかっただろう。

「まさに戦争が変わるわね」

明石はぐびっ、とコップに入ったお茶を飲み干す

「えぇ、間違いなく。でも、このデータだけじゃ彼女のことが全て分かったとは言えない。ここは一つ、演習データを取るしかないわね!私はまだ調べたいから明石、報告書の提出と演習許可書お願いね」

「うん、演習データーを取るのは同意ね。本当かどうか眉唾ものだし」

よっこいしょ、と重い腰を上げ明石は集めたデータ報告書を手に取り執務室へと向かって行った。

 

 

 「なんじゃこれ…ガチなの?」

「明石…妖精さんに賄賂とかデーターいじってませんよね?」

提督と大淀は工廠組がまとめた報告書を目に通すが、どれも現実離れしている数字ばかりで信じられなかった。

「してませんよ!まぁ疑心暗鬼になる気持ちはわかりますが、ふぶきさんの妖精さんにも協力を得ましたから、それらのスペックはガチでしょうね…」

「…だって排水量が重巡級なのに駆逐艦とか、速力が30knot以上とか、主砲の射程が100キロ以上とか、対空対地対潜なんでも可能とか…意味がわからんぞ」提督はメガネをスチャッと外して目をマッサージした。もうわけがわからないよ状態になりかけていた。

「だから演習データを取る許可を頂きに来たんです。」

「まぁ…確かに新しく入ってきた艦娘には演習データを取るのがここの慣習だしn……あっ」

「「演習…あっ」」

提督と吹雪、大淀はとあることに気づいてしまった。

「しまった…ふぶき急いで呼ばなければな。館内放送で呼ぶか」

提督は至急館内の放送でふぶきを呼び、その10分後、ノック音と共に彼女が息を少し荒げていたが入室した。

「ハァ…ハァ…遅くなり申し訳ありません。失礼します鵠将官」それでもぴしっと敬礼して入室してくるのは素晴らしかった。

「だ、大丈夫かい?」

「えぇ、大丈夫です」まさか図書館で恋の2-4-11や加賀岬など色々なプロモーション映像を見てたから…なんて口が裂けても言えない。

「そうか…早速だが、君の兵装の大まかなデーターが工廠組の明石と夕張によって判明した。より精密なデーターを得るために基礎演習及び仮想敵演習を行いたいと思ってる…が一つ問題があってね…」

「問題ですか?」

一体なんのことだろうか。ふぶきは不安そうに見つめる

「君はまだどの鎮守府にも所属してない…現時点ではここで“保護状態”になっているんだ。正式にここの鎮守府に所属になりました、という手続きを得なければ、演習や出撃等はできない仕組みになっているんだ。」

「えっ、じゃあこのままじゃなにもできないということですか?」

「うん…これ今更伝える事になって非常に申し訳ないが、君は今後どうしていきたいのか、今の気持ちを聞かせてくれないか?」

 

ふぶきは長考した。まだ時間あるし所属とかは今日の夜ゆっくり決めよう、と思っていたが、まさかいきなり今、人生を左右する局面が来るとは予想外であった。なのに、頭の中でスラスラと気持ちがまとまっていく。

「そうですね…私は先程図書館で様々な資料を拝見しました。その中で心が動かされたのは2つありました」

2つとは、一体どのようなことなのか。三人は固唾をのんでふぶきの言葉に傾ける

「まず、本来ならば我が自衛隊は憲法9条及び専守防衛の立場から、軍や戦争を放棄しつつも最低限の自衛能力を持たせ、攻撃されてからやっと反撃できる…という形でした。しかし、これは私達がいた世界での日本の決まりごとでした。

しかし、この世界では四年以上も深海棲艦と戦争をしており、シーレーンの破壊等と組織的な行動で国民の安全や生活を脅かしています。この時点で、深海棲艦には指揮能力があり、“国または国に準ずる組織”として“外部からの武力攻撃”の事態に陥っていると判断しました。

この終わりなき戦争に私の力…神の盾で終止符を打ちたいと思いました。そしてもう一つ。那珂さんのアイドルプロモーション、観艦式やイベントなどの映像資料も拝見しましたが、艦娘だけでなく市民たちも心からの笑顔で楽しんでいる。そのような笑顔を絶やせずに、皆を護る盾として貢献できたらな…」と、一通り想いを伝えた。

(ふむ……ちょっと引っかかるところあったけどそれは後にして。三人はどう?)と提督がアイコンタクトとると同意の意味で頷いた。

「うむ、素晴らしい思いを伝えてくれてありがとう。ではふぶきさん、もう一歩前に来てくれないかい?」

言われるがままにふぶきは一歩前にでて改めて提督と向かい合う。

「えー…日本国海上自衛隊、第3護衛隊舞鶴基地所属、ふぶき型護衛艦一番艦のふぶき、本日をもって第一艦隊天羽々斬、以下我が艦隊に所属することをここに決定いたします!平成28年9月24日、幌筵泊地 鵠大将」

「…ハイッ!」ふぶきは敬礼を行った後前進し、正式な手続き書類を受けとる際、右手で受け左手を添えて一覧し、終わって左手に移すとともに後退して元の位置に復し、再び敬礼を行った。その一連の動作はとてもきびきびとしていつつも優雅であった。

「お互いに頑張っていこう」

「こちらこそご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします」

提督とふぶきはガシッと固い握手をかわした。

 

 「いや~素晴らしい意気込みでしたねぇ。」ガチャリと執務室のドアが開けられ、ぱちぱちと後ろから声と拍手が聞こえてきた。

(えっ?!一体いつから?!)振り向くとカメラとボイスレコーダーを持っている艦娘がいた。

「まーた貴方ですか、青葉さん…」吹雪が呆れた顔をみせる。

「だってぇ、あの放送を聞いてこれはなにかしら起こるんだろうなぁと思って、こっそりふぶきさんの後をつけてたら、ビンゴでした(*^ー゚)b」

「忍者か君は」提督がすかさずツッコミ入れる。

「いやーそれほどでも」と青葉の顔がにやける。

「褒めてないからな?」とまるでコントのような光景が繰り広がっていた。

「あの…そちらの方は青葉さんですか?」

「あぁ、紹介がまだだったね。彼女は青葉型重巡洋艦一番艦、青葉だ。図書館で見たと思うが幌鎮日報を書いたのもほぼ彼女だよ」

「ども、恐縮です、青葉ですぅ!一言お願いします!」

(えっ一言?!一体何を言えばいいんだろう)

ちょっと考え込んだがそれでもなんとか単語を頭の中でまとめていく。

「えーっと…ここの鎮守府に助けてもらった以上、何かしら恩返しが出来たらなと思うので頑張っていきたいです」

「なるほどなるほど、いい答えですねぇ」スラスラとメモ帳で書いていく姿はまるで記者みたいだが、先程提督がおっしゃったように新聞を書いた方だ。となると、当然痛いところも突かれる。

「一つ質問いいですか?先程の決意は素晴らしいものでしたが、ちょっと引っかかるところがありましてねぇ…憲法9条と専守防衛について詳しく教えてもらいたいのですが…なんか矛盾してません?」

「それ、俺も聴いてうん?と思ったわ」

「私もです」

「同じく」提督も吹雪も大淀も疑問を感じたのうだった

(デスヨネー)やっぱりそうくるよねと思いつつ、一つ一つ丁寧に吹雪は説明していく

 

10分後

「なるほど…あの大戦の反省から作られ、それが70年以上全く変わることなく続いているのか…理想としてはとても素晴らしいが…」

提督はうーんと難しい顔をした。

「これ、相手国には全く関係ないですね。世界の法律ではなく日本でしか適用されない法律ですよ」

吹雪はそう指摘すると、ほんとその通りです、と彼女は首を少し頷いた。

「細かくどこまでやるのかやらないのか法律的で決めてあって、事があるたびにはその法律を照らしあわして会議し新しい法律を作る…非効率的ですね」と大淀も指摘する

(えぇ、確かに効率は悪いけど、それが文書主義なんですよ。民主主義の根幹です)と心の中で吹雪はそっと呟く。

「まぁうちも似たような文書主義だが、ここまで徹底されてるとはな」

ふぶきの心の反論にフォローしたが、流石に提督も脱帽の様子だ。

「この矛盾どうかにしようとしてるらしいけど、反対勢力もいるらしいってさぁ……」

「まぁ敵からしてみれば、こんな甘々な天国のような法律そのままにしてほしいでしょうねぇ」

明石と青葉も次々と痛いところを突かれ、心中は吐血しまくってるふぶきであった。

「あと、自衛隊の不要論とか話し合いすれば何事も解決するって、何かあの頃と似てるね」

提督はなにかを思い出すように背もたれに寄り掛かった。

「それって、あの新聞記事ですか?」ふぶきも、この前執務室で提督から頂いた資料の内容も思い出した。あれには艦娘反対運動が各地でデモ抗議しているとか、確かそんな内容が書かれていた。

「今現在はそのような活動は下火になっているが、2013年辺りは国会とか各鎮守府で反対派が囲んでいたり、デモやシュプレヒコールしてたこともあったね。マスコミも結構酷かったなぁ…」

(ほんとそっくり…)

ふぶきもいた世界で派遣反対や安保デモ、国会前でのシュプレヒコール、、倒閣運動のニュースを連日やっていたのを思い出した。あまりいい思い出ではないが。

(一番恐れているのは、ふぶきというイージス艦の存在が公になったときと、情報漏れだな。ある者にとっては女神となり、ある者にとっては憎たらしい存在にもなり得る…。幸いここは幌筵島という地理の理を活かせば、すぐ本土には情報入ってこないし、デモ隊もこない。杞憂ならいいが念の為対策を見直しておくか…)

「司令官?」となにやら難しい顔をしていたので思わず吹雪は声をかけてしまった。

「えっ?あ、あぁ大丈夫だ。さて、難しい話はここまでにして、明日の演習の話するか。大淀頼む」と大淀にバトンタッチした。

 

「はい。まず基礎演習とは文字通り艦娘としての基礎がどの位あるかを調べる演習です。主に機動性、砲雷撃、対空等を調べます。例えば、砲撃演習では各距離に置かれた的を停止時と走行時にはどの位の命中率なのか色々と調べます。そして、それらのデーターと共に艦娘教導隊と、より実践に近い演習するのが仮想敵演習ですね。ここで全て言っても混乱するので詳しいことは後で、演習オリエンテーションで説明します」

「艦娘教導隊…?それって空自のような飛行教導隊のことですか?」

「ほぅ、そちらの世界も教導隊があるのかい?」

「えぇ、例えば先程言ったように航空自衛隊には飛行教導隊ー通称アグレッサー部隊ーがいます。アグレッサー部隊は戦闘機パイロットの技量向上を目的として、戦闘訓練において敵役を務める専門の部隊のことですね。全国の戦闘機パイロットの中でも突出した技量を持つ人員が所属していて、各基地の部隊に対して指導巡回を行ってたりします。」

「なるほど…やはりそちらの世界にも似たような部隊があるのか。」

「確か飛行教導隊なら、鳳翔さんらの飛行部隊がそれらに近いことをしてましたね」

提督と大淀は平行世界であることを確信しつつあった。

そして、ふぶきは提督からペンを渡されると、同意欄に自分の名前を書いた。これで演習の手続きは終わりだ。

「よし、これで書類上の手続きは終わりだ。えーと演習オリエンテーションの時間は…2000の予定だ。場所はこの棟の2階、講義室1で行われる。担当は大淀、鹿島、青葉か。大体一時間くらいで終わるかな…ここまで質問はあるかい?」

「いえ、特にありません」

「ならよし。明日もよい一日を」

「ありがとうございました。では、失礼します」とペコリとお辞儀し、ふぶきは執務室を後にした。

 

 「さてと、改めてこの報告書を見ても信じられないな。大淀」

提督は背もたれにギシッ、とかけため息をついた。

「同意します。あくまでも参考値とはいえこの数値は私達の艤装では考えられないことですよ…もし、彼女の兵装が最大限に発揮できたら間違いなく最強でしょうね」

「だよなぁ…これから彼女に関しての報告書は極秘資料として扱おう」

万が一これらの情報が深海側に漏れ、量産したらと思うと間違いなくこちら側は負ける。そう危惧したからだ。

「そうならないためにも、彼女の兵装や艦船がこちらで量産できればいいですけど、難しいですが…いい研究になりそうだわ」明石はメラメラと職人魂を燃やした。

例えば戦艦は殴り合いで被弾前提の設計をしているから装甲は強固なものになっている。しかし報告書には

“近距離の砲撃戦はあまり想定しておらず、超遠距離からの攻撃ー超アウトレンジーに特化している。また被弾を避けるため機動力や、主砲、ミサイル等を使用した砲弾類の撃墜に力を入れている。万が一被弾した場合は練度の高い妖精によるダメコンで復旧可能だが、その装甲は駆逐艦の主砲ですら危うい”

例えるなら、駆逐艦の初期装備である12cm単装砲で戦艦の砲弾や航空機を撃ち落とすようなものだ。技術が異なるのは承知だが、そんなことができるとは到底思えなかった。

「砲弾の回避なら余裕ですが…?」

「まぁ…うん。吹雪は強いからな。」ワシャワシャと吹雪の頭を撫でると簡単にキラキラ状態になり、提督にぎゅーど抱きしめていく。どうやら甘えたいモードに入ったようだ。

(イージス…確かギリシャ神話で神の盾の意味してるそうですね。)吹雪は甘えつつも彼女のことを警戒していた。

「見せてもらおうか。神の盾の実力とやらを」

そして明日の演習で彼らたちは、目の辺りにした。

 

神の盾は、伊達ではなかったと。




次話から演習編に突入します!
楽しみにしていてな|・ω・)ではまた!
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